Side:ヴィータ


くそったれ……ドンだけ頑丈なんだよ、ゆりかごの動力ってのは!!アタシとテリーが、こんだけ攻撃してんのにビクともしねぇなんて、幾
らなんでも有り得ねぇだろ!?
仮にAMFコーティングがされてたとしても、アタシとテリーの攻撃は、基本的に物理攻撃だ……グラーフアイゼンはデバイスだから、少しは
AMFの影響を受けるが、其れでも大概の物はぶっ壊せる位だ!!
なのに、アタシ等の攻撃が効かねぇなんて……ドンだけ頑丈なんだコイツは!!



「チッチッチ……Slow down Vita!(落ち着けよヴィータ。)
 確かにコイツは頑丈だが、だからと言って無敵って訳でもねぇみたいだぜ?ジャパンには『雨だれ石をも穿つ』って言葉が有るらしいか
 ら、一点を集中攻撃してみたら、物の見事にへこんでくれたからな?
 50発以上殴ってへこんだだけって事から、頑丈なのは間違い無いが、同じところを耐えず攻撃してけば、其処には必ず綻びが出来る
 のは間違いねぇ……一点集中攻撃なら、壊せるんだよ、この動力炉はな!!」

「一点集中攻撃!!」

そいつは盲点だったぜ……確かに、ドンだけ頑丈でも、一カ所だけ集中攻撃され続けたら耐える事は出来ねぇからな?
おし、動力炉攻略の道筋が見えたぜ!!

この動力炉は、絶対にアタシとテリーでぶっ壊してやる……だから、お前等はゆりかごの奥で待ってるラスボスをぶっ倒して来いよ、シグ
ナム!京!!!

お前等の炎なら、誰が相手であっても燃やし尽くしちまうだろうからな……その炎で、この戦いに幕を下ろしてみやがれってんだ!!

兎に角今は、一点集中攻撃で、コイツをぶっ壊す!!覚悟しやがれってんだ!!












リリカルなのは×THE KING OF FIGHTERS~紅蓮の炎~ Round47
『ギターとオメガとルガールと』











Side:京


「クククク……実ぬぃ、すばらすぃ戦いだっとぅあ……さぁすがは烈火の将と、聖王の戦いだと褒めておこう……だがすぃかすうぃ……聖
 王を倒しただけでは、ゆぅりかごは止まらん。
 ゆりかごを止めるにはぁ、この私を倒さねばならんのどぁ!!」



シグナムがヴィヴィオを正気に戻してくれたが、其れだけじゃ足りなくて、ゆりかごを止める為にはテメェをぶっ倒さなきゃならねぇ訳かル
ガール……マッタク、面倒な設定だぜ此れは。……まぁ、二段構えってのは悪くねぇけどよ。
だがなルガール、テメェの末路はもう決まってんだぜ?……テメェに残された道は一つに二つだ……派手に燃やされてからお縄になるの
か、お縄になってから派手に燃やされるのか……折角だから、選ばせてやるよ。



「其れは、選択肢になってないと思うぞ京よ?……どっちを選んでも、派手に燃やされるのは回避できないのだからな?」

「だろうな。回避させる心算ねぇし。」

大体にして、過去に2度も俺に負けたくせに、こうしてまた現れたのを考えっと、テメェは余程俺に燃やされてぇみたいだなルガール?
……良いぜ、望み通りにしてやるよ!


――轟!


何より、テメェの身体の中に流れてるオロチの力を滅しろって、草薙の血が騒いでやがるからな……!



「凄まじい炎だな京……此れが、倒すべき敵を前にした草薙の炎か……!
 猛々しさの中にも神々しさを感じるとは……流石は、神話にその名を残す伝説の一族と言った所だな?……其の力ならば、奴如きに負
 ける事はないだろうが、奴にはオロチの力の他に殺意の波動とやらもあるのだろう?
 ……くれぐれも気をつけてな京。」

「安心しろってシグナム。俺は野郎に2度も勝ってんだぜ?――今更アイツがドレだけパワーアップして復活して来ようが敵じゃねぇよ。
 其れにだ、この世にはずっと死んでた奴は、復活した所で修業して強くなった主人公には、漫画なら1コマ、アニメなら数秒で倒される
 って不文律があるんだぜ?
 其れを踏まえたら、俺が負ける要素は皆無だろ?」

其れに、殺意の波動を身に付けたっつっても、俺とリュウが力を合わせて何とか倒せた豪鬼の野郎に比べりゃ全然温いから、脅威でもな
んでもねぇ!
さっさとぶっ倒してくるから、少し待っててくれシグナム、ヴィヴィオ。



「ふ……ならばさっさと倒して、精々カッコよく決めてくれ『アンタじゃ燃えねぇ』とな。」

「頑張ってパパ……アイツをやっつけて!!」



「むぁっふぁはは!わぁかれぬぉ挨拶はぁすんどぅあかぁ?」

「別れの挨拶?脳味噌沸いてんのかテメェは?
 今のは別れの挨拶じゃなくて、勝利の誓いと、其れに対するエールって言うんだよ――まぁ、仲間なんざいなくて、秘書だった奴がオロ
 チが仕向けた監視でしかなかったテメェにゃ分からねぇだろうがな。」

「ほざくくわぁ……むわぁ良い、其れ位でなくては倒し甲斐も無いというものだからぬぁ?……わぁたしの全力を持って、貴様を殺すぅ!
 こぉい、草薙京!!」



俺を殺すだと?
出来るもんならやってみろよ、この自爆オチ野郎!!――三度、其の身を灰にしてやる……行くぜ!!








――――――








No Side


――推奨BGM『決着R&D・KOF’98ReMix』(KOF'98オメガ・ルガール)


祓え!!

烈風拳!


京vsルガールの戦いは、先ずは互いに地を這う飛び道具である闇払いと烈風拳の同時撃ちで開始された。
闇払いと烈風拳の威力は略同等ゆえに、2つの飛び道具はかち合った瞬間に対消滅したのだが、京もルガールも、互いの飛び道具が
相殺される事等予測しており、技を放った瞬間に次のアクションに移っていた。


ジェノサイドカットゥァ!

「こっちだぜ!!」



京はR.E.D.KicKでルガールを強襲し、ルガールは其れを迎撃すべくジェノサイドカッターで応戦!!
京の左足と、ルガールの右足が空中で交錯するが、この場面では京の方が優勢だった。――蹴り下ろす攻撃と蹴り上げる攻撃では、上
から蹴り下ろす攻撃の方が落下速度と体重が加わっている分だけ威力が増すのだ。


「な……馬鹿ぬあぁ!!!」

「オロチだけじゃなく、殺意の波動を身に付けてこの程度かよ?……其れで俺を倒そうなんて、烏滸がましいにも程があるぜテメェ!!」


其れを示すように、京はルガールのジェノサイドカッターをR.E.D.Kickで潰し、更に奈落落としを喰らわせて地面に叩き落とす!!
そして、当然それで終わりではない。


「燃やすぜ!!」


着地した京は、再び闇払いを放つと、それを追うようにルガールに突進して、琴月 陽の肘打ち部分を喰らわせる――草薙流の技の1つ
である『弐千式・変化の壱 地撃』でルガールの体勢を崩す。

その時間は僅かに数秒だが、数秒だけ体勢が崩れたというのは、戦いの中に身を置く者からしたら絶対の好機でしかない――戦いの中
で、数秒でも無防備な姿を曝すのは、相手にとっては好機でしかない。


「ふ……うりゃあ?」

「!!!」

「テメェの動きなんざ丸見えなんだよルガール!!ボディが、丸見えだぜ!!」


体勢が崩れた事で甘くなったガードを、鵺摘みでこじ開けると、荒咬み→六槌→轢鉄へと繋ぎ、このコンボで身体が浮いたルガールを七
拾五式・改で蹴り上げ……


「せい!でりゃぁぁあぁ!!!」

「ぶるぁぁあぁぁぁ!?」


鉈車で追撃!
七拾五式・改で顎を蹴り上げられ、鉈車で後頭部を強打されたとなれば、普通は頭部への強烈な連続ダメージで立ち上がる事は出来な
いだろう……と言うか、顎を的確に2度蹴り上げられた時点で、脳が揺れてKO確定である。


「むぬぁ……むぃごとな力どぅあぁ、草薙京……ぬぁらば、こちらもすこぉし、本気を出すとすぃよう!」


だがルガールは、平然と立ち上がり、それどころか少し本気を出すという始末……悪役お決まりのセリフだが、如何やらコケ脅しと言う訳
でもないようだ。

ルガールが気合を入れた瞬間、身に纏っていた燕尾服とシャツが消し飛び、革製のインナーが顕わになると同時に、ルガール自身の肌
が大理石の様な薄い灰色へと変化し、頭髪も金髪から銀髪へと変化する。
その姿は、KOF'95で京達の前に立ちふさがったルガール――オロチの力で自らを強化したオメガ・ルガール其の物だ。


「此れは……何と言う邪悪な力だ――!此れが、オロチの力……だが、レオナから感じる物とは全く異なる力か……!!」


其の身から発せられる邪悪な波動には、歴戦の騎士であるシグナムですら身構える程であり、ヴィヴィオに至っては完全に震えてシグ
ナムにしがみついている始末だ。


「ママ……あの人怖い……パパは、勝てるの?」

「大丈夫だ、京ならば負けん……だが、あれ程の邪悪な力をその身に宿して平然としてるとは……奴は、根っからの悪だと言う事か。」

「まぁ、悪っつったら悪だな?
 ギースの奴も悪だが、ギースは誇りを持ってる悪って所だ……が、コイツは本当の意味で極悪だぜ?
 テメェがぶっ倒した格闘家を銅で塗り固めて銅像にしやがったり、半殺しにした俺の親父を洗脳してテメェの手駒にしてやがったんだか
 らな?……性根が腐りきってんだよコイツは。」


そんな中でも京は怯む事なくルガールを睨みつけている。
歴戦の将ですら脅威を感じたオロチの波動だが、オロチを祓う者である草薙の血を引く京にとって、その波動は驚異に非ず、逆に闘志を
漲らせるだけの物に過ぎないようだ。


「其れに、其の力を使うのは結構だが、まさかオロチの力に呑み込まれて消滅しちまったのを忘れた訳じゃねぇよなルガール?」

「無論、おぶぉえているぅ……どぅあがぁ、心配はむよぉおう!
 スカリエッティぐぁ、わぁたしを復活させるさいぬぃ、肉体に大幅な強化を施すぃ、オロチの力と殺意の波動にもたぁえられるように作って
 くれたのでぬぁ?
 オロチの力を使った所でぇ、前のようぬぃしょぉめつなどしないぃ!!」

「そうかい、其れを聞いて安心したぜ……其れなら、テメェが間抜けな自滅なんて事はしないだろうから、俺がこの手で息の根を止めて
 やれるからよ!!」

「やってみるおぉ、草薙京!!」


其れに呼応するように、ルガールも闘気を漲らせ、両者は再び戦闘を開始!
互いに突進してから拳を繰り出し、其れがかち合って弾かれると、京は拳を、ルガールは手刀を振り下ろして攻撃し、そしてこれまた互角
と言う結果に!


「オラァ!!!」

「ブルァ!!!」


其処からは、略ゼロ距離で蹴りが、拳が飛び交う!
京が荒咬み→九傷→七瀬のコンボでルガールを吹き飛ばせば、ルガールは空中で受け身を取り、其処からグラビティスマッシュを放って
京を牽制すると同時に、着地と同時にゴッドレーンで間合いを詰めてからビースデストラクションで蹴り飛ばす。


クァイズワァァァ……ウァイブ!!

おぉぉぉ……喰らいやがれぇ!!


其処に追撃とばかりにカイザーウェイブを放つが、京は受け身を取ると同時に大蛇薙を放ってカイザーウェイブを相殺!!
と同時に、京がR.E.D.KicKでルガールを強襲し、ルガールも其れに対してジェノサイドカッターを繰り出すが、先程のように京が押し切る展
開にはならず、互いに弾かれた後に着地。
同じ展開でも、先程は京が競り勝ったのに、今回は引き分けと言う事は、オロチの力で強化されたルガールの力は侮れないだろう。


「やるぬぁ草薙京?……だが、これで終わりどぅぁ!塵に帰るが良い!!」


そして、此処でルガールは奥義とも言えるカイザーフェニックスを発動!
カイザーウェイブを連続で12発放つ技で、その破壊力は計り知れない……単発で家一戸を廃墟と化すカイザーウェイブが12連続で放た
れるなど想像もしたくない。

だが、其れでも京に焦りはない。


「そんなもんが通じると思ってんのかルガール?あめぇんだよ!!
 遊びは終わりだ……コイツで燃え尽きちまえ!!


迫りくる12個の気弾を前に、指先から炎を飛ばすと、次の瞬間に巨大な火柱が無数に発生してカイザーフェニックスを完全相殺!!
草薙流の奥義の一つである『裏百弐拾壱式・天叢雲』を発動して、12発もの気弾を相殺して見せたのだが、其れで終わりではない。


「隙だらけだぜルガール!!」

「しむぁったぁ!!」

「シッ……燃えろぉぉ!!」


炎と気弾の総裁によって生じた爆炎の中を、京が突っ切ってルガールを強襲し、琴月 陽で燃やす!!


受けろ、このブロウ!コイツで決めるぜ!!


更にそれだけでなく、駄目押しとばかりに百八拾弐式を叩き込み、ルガールを聖王の間の奥へとぶっ飛ばす!――そして、吹き飛ばされ
たルガールは、四肢を投げ出した状態でぐったりとしている。
京の勝利は、この時点で確定した……否、確定した筈だったのだ――








――――――








Side:京


へっ……前よりは強くなったみてぇだが、やっぱりずっと死んでだルガールと、強敵と戦い続けてきた俺とじゃ勝負にならなかったか……
ま、予想通りだけどよ。
だが、ラスボスがこの程度とは拍子抜けだぜ……所詮テメェは俺の相手じゃなかったって事か……マッタク持って燃えねぇな。



「未だだ京!奴は未だくたばって居ないぞ!!」

「シグナム?……確かにそうみてぇだな?」

百八拾弐式で派手に燃やしてやったと思ったが、如何やら少しばかり威力が足りなかったみてぇだなルガール……なら、今度は問答無
用で、地獄に送る一撃をブチかましてやるぜ!!



「グガ……ブルアァァァァァァァァァァアァァァァァァァァァァァァァァァァアァァァァァアァ!!!」

「「「!!?」」」



って、何だこれは!?
オロチの力を解放したのとも違うこの力は……まさか、殺意の波動が暴走したってのか!?……暴走した殺意の波動が、オロチの力の
暴走を誘発して、ルガールに力を与えたってのかよ!?……だとしたら、幾ら何でも笑えねぇが……だからと言って、退く気はないぜ?
コイツをぶっ倒さない限り、ゆりかごは止まらねぇ訳だからな。

殺意の波動とオロチの力が暴走したルガールがドレだけの力を持ってるか分からないが……俺は負けないぜ?――否、俺は勝つぜ!
此処までは前哨戦……此処からが最終幕のファイナルラウンドだ――行くぜ!!












 To Be Continued…