Side:ロック


休日って事で、ティアナとスバルと一緒にツーリングに出かけて、適当にミッドのハイウェイを走って、今はランチタイムなんだが……俺は夢で
も見てるのかティアナ?
否、スバルが物凄く食べるって事は知ってたが此れは幾ら何でも有り得ないんじゃないか?
ポテトとコーラがアメリカンのLサイズ(ポテトはバケツサイズ、コーラは1リットル)って言うだけでも驚きなのに、チーズバーガーとてりやきバ
ーガーと、海老バーガーをそれぞれ10個ずつって絶対にあり得ないだろ!

テリーも割と食べる方だが、其れでもハンバーガー10個は喰った事がねぇ。
其れなのに、余裕でバーガー30個以上と、極Lサイズのポテトとコーラを平らげたスバルは一体何モンなんだ!?



「……スバルの食欲に突っ込んだら負けですよロックさん。
 あくまでも噂レベルなんですけど、スバルとギンガさんは、早朝のコンビニを周って、期限切れになった弁当総菜その他諸々を『捨てるなん
 て勿体ない』って言って、その場で食したって言う話がありますから。」

「マジかよ?」

まぁ、食べ物を大事にするって言う精神は見習いたいけどな。
っつーか、期限が過ぎたら行き成り腐る訳でもねぇんだから、廃棄処分するよりも、瞬間冷凍して食糧難の地域に送れってんだ。コンビニ弁
当やファーストフードを毎日食べるのは問題だが、今それを食べる事で生き長らえる事が出来る命が有るんだからな。

しかしまぁ、此れはアレだな?
動画にとってSNSに投降したら物凄く話題を呼びそうじゃないか?――女の子の大食いって言うのはアレだが、スバルの食欲には、いっそ未
来を感じちまう凄さがあるからな……あ、30個目のハンバーガーを完食した。



「ん~~~……足りない。
 追加で、フィッシュバーガーと、メンチバーガーと、クリームコロッケバーガーを10個ずつお願い!それから、ポテトとコーラも追加してね♪」

「「!!!」」


嘘だろオイ……一体スバルの身体はどうなってるってんだ?――若しかしたら、実は人間じゃないのかもしれないぜ。











リリカルなのは×THE KING OF FIGHTERS~紅蓮の炎~ Round21
『KD-0079~休日のEmergency~』











Side:京


さぁてと、カラオケでは思い切り歌ったし、カラオケ店の軽食としては割とレベルが高かったから、値段の事言わなきゃ文句はないぜ――寧ろ
あの値段で、アレだけの味だってんなら悪くねぇからな。

まぁ、敢えて難を付けるなら、シーフードのメニューが一つも無かった事だけどよ――せめて、フィッシュ&チップス位は置いといて欲しかった
ってのが本音だぜ。

んで、カラオケを目いっぱい楽しんだ後は、今度はボーリングだ!

「おぉぉぉぉぉ……喰らいやがれぇぇぇぇぇぇ!!!!」


――バガァァァァァァァァァァァァァン!!!


「見事!此れで5連続ストライクか――流石だな京。」

「母さんだってターキー(3連続ストライク)が最高だってのに、其れを上回る5連続ストライクとは、マジですげぇよ兄貴!若しかしたら、兄貴な
 らパーフェクトゲームも出来るかも知れねぇよ!!」



へへ、燃えたろ?
此れ位は余裕だぜ?何処を攻めれば一番いい結果が得られるかってのを考えるのは、格闘技もボーリングも同じさ――何処を攻めて行け
ば、最短KO出来るのか分かる様に、何処に当てればストライクになるかを考えるのは難しくねぇからな。


「ふむ、言い得て妙だな。
 確かに戦いに於いては、相手の弱点を攻めるのは基本だからな?何処に球を当てれば全てのピンを倒す事が出来るのかを考えて投球す
 れば、連続ストライクも、そう難しい事ではないのかもしれんな?」

「つってもシグナムさん、狙った所に投げるコントロールが重要っすよ?」

「お前等ならそうでもねぇだろ?
 相手に向かって、的確な射撃魔砲を打てるんだから、其れを応用すればボーリングの球のコントロールだって難しくないと思うぜ多分。」

寧ろ動き回る相手と違って、ピンは止まった的なんだから楽勝じゃねぇか?
敢えてコツを言うなら、真正面から当てるよりも、向かって右側から斜めの角度で当てる事だな、球にスピンをかけた状態で。そうすると、縦
回転のみの直球と違って、横回転が入った球が横っ腹からぶつかるからピンが倒れ易くなる上に、倒れたピンが他のピンを巻き込むからス
トライクが出易くなるのさ。



「成程な~~。
 兄貴って、実は格闘家として強いだけじゃなくて、結構多才だったりするのか?お父さんとキャッチボールした時も、結構いい球投げてたし。
 ……いっその事、マルチなスポーツ選手になったら如何だ?結構稼げるんじゃないか?」

「其れでも良いかもな?
 ま、俺位の天才になると、どんな事でもそつなく熟しちまうもんなのさ。」

「ふ、天才を自称している割に、高校をダブりまくってるのは笑えるがな。」



まぁ、授業サボりまくって、追試もサボってりゃ、そりゃどんだけ天才でもダブるだろ?
少なくとも14年間は高校3年生やってる気がするからなぁ、二十歳のままで……って、何処から湧きやがった八神ぃ!!てか、俺がダブって
る理由の半分はテメェのせいだからな!!



「ふん、自分の不甲斐なさを他者のせいにするか?」

「どの口が言いやがるかこの野郎。
 テメェが学校にまで襲撃かけて来るからだろうが!一般人に被害が出ねぇように俺が対処すりゃ『外部と問題を起こした』って事で理不尽
 な停学喰らってったんだからな?でもって、その停学期間が追試の日だったんだよ!
 要するに、テメェが襲撃してこなけりゃ俺はとっくに追試クリアして卒業してたんだ馬鹿野郎!!」

「ふはははははは!ならば俺は貴様を苦しめる事には成功していた訳だな京!!」

「……うわぁ、コイツ性格最悪。」

「5年前よりも、確実に性格が破綻しているな。
 そして其れのみならず、厨二病が完治するどころか悪化している……此れでは、親しい友人を作る事は出来そうにないな?少なくとも、私
 は、庵と友になろうとは思わんからな。」



ふぅ……其れで正解だぜシグナム。
てか、八神と積極的にダチになろうとする奴が居たら、其れは間違いなく特別天然記念物級のレア生物だぜ?八神に係わると、最悪の場合
は命を落とすからな――まぁ、六課に属してる間は大丈夫だと思うけどよ。

んで、何でテメェが此処に居るんだ八神?



「ライブハウスで歌い尽くしたので、今度は身体を動かそうと思ってな?手軽にできるボーリングを選んだら、此処に貴様等が居ただけだ。」

「一人ボウリング……ボッチの象徴っすねシグナムさん?」

「一人でボウリングや、焼き肉店を訪れている者を見ると同情してしまうよ……良い友を見つけろと、心の中でエールを送る事しか出来ん。」



八神……マジでダチ見つけろよ?
バンド組んで、仲間と仲良くしてみちゃどうだ?共通の趣味や話題があれば、交友関係が広がって人生が彩るぜ?
お前、意外と器用だからバンドマンと格闘家の二足の草鞋だって出来んだろ?一度しかない人生の生きる目的が、俺を殺す事だけってのは
幾ら何でも有り得ねぇし、俺が迷惑だし、そもそも俺は殺されてやらねぇから絶対達成できないぜ?



「ふん、下らん戯言を……だが、良い場所で貴様等と会ったとも言えるなぁ?
 はやての奴から『町中で問題起こしたら、なのはちゃんのSLB喰らわせるから♪』と言われている故、此処では貴様とやり合う事は出来ん
 が、しかし問題を起こさねば良いのならば方法はある。
 京、ゲームをリセットして俺も混ぜろ。5連続ストライクで天狗になっていた貴様の鼻っ柱を圧し折ってやる。」

「戯言じゃなくて、割と本気なんだけどよ。
 ……まぁ、良いか。テメェからそんな事言ってくるのは意外だったが、ボーリングで勝負ってんなら相手になってやる。
 ケリを付けようぜ、八神!」

「ふ、貴様の死を持ってな!」

「いや、ボーリング勝負で人は殺せねぇと思うんだけど……」

「其れでも、言わねば気が済まんのだろうな。」



八神だからな。
つーか、今気付いたけど、俺達が使ってる球って、俺が赤で、シグナムが赤紫、ノーヴェが黄色で、八神が持って来たのが青……見事なまで
に、魔力光と炎の色だな?意外と、自分の力の色ってのは無意識に選んじまうのかもな。

しかしまぁ、八神とボーリング勝負する事になるとは思わなかったぜ。
バンド対決だったら前にやった事があるけど、格闘技以外のスポーツで勝負するってのは初めてだな?……負ける心算は毛頭ねぇが、この
野郎は得意なスポーツを聞かれて『全部』って答えるような奴だから、ボーリングの腕前も結構なモンなんだろうな。

さて、始めるか――



『機動六課の諸君、ちょっとえぇかなぁ?』



ってはやて?
如何したんだよ緊急通信コード使って通信して来るなんて。今日は休みの筈だろ?――まさかとは思うが、休日返上の何かが起こったとか
言わねぇよな?



『いや~~、えぇ勘しとるなぁ京さんは。
 ぶっちゃけて言うと、その『まさか』が起こってもうたんよ?
 エリオとキャロとテリーさんが、お出掛け中に、公園で傷だらけの女の子を保護したんやけど、その女の子は鎖で箱みたいなモンを引き摺
 っててな?その箱の中に『レリック』が入ってたんや。』




レリック?どっかで聞いたような………あ、確か魔力の結晶体みたいなもんだっけ?
てか、前に其れを狙うテロリストが居るって言ってなかったか?ガジェットとか言う機械兵を作って動かしてるのも、そいつ等って事だったと思
うんだが……



『その通りや京さん。
 レリックを狙う奴等が居る中で現れた、レリックを引き摺って現れた少女……如何控えめに考えても、此の子が持ってたレリックを狙ってガ
 ジェットその他が出て来るのは確実や。
 そんな訳で、悪いけど、皆には休日返上で出撃して貰うで?
 この穴埋めは、後日ミッドの最高級寿司屋借り切っての宴会開くって事で納得してや?』



まぁ、そう言う事なら仕方ねぇか。
テロリストに目的のモンを渡す事は出来ねぇし、戦いとは無縁の市民に被害が出るってのも見過ごせねぇから、出てきた奴等をブッ飛ばす位
はしてやるぜ。

でだ、出撃するのは構わねぇんだが、その女の子はどうなったんだ?



『エリオが即座に連絡くれたから、ヴァイス曹長にヘリで迎えに行って貰う所や。
 万が一に備えて、ヘリにはレオナちゃんに同乗して貰ったけどな。』

「流石は主はやて、見事な判断です。」



だな。
其れに、ヘリにレオナが同乗してるなら、仮にヘリが襲撃されても何とかなるだろうし。

つー訳だ、テメェとの勝負はまた今度だな八神。
色々不満もあるだろうが、テメェから六課に正式協力するって言った以上、事が起きた場合には、其れの対処が最優先だってのは分かって
るんだろ?



「そう言う事ならば仕方あるまい。
 だが、俺と京の勝負の邪魔をした事は許せんな?……ガジェット如きでは満足出来んが、勝負の邪魔をした事を後悔させてやるぞ。」

「お前、ドンだけ兄貴と戦いたいんだよ?
 でもまぁ、アタシとしても兄貴との時間を邪魔されたってのはムカつくから、敵さんをブッ飛ばしてやるとすっかな?」

「ふ、意見が合うなノーヴェ?
 私としても、この楽しい時間を邪魔されたのは非常に不愉快なのでな……ガジェット共を極刑に処してやろうと思っていた所だ。」



なら、行こうぜ?
人の休日に態々現れてくれた仕事熱心なテロリストさん達に、最高の持て成しって奴をしてやろうじゃねぇか?――迎撃滅殺って言う名の持
て成しをな!!








――――――








No Side


休日での突然の出撃となった六課だが、其れでも慌てる事なく、謎の少女が発見された公園付近に出撃し、少女の持っていたレリックを目
当てに現れたガジェットとの交戦を開始していた。

ガジェットに対しては、外出時のメンバーがチームとして対処しているのだが、此れが思った以上にいいチームになっていた。


「喰らいな…!おりゃぁぁ!せい、でやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!

リボルバーシュート!!

クロスファイヤーシュート!!


ロックとスバルとティアナのチームは、格闘型のロックとスバルが前衛として攻め込み、指揮官型のティアナが状況を整理しながら、射撃魔法
で後方支援を行っている。
そして後方支援を行うだけでなく、ティアナは状況を読みながら、スバルとロックに指示を出して行く。
その指示には、まだ粗削りな部分はあるが、しかし必要な部分は確りと抑えた見事な物であり、ティアナの指揮官としての才能が発揮されて
居るのは間違いないだろう。



「うおらぁぁ!打っ飛べぇ!!!

雷光一閃!!


個別に出撃した隊長陣も、隊長格の名に恥じない活躍を見せている。
ヴィータの重爆打撃がガジェットを粉砕すれば、フェイトの雷光の剣技がガジェットを一刀両断!如何にAMFが搭載されたガジェットとは言え、
軽減できる量を越えた攻撃を喰らってはどうしようもないだろう。


「温い、温すぎるの!!此の程度じゃ準備運動にもならないの!!
 私を倒したいのならば、せめてガジェット10000体は寄越しやがれなの!!って言うか、こんなガラクタは纏めて吹き飛べぇ!

『Divine Buster.』


そして、なのはは言うに及ばずであった。
なのはに関しては、そもそも普通の尺度で測るのが間違いなのだから、ガジェットがどれだけスクラップになろうとも驚いてはいけないのかも
知れない――物凄くおかしい事ではあるが。


其れは其れとして、圧倒的なのが京、シグナム、ノーヴェ、庵のチームだ。
京と庵が一緒と言う事が不安要素だったのだが、蓋を開けてみれば不安要素どころか、京と庵は戦いに於いては最高のコンビだと思わせる
結果になっていた。


「ボディが、がら空きだぜ!!」

「ふ、雑魚が!」

「おぉぉ……喰らいやがれぇ!!


と言うのも、京が荒咬み→八錆→砌穿でガジェットをダウンさせたら、其処に庵が爪櫛での追い打ちを食らわせて、其れで浮いた所に京の必
殺の大蛇薙が炸裂!
ダウンさせては爪櫛を当て、浮いた所を大蛇薙。
時には七拾五式・改からの連携を交えて、正にガジェットを鎧袖一触!
八岐大蛇を封じた草薙と八尺瓊の末裔である京と庵は、普段は反目しながらも、共通の敵を前にした場合には凄まじい強さを発揮してくれる
ようだ。


「雑魚が図に乗るな。……紫電一閃!!

「打っ飛べ、ディバインバスター!!


そしてシグナムとノーヴェもまた、其の力を存分に発揮して、ガジェットを現れた端から一撃粉砕!迷わず撃滅!
其れでも、ガジェットは次から次へとやって来る――負ける事はないが、この数は厄介極まりない。

休日返上での出撃だが、此れは思っていた以上にハードな出撃になりそうだった。











 To Be Continued…