Side:シグナム
京の連続攻撃を喰らってくたばったと思ったルガールだが、よもや暴走状態に陥るとはな……元より、スカリエッティの手で半ば無理矢理
とも言える形で強化した肉体に、オロチの暗黒パワーと、殺意の波動を流し込んだのだから、許容を越えたダメージを受けて暴走するの
は、ある意味で当然の帰結だったか。
だが、如何に暴走してるとは言え、この邪悪なオーラは只事ではない……私ですら、身震いするほどだからな……!
此れだけの邪悪な波動を浴びても、お前は平気なのか京?
「嫌な感じはするが、だが其れだけだ。……此れも、草薙の血のおかげかも知れねぇけどよ。
だが、何にしてもルガールの野郎はぶちのめすぜ?……オロチの暗黒パワーに殺意の波動……どっちも見過ごす事は出来ねぇ邪悪な
力だからな。」
「其れについては同感だな。」
ならば、速攻でアイツを倒して来い京!
ヴィヴィオの事は私が護るから、周囲への影響など気にせず、フルパワーでオロチと殺意の波動諸共ルガールを消し去ってしまえ!
「言われなくてもその心算だ……ルガールの野郎は、三度地獄に叩き落してやる――其れこそ、地獄の最下層にまでな!!」
「ふ、頼もしいな京。」
ならば、お前の炎でルガールを焼き尽くし、一万年続く苦しみを一万回繰り返す究極の地獄に叩き落してやれ!二度と復活などしないよ
うにな!
リリカルなのは×THE KING OF FIGHTERS~紅蓮の炎~ Round48
『邪悪な力を焼き尽くせ~TearsⅡ~』
Side:京
オロチの力と、殺意の波動が暴走して、其の力に乗っ取られちまったとは、笑えねぇなルガール?――ま、オロチの力に呑み込まれて消
滅しちまったテメェにはお似合いの姿かも知れねぇけどよ。
つっても、見た目の迫力とインパクトはスゲェけどな?
深いグレーの肌に、真っ赤な髪の毛ってのは、八神以上のインパクトがあるからな……だが、見た目がインパクトあっても中身が伴って
ねぇんじゃ意味はないぜ?
「「グオォォォォォォ……すわぁ、ミィるが良イ、わぁグァ力ウォ……」」
「……元々聞き辛かった声が、オロチと殺意の波動の暴走の影響で、妙なエコーがかかって余計に聞き取り辛くなったな……?
ま、大層な力みたいだが、所詮は理性を失った暴走……見た目のインパクトもコケ脅しに過ぎねぇんだよルガール!!」
――劫!!
もういい加減、テメェの顔も見飽きたんでな……三度目の正直で、今度こそ復活できねぇように魂の欠片まで灰にしてやるぜ!!
そして、冥途の土産にその目に焼き付けるが良いぜ……草薙の拳の真髄ってモノをな!!
――――――
No Side
――推奨BGM『The lord GOD』(CAPCOMvsSNK2 ゴッドルガール)
掌で炎を炸裂させ、更に全身に炎の闘気を纏う京に対し、ルガールはオロチの暗黒パワーと殺意の波動と言う2つの闇の力を合わせた
闇色の不気味な闘気を纏っている。
その闘気は互いにぶつかり合い、激しくスパークしているが、その程度の事は大した問題ではないだろう。
「来なルガール――テメェの身体、三度灰にしてやるぜ!!」
「「行くズオォォォ草薙京……カイズワァ…ウェイブ!!」」
ルガールの暴走によって始まったエクストララウンドとも言うべき戦いのゴングは、ルガールのカイザーウェイブ!
オロチの力と殺意の波動が入り混じってスパークしている巨大な気弾が京を襲うが、此れまでにも何度も見ている攻撃なので、京は最小
限の動きで其れを躱す。
――ドガァァァァァァァァァァン!!
「なに!?」
「何と言う破壊力だこれは……!?」
だが、躱されたカイザーウェイブは、そのまま突き進み、何と最初にヴィヴィオが座っていた玉座を塵と砕いてしまった。聖王が座し、大概
の攻撃に耐えられるように作られている玉座をだ。
弾速そのものは変わりがないが、明らかに破壊力が増している一撃に、流石の京やシグナムも驚く……真面に喰らったら、如何にバリア
ジャケットを纏って居るとは言っても大ダメージになるのは間違いないのだから。
「「ウィィィィィィィ……スリャァァァァ!!」」
「ちぃ!!させるかよ!!」
更にルガールは、グラビティスマッシュを使って重力球を放って来るが、其れは京が神威で爆炎を発生させて相殺する。
其れと同時に京はダッシュでルガールに高速接近!得意のクロスレンジのラッシュで、一気にカタをつけようと毒咬みを繰り出すが……
――ブゥゥゥン……
「んな、残像だと!?」
京の毒咬みが殴りつけた相手は、何とルガールの残像!
グラビティスマッシュと神威がかち合って、京がダッシュでの接近を始めると同時に、ルガールはゴッドレーンを使って京の背後に回って
おり、京はゴッドレーンの効果で現れた残像に攻撃してしまったのだ。
京とて決して油断はしていない。と言うか、普段ならば本物か残像か位すぐに分かるだろう。
だが、暴走状態に陥り、殺意の波動がルガールの制御下から離れた事で本来の力を完全に発揮し、ゴッドレーンによって現れる残像が
本物と遜色ない程の物になっていたのである。
そして、背後を取ったと言うのはルガールからしたら好機以外の何物でもない。
「「ハッハッハァ!!」」
「ぐ……!!」
「「ジェノサイドカットゥア!ワッハッハッハ!!」」
ビースデストラクションで強襲して京を蹴り上げると、追撃にジェノサイドカッターで斬り付ける。其れも、只のジェノサイドカッターではなく、
2発目の蹴りの後に空中回転踵落としの様な攻撃を加える改良版だ。
勿論、其れでやられる京ではなく、受け身を取って体勢を立て直し、ルガールの技後の着地に合わせる様に琴月 陽を繰り出すが、着地
する寸前に、ルガールがグラビティスマッシュのバリアを張って京を迎撃!
「「ぬぃぐぁさん!」」
バリアを解除したルガールは、強引に京を掴んで引き寄せると、蹴って蹴って蹴りまくった後にジェノサイドカッターを叩き込む!ルガール
の奥義の一つであるデストラクションオメガを発動したのだ。
「「すわぁっきまでの威勢の良さはどぅぉしとぅあ?ん~~~?」」
更にルガールは、京の首を掴むと、床を滑るように移動して京を壁に叩き付ける!!
「「しぬぇい!おぁろかなる弱者やよぉう……グィガンテックプレッシュワァァァァァ!!!」」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
そのままギガンテックプレッシャーを発動し、オロチの力と殺意の波動が入り混じった、髑髏の紋様が浮かび上がった不気味な気の柱を
発生させて京を攻撃!!
凄まじいまでの連続攻撃を喰らった京は、ルガールが手を離すと同時にダウン……如何に京であっても、此の連続ダメージを耐える事は
出来なかったのだろう。
「京!!」
「パパァ!!」
「「ウォアァァァァァァァァァァアッァアァァ……わぁれは神!否、神うぉも凌駕すぃた存在ぬぁのどぅぁ!!」」
その光景に、シグナムとヴィヴィオは京の身を案じて叫び、ルガールは勝利を確信して雄叫びを挙げる。――と、同時に、其の狂眼をシグ
ナムとヴィヴィオに向ける。
京を倒した今、次のターゲットとしてシグナムとヴィヴィオに狙いを定めたらしい……普段のルガールならば手負いの騎士など歯牙にも掛
けなかっただろうが、殺意の波動が前面に出てきている今は、戦える相手が居るのならば誰であろうと戦いを挑むと言う状態なのだ。
勿論、此れはシグナムにとっては有り難くない事だ。
十全の状態ならば兎も角、今は聖王と化したヴィヴィオと一戦交えた後で、満身創痍の上に疲労困憊……とても、ルガールの相手が出
来る状態ではない。――アギトとユニゾンしても、可成りきついだろう。
「ヴィヴィオ……私が合図したら、全力でこの場から走って逃げろ!……コイツは、私が止める!!」
「そんな、ママ!!」
故にシグナムは、ヴィヴィオだけでも逃がそうと、軋む身体に鞭打ってレヴァンティンを構える。――その姿は、正に決死の覚悟を決めた
騎士だ。
「へへ……」
「「!!」」
「神だと?下らねぇな……!」
――推奨BGM:『ESAKA?』(KOF'96主人公チーム)
だが、此処で倒されてしまったと思った京が起き上がった。
連続攻撃を受ける中で口の中でも切ったのか、口元からは血が垂れているが、その目の光は消えておらず、口には何時もの不敵で自
信たっぷりな笑みを浮かべている。
「京!」
「パパ!!」
「「きさむぁ……生きて……」」
その姿にシグナムとヴィヴィオは歓喜し、逆にルガールは驚愕の表情を浮かべる。
オロチの力と殺意の波動が暴走し、ある意味で能力が120%引き出された己の攻撃をアレだけ喰らって生きていたと言うのは、驚愕に
値する物だったのだろう。
「テメェのそのちっぽけな力……俺の炎と比べてみな!!」
――轟!!
「「殺すぅ……」」
アレだけの攻撃を受けたにもかかわらず、ルガールの力を『ちっぽけ』と酷評した京に対し、ルガールは今度こそ止めを刺さんと、ゴッドプ
レスを仕掛ける。
だが、真正面からの突進など、其れは向かってくる的でしかない。
「先ずはオロチの力から吹っ飛ばす!喰らいやがれ!秘奥義 裏百八式・大蛇薙!!」
突撃してきたルガールに、京は草薙流の奥義である大蛇薙を放つ!それも、只の大蛇薙ではなく全身に炎を纏って放つ、1800年前に
オロチを倒した真の大蛇薙をだ。
「「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」
カウンターで爆炎を喰らったルガールは、ゴッドプレスを強制的に中断されて全身が炎に包まれる。――が、京は攻めの手を緩める事は
せずに、掌に炎を宿す。
「此れで終わりだルガール……見せてやる、草薙の拳を!!」
大蛇薙の追撃として京が放ったのは、草薙流の究極にして原点とも言われる神技、最終決戦奥義・無式!
巨大な火柱がルガールを襲うと同時に、全身に炎を纏った京が連続で毒咬みを繰り出し、其処から多段ヒットする罪詠みと罰詠みへと繋
いで、トドメに鬼焼きで吹き飛ばす!!
吹き飛ばされたルガールは、壁にめり込み、同時にその身体から黒い霧が立ち上がり霧散する……マッタク持って偶然だが、京の無式
によって、ルガールに植え付けられていたオロチの力と殺意の波動が、ルガールの身体から放出されたのだ。
こうなってはルガールになす術はないだろう。
「へへ……燃えたろ!」
ルガールの暴走で多少の苦戦はしたが、結果はオロチの力も殺意の波動も退けた京の完勝と言って差支えないだろう。
そして、其れはゆりかごの決戦での終焉を意味していた……京がルガールを倒したと同時に、ゆりかごは其の動力炉が停止していたの
だから――
To Be Continued… 
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