Side:京


採用試験も無事終わり、全員が六課所属の嘱託になる事が出来たぜ……ま、俺らがそう簡単に負ける筈はねぇから当然と言えば当然の結
果だけよ。

んで、今は何してるかってーと……



「うん、クラッシュエミュレートが貫通したのは京君とシグナムだけだから、戦闘での疲労は有っても、実質的な怪我は京君とシグナムを除いて
 一切無いから大丈夫よ。
 京君とシグナムに関しても、エミュレートを抜けたダメージも軽度の火傷程度だから、直ぐに治るわ。」



医務室で戦闘のバイタルチェック&俺とシグナムは、怪我の治療中。
他の連中は兎も角、俺とシグナムのバトルは、クラッシュエミュレートを貫通してダメージを与える程の物になってたらしい……其れを聞くとお
互いよく生きてたもんだな?そう思うだろシグナム?



「マッタクだ……正直な事を言うのならば、お前の『無式』には、初めて『死』と言う物を意識させられてしまったからな……草薙の拳、実に見事
 だったぞ!!」

「アンタの炎も可成りよかったぜシグナム?」

何よりも、アンタとは純粋なライバルになれそうだからな……そう遠くないうちに、また戦おうぜシグナム!アンタとの戦いは八神や紅丸とは違
う高揚感があったからな!
アンタとのバトルは、久々に燃えたぜ!!



「光栄だな草薙……ならば、期を見て模擬戦を申請しておこう。――また、私を楽しませてくれよ?」

「楽しませてやるさ。――だが、アンタの方こそ、先に踊り疲れないでくれよな?」

「無論だ。」



如何やらシグナムとは八神とは違って、紅丸みたいな純粋なライバル関係ってのを構築できるのかも知れねぇな……ま、此れで正式に六課
の一員な訳だから、お仕事頑張るとしようかねぇ。












リリカルなのは×THE KING OF FIGHTERS~紅蓮の炎~ Round9
『機動六課就任初日で行き成り』











んで、その日の午後。
特にする事もねぇから、指令室で書類の処理を手伝ってた(テリーとロックは警邏隊と街のパトロール、レオナはなのはと一緒に実技教導。)
んだが、トンでもない数も2人で熟せばあっと言う間に終わったな。

んで、何だってアンタは難しい顔してんだはやて?



「ん~~~……こっちに来てる可能性が濃厚やから、庵さんの事を探しとるんやけど、一向に同行を掴む事が出来へんのよ?
 重度の厨二病を発症してるとは言え、あの人の力は本物やから、引き入れる事が出来れば六課所属に出来るんやけど、全く手がかりが無
 いんじゃ、どうしようもないわ此れ。」

「俺としては、野郎にはあんまり来てほしくはねぇんだが……アイツの力は本物だから、味方なら頼もしいってのも否定できねぇんだよな?
 まぁ、アイツの手綱を握って言う事聞かせんのは、素手でアフリカゾウぶっ倒すのと同じ位難しいだろうけどよ。」

「まぁ、簡単やないのは確かやけどね。
 其れは其れとしても、一向に手掛かりは見つからへん……そんな訳で、こんなもんを用意してみました!!!」


――ドン!!(等身大の草薙京人形)


――ピカーン!!!(超必発動)




「はやて……テメェ、その良からぬ物体は何だ?」

「ちょ、其処超技溜めない!!と言うか、よからん物体とは失礼な!此れこそ、庵さんを呼びよせるための最終兵器『京ーⅠ』君やで!?」

「……受けろ、このブロウ!!コイツで、決まりだ!!


――ドガァァァァァァァァァァァン!!

――フルチャージで威力MAX&ガード不可



「ふ、フルチャージの超技かまさんでも良くないか此れ?フルチャージの百八拾弐式とか、本気でドンだけの破壊力や!
 草薙流の技は、その殆どがなのはちゃんのバスターに匹敵しとるで!?京さん、アンタホンマに人間なんよね?」



人間に決まってんだろ?
オロチを払う為の炎を受け継いだ、只の人間さ……てか、俺の技と同じ破壊力の一撃を持ってるなのはってのは本気で何モンだ?本気で超
危険人物だったりしねぇよな?



「最近、ちょっとバトルジャンキー入っとるけど、危険人物やないで?普段は、優しい子やからなぁ?管理局内でも人気者やしね。
 てか、そうや。なのはちゃんが居れば、庵さん見つけても仲間に出来る筈や!庵さん、ある時からなのはちゃんの『お願い』やったら、渋々と
 は言え聞いとったからなぁ?」

「はぁ!?八神が渋々でも言う事を聞いただって!?あの、プライドが高くて、自分より偉そうな奴は絶対に許さないって感じの奴が!?
 一体何だって、八神はなのはの言う事だけは聞くんだよ!?」

「アレは、庵さんが元の世界に戻った年やったから、もう5年前になるか?
 ある日、なのはちゃんが何を思ったか、庵さんに模擬戦申し入れてな?そんで模擬戦行ったんよ。
 5年前のなのはちゃんは、今よりは劣るとは言え、先輩魔導師のクロノ君が『入局したら即戦力間違いない』って太鼓判捺す位の実力者や
 ったんやけど、模擬戦は、序盤から庵さんが圧す展開になってたんや。
 なのはちゃんの射撃も砲撃も、庵さんは恐るべき勘で躱しながら、なのはちゃんを一方的に青い炎で燃やしまくってな。」



まぁ、そうだろうな。
アイツの戦いは、考えて戦ってるって言うよりも、本能のままに八神流の力を揮ってるって所だから、ある意味で野生の猛獣相手にしてるモン
だぜ?



「うん、正にそんな感じやったんやけど、庵さんが琴月 陰に行った所で流れが変わったんや此れが。
 掴まれるその瞬間に、なのはちゃんてばゼロ距離でバスターぶっ放して庵さん吹き飛ばしたと思たら、其処から追撃の3連ショートバスター。
 庵さんが体勢立て直して、八稚女に行こうとした所を、カウンターのバインドでグルグル巻きにして動きを完全に封じた所で、スターライトブレ
 イカーかまして逆転KO勝利。
 如何やら、庵さんはトドメのスターライトブレイカーが相当に堪えたらしくて、それからと言う物、模擬戦以外やったらなのはちゃんの『お願い』
 を引き受け取ったからなぁ?」

「……マジかよ?てか、そんなに凄いのか?その、スターライトブレイカーってのは?」

「分かり易く言うなら、元○玉の要領でエネルギー集めた100倍ビッ○バンか○は○波や。」

「やっぱり、只の危険人物なんじゃねぇかなのはってのは?」

そんなトンデモねぇ砲撃を使う事が出来るって……午前中の模擬戦に、なのはを出さなかったはやての決断は間違いなく正しかった訳か。
犯罪者取り締まるよりも、先になのはの事を取り締まった方が良くねぇか此れ?



「なのはちゃんがフリーの魔導師やったら取り締まり対象なんやけど、管理局の局員やから流石に取り締まる事は出来へんて。
 逆に言うなら、局員にしておく事で、管理局は最も敵に回したくない相手を手元に置く事が出来るんや……流石に、トンでもない事になるか
 ら、武装隊よのうて教導隊勤務やけどね。
 なのはちゃんが武装隊で働いとったら、町中で立て籠もり事件とか発生した際に、建物ごと犯人吹っ飛ばして逮捕しそうやからなぁ……」

「そんな奴が、教導隊勤務で大丈夫なのか?」

「……取り敢えず、なのはちゃんの教え子は、揃いも揃って滅茶苦茶頑丈で、多少の事ではへこたれない強靭なメンタル持ちやね。」

「それを聞いただけで、アイツがどんな事やってたか想像できるぜ……って、スバル達は大丈夫なんだろうな!?」

確か、今は六課のフォワード陣がなのはとレオナの教導受けてたよな!?
なのはがやり過ぎるようならレオナが止めるだろうが(軍で生きて来たせいか、アレで訓練の加減とかよく知ってるからなレオナは。)、大事な
妹がボロボロになるってのは見過ごせねぇ!
悪いがはやて、演習場の方に行かせて貰うぜ?書類の処理は終わったからな!



「はいは~~い、行ってらっしゃーい♪」



指令室飛び出して、全速力で演習場に向かって、そんで到着したんだが……え、此れ、如何言う状況だ?


バスター!!

Kill!!



砲撃ぶっ放してるなのはと、其れを手刀で斬り払ってるレオナ……六課フォワードの実技教導じゃなかったのかオイ?
何でレオナとなのはが戦ってんだ、スバル?



「京兄!
 えっとね、最初は普通に実技教導だったんだけど、途中からなのはさんがレオナさんに興味持ったみたいで、『レベルの高い戦いを見て貰う
 のも良い勉強になると思うんだ』って言って、レオナさんと戦い始めちゃて……」

「そんでこの状況。つーか、なのはさんの砲撃を手刀で切り裂くって、レオナさんもマジでハンパねぇ……フェイトさんに勝っただけはあるな。」



……レオナの強さに、なのはが反応しちまったって訳か。
だがよなのは、確かに質の高いバトルを見るってのも勉強にはなるんだろうが、教導官ともあろうお方が目先のバトルに誘われて、教え子放
置プレイってのは如何なんだ?其れで良いのか教導官?



「いや、アタシ等はある意味でレオナさんに命助けられたかも……あのまま続けてたら、間違いなくフォワード全員KOされてたと思う。」

「OKノーヴェ、今の一言で俺はなのはの事を、八神と同等クラスの危険人物と認定した。」

でもまぁ、そんだけの訓練を耐えきった奴だけが、前線に出れるって事かもしれねぇし、其れ位鍛えとかないと実戦では役に立たねぇって事な
のかも知れねぇけどな。
けどよ、なのはがレオナと戦い始めちまったって事は、お前等の訓練は中途半端なんだよな?
魔法の事はあんまり分からねぇが、格闘や武器を使っての近接戦闘位なら少しは指導してやれるぜ俺も?午前中に、シグナムと派手にやり
合ったが、軽いスパーリング程度なら付き合ってやれるしな。
如何する?



「それじゃあ、アタシがお願いしても良いか京?
 スバルやギンガから話は聞いてたし、さっきのシグナムさんとの模擬戦を見てアンタは強いってのは良く分かったけど、やっぱ実際に体験す
 るって言うのは大事だと思うんだよ。」

「威勢が良いじぇねぇかノーヴェ?
 だが1人で良いのか?スバルと一緒でも、なんだったらお前ら全員でかかって来ても構わないぜ俺は。」

「アタシ達は止めとくよ京兄~~……正直、なのはさんと戦って結構ヘトヘトだから。」

「そう言う訳なので、私とスバル、エリオとキャロは見学の方向で行かせて貰いますね。」



そうか?ま、疲れてるなら無理に動く事は無いけどな。――其れを考えると、ノーヴェは疲労から回復するのが早いのかも知れないぜ。
さてと、お手並み拝見と行こうかノーヴェ?つっても、実力は俺の方が上だから、少しだけハンデをやる。此のスパーリング、荒咬みの連携と、
裏式の技は使わないでやるよ。



「要らねぇよ!って言いたい所だけど、シグナムさんと互角以上の実力な訳だから、大人しくそのハンデ貰っとく。
 だけど、ハンデを与えた事を後悔位はさせてやるからな!」

「やってみな……来い!」

「うおぉぉぉぉぉぉ……せいや!!」



おっと、思ったよりも速いな?
現役時代のクイントさんには僅かに劣るが、此れだけのスピードがあれば実戦では充分だし、打撃の方もしっかり体重が乗ってるから、体格
の割に重さもあるか。



「せい!やぁ!!せりゃぁ!!!」

「良い動きするじゃないか?インターミドルに出てみろよ、お前なら優勝できるかもしれないぜ?」

「そうしたい所なんだけど、アタシやスバルは残念ながら、出場できない理由があるもんでな!」

「?」

あぁ、公務員は出場しちゃいけねぇとかそう言うのか?だとしても、これ程の格闘技の腕前を管理局内だけで使って終わりってのは勿体ねぇ。
……はやてに打診して、ミッドでも『KOF』開催して貰おうかな本気で。

まぁ、其れは兎も角として、ノーヴェのシューティングアーツは、基本を確りと抑えながらも変則的だな?
シューティングアーツは、拳の技が圧倒的に多いんだが、ノーヴェは本来ある蹴り技だけじゃなくて、拳の技まで蹴り技にアレンジして使ってる
みたいだからな?
恐らく、スバルとギンガがクイントさんからの正統的なシューティングアーツを継承したのに対して、ノーヴェは自己流にアレンジしたって所なん
だろうな……其れが出来るってだけで、大したモンだぜ。

だが、まだ甘いな?喰らえ!!



「おわ!」

「闇払いは、単なる飛び道具じゃなくて、近距離戦でも十分使えるってな。」

「この……でも、此の位じゃ負けねぇ!!」



闇払いを喰らっても即座に反撃して来たのは見事だが、させるか!おらぁ!!!



――ガッ!!ボゥ!!!



「うわぁ!!!」



咄嗟の反撃は大したモンだったが、そんなに振りの大きな攻撃じゃ、鵺摘みで捌いてからの龍射りで反撃確定だぜ?自分の技の隙位は、頭
に入れておいた方が良いと思う――



――ドクン……!!



「!!」

「如何かしたか、京?」



此れは、この感覚はまさか!!ノーヴェ!!!



「へ?」



――ドガァァァァァァァァァァァァァァン!!!



「京兄!ノーヴェ!!」

「行き成り何事!?」

「ノーヴェさん!京さん!!」


「今の青い炎は一体……!!」



「ん?何かあったの?」

「そうみたい……試合は終わりね。」



ってぇ……如何にかガード出来たが、大丈夫だったかノーヴェ?怪我とかしてねぇか?



「あ、あぁ。京が庇ってくれたから大丈夫だったけど……京の方こそ大丈夫なのかよ?」

「俺は平気だ。炎使いが、炎でくたばるとか有り得ねぇからな。
 其れよりも今の攻撃……ヤッパリテメェもこっちの世界に来ていやがったか、八神!!!」




「ようやく見つけたぞ京!
 此処が何処かは知らんが、貴様が居ると言うのならば此処が何処であるかなど些細な問題に過ぎん…此処で貴様を殺す、それだけだ!」




ストーカーも、此処まで来ると感心するぜ。
しかしまぁ、相変わらず世間に喧嘩売ったような格好してやがるな?……八神、お前絶対に友達いねぇだろ?つーか、それ以前にどうやって、
この演習場まで来やがった?



「邪魔をする輩はいたが、適当に払ってやった……覚悟は良いな京?」


「京兄!戦っちゃダメ!って言うか、此処で問題起こしたら司令に迷惑が掛かっちゃう!!」



大丈夫だスバル。要は、戦わないで撃退すりゃ問題ねぇんだろ?
良くも悪くも、コイツとは腐れ縁だから、あしらい方くらいは大体学んでるんでな……戦わずして、八神を撃退して見せてやるぜ!!

「覚悟なんざとうに出来てるが……如何してもやるのか?」

「今更命乞いか?」

「うん。」


――ドンガラガッシャーン!!


お~~、思った以上に盛大にずっこけたなぁ?面白れぇ。
流石の八神も、この反応は予想外だっただろうからなぁ?カウンターでブチかませば効果抜群と思ったが、どうやら予想以上の効果があった
みたいだぜ。



「き、貴様、本当に命乞いか?」

「勿論だとも!土下座して命乞いしろって言うならするぞ?」

「………」(あんぐり)



驚いてる驚いてる。おもしれー顔だから、写メ取っとくか。
さぁ、如何する八神?俺は、今はマッタク持ってテメェとやる気がねぇ。つーか、シグナムとガチでやり合った後だからテメェとは戦いたくねぇ。
アンだけの良い戦いの後で、テメェとの命の奪い合いなんぞしたくねぇからな。
そう言う訳で帰れ八神。



「な、情けなさ過ぎてやる気が起きん……その命、次まで預けておいてやる。」



……俺の勝ちだ。
だけどなぁ八神?俺との戦いは次に持ち越しでも、テメェは此処から去る事は出来ねぇと思うぜ?無理矢理此処まで来たって事は、管理局の
警備隊も動いてる筈だし、何よりも六課の総司令様に連絡が行ってるだろうからな?



「何を言うかと思えば下らん事を……邪魔する輩は、払うだけだ。何人たりとも、俺の邪魔は―――」

「うおりゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!5年ぶりに現れたと思ったら、何問題行動起こしてんねん、此の赤毛中二病がーーーーーー!!!!」



――スパーン!!!



「ごわぁ!?」



迅速な対応だなはやて。
八神に気付かれずに背後から一発食らわすとは大したモンだぜ……時に、そのバカでかいハリセンは一体何処から持って来たんだ?



「やっとこ見つけたと思たら、堂々と局内に侵入しよった挙句に、嘱託とは言え局員の京さんに喧嘩売ってって、そら迅速対応もするわ!!
 其れとこのハリセンは、私のデバイスの突込み専用モードや♪」

「流石は関西人、突っ込み魂常に忘れずだな。」


「貴様……はやてか?」

「久しぶりやなぁ、庵さん?……ちょっと話聞かせて貰うから、一緒に来て貰おか?」

「そうだね、一緒に来て欲しいよね?……来てくれるよね、庵さん?」

「高町なのは!!!……仕方あるまい、貴様等に付き合ってやる。だが、事が済んだら、俺は俺のやりたいようにやらせて貰うぞ?
 俺の邪魔をするというのならば、如何に見知った仲であるとは言え、貴様等も容赦なく殺す……その心算で居ろ!!」

「なのはちゃんの事、殺せるん?」

「……チッ……」



うわ、はやての言ってた通り、なのはの『お願い』は嫌々ながらも聞き入れやがったぜ八神の奴……本気でなのはは、ドンだけだって所だ。
さてと、唐突に八神が現れて、果たしてどうなるのかねぇ?

少なくとも、俺に平穏の日々ってのは、無いみたいだけどよ。












 To Be Continued…