強奪されたカオス、ガイア、アビスの三機を追ってプラントのコロニーの一つであるアーモリーワンから宇宙空間へと飛び出したイチカとシン。
「イチカさん、アレ!」
「グッジョブだシン……良く見つけてくれたぜ……逃がすかよ!!」
其処でシンは母艦のガディー・ルーに帰還しようとしているカオス、ガイア、アビスの三機を見付けてイチカに報告し、イチカも逃がすまいとインパルスから拝借したソードシルエットに搭載されているレーザーブレード対艦刀『エクスカリバー』を両手に持って追撃したのだが、其処に一機のモビルアーマーが割って入って来た。
「おぉっと、そうはさせないぜ?」
其れはネオが操るモビルアーマー『エグザス』だった。
エクザスは先の大戦で戦果を挙げたムゥの『メビウス・ゼロ』の設計思想を受け継いだモビルアーマーであり、メビウス・ゼロでは有線式だったガンバレルが無線式のドラグーンタイプに変更されている機体だ。
「モビルアーマー……フラガの旦那が使ってたヤツの後継機ってところか?
だが、モビルアーマーじゃモビルスーツに対して性能面で不利だって事は前大戦で既に分かり切ってる事だ……にもかかわらずモビルアーマーで出て来たってのは余程高性能な機体なのか、其れともパイロットが己の腕に絶対的な自信を持ってるかだな。」
『イチカさん、コイツ……』
「分かり易い足止め役だが、此のモビルアーマーのパイロットが俺が知る限りでは最強のモビルアーマーパイロットと同等か其れ以上じゃない限りは負ける事はねぇ……だが油断だけはするなよ?」
『戦場での油断と慢心は死に直結する、ですよね。』
「そうだ。
だから、油断も慢心もしないでコイツ倒してガイア達を追うぞ!」
『ハイ!』
イチカとシンは奪われた三機を取り戻すべく、足止めに来たエグザスと交戦状態に。
モビルスーツとモビルアーマーの戦力比は1:5と言われているので、二機のモビルスーツに対し一機のモビルアーマーで戦闘を行うのは普通ならば自殺行為でしかない。
しかしエグザスにはドラグーンが搭載されており、其れによる多角的な全方位攻撃を使えばモビルスーツと互角に渡り合う事も可能だった。
「コイツ、強いと言うか巧いな……」
更にネオの戦い方は老練で、ドラグーンを使った多角的な全方位攻撃でインパルスとザクを翻弄して来たが、しかし二機を撃破するのが目的ではなくあくまでも強奪した三機をガーティ・ルーに収容する事が目的なのでエグザス本体はインパルスとザクの攻撃有効射程のギリギリ外から攻撃して時間を稼いでいるのだ。
此の老練な巧さに、まだ若いイチカとシンは翻弄される事になったのだ。
「く……話には聞いてたけど、実際に相手にすると厄介だなドラグーン……!」
「しかし此のドラグーンの使い方、フラガの旦那のガンバレルの使い方にそっくりだな?
まさかフラガの旦那が?……んな訳ないか。フラガの旦那はヤキンドゥーエの戦いで死んじまったんだからな……って事はコイツはフラガの旦那の戦い方を真似てるって事か……だとしたら大したモンだが……フラガの旦那はそう簡単に真似出来るモンじゃねぇんだよ!」
だが此処で突如としてエグザスが爆撃を受けた。
完全に予想していなかった事だったのか、エグザスは其の爆撃を真面に喰らってしまったのだが、其の爆撃を行ったのはカタナのザクウォーリアだった。
新型三機とインパルス、そしてイチカのザクファントムがアーモリーワンから飛び立った後、カタナとロランはアーモリーワンにて市民の避難活動を手伝い、全ての市民の避難が完了したのでイチカ達を追って来たのだ。
如何にドラグーン型の兵装は一対多の戦闘に向いているとは言え、其れでも相手の数が多くなればドラグーンの有効性も低くなるので此処での増援はネオにとっては有り難くないモノだろう。
「思ってたよりもお早い登場で……平和ボケしないでちゃんと訓練してたって事ね、感心感心!」
そんな状況でもネオは仮面で隠れていない口元に笑みを浮かべ、エグザスを操作してインパルス、そして計三機のザクを相手に戦闘を続けるのだった。
機動戦士ガンダムSEED INFINITY PHASE54
『予兆の砲火~Gunfire of foreboding~』
「トリスタン、イゾルデ展開……撃てぇ!!」
しかし増援はカタナとロランのザクだけでなく、アーモリーワンから出港したミネルバも増援としてやって来た。
デュランダルが『次代のアークエンジェルとなり得る戦艦』と考えて製造されたミネルバは艦首に陽電子砲『タンホイザー』を搭載し、その他にビーム砲『トリスタン』、電磁レール砲『イゾルデ』を搭載し、外装甲には特殊な振動を発して攻撃が触れる前に弾く特殊装甲が用いられており、其の性能はアークエンジェルを凌駕していた。
「カタナとロランだけじゃなくミネルバも……良いタイミングで来てくれたぜ!」
しかし、此の時点で既にガイア、カオス、アビスの三機はガーティ・ルーに着艦を終えてしまったのだ――そして三機がガーティ・ルーに収容された事を通信で知ったネオは其の場を後にした。
目的が達成されたのならば長居は無用なのである。
だが、ミネルバは逃がさないとばかりに更に攻撃を行ったのだが、ガーティ・ルーは予備の推進剤タンクを切り離し、其れを爆発させる事でミネルバに煙幕を喰らわせてなんとかその場から撤退したのだった。
予備の推進剤タンクをパージすると言うのはメインの推進剤タンクに異常が生じた際に航行不能になってしまう事を意味しており、普通は絶対にやらない事なのだが、其れだけに此の一手には完全にミネルバ側も、そしてイチカ達も虚を突かれ、まんまとガーティ・ルゥは逃げおおせたのだった。
とは言え、こんな大胆な方法で戦場からの離脱を行わなければガーティ・ルゥは落とされていただろう。
如何にネオがエグザスを見事に操ろうとも、最新鋭機であるインパルスに、ザフトの現行量産機として全軍に配備されているザク三機を相手にするのは分が悪過ぎる上に、最新鋭艦ミネルバの性能は未知数でもガーティ・ルゥを上回っている事は想像に難くなかったので一度離脱して体勢を立て直す必要があったのである。
そうしてミネルバを撒いたガーティ・ルゥ内のある部屋では、ステラ、スティング、アウルの三人は透明なカプセルに覆われた円形のベッドのようなモノの中に居た――此の三人は連合が戦闘用に生み出した強化人間『エクステンデット』であり、高い戦闘能力を有しているのだが、戦闘後は主に精神面でのメンテナンスが必要なのだ。
先の大戦で登場した三人の『生体CPU』と比べれば遥かに性能が向上したエクステンデットではあるが、戦闘用の生物兵器である以上、戦闘後のメンテナンスを欠かす事は出来ないのだ。
生体CPUのように薬物投与は必要ないので、薬の効果が切れた際の禁断症状こそないが、精神面でのメンテナンスなので主に戦闘に不必要な記憶の削除が行われており、其の影響でスティングとアウルは虚ろな表情を浮かべており、ステラに至っては完全に眠りに就いていた。
「三人の状態は?」
「初出撃であると言う事を考えれば悪くありません。
メンテナンスも順調に行っていますが……ただ、アウルがステラにブロックワードを使ったようで、ステラのメンテナンスには少し時間が掛かりそうです。」
「ブロックワード……ステラは戦闘に関しては少しばかりお転婆娘になっちまうから仕方ないと言えば仕方ないのかも知れないが、上官の命令なしでブロックワードを使うのは如何かと思うがね俺は。
てか部下から何のお伺いもないとか、俺って信用ないのかねぇ?」
「自分達は分かってるから兎も角として、若い彼等には仮面で顔を隠してる上官を信用しろってのは難しいのかも知れませんね?ステラは大佐に懐いているみたいですけど。
正直な事言うと、上からの話がなかったら俺だって大佐の事は信用してなかったと思いますからね。」
「コイツは手厳しいが、俺だって好きでこの仮面を被ってる訳じゃないんだがなぁ……って言うか、自分からこんな仮面を被る奴が居たとしたら、そいつは間違いなく変態だと思うんだが、其れは如何思う?」
「全力で同意します。」
先の戦いでアウルがステラに『死ねよ』と言った途端にステラが恐怖に駆られたのは、『ブロックワード』が原因だったようだ。
ナチュラルよりもずっと高い身体能力を獲得しているエクステンデットだが、其れだけに反逆されたら面倒極まりないので、エクステンデッドには夫々固有の『強制停止コード』とも言える『ブロックワード』が設定されており、ステラの場合は其れが『死』だったのだ。
ブロックワードを使われたエクステンデッドのメンテナンスは通常よりも長くなるのだが、其れでも時間を掛ければ使えるようになる事を考えればブロックワードの設定は必要だったのだ。
「年端も行かない少年少女達を兵器として戦場に送り出すか……俺は間違いなく死んだら地獄行きだな……尤も、軍人となった其の時点で天国に行けるはずがないのかも知れないけどな。」
ネオはそう呟くとガーティ・ルゥのブリッジへと戻って行った。
今回はなんとか逃げる事が出来た上に、ザフトの最新鋭モビルスーツを三機も強奪する事が出来たのだが、ミネルバに対して何も出来なかったとなれば上から何を言われるか分かったモノではなかったので、ネオは次なる一手を考えるのだった。
――――――
一方のミネルバでは、シンのインパルス、イチカとカタナとロランのザクの収容を完了していた。
マッタクもって予想していなかった襲撃だったのだが、瓦礫の下敷きになった事で駆動系に異常をきたしたルナマリアのザクウォーリア以外は特に大きなメンテナンスは必要なかった。
其れは其れとしてミネルバにはオーブの代表首長であるカガリと其の護衛であるアレックスも乗り込んでいた。
「よもやこんな事になってしまうとは。
本来ならばオーブに送り届けるのが筋なのだろうが、此の状況では其れも難しい……こんな事になってしまい、誠に申し訳ないアスハ代表。」
「いや、今回の事は予想しろと言うのが無理な事だから致し方ない――寧ろ私としては傷の手当てもしてもらったのだから苦言を呈する心算は毛頭ない。
ただ少し、インパルスの機体性能の高さには驚かされたがな。」
ザクから降りた所をルナマリアに警戒されたカガリとアレックスだったが、アレックスが身分を明かし、更にザクで戦闘・移動中にシートベルトをしていなかったカガリがコックピット内で転倒して軽く怪我をしていた事もあり、ルナマリアの案内で先ずは医務室へと向かいカガリの手当てをする事になった。
其の後、同じくミネルバに避難していたデュランダルと会ったと言う訳だ。
そして現在、ミネルバの艦内ではデュランダルの提案で、『プラントのオーブへの友好の証』としてデュランダルが自らカガリとアレックスをミネルバを案内しているのだ。
「インパルスはプラントが肝いりで開発した機体ですので性能の高さは折り紙付きですよアスハ代表。さしずめザクの上位互換と言ったところでしょうか。」
「上位互換では済まないだろうアレは。
少しばかり性能が過ぎる気もするが、数の上ではザフトは絶対的に連合に劣る事を考えれば其れもまた当然と言えるだろう……だが……」
「なにか疑問が?」
「いや、ザクと今回強奪された三機、そしてインパルスの高スペックの理由は分かるのだが、問題はなぜ其処までの性能の機体を開発するに至ったのかが少し気になってな……プラントの防衛だけならば些かこの戦力は過剰とも言える……まるで、また何時戦争が起きても対応出来る様にしていたのではないかと思ってしまうのだ。」
「うむ……成程……」
其の際、カガリはザフトの現行戦力に理解を示しつつも『プラントの防衛としては些か過剰だ』とも思っている事をデュランダルに正直に伝えていた。
自国を防衛する為の力は必要だが、其れも過ぎれば諸外国への脅威となって攻撃される理由になってしまうので其のバランスが難しいと言う事はカガリも理解はしているのだが、まるで『何時戦争が起きても対応出来るのではないか』と思ってしまう戦力にはやや疑問があったのだ。
「また戦争が起きる事を予想してたんだよプラントはな。」
「え?……イ、イチカ!!」
「よう、久しぶりだなカガリ……いや、今はアスハ代表って呼んだ方が良いのか?それと、えっと……」
「アレックス。アスハ代表の護衛のアレックス・ディノだ。」
「そうそう、アレックス。」
其処で声を掛けて来たのはイチカだった。
丁度ミネルバのモビルスーツドッグにやって来た事もあり、整備班のヴィーノとヨウランにザクの整備を頼んだイチカはドッグエリアから声を掛け、更にザクを足場にしてカガリ達の居る場所まで飛び乗って来たのだった。
「お前、生きていたなら生きていたと言え~~!!
私やキラ達がドレだけ心配したと思ってるんだぁ本当に!!オーブ軍を去るにしてもトダカとクラリッサにだけ話をして代表である私に一切なにもないとか有り得んだろう普通に!!」
「其れは悪かったと思ってるけど、平和に暮らしてるお前達の前に戦う事しか出来ない俺が現れるってのは如何かと思ったんだよ……兵器として作られた俺は平和とは最も遠い存在だからな。」
「そんな事はないと思うが……だが、其れは其れとしてプラントは戦争がまた起きる事を予想していただと?」
「より正確に言うなら予想してたんじゃなくて、戦争が起きる事を確信してたんだよ。」
「確信していた?……議長は未来予知が出来るのか?」
「いや、確信してたのは議長じゃない……タバネさんだよ。」
「タバネか……ならば納得だ。」
此処でイチカは『タバネがまた戦争が起きる事を確信していた』と言う事を告げるとカガリとアレックスも納得していた。
カガリもアレックスもタバネと直接会った事はないのだが、イチカから聞いた話を信じるのならばスーパーコーディネータークラスの力を持っていると言う事なのだろうと考えていたからだ。
更にイチカは『ヤキンドゥーエの戦場から俺を連れ出したのも議長だ』とも伝え、デュランダルは『其れもタバネ博士からのお願いだった事でね』と説明し、カガリとアスランはイチカが何故プラントに移住したのかを知ったのだった。
「しかし、何故モビルスーツの強奪が起きたのか、其れが分からん。
二年前のヘリオポリスのザフトのモビルスーツ強奪事件は、連合の戦力を削ぐためだったと納得出来るのだが、今回の一件は戦争中でもない平和な世界での事だ……此度の事を行ったのが連合だとして、連合がザフトの最新モビルスーツを得んとする理由はなんだ?
キサカに連合の動向を探らせていたのだが、その結果として連合はストライクダガーと其の後継機の量産化に成功し、更にはストライカーパックの開発にも成功しているからザフトの最新型を狙う理由が分からん。」
「ザフトの新型の強奪は切っ掛けに過ぎねぇよ……より正確に言うなら火種だな。
ザフト製の最新型モビルスーツが連合に強奪されたとなればザフトとて黙って『ハイ持って行って下さい』とは行かないから当然奪われた機体を取り戻そうとする訳だが、そうなれば戦闘は避けられない。
でもってモビルスーツのメインカメラには外の様子を映すだけじゃなく録画機能もある訳で、モビルスーツの録画映像を編集してザフトが連合に先制攻撃をしたってな感じにして連合側が戦争の大義を得る事も出来んだろ……連中は結局のところ、コーディネーターを根絶やしにする事が出来れば其れで良い。
コーディネーターを抹殺する為なら、ナチュラルが暮らす中立国であるオーブにも平然と攻撃する事が出来る訳だからな……連合の連中は西暦の時代に存在した『キリスト教徒の皮を被った白人至上主義者』よりも性質が悪いぜ――って、ちょっと俺喋り過ぎましたか議長?」
「いや良い。私が言おうと思っていた事を全て代弁してくれたからね。」
「……もしもイチカの言う通りだとしたら、何故連合は其処までコーディネーターを敵視するのか、其れが疑問だ。
先の大戦後にユニウス条約が締結され、地球ではオーブを中心にナチュラルとコーディネーターが共存する国も増え、プラントも各種コロニーでナチュラルを受け入れていると言うのにな。
平和な世界を実現すると言うのは簡単ではないと実感してしまう。」
先の大戦後にユニウス条約が締結され、世界は真の平和に向けて歩みだし、ナチュラルとコーディネーターが共存する国は地球でも増えており、逆にプラントのコロニーに移住するナチュラルも少なくなかった。
そうしてナチュラルとコーディネーターの融和が図られる中で起きた今回の一件に対し、カガリはなんとも遣る瀬無い思いだった――平和に向かって歩いていた筈なのに、其の中でこんなテロ行為が行われたら其れは当然の事と言えるだろう。
「…………」
其処で少し困惑した表情を浮かべていたのはシンだ。
シンはオーブ出身で、先の大戦で両親を喪っており、自分の両親が死んだのは、オーブが自国の戦力を考えずに連合の要求を断ったからだと思い、アスハ家に対して良い感情は持っていなかった。
だが、イチカと共にカガリと対面したシンは、カガリの話を聞いて己の器の小ささを実感する事になったのだった。
確かにシンは先の大戦で両親を喪っているのだが、カガリもまた父であるウズミを喪っている――共に親を喪っている訳だが、カガリはウズミの死に囚われる事無く、オーブの代表首長としての職務を熟し、更には理想を抱くだけでなく現実を見ていたからだ。
「だがちょっと待て、タバネが今回の事を予想していたとして、何故それを止める方向で動かなかったのだ?
直接会った事はないが、お前の話を全て信じるとするならタバネはやろうと思えば今回の一件を未然に防ぐ事だって出来た筈だ。何故それをしなかったのか、其れも疑問だぞ?」
「タバネさんは自分の目的を達成するのが最優先だからな、其の為に必要な事なら止める事はない……必要だったんだよ、タバネさんには今回の事はな。
だからと言って容認も出来ねぇから会う機会が有ったらカタナとNIKU→LAPぶちかましてやる……」
イチカと親し気に話すカガリに、シンの胸の奥で燻っていたアスハへのお門違いの恨みの感情は完全に霧散してしまっていた。
其の後、イチカとシンはカガリ達と別れてモビルスーツが格納されているドッグエリアへとやって来ていた。
其のドッグエリアではシンのインパルス、イチカとカタナとロランとルナマリアのザクの整備が行われていた。
イチカとロランのザクファントムと、カタナのザクウォーリアは特に大きな問題はなかったのだが、動作不良を起こしたルナマリアのザクウォーリアは大幅な整備が必要となっていた。
そんな中、シンはインパルスの中核であるコアスプレンダーのコックピットでコアスプレンダーの性能を自分用にカスタマイズしていた。
全く予想外の事態だっただけに初期設定のまま出撃したのだが、不幸中の幸いと言うべきか、アーモリーワンの戦いでシンは自分の得意とする戦い方を理解し、其れを生かすためにコアスプレンダーのカスタマイズを行っていたのだ。
「シン。」
「ルナ?如何したの?」
其処にやって来たのはシンの彼女のルナマリア。
其の顔にはイタズラを思い付いたネコのような笑みが浮かんでいた。
「オーブのアスハ代表がミネルバに乗ってるの、アンタ知ってる?」
「知ってるよ。さっき実際に会って来た。」
「そうなんだ……じゃあアスハ代表の護衛は?アレックスって名乗ってたけど、アスランかも。」
「アスランって、あのアスラン・ザラかよ!」
そうしてルナマリアはカガリの護衛を務めているアレックスがアスランかも知れないと言う事をシンに伝えていた。
アスランのネームバリューはプラントではラクスに次いで高く、其れこそ其の名を知らぬ者は居ないと言っても過言ではないレベルだったので、アスランの名を聞いたシンも驚きの表情を浮かべ、何故アスランがオーブに居るのかを疑問に思うのだった。
――――――
ミネルバがガーティ・ルゥを捜索していた頃、ガーティ・ルゥもまたミネルバを探していた。
目的は言わずもがなインパルスだ――ザフトの新型を全て手中に収める事が出来れば、連合はプラントに対して戦力面で大きなアドバンテージを得る事が出来るのは否めないからだ。
「見つけたぜ、子猫ちゃん。」
その状況で先に相手を見つけたのは連合の方であり、ガーティ・ルゥの司令官であるネオは、仮面の下で笑みを浮かべ、ミネルバへの攻撃命令を下すのであった――
To Be Continued 
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