Side:京


六課に嘱託として就職してから彼是1週間か。
六課の隊員は、隊員宿舎で生活するって事で、俺にも部屋が割り当てられたんだが……俺達が入った事で部屋割りを再編して、如何して俺
は、ノーヴェと同じ部屋になったし!
いや、妹と同じ部屋ってのが嫌な訳じゃないが、普通兄妹であってもこう言う場合は、同部屋にはしねぇと思うんだが……まぁ、部屋割りをや
ったのがはやてじゃ、彼是言うだけ無駄だったぜ。
尤も、そのおかげでノーヴェと話す機会も多くなって、出会った当初みたいな堅さは無くなったみたいだけどな。

そんで、今は何をしてるかと言うと……



「君達は、完全に包囲されている!大人しく投降しなさい!!」



市街の銀行で発生した銀行強盗立て籠もり事件に当たってるって訳だ……つーかよ、大人しく投降しろって言われて投降する位なら、最初か
ら立て籠もったりはしねぇと思うんだが……



「そりゃ正論だけど、その程度で投降するなら、そもそも銀行強盗何かやらないだろ?」

「確かにそうだ。お前の言う事は正しいぜロック。」

とは言え、アイツ等人質取ってやがるからなぁ?……迂闊に手を出せば、人質の命も危ないぜ――だからと言って、この場になのはを連れて
来たら、人質諸共吹っ飛ばしそうだから、絶対連れてきちゃダメだけどよ。

とは言え、此のままじゃ埒があかねぇから、適当な所でこっちから仕掛けるか。
総司令様からも、この事件はフォワード陣の好きなようになって解決してくれていいって言うお墨付きをもらってるからな?…派手に行くぜ!












リリカルなのは×THE KING OF FIGHTERS~紅蓮の炎~ Round11
『機動六課、超無双フィーバー!』











つっても、正面から突撃すんのは得策じゃねぇ……何とか、連中の注意を引き付けたいんだが、誰か陽動とか得意な奴いるか?



「あの、其れでしたら私が……少しだけですけど、幻術系の魔法が使えますから。」

「私も行くわ京。
 教官から習った暗殺術の中には、隠密行動の為に使う物もあったから、其れを駆使すれば彼等に気付かれずに中に入って、混乱を引き起
 起こす事は可能。」



ティアナとレオナ……OK、任せる。
この1週間で、六課のフォワード陣の実力も大体分かったからな。――ティアナは直接的な戦闘力は高くないが、広い視野を持ってるからこう
言う作戦では頼もしいモンだ。
尤も、頼りになるってのはエリオやキャロにも言える事だがな――スバルとノーヴェは言うに及ばずだぜ。

「ティアナとレオナから合図が有ったら突撃するぜ?……準備は良いか!?」

「「「「「「おーーーー!!!」」」」」」



つ~訳だ、どけよオッサン。此処からは、俺達がこの場を取り仕切らせて貰うぜ。



「なにぃ!?引っ込んで居ろ若造!
 此れは私が担当する事件だ!若造の出る幕ではないわ!!」

「テメェこそ引っ込んでな。
 カビの生えた刑事ドラマみたいな呼びかけをするテメェじゃ、犯人を逮捕する事なんざ出来ないぜ?――何よりも、俺達は機動六課だぜ?
 テメェなんぞよりもずっと高い階級のはやての命令で俺達は来てるんだ……其れを、追い返すのかテメェは?」

別に追い返しても良いけどよ?
でも、そうなったらアンタはヤバいんじゃないか?一部隊を取り仕切る部隊長にして総司令、更には管理局の二佐に逆らったとあれば、只じゃ
済まねぇと思うけどな?
てか、済まねぇよなスバル?



「間違いなく、首が飛ぶと思う……」

「其れで済んだら御の字だって。
 この場になのはさんが居たら、ソイツは間違いなく収束砲で跡形もなく吹き飛ばされてるから。絶対にそうなるから。なのはさんならやる!」



……俺はもう、なのはには突っ込まねぇ。ドンだけ口より先に手が出るんだよアイツは?
しかも、八神と違って見た目は凶暴そうに見えないのがまた性質が悪いぜ……見たまんま凶暴な八神の方が、大人しく思えて来るぜ。

まぁ、そう言う訳だから引っ込んでな……アンタも未だ、死にたくはねぇだろ?



「か、管理局の白い魔王……わ、分かった!此処は任せる。」

「そりゃどうも。」

つっても、俺がコイツに話しかけた瞬間から、レオナとティアナが行動を開始してんだけどな。
レオナは暗殺術が得意だから、気付かれない様に見張りやら何やらを倒す事は出来るだろうが……ティアナの幻術って言うのはどの位のレ
ベルなんだノーヴェ?



「初見ではなのはさんも騙された。」

「OK、其れで大体分かった。」

「なら、強盗犯が見破る事は出来ないだろうな。」

「ティアナのIllusion、楽しみだぜ!!」



だな。
そろそろ突入して5分……準備が出来た頃か?



『準備が出来たわ京。
 見張りと、中に居た犯人複数を倒して拘束。私とティアナは、彼女の幻術を使って強盗犯に姿を変えている……イヤリング爆弾を犯人に投
 げるから、其れの爆発を確認したら突入して。』




準備OKみたいだな。
てかイヤリング爆弾て……まぁ、アレはKOFでも使えるように殺傷能力を極端に落として、爆発が派手な爆竹みたいなもんだが、管理局の言
う質量兵器に引っ掛からねぇのか?



『試作型の魔力爆弾と言い張れば良い。と言うか、はやてがそう言ってごまかすって言っていた。』

「其れで良いのか総司令。」

「コマンダーが一番適当だったな♪」



マッタクだぜ……ま、はやてなら巧く立ち回って、全部いいように収めちまうんだろうけどな。
でも、そう言う事なら遠慮はいらねぇか?強盗犯には精々後悔して貰わねぇとな……始めてくれレオナ。開始の花火は、死人が出ない程度に
派手に頼むぜ!!



『了解。任務、遂行します。』



――バガァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!



ってオイ、窓ガラスが吹き飛んだぞ!?
あ、そうか。イヤリングは左右一つずつだから、1個は強盗に投げつけて、1個は俺達への合図として窓ガラスに投げたって訳か……なら、突
入しかねぇよな?
行くぜ、お前等!!キャロは、野次馬連中に被害が出ない様にしててくれ!



「はい、分かりました!!」



・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・



んで、合図から5分後、強盗犯全員鎮圧完了!
どいつもこいつも、俺やテリーの相手じゃないのは言うに及ばないが、スバルとノーヴェも楽勝状態な上、ティアナが戦局を的確に把握して指
示を出してくれたおかげでマジで余裕だったな。
エリオの槍捌きも見事だったし、最後まで抵抗しようとした奴は、キャロがフリードをでっかくして最後通告した事で大人しくなったしよ?初実戦
だったが、案外俺達良いチームかもな?

尤も、何処からともなく現れた八神が、強盗犯のリーダーに八稚女かましたのは驚いた。そんでもって、野郎が相手の事を殺してない事には
もっと驚いたぜ……まぁ、八神的に殺すに値しない相手だったのかもしれないけどよ。
つーか、何で居るんだお前?



「はやてから『出撃命令』を受けたのだ。
 必要な時は力を貸すと約束したのだから、其れを破る訳には行くまい……尤も、此の程度の雑魚が相手ならば無視しても良かったかも知れ
 んがな……下らん戦いだった。」

「下らない戦いではないわ八神。
 このような輩をのさばらせていては、何の罪もない人が無意味な暴力に晒される事に成る……其れに、こう言った相手を取り締まり、逮捕す
 るのが私達の仕事。」

「知らん。
 帰ったらはやてに伝えておけ……俺の力を使うのならば、もっと骨のある奴が出てきてからにしろとな。」



そうかい……って、言いたい事だけ言って帰りやがった。相変わらずの俺様野郎だな八神は。
まぁ、此れからもこんな感じで、何かあったら出張って来るんだろうな?基本的に危険人物だが、其れでも一度約束した事は違えないって言
う編に律儀な所があるからな。

にしても、今回の一件でのMVPは間違いなくティアナだよな?
幻術で強盗犯惑わしただけじゃなくて、現場の状況を的確に把握してスバル達に指示だしてたからなぁ?直接的な戦闘力は並程度だが、指
揮能力に関しては、隊長クラスじゃないのかお前?



「えぇ!?ちょ、褒め過ぎですよ京さん!!」

「京兄もそう思うよね!ティアってば、本当に周りをよく見てるんだよ!!
 訓練校時代は、アタシもノーヴェもティアと一緒だと安心して戦えたし、次に何をすればいいかが分かるから、すっごく助かったんだよ!」

「やっぱ指揮官が確りしてねぇと、前衛のアタッカーは力発揮出来ねぇからな?
 アタシとスバルだけじゃなく、京だってお前の事スゲェって言ってるじゃねぇかよ?いい加減自分に自信持っても良いんじゃねぇか?」

「でも……私は未だ……」



高みを目指すのは結構だが、時には周囲の評価ってのを素直に受け取っとくのも大切だぜティアナ?
自分をマダマダだって思うのは成長の上で大事な事だが、テメェに対してのプラスの評価を素直に受け取っとかないと、卑屈になっちまって伸
びるモンも伸びなくなっちまうからな。



「京の言う通り。
 其れに貴女は良くやった……その力が有れば、軍でも即戦力になるくらい。」

「………はい。」



なんか、納得してねぇって感じだな?
実際に、アレだけの能力が有れば、何かしら事件が起きた際には物凄く頼りになると思うんだが……一体、ティアナは何処までの高みを目指
してんだろうな?……其れが、変な方向に行かないと良いんだが、拙い事に成りかけたらスバル達が止めるから大丈夫だろうなきっと。




そんでだ、局に戻ったらはやてから、俺とテリーとロックとレオナは技術開発部に行くように言われて来たんだが……一体なんだってんだ?
え~と、アンタがマリーか?



「はい、機動六課の技術開発及びデバイスの整備を担当しているマリエル・アテンザです。
 草薙京さん、テリー・ボガードさん、ロック・ハワードさん、レオナ・ハイデルンさんですね?」

「あぁ、そうだぜ。」

「俺達だけ……異世界転移組が呼ばれたってのは、何かあるのか?」

「はい。八神指令から頼まれていた事なんですけど、皆さんのバリアジャケットが完成したので其れをお渡ししておこうと思いまして。
 皆さんは物凄くお強いとお聞きしましたが、其れでもやっぱり相手の攻撃に対してある程度の耐性を持つバリアジャケットは持って居た方が
 良いですからね♪」



バリアジャケット……戦闘時にスバル達が纏ってるアレか。
確かに、防護服ってのは有った方が良いかも知れねぇってのには同意だな?強盗やテロリストがドンだけ危険な武器を持ってるかは分から
ねぇし、連中は平気で質量兵器使うだろうしよ。
態々作ってくれるとは思わなかったが、作ってくれた事には礼を言うぜマリー?



「これも仕事ですから♪
 其れに、こう言うのを新しく作るのって、ちょっと趣味も入ってるので無問題です!!!」

「……アンタ、俺達が居た世界だったら、間違いなくノーベル化学賞受賞してるぜ。」

「物理学賞も同時受賞じゃないか?」

「開発した物によっては、平和賞も行けるな?」

「多彩なのは良い事。」



戦闘メンバーは勿論の事、六課は裏方の方も充実してるみてぇじゃねぇか?この防具服ってのは、色々と役に立ってくれそうだからな。
アレ?でもそうなると、八神の奴にはバリアジャケット渡してやらなくていいのか?



「それは、指令が直接送りつけるって言ってました。『返品不可』にしてって。」

「強制かよ……まぁ、八神が相手の場合に限っては正解だろうけどな。」



間違いなく正解だぜロック……ったく、本気ではやては何処まで先を見通してやがるんだろうな?
こんな事を言ったらアレだが、味方なら間違いなく頼もしいが、敵に回したらこの上なく厄介な相手の典型かもなはやては……謀の巧さに関
しては神楽と同等かそれ以上みたいだからな。
まぁ、其れを悪用する気はないみたいだから良いけどさ。

そんな訳で手に入れたバリアジャケットだが、俺とテリーとロックは私服の色違いだったんだが、レオナだけは軍服っぽくなったな。(KOF MIA
2の衣装イメージ)
似合ってるから良いけどな。








――――――








Side:ノーヴェ


んで、強盗事件から3日後。
今日も今日とて、なのはさんから地獄の特訓を受けるのかと思ってたら、訓練前に六課の全員が指令室に集められたんだが…スバルとティア
ナは何か聞いてるか?



「全然。」

「私も知らないわ。」

「……京は?」

「一般職員であるお前達が知らない事を、嘱託の俺が知ってる筈ねぇだろ。」

「言われてみりゃその通りだな。」

だったら一体八神指令は何をしようとしてるんだ?……考えても全く分からねーって!!



「さてと、全員揃っとるね?
 今日は新たな仲間が六課に加わる事に成りました~~~!!ほな、此れから宜しくな~~~~!!!」

「陸士108部隊から出向して来ました、ギンガ・ナカジマです……此れから、宜しくお願いしますね♪」

「「「なにぃ!?」」」


ギンガ!ギンガだと!?
アタシもスバルも、果てには京まで目が点になってるじゃねぇかよ!!てか、アタシ等何も聞いてないぜギンガ!?此れだけの事が有ったら
親父が何か言うだろ!!!



「お父さんに頼んで、今まで秘密にしてたから♪」

「お前、意外といい性格してんなギンガ。
 だけど、お前が仲間ってのは頼りになるよな?シューティングアーツの腕前は、スバルとノーヴェ以上だし、ガキの頃だが俺の技を見様見真
 似で使ってたから、草薙流の技も幾つか使えるからな?
 此れからは、同じ部隊の仲間になるんだ――よろしくなギンガ。」

「はい、兄さん♪」



態と秘密にしてたのかよ!……京の言うように、良い性格してるぜ。
だけど、ギンガの実力は本物だ――アタシとスバルがタッグを組んで挑んでも、全く歯が立たなかったからな……持って生まれた才能って奴
に努力がプラスされたらトンでもねぇ事に成るって思い知ったよ。

だけど八神指令、態々ギンガを引き抜いたって事は、何か起きようとしてるんだよな?
そうじゃなかったら、明らかに局の規定にバリバリ喧嘩売ってる過剰戦力部隊に、更にギンガを呼び込む意味はねぇって思っちまうんだよ。



「勘の鋭さは見事なモンやノーヴェ。
 ギンガを誘ったんは、勿論目的が無かった訳やない――と言うか絶対に必要やったんや。」



必要だったって、如何言う事っすか八神指令?



「3日後、ホテルアグスタで、大規模なオークションが開催されるんや。
 其れだけやったら何の問題もなかったんやけど、出品されたモンの中にはロストロギア級の危険物もあるから、其れを回収せなアカンやろ?
 其れには更なる人員が必要やったから、師匠に頼んで無理を通して貰ったんや。」

「……つまり、一番苦労したのは親父なんだよな?……今度、純米酒持ってってやるか。」



何やってんすか八神指令!
其れがばれたらマジヤバいっすよ!?……まぁ、バレない様に彼是細工がしてあるんだろうけどな……ホテルアグスタの競売会か、何も起き
なければ良いんだが……そうはならないだろうな。

でも、何が起きた所で、アタシ達が負ける要素は皆無だ!
テロリストの好きにはさせねぇ……纏めて叩きのめしてやるから、精々全力で来やがれってんだ!アタシと京が其れを払うからな!!
何処の誰かは知らねぇが、ホテルアグスタのオークションを狙ってる奴が居るってんなら、実行する前に辞める事を薦めるぜ?この最強の布
陣は、何人たりとも突破出来得ねぇ。
それこそ、なのはさんだってこの布陣を簡単には突っ切る事は出来ないだろうからな……オークションの参加者は袋のネズミだっての!
ホテルアグスタの特殊任務……必ずやクリアしないとだぜ。

最高じゃなくとも、最良の道を掴むことが出来るようにアタシ等はやるべき事をやるだけだ!――まぁ、此のオークションが只で済む筈は無い
んだけどな。

上等だ!!……ホテルアグスタ、攻略してやるぜ!!











 To Be Continued…