世界の中心に立つ統夜はレーゲンファミリーに向かってこう告げた
統夜「ようこそ、俺の世界へ」
統夜がその言葉を口にした瞬間その場にいる全員に冷たい風が襲いかかる。
瞬間的にデバイス達が体温を引き上げたおかげで凍死する事はなかったがこの世界にはまるでキシュア達を処刑するように無限の剣達が大地に刺さっていた
はやて「なんや、ここ」
アリサ「氷の世界に…無限に刺さってる剣ですって?」
すずか「私の氷よりも冷たい…」
アミタ「とっても寂しい世界です」
シグナム「ここは…固有結界?」
なのは「シグナムはこの世界のこと知ってるの?」
シグナム「いえ、大昔ベルカよりも前の時代に使用できる者が稀に居たと聞いたことがありますが…実際に見たことは…」
驚くはやて達に答えるように統夜は口を開く
統夜「そうシグナムの言う通りこれは固有結界、心象風景を具現化し現実を侵食する大禁呪…アンリミテッド・ブレイドワークス。
武器であれば見ただけで複製しこの世界に貯蔵する。これは俺が八神の魔術師としての証…そして”無限の剣”が内包された俺の世界だ」
キシュア「固有結界……だと?こんなの、大昔のお伽話じゃなかったのかよ!?」
キシュアは先ほどまでの余裕は全くと言っていいほど失い、取り乱していた
統夜「だから言っただろう?”これは俺が八神の魔術師としての証”だと…
そして、俺の宝具クラウソラス《暗闇照らし出す必勝の剣》はこの世界でこそ本来の性能を発揮する。
そしてついでだが…この世界は俺の心象…つまり、俺の心次第で何処までもこの世界は冷たくなる。いや、この時点で最低気温だったな。
つまりお前たちは今現在史上最低の気温の中…絶対零度の中にいるというわけだ」
アリシア「それってつまり-273.15 ℃の中にいるってこと!?」
統夜はその質問には答えず不敵な笑いを浮かべる その場にいる全員の視線が一気に統夜の持つ双剣に行った その剣は輝きを増し宝石などとは全く比べ物にならない美しさを放っていた。しかし、その剣は此れから目の前にいる『敵』へ向けられるのだ
それから統夜はミッドナイトに一つ命令を下した
統夜「ミッドナイト…リミッター解除…固有結界維持の魔力を魔術回路からリンカーコアへ変更」
ミッドナイト『Yes.リミッターフルオープン、固有結界維持の魔力をリンカーコアへ変更、剣製内の武器を非殺傷設定に変更しました。
制限時間はフリーダムがいない為1時間です』
普段なら確実に却下する命令にミッドナイトは従った。 それはつまり普段は温厚なミッドナイトですらも怒らせたということでもある
統夜「了解した。さぁ、始めようか?人を道具扱いした代償今ここで支払ってもらうぞ!」
ミッドナイト『殲滅の時間ですよ?雑種ども』
ミッドナイトのキツい言葉とともに統夜はキシュアをキッと睨みつけて大地を蹴った、それと同時に数本の剣が大地から抜け、統夜の周りに展開される
そして、一方的な戦闘は幕を開けた その戦いぶりはまさに鬼神乱舞、統夜が剣を振り下ろせば従って浮遊している剣も相手に攻撃する
キシュア(なんなんだよ!こいつは!?俺たちが何もできずに蹂躙されるだけなんて…ありえねぇだろ!)
キシュアはそう考えつつも迫り来る攻撃を間一髪のところで避け続ける
統夜「考え事をする暇があるのならば反撃でもしてみたらどうだ?まぁ、できればの話だが」
迫り来る剣戟はキシュアを確実に追い詰めていくが
「◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎ーー‼︎‼︎‼︎」
理性を失った者たちはその本能に従い、統夜を危険と見なし攻撃をしてくる。
襲い来る4人を冷たい視線で見つめた後突然クラウソラスを空中に投げた
統夜「投影、開始(トレース・オン)」
投影されたのは黄金の双剣 その二つを持って襲い来る4人を迎撃する
統夜「time alter square accel《固有時制御四倍速》」
統夜の体は通常の4倍の速度で動き敵を倒して行く
1人は手に持った剣型のデバイスを叩き折られ周り蹴りを腹に受け吹き飛ばされて気絶し、
2人目は回し蹴りの勢いで剣を持った拳で頭を殴られ地面に叩き込まれ、3人目は刃で斬り付けられ、
4人目は背後から狙ったものの攻撃は双剣で防がれ首を剣の柄で殴られ気絶する
それは時間にして僅か30秒の出来事だった
統夜「やはり、リミッターを解除すると体が軽いな」
統夜はそう言いつつも黄金の双剣を消し空から落ちてきたクラウソラスを再び握った
その戦闘を見ていたシグナム達はあり得ない、と言わんばかりの顔をしていた
シグナム「最早蹂躙か…此れならば私たちの出番はなさそうだな」
アリシア「いや、蹂躙ってレベルじゃないよ。なに?30秒で私たちが相手してた4人を一気にKOって!?」
その言葉にはやてやフェイト、アリサは頷いた
ディアーチェ「あれが兄上の本気…怒りが限界点まで達したということだろう…我らも彼処までキレている兄上は見たことがないからな…相当頭にきたのだろうよ」
フェイト「それでも流石に此れは…」
シュテル「ですが、兄さんがリミッターを全て外した状態…その時は魔導師ランクはEX+を超えます。
その膨大な魔力がこの結界を維持し、剣達を従える。その資質は明日香さんが言うには歴代の当主の中でも最も優れたものだと言っていましたから」
すずか「EX+!?それって物凄い魔力量だよね!?」
ユーリ「そうですよ。だからこそ私を従えられる。それが私達紫天一家を従える統夜なんですよ」
シグナム「成る程な…しかし、主なのはも相当お怒りの様だな……」
その言葉とともにその場いる全員は空を見上げる
其処には桜色の光を集束し始めているなのはの姿が見えた。その大きさは普段の2倍まで膨れ上がっている
シュテル「これは……」
はやて「トラウマに桜色も追加やな…これは」
キリエ「戦闘ももう直ぐ終わりね〜」
呑気にそういうキリエだが幾ら何でもこれは酷い…その場にいる全員がそう思った
一方、キシュアと戦う統夜は既にキシュアと戦いながらも幹部以外の全ての下っ端を片付けていた
統夜「ほらほら、如何した!?さっき迄の余裕はどこに消えた!?」
先程よりも速度の速い剣戟をキシュアと幹部達は必死になって避ける。
何故幹部達まで?と、思うだろう…しかし、此処は無限の剣がある世界、統夜は戦いつつも剣を操り確実にキシュアと同時に幹部を追い詰めていた
キシュア(こいつの戦い方は滅茶苦茶だ。剣を使って俺に此れだけの速度で攻撃してるのにも関わらず同時に浮遊させてる剣であいつらまでも追い詰めてやがる)
統夜「お前たちは既に選択を間違えたんだよ。俺たちに喧嘩を売った、その時点で勝ち目はなかった
……しかしな、タイミングが今でなくともお前たちはどうせ捕まっているだそうな」
統夜の言葉はキシュアには聞こえない、既に避けることだけに全神経を集中させているキシュアは仲間の声も、相手の声も聞こえなかった
統夜「最早聞く耳すら持てないか……ならば死に物狂いで避けるがいい!」
ミッドナイト『マスターいい性格してますね?』
更に剣は降り注ぎ、双剣はキシュアを襲う キシュアは違法カートリッジを何発も消費し自身の体に魔力を注ぎ込んでその全てを身体強化のブーストに使って避け続ける
キシュア「お前、一体何者なんだよ!?」
その言葉に統夜は少し驚いたような顔をするもすぐに呆れたような顔をした
統夜「お前に答える義理はあるかい?」
その一言はさらにキシュアを焦らせる。ただの子供かと思っていたらお伽話の中で出てくるような魔法を使うものが現れ自身を追い詰める。
しかも、その相手が何物なのかもわからない。これ程恐ろしい事はないだろう
統夜(しかし、剣が幾つか大地から抜けているな…一体どこに行った?)
そう思いつつも統夜は剣を振ると剣にある物が一瞬映った事でなのはが何を考えているか気がついた
統夜(成る程…原因はなのはちゃんか…魔力集束と同時に剣まで一緒に集めるとは…あの子は矢張り恐ろしい資質を持ってるな)
なのは(統夜くんの剣も集めて使うスターライトブレイカー……威力も範囲も今までのとは桁が違うよ…
それになんでか此処だと魔力集束の効率がいいからいつものよりも早く更に大きく集めれる!)
なのはがそう思っていることは確かに事実だった。
固有結界は言わば魔力で具現化した世界…それの維持には統夜のリンカーコアが使用されているため常に統夜の魔力がばら撒かれているのだ。
それに先ほどから統夜が使用している剣達も相当魔力を内包したものなので砕けるたびに魔力が世界に散らばる。
その魔力を先ほどからなのはは知らず知らずのうちに集束したため、
スターライトブレイカーが今までよりも大きく、しかし無駄な魔力は一切無い最強の砲撃が出来上がっていった
統夜(あれ食らったら流石に俺でもトラウマモンだわ)
統夜は攻撃の手を緩めずに内心ヒヤヒヤしていた
そんな時統夜の頭になのはの声が響いた
なのは(そろそろ此れが完成するから、この一撃で終わらせるよ。統夜くんは敵を一箇所に集中させて!)
統夜(了解した!すぐに集めて差し上げる!)
2人の念話はすぐに終わり、統夜は散らばっているレーゲンファミリーの位置を一瞬で把握した後、すぐに行動に出た。
20本以上の剣が大地から抜かれレーゲンファミリーに襲いかかる。無論、剣の雨から彼らは誘導されるように逃げ回る
そして統夜自身もクラウソラス装備時の機動力を生かし幹部とキシュアを一点へと追い詰めてゆく
統夜「守ってばかりじゃ俺は倒せないって言ってるだろ!」
押されるキシュアは統夜との戦闘の中見てしまった、天空に輝く桜色の塊を
キシュア「クソッ!ハメられた!」
そう、キシュアが見た先には既に完成された集束砲撃があった
統夜「ようやく気づいたのか……だけど遅かったね?」
その一言で一点に集められたレーゲンファミリーは蒼色のバインドで固定される
キシュア「何だってお前らみたいなヤツらがこんな事できんだよ……」
余りの魔力の塊の大きさにキシュアを含む全員が巨大な魔力の大きさに愕然とする
統夜「お前たちの敗因は俺たちに双天の王を怒らせたことだ」
統夜はクラウソラスを消し、キシュアを見下ろしながらそう呟く
統夜「あの砲撃は俺達からの本当の意味での鉄槌だ。
何せなのはちゃんの魔力と結界を維持している俺の魔力…そして剣が砕けたときに放出される膨大な魔力…その全てがあの砲撃に込められているんだ。
せいぜい後悔しながら、今まで殺してきたヒト達に謝りながらあの光に飲み込まれるといい」
統夜は天に浮かんでいる魔力の塊を見て少しだけ…本当に少しだけ同情した
統夜「さぁ、お前たちの負けだ。キシュア・レーゲン」
ミッドナイト『其れではトドメお願いしますMysister』
その声はなのはまで届いた
なのは「此れで終わりだよキシュア・レーゲン!これが私の全力全壊!スターライト・アンリミテッド・ブレイカー《無限の星を砕く夜天の極光》‼︎」
レイジングハート『Starlight UnLimited Breaker.』
放たれた剣を纏った砲撃は氷の霧を突き破りレーゲンファミリーに襲いかかる。ここまで来ては誰もあの砲撃を止めることなどできない
キシュア「お願いだ!助けてくれ!」
キシュアはまだ近くにいた統夜に助けを求めるが
統夜「お前はその言葉を口にしたヒトを助けたことはあったかい?」
統夜のその解答にキシュアは言葉を発せれなかった
統夜「それが答えだよ」
それだけ言い残して統夜はその場から消える その瞬間桜色の砲撃と剣がレーゲンファミリーに降りかかった
キシュア「ウアァァァァァァァァァァァァァア‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」
キシュアの悲痛な叫び声とともに極光はレーゲンファミリーを呑み込んだ
スターライト・アンリミテッド・ブレイカーが着弾した瞬間、まるで核爆発が起きたかのようにその場で大きな爆発を起こした。
その爆発は距離にして数キロを一瞬で蒸発させることも可能と言わんばかりの一撃だった
爆発と同時に結界が砲撃の余波で崩壊し始めた
統夜「いやいや、ありえねぇだろ」
統夜の驚きようが面白かったのか…それともやってしまったと思ったのかわからないがなのはは横で「あはは〜」と乾いた笑いをあげていた
統夜「まぁ、結界を維持している魔力も集めたんだからこうなるのもある意味当然か…」
そしてなんか納得する統夜と
シグナム「流石は主なのはです」
はやて「姉やん……いよいよ人外の域に達したみたいやな」
アリサ「まぁ、なのはなんだからこれ位当然よ!」
感心しているシグナム達がいた
固有結界は爆発の影響で解除されその場にいた全員は元の世界へと戻った。
無論その爆発ごとだが
ドカーーーーーン‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎
暫くその場に爆発音が鳴り響いたがそれは次第に消えた 爆発が終わったのと同時に黒い煙が立ち上るがそれはすぐに消え砲撃とともに使われた剣達は刃が半ばから折れ海へ沈んでいった
なのは「あ、ごめんね統夜くん。何本か剣ダメにしちゃって」
それを見て謝罪するなのはに統夜はうっすらと笑みを浮かべ
統夜「別に構わないよ。それよりあそこ」
統夜が指差した先には口から煙を出しているキシュアとレーゲンファミリーの面々があった
なのは「やり過ぎちゃった?」
統夜「あれくらいで良いんじゃね?」
統夜となのはがクスクス笑い合いみんなの方を見ると先ほどまではいなかった人物が増えていた
なのは「あれ?クロノくん?いつ来たの?」
クロノ「いつ来た…と言われればついさっきだな。
艦長の命令で現地入りしてみれば結界の中には誰もいなかったから原因を調べようとしたら
いきなり背後で爆発は起きるわ犯罪者集団は口から煙は出してるわ、なのはは知らない男と話してるわだ」
統夜「知らない男って…リンディ提督から聞いてないのか?クロノ・ハラオウン執務官?」
クロノ「いや、聞いてはいたがな…特徴が黒いと聞いていたのでな。白かったら流石に違う人だと思うだろう」
統夜「なるほど、まだまだ甘いな執務官」
クロノ「そうゆう君は?」
統夜「時空管理局本局特務隊「独立機動隊」所属八神統夜一等空佐だ。よろしく頼むクロノ執務官?」
統夜はクロノに右手を差し出す
クロノ「こちらこそよろしく頼む八神一佐、と言うよりも次元犯罪集団『レーゲンファミリー』の逮捕に協力していただき感謝する。
詳しいことは後で聞くとしてそこでグルグル巻きになってる彼奴らを本局に転送しても構わないか?」
統夜「もちろん構わない、ただ…」
クロノ「ただ?どうかしたのか?」
クロノの質問に統夜となのはは顔を合わせて苦笑いした後 満面の笑みでこう答えた
統夜、なのは「「トラウマ埋め込んじゃったからしばらく何があったのか聞けないかも♪」」
クロノ「なのは…なんで君はいつもそうなんだ」
クロノはキシュアの方へ向かい転移魔法を使おうとした瞬間気づいた、キシュアが焦点の合わない目で何処かを見ながらブツブツ何かをつぶやいていたのを
キシュア「氷…剣…ピンク…氷…剣…ピンク…ヒエェ!」
氷…剣…ピンク…と言いながら酷く怯えたキシュアを見てクロノは何をされたのか心底知りたくないと思いつつも
暫く取り調べは不可能かと判断しつつ転移魔法を発動してため息を吐いた
クロノ「さて、君達も此れからアースラの方へ来てくれないか?今回の事について本当は知りたくないが詳しく知りたい」
統夜「俺は構わないよ」
なのは「私も別に構わないの」
ディアーチェ「我ら聖天の騎士も兄上と同じだ」
はやて「私らも構わんよ〜」
クロノ「よし、それじゃあ行こうか」
そして、事件が一応の終息を迎え双天の王は肩から力を抜いた
To Be Continued… 
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