Side:京
ったく、2度ある事は3度あるとは言うが、其の3度目の次元震に巻き込まれて10年ぶりにミッドチルダにやって来るとは思ってもなかったぜ。
まして、其処で妹分のスバルと再会することになるなんて、神様も仏様も、ましてやオロチでさえも予測できねぇだろうよ。
「又会う事に成るとはな……元気だったかスバル?」
「お兄ちゃん……お兄ちゃん!!――本当にお兄ちゃんなんだよね!?
一体今まで何処に行ってたの!?って言うか、あの火事でよく無事だったね!?――じゃなくて、無事だったら連絡位入れてくれても!!」
「スバル?お~~い……って、聞こえてねぇなコイツ。」
なら、仕方ねぇ……うおりゃぁ!!
――ズビシ!!
「痛っ!!」
「ったく、少しは落ち着いたかスバル?
あの火事の現場から、俺は元の世界に戻って、そんでもって又次元震に巻き込まれてこっちに来ちまったんだ……理解できたか?OK?」
「そうだったんだ……でも、生きてたんだ。
生きてるって信じてたけど、それでも心配してたんだよお兄ちゃん……おかえり、無事でよかったよ。」
ソイツは、心配かけちまった……悪かったよスバル。――後でギンガと、それからクイントさんとゲンヤの親父にも連絡入れとかないとだな。
だが、俺はまたここにやって来た――ただいまって言うのが、一番なんだろうな。
リリカルなのは×THE KING OF FIGHTERS~紅蓮の炎~ Round2
『再会の兄妹~京とスバル~』
「Hey京、誰だいその子は?アンタの妹か?」
「その可能性はあるかもだが……似てないよな?」
妹と言えば妹だ、少なくとも5年は家族として暮らしたからな――また、こうして出会える事が出来るとは思ってなかったが、それだけに再会の
喜びってのは大きいものがあるな。
だが其れは其れとして、何だってお前はあのロボットと対峙してたんだスバル?
俺達からしたら大した敵じゃねぇが、だからと言って一般人が処理できる相手でもねぇ……まさかとは思うが、厄介事に巻き込まれたりはして
ねぇよな?
「厄介事じゃなくて、此れが私の仕事なんだよお兄ちゃん。
私は、時空管理局の機動六課に所属してて、それで今は街に現れたガジェット――お兄ちゃん達が倒したロボットを掃討する為に出撃した
んだよ――結果的には、お兄ちゃんに助けられる結果になっちゃったけど。」
「時空管理局……ゲンヤの親父とクイントさんも、其処の職員だったなそう言えば。」
――で、お前は単独行動中なのかスバル?
「へ?……あ~~~~~~~!ガジェット深追いして、ティア達の事忘れてたぁ!!
こっちのガジェットはお兄ちゃん達が爆殺してくれたから兎も角として、ティア達の方に大量のガジェットが現れたら可成りヤバイよ~~!!
ノーヴェなら、ある程度はやってくれるだろうけど、それでも多分足りない!!」
「つまり、一緒に出撃した仲間が結構不味い状況になってるかもしれねぇって事か――なら、俺達を其処まで案内しな、手を貸してやるよ。
妹の仲間が窮地に陥ってるって知って、其れを無視するってのは兄貴として如何かと思うし、今のじゃマダマダ燃え足りねぇ……俺の炎で、
全部燃やし尽くしてやるぜ!」
「ったく、火の始末はちゃんとしてくれよ?」
安心しなロック、俺の炎はあらゆる物を灰にする、燃え残りなんざ出ねぇからな。
兎に角、そんな訳だから善は急げだ。早速行くとしようぜスバル!!
「其れはそうなんだけど、如何しよう?
急いで戻らないとなんだけど、お兄ちゃん達って移動の足ないよね?アタシのマッハキャリバーは、車以上のスピードが出せるから兎も角と
して、徒歩で走って行ったら多分間に合わないよ~~!!」
ソイツは……ちぃ、俺達だけじゃなくて会場の外に止めといた俺等のバイクも一緒に転移してくれたらよかったんだが、そう都合よくいかねぇか
流石に――って、何してんだテリー?そのボロ車が何か……
「屋根が吹き飛んでガラスも割れてるが、エンジンは壊れてないし、タイヤの空気圧も充分だなコイツは。
Heyスバル、此のオンボロ車は時空管理局って言う所ではどう処理するんだ?」
「へ?此れは……違法に放置された物みたいですから、車両課の方で回収してスクラップ工場行きだと思いますよ?」
「そうかい……なら、スクラップになる前に一仕事して貰っても問題ない訳だ――ファ!!」
――ガン!
――カチリ……ブオォォォォォォォォン!!
コイツ……キーの下のプラスチック割って、本来キーを回して掛けるエンジンを無理矢理直結して動かしやがった!てか、普通に其れって車泥
棒の窃盗手口じゃねぇか!
妙に手馴れてるし……コイツ、本当にサウスタウンの英雄なのか疑いたくなって来たぜ。
でもまぁ、此れでこっちも移動の足が出来たからな――改めて、行くぜスバル!
「うん!!」
そんじゃまぁ、運転は任せるぜテリー?
スバルに置いて行かれないように、全力で飛ばしてくれよな!
「Ha-ha!OK!Hear We Go!!!」
「関わっちまった以上はトコトンか……ま、そう言うのは嫌いじゃないけどな。」
ま、精々カッコいい所をスバルに見せてやるさ……成程、兄貴ってのは妹の前ではカッコつけたくなるもんなんだな?リョウの気持ちが少しは
理解できた気がするぜ。
尤も、其れを抜きにしても降りかかる火の粉は、よりデカい炎で払ってやるだけだけどな!
――――――
No Side
京とスバルが(京的には10年、スバル的には5年ぶりの)再会していたのと略同じころ、スバルの仲間である『時空管理局・機動六課』に所属
する、通称フォワードの面々は窮地に陥っていた。
「此れは……拙いわね。」
「スバルと分断させられて、エリオが負傷……フリードも頑張ってくれてるが、敵が多過ぎるだろ此れは。
せめてスバルか、隊長達と連絡が取れれば何とかなるんだが、ガジェットがジャミング電波を出してるから其れも出来ねぇ…ヤバいなオイ。」
現在戦闘に参加しているのはオレンジの髪の少女――ティアナと、赤髪の少女――ノーヴェの2人と、巨大な白龍のフリードだが、それに対し
てガジェットの数は、大分減らしたとは言えまだ5体も居るのだから、多勢に無勢だ。
他に赤毛の少年――エリオと、桃色の髪の少女――キャロが居るが、エリオが負傷した事で、キャロが其れの回復に当たっている為、此の2
人は、実質戦力にはなり得ない。現状では。
何よりも厄介なのが、敵は疲れ知らずの機械だという事だろう。
ノーヴェもティアナも、戦闘能力的に言えば決して勝てない相手ではないのだが、戦い続ければ、当然疲労は身体に蓄積されて動きが段々と
鈍くなってくるのは防ぎようがない。
実際に、10体以上居たガジェットを5体にまで減らした時点で、ノーヴェとティアナの体力は限界に来ていた。
人間とは比べ物にならない体力と力を有するドラゴンのフリードであっても、連戦の疲労を考えると、残り5体のガジェットを相手に戦うのは、相
当厳しいと言わざるを得ない。
それだけに、諦めムードが漂うが――
「……ギリギリ間に合ったみたいだな?」
「へ?」
ノーヴェ達の前に、1台のオンボロ車が躍り出て、ガジェットとノーヴェ達を隔てるように停車し、その車から降りた3人の男がガジェットの前に
立ち塞がったのだ――まるでノーヴェ達を守るかの如く。
勿論、此れに驚いたのはノーヴェ達だ。
何処の誰とも知らない人間が、突然現れてガジェットの前に立ち塞がったのだ――普通に考えたら、此れは自殺行為以外の何物でもない無
謀極まりない行為なのだから。
「おい、アンタ等!!」
「みんな、無事だった!?」
「スバル……無事だったか――じゃねぇ!あの人達止めねぇと!」
「一般人がガジェットに……危険よ!」
当然ノーヴェは3人を止めようとするが、其れを隔てるようにスバルが到着。
行き成りの事で驚いたが、それでも無事であったと言うのはノーヴェ達にとっては安心できた事だろう――だがしかし、目の前の事態を見過ご
す事は出来ない。
ノーヴェとティアナは、すぐさま割って入った3人――京とテリーとロックを止めるように言うが……
「大丈夫だよあの人達なら……此処に来る前に、ガジェット撃破しちゃったから。」
「はぁ!?」
「う、嘘でしょ!?」
スバルから発せられた一言に絶句してしまった。
自分達が苦戦したガジェットを撃破し、それでいながらピンピンしている京達に驚いてしまっても、其れは仕方のない事だろう――しかし、そう
であるからこそ、スバルの言葉には説得力があったのまた事実だ。
目の前の3人は、少なくとも自分達よりも強いと言う事に成るのだから。
「お兄ちゃんは負けない……絶対に!」
「お兄ちゃんて……若しかして、あの3人の中の誰かが、よくアタシに話してくれたお前の『お兄ちゃん』なのかスバル!?」
「うん。あの黒髪の人がそう――京お兄ちゃんにかかれば、ガジェットなんてイチコロだよ!!テリーさんとロックさんも、凄く強いしね!!」
「――アンタの言い分は分かったけど、拙い状況になったら突入するわよ?だから、準備だけはしときなさいよ?」
「「了解。」」
何て言う会話をスバル達がしてるとは知る由もなく、京とテリーとロックは眼前のガジェットを睨みつけている。
其れは『嵐の前の静けさ』とでも言うべき、大嵐を予感させる静寂だったが……
「少しは燃えさせてくれよな?」
「Hey Come on!Get Serious!!」
「手加減なしだぜ……覚悟しな!!」
言うが早いか、京達はガジェットに突撃し、そのまま戦闘状態に突入!
「うおりゃぁぁぁ……燃えろぉ!!」
「Barning!!」
「せいや!覇ぁぁぁぁ……貰ったぁ!!」
京が琴月 陽でガジェットを燃やせば、テリーがバーンナックルでガジェットを粉砕し、ロックが真空投げ→羅刹のコンビネーションであっと言う
間に3体のガジェットが沈黙。
此れには、ノーヴェ達も目が点だ――自分達が苦戦した相手を、こうも簡単に葬ってしまったのだから。
残るガジェットは此れで2体だが、其の2体も最早チェックメイトだろう――京もテリーもロックも、既に最大の一撃を放つ準備が整っているのだ
から。
「オォォォォォォ……喰らいやがれぇぇぇぇ!!!」
「1!2!!Live Wire!!」
「レイジング……ストォォォォォォォォォム!!!」
残る2体のガジェットに、京の大蛇薙、テリーのトリプルゲイザー、ロックのレイジングストームが炸裂し、その身体を砕き、粉砕し、そして燃やし
尽くす――3人の攻撃が終わった後には、何も残ってはいなかった。
「ったく、此の程度かよ……遊んでんのかオイ?」
「此の程度なのか?……まだエンジンはファーストギアだぜ?」
「Ha-ha!Take Easy!」
正に圧倒的!
草薙流の正当後継者の京、伝説の餓狼であるテリー、ギースの血を引きながらもテリーの魂を受け継いだロック――この3人の前には、ガジ
ェットは、試し斬りの相手に過ぎなかったようだ。
そんな3人を、スバルを除くフォワードの面々は、ポカ~~ンと見て居る事しか出来なかった。
――――――
Side:ノーヴェ
す、スゲェ……スゲェとしか言いようがねぇだろ此れは!
アタシ達が手こずったガジェットを、こうも簡単にやっつけちまうとか、本気でこの人達何者なんだ?下手したら、なのはさん達ともタメ張れるか
或は其れより上だろ此れ!!
『……ヴェ…ノーヴェ、聞こえる?』
「フェイトさん?はい、聞こえてます。」
如何やら、ガジェットが全部ぶっ壊された事で、通信が出来るようになったみたいだな――フェイトさんとの通信が繋がったからな。
『如何やら無事みたいだね?状況は?』
「え~とですね……エリオが負傷した以外は問題なし。エリオの負傷もキャロがヒーリングかけてるから多分大丈夫だと思います。
で、スバルが正体不明の謎の男性3人を引き連れてきて、其の3人がガジェットをぶっ壊しました――ぶちゃけ残骸も残ってない位に。」
『……一般人なのかな、その人達は?』
多分そうだと思いますよ?
だけどそのうち一人は、スバルが『お兄ちゃん』て呼んでたから、多分アタシがナカジマ家の一員になる以前に居たって言う男の人だとは思う
んですけど……直接聞いてみないと分からないっすね。
なんか、スバルの奴が『お兄ちゃん』とやらに抱き付いてますし。
『あはは……其れじゃあ、その人達に事情を説明して同行して貰えるかな?そろそろそっちにヘリが到着すると思うからね。』
「了解です。」
でもまぁ、あの人達に状況を説明するよりも、『お兄ちゃん』からスバルを引き剥がす方が苦労しそうだけどな……だけど、あんなに嬉しそうな
スバルの顔は、ナカジマ家の一員になってから初めて見るかもだ。
少なくともこの人達は、アタシ等にとってマイナスになる人じゃない。其れだけは確かだろうな。
――――――
――同じ頃……
Side:???
妙な光に包まれたと思ったが……何処だ此処は?
奇妙な機械が行き成り襲って来たから、其れは沈黙させたが……少なくとも、KOFの会場でない事は確かだ――京の気配は感じるが、其れ
以外の覚えのない気配もするからな。
何時までこそこそ隠れているつもりだ?
巧妙に気配を隠してはいるが、その身にこびりついた血の匂いに俺が気付かないとでも思っているのか?――大人しく出て来るが良い!!
「まさかバレるとはね……」
「フン、気配を消していても血の匂いが消えていないのでは意味がない――一体何用だ女?」
「ガジェット3体を簡単に葬った貴方の力……実に素晴らしいわ――その力を私達に貸す気は無い?
ドクターも貴方の力を見て興味を示しているからね……協力するのならば、貴方の望みを叶えてあげることが出来るかも知れないわよ?」
何かと思えば、低俗な勧誘か?
貴様の言うドクターとやらが何者かは知らんが、俺は誰ともつるむ心算はない……其れに、俺の目的は京を殺す事だ――其れは俺の手でな
しえなければ意味がないのでな……第三者の手は借りん。
何よりも、貴様は不快な感じがしてならん……目障りだ、失せろ。
「残念……でも、気が変わったら何時でも着て頂戴?貴方のような人は、大歓迎だから。」
「……言って居ろ、クズが。」
此処が何処であるかなどは如何でも良い……だが、此処には間違いなく京が居る――ならば、俺のやる事は只一つだ。
精々生き延びるが良い京――俺が貴様を殺すその時までな!クククク……ハハハハハ……ハァ~ッハッハッハッハッハ!!!
To Be Continued… 
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