Side:はやて


ホテルの外はなのはちゃんが居るから大丈夫やと思ってたけど、ホテルの中も此れは思った以上に大丈夫かも知れへんな。てか大丈夫や。



「おぉぉぉぉ……喰らいやがれぇ!!!

紫電一閃!!



京さんとシグナムの『爆炎コンビ』が絶賛ガジェットを撃滅中やからね。
シグナムの烈火の将としての実力は疑うまでもないモンやけど、京さんの強さはホンマ半端ないわぁ……こんだけの力を持っとるんやったら、
かの八岐大蛇を打っ倒してもうたってのも納得やで!

私とフェイトちゃん、テリーさんとロック君も頑張っとるけど、撃破数やったら京さんとシグナムには全然及ばへんからね……超一流の炎使いタ
ッグは若しかしなくても最強であるのかも知れへんね。



「お前等みたいなポンコツと草薙流とじゃ、歴史が違うんだよ。」

「此の程度で我等を倒す心算だったのか?――片腹痛いな、出直して来い。」



でもって、背中合わせに決めポーズとる京さんとシグナム……メッチャ絵になっとるやないか此れ!!何このイケメンと美女のタッグ!こんなん
反則やろ!!色々と謝れ!!


「「どうもすみませんでした。」」

「って、素直に反応した!?――此れは一本取られたわ!!」

「俺の「私の勝ちだ。」」


……やってくれるやないか京さん、シグナム?
やけど、此れ位の方が良い感じやから、このまま一気にホテル内のガジェットを叩きのめして、外の敵の掃討に向かうで!!予想していたとは
言え、こんな事を見過ごす事は出来へんからね!!











リリカルなのは×THE KING OF FIGHTERS~紅蓮の炎~ Round13
『ホテルアグスタ~Sadistic Eyes~』











No Side


ホテル内部で、京とシグナムが無双フィーバーを発動していた頃、ホテルの外は異様な雰囲気に包まれいた――あるは其れは当然かもだ。


「京兄?……じゃないよね、似てるけど。」

「如何考えたって、偽もんだろ?京に似てるが京じゃねぇよ此れは。」

「兄さんのコピー……あまりいい気分はしませんね。」


其処には3人の『草薙京』が現れていたのだから。
夫々が学ランを纏い、京よりも肌の色が濃い事で見分けはつくのだが、それでもそれ以外の部分は殆ど同じなので、同じ格好をされたら京と
複製のクローン体を見分けるのは困難だろう。

だが、此処で動く者も居る――


「うおりゃぁぁあ!!打っ飛べぇ!!」

「あぁ?舐めんなよコラァ!!」


其れは言わずもがなヴィータだ。
グラーフアイゼンをラケーテンフォームに換装すると、痛烈な一撃をブチかまして、京(?)達を一掃せんとする――が、其れはKUSNAGIの力で
持ってして止められてしまう。


「京………なのか?」

「あぁ?さんを付けろよ、チビ助野郎!!」

「あ、此れ偽もんだ。」


だがしかし、ヴィータが投げかけた何気ない一言が京(?)の正体は京ではないと暴露する結果になったのだ――京-1と京-2ならば兎も角
KUSANAGIは、京とはマッタク持って性格が異なっている上に声まで違うのだから。
更に、クローン京はオリジナルの京と比べると肌が黒いという特色があるが、KUSANAGIは京-1や京-2と比べても更に肌は黒い上に、目の
色も真っ赤なのだ――違うと言うレベルではないだろう。


「敵……なのは間違いねぇんだろうが、テメェら何モンだ?
 其れ以前に、何だって京と同じ姿をしてやがる?……変身魔法でも使ってるってんなら即刻ソイツを解除しやがれ!アタシの仲間の姿を真似
 られるとか、胸糞悪くて仕方ねぇんだよ!!」

「何でだぁ?俺達が草薙京のクローンだからに決まってんだろチビ助野郎!!って言うか、素手で勝負しやがれ!!」

「クローンだと!?……だとしたら、尚の事ムカつくんだよ!!テメェの事は打っ潰す!
 アタシの仲間を穢す事は絶対に許さねー!!」


そして、ヴィータの更なる問いにKUSANAGIは、隠そうともせずに『自分達は草薙京のクローン』だと告げるが、其れが却ってヴィータの逆鱗に
触れる結果となった。
京は普段はヴィータの事を子供扱いしているが、戦闘力に関しては『チビのくせに大したパワーな上に、戦い方は大振りに見えて隙がねぇ…こ
いつは、マキシマより強いかも知れないぜ。』と可也高い評価を下していて、其れを実際にヴィータに言った事もあったのだ。
だから、ヴィータは実は結構京の事を慕っていたのである。

多少口の悪いところもあるが、其れははやての悪戯好きな部分と置き換えれば、嫌いだと断する程の事でもない――寧ろ、此れ位じゃないと
張り合いがないと言った所なのだ。

故に、ヴィータは怒りを燃やしてKUSANAGIを攻撃するが……この場に、奴が居る事を忘れてはならない。


「京……いや、クローンか?
 本物の京に数段劣る劣化コピーが俺の前に現れるとはな……良い度胸だと褒めてやるが――死ぬ覚悟は出来ているだろうな貴様等!!」


その攻撃と同時に現れたのは庵だ。クローンとは言え『京』が現れたのだから、庵が黙っている筈は無い。
が、其処には京と戦う事への歓喜よりも、怒りが多分に存在している様子――クローン京の存在は、庵にとっては生涯の宿敵を穢されたと同じ
事なのだろう。
其れを示すかのように、庵の手の中では蒼炎が何時になく滾っているのだ。



更に――


「京兄のクローン……アタシ達が止める!!」

「兄さんのクローン……あまり気分が良くありませんから、此処で滅します!!」

「覚悟は出来てるよなテメェ等?……ぶっ倒してやるから、覚悟しとけ!!」


此処で、ナカジマ三姉妹が戦線に加わり……


「コピーとは言え京さんが3人……此れは色々とやりがいがありそうだね?私を楽しませてくれると嬉しいかなぁ?って言うか、楽しませてよ。」


更に、誰が如何考えても主人公よりもラスボスが似合う魔王様が戦列に加わる!
如何に京のクローンとは言え、此れだけの戦力を相手にするのは無理があるだろう――と言うか、オリジナルの京でも此れだけの戦力を相手
にするのはきついのだから、クローンでは相手には出来ないだろう。

だが――


「へっへっへ……そう来なくちゃ面白くねぇよなぁ?
 大将からも派手にやってくれって言われてるからよぉ……真っ赤に燃やしてやるぜ!テメェ等も、派手にやっちまえ!!!」


KUSANAGIは、庵、ナカジマ三姉妹、なのはを前にしても撤退する気など更々ないらしく、それどころか京-1と京-2に対して攻撃の命令を下
す。
そして、京-1と京-2は其れに従う――京のクローンであっても、性格まではコピーされていないのだろう。性格までコピーされていたら命令
されても従う筈がないのだから。

其れを踏まえると、性格面では全く異なるがKUSANAGIは京-1と京-2よりも明確な自我を持っており、2人に対して命令を下したのを見る限
り、クローン京部隊の指揮官と言う所なのだろう。


「クローン風情が……細胞の一欠けらも残さず灰にしてやる。草薙京は、この世に只1人、奴だけ居れば良い!」

「……行くぜ。」


「本物の京さんには勝てなかったけど、貴方は私に勝てるかな?
 うふふふふ、非殺傷設定は解除しないけど、直ぐに戦闘不能にはならないでね……それじゃあ、面白くないから♪」

『You can not escape from death.(貴方は死から逃れられません。)』

「手伝うぜなのは……テメェは打っ潰す!!」


「燃やしてやるよ。」


その結果、京-2は庵と、京-1はなのはとヴィータとの交戦に入る。
となると、必然的にKUSANAGIの相手はナカジマ三姉妹と言う事に成るのだが、スバルもギンガもノーヴェもすぐに仕掛けるような事はしなかっ
た――あまりにもKUSANAGIが自分達の知る京とは別人過ぎて戸惑っていたのである。


「如何した小娘共?ビビってんのか、あぁん!?」


「ギン姉、ノーヴェ、アタシ違和感しか感じないんだけど……」

「奇遇だなスバル、アタシもだ。」

「見た目は兄さん、中身は別物……其れが此処まで強烈な違和感を持たせるとは思わなかったわ――まぁ、其れでもテロリストの一派だと言
 うのなら、倒すだけよ!!」


だが、其れも一瞬の事。
KUSANAGIが手元で炎を炸裂させたのを合図に、戦闘開始!!


実の所、KUSANAGIは荒咬みと毒咬みの連携こそ持たない物の、クローン京の中では最もオリジナルに近い性能を有しており、純粋な戦闘力
で言えばスバル、ノーヴェ、ギンガよりも上だ。
だが、個の能力では劣るとは言っても、ナカジマ三姉妹には姉妹だから出来る息の合ったコンビネーションが有る――故に、タイマンでは無理
でも3vs1ならばKUSANAGIにも対抗できるのである。


「へへへ……やるじゃねぇかオイ!そうでなくちゃ、面白くねぇけどなぁ!!!」

「この……コピーでも京兄って事か……半端な強さじゃないよ……!」


其れでも、戦いは略互角の状態。
ナカジマ三姉妹の流れるような連携攻撃を前に、KUSANAGIは無被弾とは行かなくともクリーンヒットを許さない見事なステップで其れを躱しな
がら、闇払いや鬼焼きで攻撃を行う。
このままでは泥仕合かと思われたが――


――ドォォォォン!!!!



「「「!!?」」」


突如として、3人の前に魔力弾が着弾して炸裂!!
其れは、この混戦故に起きてしまった不幸な事故――ガジェットを相手にしていたティアナの魔力弾の内の一つが軌道を逸れて予想だにしな
かったフレンドリーファイヤーが発生してしまったのである。

これによりナカジマ三姉妹の動きは一瞬止まってしまう……そして、その一瞬の静止はKUSANAGIにとって最高の好機に他ならない。
戦場で相手の動きが完全に1秒止まれば倒す事は容易と言われるように、実力が高い者にとって相手の動きが僅かでも止まると言うのは好
機以外の何物でもないのだ。


「焔に……還りやがれぇ!!」


その一瞬の隙を突いて、草薙流奥義の大蛇薙が炸裂!
可成り高いレベルで再現された其れは、本物の京が放つ大蛇薙と破壊力だけならば遜色ないだろう――実際に、其れを喰らったナカジマ三
姉妹は、弩派手に吹き飛ばされてしまったのだから。

だが――


「効かねぇなオイ……」


派手に燃やされたにもかかわらず、ノーヴェは即座に起き上がり、金色の瞳でKUSANAGIを射抜く。
八岐大蛇を倒した大蛇薙を喰らえば、超一流の格闘家でも一撃でダウンしてしまうのだが、ノーヴェは其れに耐えたのみならず、KUSANAGIに
対してのメンチギリまでやってくれたのだから凄まじいだろう。


「熱かったけど……京兄の大蛇薙とは違うね。」

「兄さんの大蛇薙だったら、終わっていたけれど……」


其れに続くようにスバルとギンガも復帰。
バリアジャケットこそ、大蛇薙の炎で派手に壊されたが、身体のダメージはそれほど深刻ではないらしい。



「俺の大蛇薙を喰らってまだ立ち上がるだと?大した根性だが、根性だけじゃ俺には勝てねぇぜオイ!!」

「根性だって?確かにアタシ等は相当根性座ってるけど、本物の京の大蛇薙を喰らったら只じゃ済まなかったろうよ――てか、全員KOだって。
 でもな、お前の大蛇薙は京の大蛇薙と比べたら全然軽いんだ。
 京の炎はタダ熱いだけじゃなくて、魂を震えさせるモンがあった――だが、テメェの炎には其れがねぇ!ただデカいだけなんだよ偽物野郎!」

「京兄の炎は、簡単にコピーできる物じゃないって事だね……そんな炎じゃ、私達は燃やせないよ!!」

「兄さんの技は、貴方の1000倍は強いですから!」


その理由はKUSANAGIの炎の質であった様だ。
ナカジマ三姉妹は、京とトレーニングを兼ねてのスパーリングをする事も多いため、必然的に京の技を喰らう機会も多く、時には大蛇薙の様な
超大技を喰らう事だってあった。

だからこそ、京の本当の強さを知っている――故に、如何に高いレベルでコピーされた大蛇薙とは言え、ただデカいだけで魂の入ってない大
蛇薙では倒す事は出来なかったのだ。


「良いぜ……此れ位じゃないと興醒めだからな――お前達が相手なら、俺の拳が真っ赤に燃えるぜ!!!」


それでも、この状況を面白いと捉えている当たり、KUSANAGIは本物の京と比べて可也好戦的で、更にバトルジャンキー的な部分もあるのだ
ろう――マッタク持ってなのはと交戦状態にならなかったのは僥倖だろう。
きっと、なのはとKUSANAGIが戦ったら、戦いの余波でミッドがトンデモない事に成っていたかもしれないのだから。


「偉そうに吠えんなよ、この偽物野郎!テメェが京を名乗るなんて100年早いって、アタシが教えてやる!!」

「来やがれ小娘共!灯蛾の如く燃え尽きろぉ!!!」


其れは其れとして、ナカジマ三姉妹とKUSANAGIは再び交戦を開始し、炎と纏った打撃と、魔力を纏った打撃が交錯し、かち合ってスパークを
起こして凄まじい戦闘模様を描き出していく。
この戦いが、ホテル街の戦いで最も激しい物であるのは間違いないだろう。




「あ……あぁ…!!わ、私は……なんて事を――ゴメン、スバル、ノーヴェ、ギンガさん……」


そんな中で、偶然とはいえフレンドリーファイヤーを行ってしまったティアナは、顔を真っ青にして己のしてしまった事に途轍もない罪悪感を感じ
ていたと言う事は、誰も知るよしのない事だった。








――――――








Side:京


ッタク、数だけ多くて性能的には雑魚そのものだなガジェットってのはよぉ?此れなら、ネスツの構成員の方がまだ強かったぜ?……連中のア
ジトから脱出するのは少しばかり骨が折れたからな。

とは言え、次から次へと現れるから厄介ってなモンだったんだが、そんな中で俺とシグナムははやてから『オークションの出品品』が保管され
る倉庫へ向かうように言われて、現在そこに移動中――まぁ、オークションを狙って来たって事は、テロリスト共の狙いはオークションの品って
のは分かるが、テロリストが欲しがるもんなんてあるのかシグナム?



「……此れはお前達には言っていなかったが、今回のオークションには、管理局が把握していないロストロギアが出品されているらしいのだ。
 ロストロギアの中には世界の在り方を根幹から覆しかねない物もある――流石に其処までの劇物が一般オークションに出て来るとは思わな
 いが、ロストロギアと言うだけで、欲しがるテロリストは居るだろうからな。」

「成程な……良く分かったぜ。」

だが、其れとは別に、ヤッパリアンタは強いなシグナム?
此処までスムーズに来れたってのは、アンタが俺のパートナーだったからだと思うぜ?……恐らくは、紅丸と一緒でも此処まで円滑には行か
なかっただろうからな。



「ふ、其れは私もだ草薙。
 これ程息の合った連携と言うのは、過去の記憶を掘り返しても中々出来る物ではなかったからな――如何やら、私達は良いコンビらしい。」

「アンタほどの人にそう言って貰えると嬉しいぜ――なら、コイツ等もサクッと倒して目的地に行くとしようぜ!!」

「是非もない!!」



新たに現れた5体のガジェット……お呼びじゃねぇんだよポンコツが!!

「遊びは終わりだ!コイツで燃え尽きろぉ!!!

「塵と消えろ!飛竜一閃!!!


――ゴォォォォォォォォォォォォォ!!!

――バガァァァァァァァァァァァァン!!!



このガジェットも俺の天叢雲と、シグナムの飛竜一閃で鎧袖一触!
はやての話だと、ガジェットには魔法攻撃を軽減するAMFってのが搭載されてるって事だったが、草薙の炎と烈火の将の炎の前には意味がな
かったみてぇだな?……出直してきな。

「良い炎だなシグナム?惚れ惚れするぜ。」

「其れはお前もだ草薙……その炎には、心が燃やされそうだ。」



へへ、嬉しい事言ってくれるじゃねえかシグナム――だが、如何やら本番は此処からみたいだぜ?…倉庫には、先客が居るみたいだからな。
コイツは……某マスクドライダーに出てきそうだが、どう見ても人間じぇねぇぜ。――虫人間て所かな。



「虫人間か、人型の虫か、其れは分からんが、この混乱に乗じて倉庫に現れたというのは、自らテロリストの一派だと名乗っているようなモノ。
 此処で捕らえる以外の選択肢は無いだろう草薙?」

「確かに、アンタの言う通りだなシグナム。」

だが、そう言う事なら俺達が負ける事はねぇよな?
虫に取って炎ってのは最大の弱点だからな!!――コイツはつまり、飛んで火にいる夏の虫って奴だ!……だから精々覚悟しとけよオイ?

俺とシグナムの炎を前にしたお前に残された選択肢は、大人しく投降するか、其れとも抵抗して俺達に燃やされるかの二つに一つだからな!











 To Be Continued…