キラのストライク、トールのスカイグラスパーとの通信が途絶えた事でアークエンジェル艦内は混乱を極めた。
特にキラの恋人であるフレイ、トールの婚約者であるミリアリアの動揺は激しく、ともすれば其のままショックで意識を手放してしまうのではないかと思うほどであった。

更に悪い事にザラ隊の奇襲による先制攻撃で致命的なダメージを受けたアークエンジェルに対してザフトから追撃が行われていた。
ザラ隊がアークエンジェルとオーブ領海の外で一度戦闘を行った事はザフトの他の地球部隊にも知らされており、またカンザシが他の部隊にアークエンジェルの航行予測ルートを共有して居た事でこうして追撃が可能になったのだ。


「ったく次から次へと鬱陶しい……夏場の蚊かお前等は!」



――パリィィィッィン!!バシュゥゥゥゥゥゥ!!



ザフトの追撃に対してはイチカが補給を終えたビャクシキで出撃し、更にSEEDも発動して次々と撃墜して行ったのだが、バックパックの換装でエネルギー補給を行っても何れは限界が来るのでアークエンジェルは一刻も早く離脱しなければならないのだが、消息不明となった仲間を残して行くと言う選択を艦長のマリューは出来ずにいた。
だが、だからと言ってアークエンジェルをこのままの状態にして置く事も出来ない。


「此のままじゃ拙いな……しゃーない、此処は祖国を頼りますか!
 こちらイチカ・オリムラ三尉、オーブ軍聞こえますか、どうぞ。」

『此方オーブ軍。イチカ・オリムラ三尉、如何した?』

「特務で地球連合軍のアークエンジェルに出向しているのだが、現在ザフトからの攻撃を受けて状況は劣勢。至急救援を求める――尚、当該地域にはストライクの残骸もあると思われるので回収されたし。」

『了解した。すぐさま救援部隊を送る。』


此処でイチカがオーブに通信を入れて救援部隊を要請し、其の要請を受けたオーブは即救援部隊を出撃させ、空母と十機のM1-アストレイが現場に派遣される事になった。
とは言っても救援部隊が到着するまでにはまだ時間が掛かるので、其れまではイチカが凌ぐしかないのだが、セブンソードからオオタカに換装してフルバーストをブチかましたところでザフトの部隊は現場から退いて行った――ザラ隊がイザークを残して行方知れずになった事と、追撃部隊がビャクシキ一機に手痛い反撃を喰らった事で作戦の中止・帰還命令が発令されたのだった。

こうして何とか危機を脱出したアークエンジェルはオーブの救援部隊が到着すると、救援部隊の力を借りて破損個所にアラスカ基地まで航行出来るだけの応急処置を行うと、救援部隊に礼を言った後に其の場を離脱し、改めてアラスカ基地を目指すのだった。










機動戦士ガンダムSEED INFINITY PHASE30
『慟哭の空~Contradiction between war and peace~』










イチカからの要請を受けて現場にやって来たオーブの救援部隊は、其処でイージスとスカイグラスパーのモノと思われる破片、イチカが言っていた大破したストライクを発見し、ストライクは即空母に収容した――其の際、ストライクのコックピットハッチは開いた状態だったのだが、救援部隊は特に其れを気にはしていなかった。
注意深く見ればコックピットが外部から人の手によって開けられた事に気付いただろうが、救援部隊は自分の仕事をする事が第一だったので其れには気付かず、精々『爆風でコックピットのハッチが開き中のパイロットも爆風で吹き飛んだ』くらいにしか思っていなかった。
そうしてストライクを回収した救援部隊だったが、彼等は浜辺で赤いパイロットスーツを着たザフト兵を見つけて空母に収容した。

そのザフト兵はイージスのパイロットであるアスランだった。
イージスの自爆コードを起動した後にコックピットから離脱したアスランだったが、イージスの自爆の余波を受けて海に放り出され、浅瀬を漂った末に浜辺に打ち上げられていたのだった。

アスランとストライクを回収したオーブの救援部隊はオーブ本国に帰還し、ストライクは軍に送られ、アスランは軍の病院施設に送られる事になり、オーブからプラントに『ザフト兵一名を保護している』との連絡を入れて、アスランを迎えに来るように要請していた。



一方で最低限の応急処置を施したアークエンジェルはアラスカ基地を目指して太平洋を航行していた。
だが、艦内の空気はお世辞にも良いとは言えなかった――キラとトールは『MIA判定』となったのだが、MIA判定は事実上の『戦死』通達と同義なので誰もがキラとトールは戦死したと思っていたのだから。


「うん、うん……分かった。うん、わざわざ伝えてくれてありがとうな。……礼は『スタミナタンメン大盛り全部マシと唐揚げで良い』って、其れ結構な額じゃんよ。
 でもまぁ、貴重な情報である事は間違いないから伝えとくよ。うん、またな。」


そんな艦内でイチカは誰かと連絡を取っていたらしく、連絡を終えてブリッジに戻ると『オーブの救援部隊でやって来てた俺の友人からの連絡だったんだが、良い知らせと悪い知らせがある。どっちから聞きたい?』とブリッジのクルーに聞いた。
良く聞く二択だが、現在の艦内の空気は良くはなかったので、先ずは悪い知らせを聞いて最悪となった上で良い知らせを聞いて気分を少しでも上げようと言う事になった。


「んじゃ、悪い知らせから……トールの生存の可能性はゼロになった。
 救助隊のメンバーはあの場所でスカイグラスパーのモノと思われる破片を多数発見したらしいんだが、人の腕や足のようなモノも発見したとの事だった。
 良い知らせの方と合わせると、其れはトールのモノであるとみて間違いはないだろう……ミリィ、残念だけどトールは……」

「そんな……トール……」

「それからイージスのパイロットは生きていてオーブが収容したんだと……互いに戦力を失ったが、向こうは死者一名、こっちは死者一名、行方不明一名ってのは割に合わないよな。」


悪い知らせは『トールの死は確定した』と言う事と『イージスのパイロットは生存している』と言うモノだった。
トールの死が確定したと聞いたミリアリアは相当なショックを受けていたが、其れでもその場で泣き崩れる事をしなかったのは彼女の心の強さと『此処では泣いてはいけない』と言う思いがあったからこそだろう。


「そんで良い知らせってのはな……キラは生存してる可能性が高くなった。」

「キラが!?」


逆に良い知らせと言うのは『キラは生きてる可能性が高くなった』との事だった。


「イチカ君、キラ君が生存している可能性が高くなったって、其れは如何して?」

「オーブの救助隊があの場所で大破したストライクを発見して其れをオーブに持ち帰ったんだけど、オーブで改めて機体を調べてみたところ、コックピットのハッチに外部から人の手で開けられた痕跡が見つかったらしんだわ。
 其れはつまり誰かが大破したストライクのコックピットのハッチを外部からこじ開けて中に居たキラを連れ出した可能性があるって事だろ?キラ自身は見つかってない事を考えると此の可能性は高いと思うぜ?
 キラを連れ出した奴の思惑は分からんけど。」

「其れは確かに……って、ちょっと待ってイチカ君、如何してストライクをオーブが回収するの?アレは連合の機体よ?」

「いやまぁ、そうなんだけどさ。
 ストライクが正式にアークエンジェル配属になってパイロットも決まってたってんならそっちに渡すのが筋なんだろうが、ヘリオポリスでの一件でストライクはなし崩し的にアークエンジェル所属になった上にパイロットはオーブの民間人だったキラで、更にストライクのOSはキラが書き換えまくってナチュラルはもとよりコーディネーターでも早々扱う事の出来る機体じゃなくなってんだわ。
 そんなバグったOS搭載してる機体を連合に渡せる筈ねぇだろ……渡したら絶対に連合は血眼になってキラの事を探して、見付けたらどんな手を使っても捕まえて一生OS開発の為に飼い殺しにする未来しか見えねぇモンよ。
 ストライクのデータは兎も角、実機を連合に渡す事は出来ねぇよ。」

「オーブの坊主、お前は正しいぜ。」

「そう言ってもらえると嬉しいぜフラガの旦那。」


救助隊がオーブに持ち帰ったストライクを改めて調べてみたところ、ストライクのコックピットのハッチに『外部から人の手で開けられた痕跡』が認められたのだが、ストライクを回収した付近にキラの姿はなかったとの事なので、其れを気いたイチカは『何者かがコックピットからキラを連れ出した』と考えたのだ。
同時にキラが死んでいたのであれば連れ出す意味はなく、わざわざ連れ出したと言う事は『瀕死の状態ではあったがまだ生きていたから』と言う事が逆説的に言えるのである。
ストライクをオーブが回収した事に関してはマリューから意見が出たが、其れもイチカは『ストライクの特異性』を理由に封殺した――キラが鬼のOS書き換えを行ったストライクは常人では、其れこそプロの軍人であっても起動する事すら難しい機体となっており、しかしその運動性能は凄いので、ストライクが連合に渡ったらOSの運動性能部分だけを利用する為にキラを探して捕らえようとする可能性があるのであれば、ストライクを連合に渡す事は出来ない。
生存の可能性が高くなったとは言え生死不明のキラだが、其れでもイチカはキラが生きている事を信じてキラが連合に狙われないために事前にオーブの救助隊にストライクの回収を頼んでいたのだ――同時にストライクを含むヘリオポリスで開発されていた六機のG兵器にはオーブの技術がふんだんに使われていたので、その技術が連合に流れるのを防ぎたかったと言うのもあるのだが。

其れは兎も角として『キラは生きている可能性が高い』と言う情報に、暗くなっていた艦内の雰囲気は少しだけ明るくなり、特にキラの恋人であるフレイは目に涙を浮かべて喜び、トールを喪った哀しみで心が一杯になっていたミリアリアも少しばかり表情が明るくなっていた。

其の後イチカはカタナが収容されている部屋にやって来ていた。


「よう、気分は如何だ?」

「悪くないわね。
 部屋から外に出る事が出来ないって事を除けば極めて快適極まりないのだけど……戦闘があったのよね?どうなったの?」

「俺がバスターを倒してパイロットはお前に続いて二人目の捕虜になった。
 デュエルも俺が倒したんだが、粘りの最後っ屁で俺のビャクシキも最低限の戦闘不能になったからアークエンジェルに戻って補給をしている最中にストライクとイージスが戦って、イージスがこっちのスカイグラスパーを撃墜した後にストライクに組み付いて自爆。
 でもって、ついさっきザフトからの追撃があって俺が対処してたんだが数が多いからオーブに救援要請をして、オーブからの救援部隊が到着する前にザフトの部隊が撤退して、アークエンジェルは応急処置をした上でアラスカ基地に向かってる。OK?」

「うん、良く分かったわ。
 だけどイチカ、オーブに救援要請をする前に、ザフトの追撃部隊に私とディアッカ――バスターのパイロットの事を伝えればよかったんじゃないかしら?
 流石に捕虜が収容されている船を攻撃はしないと思うわよ?ザフトは連合と比べると数で劣るのだから、パイロットの命は何よりも優先すべきモノの筈だからね。」

「……人質ってのは好きじゃねぇんだ俺は。俺じゃない俺の記憶で俺自身が人質になった経験があるから余計にな。」

「あ~~……そう言えば、『あの世界』での貴方はそうだったわねぇ……如何して『更識』はその情報を掴んでいなかったの!?もしも掴んでいれば、私が貴方の事を颯爽と助け出す事が出来たかもしれないのに!」

「いや、知らんがな。」


此れまでに起こった事を端的に説明するイチカだったが、その最中、カタナは『前世の記憶』とも言える記憶に関しての事を言って来たのだが、其れに関してはイチカもほぼ同じ記憶を持っていたので適当に相槌を打っていたのだった。
だが、此の時既にイチカとカタナは互いの事を少なからず意識していたのであった。








――――――








病院で処置を施されたアスランはオーブの収容所に収容されていた。
イージスの爆発の余波に巻き込まれて激しく海面に叩き付けられたのだが、パイロットスーツがその衝撃の多くを吸収してくれたおかげで、目に見える怪我は『左下腕部骨軽度損傷』――要するに『骨に罅が入った』だけであり、怪我の処置を施された後に収容所に其の身柄を送られていたのだ。
収容所とは言っても、不法滞在の外国人を強制送還するまでの期間収容している施設なので、部屋から自由に出る事が出来ない以外の不自由はないが。
其の収容所でアスランはぼんやりと考えていた――親友であるニコルを目の前で殺された怒りのままにキラのストライクと戦い、最終的には『自爆』をもってしてストライクを討つに至った訳だが、本当にそれで良かったのかと。其れが正しい選択だったのかと、そう自問自答していたのだが、『ザフト軍の兵士としては正しい選択だった』と無理矢理自分を納得させていた。そうでもしないと親友だった人物を、怒りの感情に呑まれていたとは言え自らの手で討ったと言う事実に精神が耐えられなかったのかもしれないが。


「……入るぞ。」

「君は……」


其処にやって来たのはカガリだった。
収容所の職員から『収容したパイロットが目を覚ました』と聞いたカガリは、イージスのパイロットがアスランである事を知っていたので直ぐにやって来たのであった。


「久しぶりだな、アスラン。」

「カガリ……君か。」

「……アークエンジェルと戦ったんだろう?其の戦いはどうなったんだ?」


やって来たカガリにアスランは先の戦いの詳細を話した。
激しい戦闘の末に、自身がイージスを自爆させてキラを殺した事も。

其れを聞いたカガリはアスランに掴みかかった――アフリカでの一件で共に戦ったキラが、孤島で一夜を過ごしたアスランによって殺されたと言う事が納得出来なかったのだろう。


「どうして……キラは、お前の親友じゃなかったのかよ!」

「アイツはニコルを殺した!
 ピアノが好きで、まだ十五歳で、其れでもプラントの為に戦っていたアイツを!」

「キラだって守りたいモノの為に戦っていただけだ!それなのにどうして死ななきゃならない!それも親友のお前に殺されて!!」

「敵なんだ、今のあいつはもう!なら倒すしかないじゃないか!!」

「ふざけるな!!殺すから殺して、殺したから殺されて、その繰り返しで世界は本当に平和になるのかよ!!」


カガリの言っている事は只の理想論ではなく、アフリカでレジスタンスとして活動していた経験と、其の後オーブまでの道のりをアークエンジェルの一員として戦った経験があったからこその重さがあった。
戦闘に於いては相手の命を奪った経験が無いカガリだが、其れでも命懸けの戦場に出ていたのは事実であり、だからこそ『殺し殺される』が繰り返される戦争と言うモノの存在に疑問を抱いていたのである。

そんなカガリの叫びにアスランは答える事が出来なかった……殺し殺され、憎しみが憎しみを呼ぶ負の連鎖しか生まない戦争、その戦争の果てに世界が平和になるとはアスラン自身も思えなかったからだ。
だが其れでもアスランは軍人であるが故に戦う事を辞める事は出来なかった――ザフトを退役すれば戦わずに済むが、此処で戦う事を辞めてしまったら戦場で散って行った仲間達に申し訳が立たないと考えており、自分の命が戦場で散る、或いは終戦まで戦い続ける事が己の義務であると考えているのだ。


其れから数日後、ザフトのカーペンタリア基地からアスランの身柄を引き取るための部隊がオーブに到着し、アスランも収容所から出て迎えの部隊が待つオーブ軍の施設へとやって来ていた。
軍空港にあるザフトの空挺が迎えの部隊なのだろう。
出国の為の簡単な手続きを終えたアスランだったが、迎えの部隊に向かおうとしたところで軍空港へと続く扉の前でカガリと出会った――いや、カガリが此処でアスランを待っていたのだ。


「カガリ……見送りに来てくれたのか?」

「それもあるが、お前に此れを渡しておこうと思ってな。」


カガリはポケットから何かを取り出すと其れをアスランの手に握らせた。
其れはカガリが大切にしていた、オーブでは『守護のお守り』とされている翡翠と見紛うほどの美しい翠色が特徴の『ハウメアの護り石』だった。


「此れは……?」

「ハウメアの護り石……お守りみたいなものだが、お前に渡しておく。……せめてお前は生きろアスラン。生きて、世界を平和にしてキラに報いろ……そうすればお前がキラを討った事も、ただの戦争の遣る瀬無い犠牲ではなくなるだろうからな。」

「カガリ……そうだな。
 こうして生き残ってしまった以上は、泥を啜ってでも生き延びて戦争を終わらせて、世界を平和に導く事が使命だな……なら、俺には何が何でも生きる義務があるか。」

「そう言う事だ……達者でな、アスラン。」

「お前もな、カガリ。」


ハウメアの護り石にはカガリの『もう誰も死んでほしくない』との願いが込められていた……戦争が続く限り其れは無理な話なのだが、其れでもアスランは『自分は生きねばならない』と思う事が出来ていた。
そうして迎えの空挺にやって来たアスランだったが――


「貴様ぁ、自爆などしよってからに此のバカ者がぁ!
 隊長不在となったら俺達はどうなる!ニコルが死に、カタナとディアッカは捕虜となり、その上でお前まで居なくなってしまったら部隊は立ち行かなくなるだろうが!……良く生きていてくれた、アスラン!」

「イザーク……心配をかけたな。」


空挺に搭乗した瞬間にイザークから耳が痛い一言を貰う事になった。
迎えの部隊にはイザークとカンザシも同行していたのだ。


「心配していた訳ではないが、貴様が死んでしまったらザフトにとっては大きな損失だと思っていただけだ――貴様のモビルスーツのパイロットとしての腕前はザフト内でも五指に入ると言われているからな。」

「そう言っても、実はプラントからカーペンタリア基地に『アスラン生存』の報告が入るまでイザークはアスランの安否を気にかけてて食事も碌に摂る事が出来てなかったんだけどね……男のツンデレは微妙。」

「カンザシィ、貴様余計な事を言うな!!」

「まぁ、そんな不器用なところも好きな訳ですけども。」

「グハァ!?……お前、其れは反則だろう……!!」

「……此の感じ、戻って来たんだって実感するな。」


更にイザークとカンザシの夫婦漫才(?)が展開され、其れを見たアスランはザフトに戻って来た事を実感しているのであった――そして、アスランを引き取った空挺はオーブを発ってザフトのカーペンタリア基地へと帰還するのだった。








――――――








「イッ君とカタちゃんは出会ったけど、此れでやっと第一段階終了って所だね。
 キー君がフリーダムを、アー君がジャスティスを手にする事は確定してる……だけど本番は二年後だ。その本番に向けてイッ君とカタちゃんの専用機を作らないとだね。」


コズミックイラの世界の何処かにあるラボにて束はイチカとカタナが出会った事に満足しながらも、『本番は二年後だ』と言って、その際に必要になるであるイチカとカタナの専用機の設計図を作っていた。
『専用機を作らないと』とは言いつつも、タバネは機体其の物を作らずに、設計図のみを作って第三者に其れを送って作らせる心算だったのだ。


「それにしても世界が無限に存在してるって事は分かってたけど『ガンダムが存在する世界』だけでも数えるのが面倒になるくらいに存在してるんだね?
 此のコズミックイラだけじゃなく、西暦が続いてる世界にユニバースセンチュリー、アドステラその他諸々……だからこそ、新型の参考になる機体の数も多いんだけどね――イッ君とカタちゃんの新型専用機は此れをベースにしようかな?」


タバネはノートパソコンサイズのスーパーコンピューターを起動するとあっという間にイチカとカタナの新型モビルスーツの設計図を書き上げてそれをプリントアウトする。
その設計図にはイチカの専用機として『キャリバーンフリーダム』、カタナの専用機として『シュバルゼッテジャスティス』と記されているのだった――











 To Be Continued