――とある研究所の、訓練施設


Side:???


ふむ……ミスター・スカリエッティが生み出しただけの事はあって、中々の強さだ――凡百な格闘家であったのならば、瞬く間に戦闘不能に陥
って居るだろう。
だが、今回に限っては相手が悪過ぎた。

レイジング……ストォォォォォム!!!

「なに!?」


――ゴガァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!



「ぐはぁ!!……まさか、私が敵わないとは……貴様、本当に人間か?
 ドクターが興味を示して、延命処置を施した上で復活したとは言え、お前の力は人間が持てる力を凌駕しているぞ、ギース・ハワード!!」

「くくく……ミスター・スカリエッティには感謝せなばなるまい――死を待つだけだったこの身を強化再生してくれたのだからな。
 そして、確かに君は私には及ばなかったかも知れないが、その強さは大したモノだトーレ嬢よ――だが、経験が足りないから私には及ばな
 かったに過ぎん。
 もっと言うのならば、私を倒すと言う執念が足りなかったと言う所かな?」

「執念?」



人の執念とは、存外無視出来ない物だ。
青二才と思っていた、テリー・ボガードが、父の仇を取ると言う執念で強くなり、最終的には、私に生涯最初で最後の敗北を刻み込んだのだか
らな。
そして、執念は時として狂気と合わさって常人では考えつかないような事柄を考え出す事もある……そう、ミスター・スカリエッティの様にな。
この私を再生し、更に奴を復活させ、その復活の過程で奴の身体の中から取り出したオロチのデータを基に、オロチのクローニングにまで手を
出すとは……正気の沙汰ではない。

何を考えているかは知らんが、私を退屈させる事だけはなさそうだ……如何やら、この世界にテリー・ボガードも来ているようだからな。











リリカルなのは×THE KING OF FIGHTERS~紅蓮の炎~ Round17
『The Mind Of The Dark~心の闇~』











Side:京


あふ……この世界に来て大分改善されたとは言え、やっぱり朝の早起きってのは苦手だな――って言うか、俺を含めたナカジマ兄妹に対し
て早起きを要請するのは無茶振りだぜ?
俺が起きた後でも、スバルとノーヴェとギンガは完全に夢の中だったからなぁ……マッタク起こすのに苦労したぜ。

そんで朝飯なんだが――何でテメェが居るんだ八神?



「昨日はこっちに泊まったのだ――其のまま一夜を過ごして、朝餉に預かったに過ぎん。」

「そうかい。なら良いが――けどなぁ八神、レアのサーロインステーキ500gってのは、如何考えても明らかに朝飯のメニューじゃねぇだろ!」

「朝からステーキ……あり得ない。
 朝は、ご飯と焼き魚、漬物と味噌汁が一番いい。」

「其れは凄く正しいぜレオナ。てか、お前もすっかり和食の虜になったよなぁ……」

一度ナカジマ家に泊まった時に、夕食と朝飯が完全に和食だったんだが、あの時の食事からレオナはすっかり和食好きになったからなぁ?ま
ぁ、そんだけクイントさんの料理が美味かったって事だろうけどな。



「ふん、何を食そうと俺の勝手だろう。
 其れにだ、メニュー内容は兎も角として、貴様の妹の青髪2人に関してもあり得ないのではないか?……何だ、あの量は?キム・カッファン
 の所のウドの大木が食す量か?」

「相変わらずスゲェな京、お前の妹達は……」

「明らかに、あの細身に収まる量超えてるよな……」



……スバルとギンガの食事量を突っ込まれると、何にも言えねぇ。
ガキの頃から、割と良く食うなとは思ってたが、今のギンガとスバルの食べる量は明らかに常軌を逸してるってモンだ。あと、エリオもだがな。
ノーヴェもよく食べる方だが、ノーヴェの場合はアスリートの食事量で納得できるからなぁ……スバルとギンガとエリオの量はあれだ、テレビの
大食いタレント並みだ。分かり易く言うならギャ○曽○。
こりゃ、前にはやてが言ってた『スバルは食堂のメニューを1回の食事でコンプリートした事がある』ってのも、あながち誇張してねぇのかもな。



「………」

「ん?如何したティアナ、食べてないじゃないか。具合でも悪いのか?」

「あ……いえ、そう言う訳じゃないんです京さん。ちょっと、改めてスバルのごはんの量に圧倒されちゃって……大丈夫です。」

「そうか?そうなら良いが、朝飯はちゃんと食っとけよ。食事ってのは身体の基本だからな。
 何より、今日はお前とスバルのコンビでなのはに挑むんだろ?腹が減ってたら力が出ないし、力が出ない状態でなのはに挑んだら……非
 殺傷設定でも、色んな意味で殺されるぞ?
 なのはの非殺傷設定の魔法は、言うなれば刃の付いてない模造刀みたいなもんさ――人を殺す事は出来なくても、思いっきりぶっ叩けば
 怪我させる事は出来るって感じ。」

「まさか……」



当たらずとも遠からずだと思うぜ?
実際に、非殺傷設定で喰らったにも拘らず、八神の野郎がなのはの魔法にトラウマ抱えてんのが良い証拠だ。非殺傷でも、死を感じちまった
って事だからな。



「なのはとオロチ、どちらか一方と戦えと言われたら、俺は迷わずオロチとの戦いを選ぶ。
 なのはの凶悪な魔法と比べたら、オロチの飛び道具や、フィールド全体を攻撃する技など大した物ではない……ガードできるのだからな。」

「つまりなのはの魔法はガード不可、もしくは『相手のガードを無視してダメージを与える』効果があるって事だ。」

「なのはさん、人間ですよね?」



いや、アレはバケモンだろ?
俺も、周囲から『天才』って評価を貰ってるが、なのはのあれは天才とかそう言うレベルじゃねぇ。どっちかって言うと天才と言うより天災だな。
アイツ自体が、動く災厄だろ――少なくとも対峙した相手にとっては!



「化け物だと?奴は鬼だ。」

「鬼とかバケモノは酷くないか?相手は女の子なんだからさ……戦乙女で良いんじゃないか?」

「ロック、お前さんはそう言う部分を無くさないでくれ……だが、なのははやっぱり、オーガとかの方がピッタリな感じだよなぁ。」

「……悪魔。もっと言うなら青眼の白悪魔。」



と言う訳で、ロック以外はなのはを人外認定したから。
てかレオナ、お前のネーミング、どっかのカードゲームのモンスターになりそうだな?



「其れを意識した。
 大佐に『日本のコミックも面白い』って言われて試しに読んでみたけど、確かにあの作品は面白かった。遊戯王は、未来に残すべき名作。」

「やっぱ意識してたんだな。
 っと、話が逸れたが、そんだけの相手とやるんだから、バッチリコンディション整えとかないと瞬殺されちまうから、朝飯はちゃんと食べてコン
 ディション整えとけよ?」

「はい、分かりました。」



其れでも、勝つ事が出来るかどうか分からない相手ではあるけどな。
だが、スバルの格闘戦の能力を考えれば、格闘戦が得意じゃないなのはの懐に飛び込む事が出来れば勝機はあるし、ティアナのサポートが
有れば勝率は上がる。
何より、此れまで何度か訓練を見たが、スバルとティアナのコンビは、正に阿吽の呼吸って感じで、コンビネーションが抜群だからな?そいつ
が巧く嵌れば、なのはからの大金星だって奪えるかもだ。

とは言え、相手は圧倒的に格上なんだから『ダメで元々』位に開き直って行けよ――相手が圧倒的に格上の場合は、開き直ってぶつかる事
で、意外と勝機が転がり込んで来る事もあるからな。



「戦力差は戦術で埋める事が出来るって、教官も言っていた。
 其れに、貴女は指揮官としてはとても優秀……だから、自分を信じれば良い。其れが出来ないのならば、貴女を信じてる貴女の相棒を信じ
 てあげて。」

「レオナさん……はい、ありがとうございます。」



へっ、良いアドバイスできるじゃないかレオナ?
ラルフやクラークからの受け売りなんだろうが、其れでもティアナにとっては良い一言だったろうからな。

聞こえてたかもしれないが、そう言う事だから、スバルも彼是考えないで、思いっきりぶつかって行った方がいいぜ?ま、元よりお前の場合は
考えるよりも、先に動くタイプだけどな。

「ぶん。わばっべぶびょ、びょうびい!(うん。分かってるよ京兄!)」

「……口の中の物入れたまま喋んなよ……」

「(ごっくん!)」

「ちゃんと噛めって。」

「……すいませーん、追加で目玉焼きトーストと、ウィンナーとポテトサラダお願いしま~~す!ウィンナーとポテトサラダは大盛で♪」

「胃袋が甘いぜ!お留守だぜ!!がら空きだぜ!!!」

あれだけの量を食って、まだ食うのかよお前は!?
てか、ギンガも普通に追加注文すんな!――はやてが『六課は色々出費が多い』ってぼやいてたが、なのはの施設破壊修繕費以外だと、ス
バルとギンガの食費が持っててるんじゃないか?
ナカジマ家のエンゲル係数は……クイントさんが主夫力発揮して、スーパーのタイムセールとか使ってるから大丈夫だろうけどな。

まぁ、飯を美味く食えてる間は、大病にかかる事もねぇって言うから、其れを踏まえるならスバルもギンガも元気一杯って事でOKか。
時に八神、テメェは朝飯食ったらどうするんだ?



「帰っても良いが、其れでは退屈なのでな……貴様等の訓練とやらに参加してやろう。そうすれば、模擬戦の名目で貴様と戦う事も出来るか
 らな、京!」

「スケジュール的に出来そうだったらな。
 悪いが、今日はシグナムと組んで、フェイト・テリー組との先約が入ってるし、なのはvsティアナ・スバルの模擬戦は、なのはがスイッチ入った
 時の為に、他のメンバーは全員待機って事に成ってるからな。
 なのはの模擬戦が終わって、訓練場が使える状態だったら相手になってやるぜ八神。」

「……其れは、望み薄のようだな。――まぁ良い、オイ、追加でもう300g、超レアで持って来い。」



テメェも大概だぜ八神。
兎も角、なのはが戦うって事は、模擬戦とはいえ何も起きない筈がないからな……万が一の事を考えて、色々備えといた方が良さそうだぜ。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・



んで、本日の訓練。
予想はしてたが、やっぱりテリーとフェイトのタッグは強いな?テリーのパワーとフェイトのスピードが良い感じにマッチして、夫々の長所を120
%引き出してるって感じだぜ。
もっと言うなら、テリーの独特のノリが、フェイトの力をさらに引き出してるって所だな――ったく、人を乗せるのが巧いからなテリーは。

だが、此処は勝たせて貰うぜ?
この模擬戦が決まった時点で、俺とシグナムは密かに連携を考えてたんだ!行くぜシグナム!!



「応!燃えよ、飛竜一閃!!

「オォォォォ……喰らいやがれぇ!!!

「おわ!?此れは!!!」

「炎の壁が迫って来る!!!」



俺の大蛇薙と、シグナムの飛竜一閃を合わせたコンビネーション。名付けて『草薙の剣』てな。
飛竜一閃の炎に、大蛇薙の炎を乗せる事で、強大な炎を遠くまで飛ばすって所だ。威力は馬鹿デカいが、射程の短い大蛇薙の弱点を補った
合体技って所だ。
序に言うなら、シグナムの飛竜一閃の進行速度は、極限流の覇王翔哮拳よりも遥かに早いから、此のコンビネーションは回避不可だぜ?



「そして、仮に回避したとて、あの攻撃から逃れるには上に飛ぶ以外にノーダメージでやり過ごす手段はない――終わりだテスタロッサ!」

「シグナム!!きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「でもって、耐えたとしても、追撃に反応する事は出来ねぇってな!こいつで、決まりだ!!」

「京……!おわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」



持ち前のスピードで回避したフェイトは、シグナムがカウンターの紫電一閃で落として、持ち前のタフネスで耐えたテリーには、俺が百八拾弐
式をブチかまして、其れで終いだ。

「へへ、燃えたろ?」

「騎士の誇りにかけて、私は負けん。」



レヴァンティンに纏わせた炎を振り払ってからの納刀って、カッコいいな其れ?――俺も、拳に纏わせた炎振り払って『俺の…勝ちだ』って決
めてみるか?意外と行けそうだしな。



「し、シグナムと京さんのタッグが此処までだったなんて……炎使い同士とは言え、最後のコンビネーションの完成度は凄いんだけど?」

「正に阿吽の呼吸って奴だったぜ京――一体何時練習してたんだ?」



そいつは企業秘密だぜテリー。
まぁ、六課に就職するための模擬戦と、この間のホテルアグスタの一件で、シグナムとは互いの戦い方が分かったってのが大きいかもだな。
ガチで戦った上で、共闘したからお互いの戦い方は分かってるから、技の発動タイミングもアバウトだけど分かってるってね――其れだけ分
かってりゃ、此れ位のコンビネーションは大した事じゃねぇよ。
それに、コンビネーションの質で言うなら、此れから行われる模擬戦での、ティアナとスバルのコンビネーションの方が上だろうからな。

とは言え相手は圧倒的に格上だから、ティアナとスバルが如何挑むかが鍵だな――なのはの意表を突く事が出来れば勝機もあるからな。
兎に角、持てる力の全てを出してぶつける。其れに限るな、この模擬戦は。








――――――








No Side


京達が見守る中で始まった、なのはvsスバル・ティアナ組の模擬戦だが、此れが意外なほどに良い試合の様相を呈していた。
オーソドックスな前衛後衛コンビのスバルとティアナだが、今回はそのオーソドックスさを最大限に利用して、試合開始直後からティアナが誘
導魔力弾でなのはを牽制し、其処にスバルが格闘戦を仕掛けて、なのはの得意間合いにならないようにラッシュに次ぐラッシュで押して行く。

無論なのはとて、其れで押し切られる事はなく、スバルの格闘攻撃を、レイジングハートで見事に捌いているのだが、『格闘戦が得意』と『格
闘戦も出来る』では、其処に大きな開きがある。
つまり、如何になのはと言えども、子供の頃から格闘戦を学んできたスバルに対して格闘戦を行うと言うのはこの上ないディスアドバンテージ
其の物なのだ。

なのはも管理局に就職を決めた際に、近接戦闘が出来ないのでは困ると言う事で、兄の恭也や姉の美由希から近接戦闘の手解きは受けて
居るが、近接戦闘の経験値ならばスバルの方が圧倒的に上なので、どうしても攻勢に出る事が出来ずに、後手後手の対応になってしまう。

更に、バックスに回ったティアナがスバルに的確な指示を出しつつ、自身はなのはがスバルから離れないように、なのはの離脱路を断つ布陣
で誘導弾を展開する。

正に動のスバルと静のティアナを如実に表したコンビネーションと言えるだろう。其れこそ、並の魔導師や、そんじょそこらの犯罪者であったな
らば、間違いなくKOしているだろう。

しかし相手は、魔王とまで言われるなのはだ。如何に抜群のコンビネーションであるとは言え、其れを断ち切る事等造作もない。



「良い攻撃だね?だけど、其処!!」

『Restrict Lock.』


攻撃を捌きながらも、スバルに対してバインドを発動し、その動きを封じようとするが――


――キュゥゥゥン……


「!!…此れは、幻影!!」


拘束されたスバルは消滅!此れまで戦っていたスバルは、ティアナの幻術で作った偽物だったのだ。
此れには流石のなのはも、一瞬呆気にとられるが、その一瞬は戦場に於いては明らかに隙となる!そして、其れを逃す術はないだろう。


「うおりゃぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁ!!!」

「スバル!!!」



其処にスバルが特攻を仕掛ける。
幻影か本物かの判別はつかないが、なのはは其れをプロテクションでガードする――が、其処からが問題だった。


ファントムブレイザー!!


そのスバルを追撃する形で、ティアナの直射砲撃が炸裂したのだ。
其れだけならば如何と言う事はないのだが、なのはに特攻したスバルは、ティアナの直射砲撃を避けた――つまり、其れは幻影ではなく生身
であったことの証明に他ならない。
有ろう事か、ティアナは仲間に向かって砲撃を放ったのだ。如何に相手を倒す為とは言え。
勿論、この攻撃を『仲間を信じていたから出来た』と言うのは簡単だろうし、一応の筋は通っている――だが、此の攻撃は、悪い事になのはの
逆鱗に触れる物だった。



「……仲間を犠牲にしてでも勝てなんて言う事を、私は教えたかな?
 ねぇ、此れは如何言う事なのティアナ?――普段は言う事を聞くふりをして、いざと言う時には其れを破る?……それじゃあ、意味ないよ!」



――ギュル



「え?」

「はへぇ!?」


瞬間、スバルとティアナの身体にはバインドが巻き付いて、一切の動きを封殺してしまう。
管理局最強の名を頂くなのはのバインドは、ヴィータ級のパワーが有っても力で解くのは難しい――故に、スバルとティアナがこの拘束から
逃れるのは不可能だろう。


「……少し、頭冷やそうか?」


そして、無慈悲に放たれた魔力砲。
威力は大分抑えているとは言え、生身のティアナが耐えられる威力ではない――まともに直撃したら、暫く病院生活は否めないし、実際にテ
ィアナは諦めていたのだが――


『憎め。』

「え?」


その刹那、ティアナの心に何かが語り掛けて来た――明らかに人ではない何かが。


『憎め。己が弱さを憎しみに変えよ――さすれば、己が憎しみ、我が叶えん。』

「私の、弱さを憎しみに?……そうだ、私は―――私は、強くなければダメなんだ。強くないと、兄さんの生きた証を残せない!だから!!」


――キュウン……


そして、その声を受け入れた瞬間に、ティアナの瞳からハイライトが消え、奥の見えない濁った瞳へと変化する。
もっとも、そんな事はお構いなしに、なのはの直射砲がティアナを襲うが……


――ブチィ!!!



「ティアナ!?」


有ろう事か、ティアナはなのはのバインドを引き千切り、更には直射砲まで相殺して見せたのだ。
其の力は、明らかにティアナの本来を実力を逸脱した異常な力だ――なのはの直射砲を完全に相殺できるのは、六課ではシグナムだけだと
言う事を考えれば、其れが如何に異常な事であるかが分かるだろう。

だが、自由になったティアナにはそんな事はマッタク持って関係ないのだろう。



なのはさん、何で逃げるんです?お楽しみは此れからでしょう。

「ティアナ、貴女――!」



背筋が凍るような笑みを浮かべながら、ティアナは、思わず半歩だけ退いたなのはに語りかける。
此れだけならば、負けず嫌いの弟子の闘気に師匠が気圧されたと言えなくもないが、其れを完全否定するものがティアナの両手には存在し
ていたのだ。

そう、オロチの証である『蒼い炎』が――











 To Be Continued…