アースラのブリーフィングルームでは最終決戦の作戦が練られていた。
「基本的には部隊を2つに分け、その2つの部隊で違う角度からの攻撃を行うのが良いと思うんだが…」
「其れが一番だろうな。
U-Dの力は凄まじい……ただ、正面から打ち合うのは得策じゃないからな。」
とは言え、其処はこの面子。
クロノと遊星によって着々と作戦が練りあがって行く。
「第1チームは僕とヴォルケンリッター、キリエとアインハルト。
第2チームははやてとリインフォース、なのはとフェイト、トーマとヴィヴィオ、アミティエとディアーチェで行こうと思う。
遊星には両チームのサポートを…できれば戦闘も頼む。」
「任せろクロノ、やり遂げるさ。」
チーム分けは決まった。
後は作戦の詳細を決め決行するのみだ。
『クロノ君、U-Dの反応を見つけたよ!至急ブリッジに!』
更にタイミングよくエイミィからの艦内放送。
其れを受けて一行はブリッジに。
第2幕がいよいよ始まるようだ。
遊戯王×リリカルなのは 絆の決闘者と夜天の主 クロス65
『It's All or Nothing』
「やっぱり相当力を増してる…。」
「KKY、此れは可也ヤバそうね〜…」
ブリッジに到着した一行は思わず目を疑った。
当然だろう。
映し出されたU-Dの姿と魔力値…其れが常軌を逸している。
管理局のランクで言えばSSS+と言った所だ。
ゲイル達の捨て身の一撃でダメージを受けてなおこの力は正直恐ろしいものがある。
「シュテル達のワクチンを受けて尚、アレだけの力を有しているというのか?なんと言う奴よ…」
「確かに凄まじい。…エイミィ、U-Dの魔力はまだ上昇しているのか?」
「ううん、今は上昇は止まってる。でも…」
「あぁ、アレはまだ『白い』。色彩変化の『暴走状態』には到っていないからな。」
画像と計測結果からU-Dの今の状態を把握して行く。
暴走状態では無いが、その魔力は桁違いに強い。
暴走していないのはシュテル達が打ち込んだ『干渉制御ワクチン』が効いているからだろう。
だが、その効果も無限ではない。
効果が切れれば=暴走……
「一刻の猶予も無い。エイミィ、転送は?」
「バッチリ!座標も固定できてるし、何時でもいけるよ!」
「よし!此れより作戦を開始する!」
クロノの号令で一同気を入れ直す。
比喩などではなく、この世界の命運は文字通り彼等に懸かっているのだから。
「今のU-Dは極端に防御力が上がり、此方の攻撃に対して一切怯む事のない状態に成っているらしい。」
「所謂『スーパーアーマー』と言う所か?」
遊星の問いに頷き続ける。
「だが其れも絶対じゃない。
攻撃用プログラムを使って攻撃すればその状態を解除することは出来る――一撃でとは行かないが。
第1チームの役割はそのスーパーアーマー状態を解除する事だ。」
「でもって、私等第2チームが飽和攻撃でヤミちゃんを集中砲火。
一時的にエクザミアを停止させ…」
「最後は我が…か。良かろう、やってやろうではないか。」
作戦の詳細も決定!
先ずは第1チームと共に遊星が現場に飛ぶ。
第2チームはU-Dのスーパーアーマー解除と同時に転送し総攻撃をかける。
「行くぞ皆!俺達の力で、絆でU-Dを止め、そして救うぞ!」
「「「「「「「「「「「おーーーーーー!!」」」」」」」」」」」
そして遊星の号令で一気に士気が高まる。
遂に最終章の第2幕の始まりだ!
――――――
「行くぞステラ!」
『了解。リミッター解除、全能力フルモード、スピードカウンターを12で固定、ライフ初期値を16000に設定。』
U-Dの直ぐ近くに転送された第1チームはすぐさまU-Dの許に。
遊星もステラの能力を解放し全力状態だ。
「プログラムカートリッジ『ヴィルベルヴィント』ロード。」
「プログラムカートリッジ『ブルムベア』ロード!」
「インストールプログラム『オストヴィント』ロード。」
「「「ドライブイグニッション!!」」」
第1チームのメインアタッカーであるシグナム、ヴィータ、クロノも攻撃用プログラムを起動して準備完了!
他のメンバーも何時戦闘が起きても良い様にスタンバイしている。
「…?……君達は…?」
やがてU-Dを取り囲むように陣を組むと、U-Dも此方に気付いたようだ。
「何故君達は来た?」
「我等はお前を救いに来たのだ。」
「ヤミちゃん、大人しくこっち来てくれないかなぁ?」
「お前も、本当は誰も傷つけたくないのだろう?ならば…」
直ぐには戦闘に移らない。
先ずは話で、言葉でどうにか出来ないかとヴォルケンリッター達が声を掛けるがU-Dは首を横に振るだけ。
幾ら何を言われようと、彼女自身が『救いは無いと』諦めてしまっていた……かつてのリインフォースのように。
「私を救う事なんて誰にも出来ません……シュテル達だって自分を犠牲にしても私は止められなかった。
誰が何をしようと無駄なんです…私には壊す事しかできない。」
「…アタシ等だって昔はそう思ってたさ。
けどな、どんなに最悪な状況に有ったって救われないなんて事は絶対にねぇ!!
お前よりももっと辛い絶望を味わった奴だって、トンでもねぇ時間は掛かったけど救われたんだ!勿論アタシ等もな!
だから、ワリィけどテメェの事は放っておいてやらねぇ、ブッ飛ばしてでも助け出す!!」
だが、それもヴィータが啖呵を切って吹き飛ばす。
はやてと遊星によって救われたからこそ言える、ヴォルケンリッターの総意だろう。
更に、
「そうよ〜〜。それに、貴女を助けないと寝覚めが悪そうだし?」
「君は…」
「貴女に言わせると『時の操手』になり損ねた、御馬鹿な桃色ギアーズよ。」
キリエが割り込む。
表情こそ何時ものシニカルな笑顔だが、その瞳の奥には決意の炎が燃え滾っているのが見て取れる。
きっと第2チームのアミタも同じ事になっているだろう。
性格は違えど矢張り姉妹ということだ。
「絶対に貴女を救ってみせる!それが私のけじめの付け方だから!」
「無理だ…不可能だ…私を救うなんて…そんな事は所詮夢物語だ!!」
――バガァァン!!
もう語る事は無いとばかりにU-Dの魔力がはじけ、それが衝撃波となって襲い来る。
同時に其れは戦闘開始の合図となった…なってしまた。
「言葉は通じないのですね…」
「仕方ないさアインハルト…こうなった以上ははやて達の為に俺達のやる事をやるだけだ。」
「はい!」
アインハルトも気を持ってU-Dに向き直る。
「行くぞU-D!お前は必ず俺達が助け出す!スピードスペル『Sp−シンクロンチャージ』発動!
スピードカウンターが5個以上あるとき、デッキから『シンクロン』と名のつくチューナーを2体まで特殊召喚出来る!
頼むぞ『ドリル・シンクロン』『アビス・シンクロン』!」
ドリル・シンクロン:DEF300
アビス・シンクロン:DEF800
「更にスピードスペル『Sp−下級兵の進撃』!
スピードカウンターが6個以上あるときデッキか手札からレベル2以下のモンスターを2体まで特殊召喚出来る!
この効果でデッキから『ニトロ・シンクロン』と『ターボ・シンクロン』を特殊召喚!」
ニトロ・シンクロン:ATK300
ターボ・シンクロン:ATK100
遊星もまた、戦闘は不可避と見るや速攻でチューナーを大量展開。
勿論只シンクロするのではない。
呼び出したチューナーは全て騎士達を強化するためのものだ。
「全力か遊星!」
「勿論だ!行くぞ皆!」
「おうよ!」
「無論だ!」
「準備OKです!」
「うむ…来い、遊星!」
騎士達も其れを看破している。
既に遊星は騎士達にとって苦楽を共にした仲間であり家族なのだ、皆まで言わずとも考えはわかる!
「シグナムにニトロ・シンクロンを、ヴィータにドリル・シンクロンを、シャマルにターボ・シンクロンを、ザフィーラにアビス・シンクロンをチューニング!
雲に集いし騎士の誇りが、無限の希望を造り出す。光射す道となれ、シンクロ召喚!!」
「我が炎…消えること知らんな。」
紅蓮の将・シグナム:ATK2700
「分らねぇってんなら、殴ってでも分らせてやる!!」
鋼槌の騎士・ヴィータ:ATK2500
「貴女は必ず救うわよ、ヤミちゃん!」
風の治癒騎士・シャマル:ATK2300
「もう、終わりにしよう…」
鎧の守護獣・ザフィーラ:ATK2000
即時騎士進化!
元々高い力が更に強くなりU-Dの衝撃波にもびくともしない。
「あれがシンクロ…ヴィヴィオさんから聞いてはいましたがこれ程とは…」
「僕も驚くだけさ…だが、遊星なら何でも有りだ。僕はそう思う事にした。」
「賢明な考えよねん…」
初めて其れを見るアインハルトとキリエは勿論、何度も見ているクロノですら驚きは隠せない。
「君もその力を?…無駄だ、ゲイルも其れをやったが私は止まらなかった。」
尤もU-Dからすれば、一度打ち負かした戦術に過ぎないのかも知れないが。
だが、それでも遊星は慌てない。
手は幾らでも考えているのだ。
「如何かな?シグナムの効果で俺の仲間の攻撃力は800ポイントアップする!」
紅蓮の将・シグナム:ATK2700→3500
鋼槌の騎士・ヴィータ:ATK2500→3300
風の治癒騎士・シャマル:ATK2300→3100
鎧の守護獣・ザフィーラ:ATK2000→2800
一気にパワーアップ。
その影響は当然クロノ達にも及び力を底上げする。
「未だだ、俺は『機皇戦士グランド・ウォリアー』を召喚!」
機皇戦士グランド・ウォリアー:ATK?
そして更なる展開。
アポリアとの絆の証であるカードだ。
「グランド・ウォリアーの攻撃力は俺のライフの半分の数値になる!
俺のライフは16000、よって攻撃力は8000になり、更にシグナムの効果で800ポイントアップ!」
機皇戦士グランド・ウォリアー:ATK?→8000→8800
その力は強大!
更に!
「エクストラデッキから『スターダスト・ドラゴン』を墓地に送って、『Sin スターダスト・ドラゴンZero』を特殊召喚!」
『くぁぁぁぁぁぁ!』
Sin スターダスト・ドラゴンZero:ATK2500
今度はパラドックスから託されたカードを展開。
現れたのは『Sin』独特の鎧を纏ったスターダスト・ドラゴン。
「Sin スターダスト・ドラゴンZeroもシグナムの効果を受ける!」
『キシャァァァ!』
Sin スターダスト・ドラゴンZero:ATK2500→3300
此れを速攻といわずに、何が速攻かと言いたくなるくらいの速攻戦況整備。
矢張り遊星も相当に本気だ。
ベクトルは違えどU-Dとて本気――本気で破壊をしようとしている。
絶望に支配され、思考が暴走している彼女には目に映る全てが破壊対象だ。
「無駄なのに…もういいです!全部消えてしまえ!セイヴァー!!!」
「消させはしない!迎え撃てSin スターダストZero!『ダークソニック・バーン』!」
力を解放し攻撃してきたU-Dの攻撃を遊星がSin スターダストで迎え撃つ。
そしてこの時の衝撃こそが真なる戦闘開始の合図だったのだ…
To Be Continued… 
*登場カード補足
Sp−下級兵の進撃
スピードスペル
自分のスピードカウンターが6個以上ある時に発動できる。
デッキか手札からレベル2以下のモンスターを2体まで攻撃表示で特殊召喚する。