Side:一夏


俺も、鈴も、マリアも実技試験では試験官を倒した――鈴やマリアと比べたら、俺は少し苦戦した事になるんだが、そうであっても勝つ事が出来た
からな……後は夏姫姉が勝ってくれればミッションコンプリート!……少し違うか?
でもまぁ、相手が山田先生以上でない限りは、夏姫姉の勝利は絶対だ……って、そう思ってたのに、夏姫姉の相手は教師じゃないのか!?
てかあれって、専用機だよな絶対に!?



「専用機で間違いないわ一夏。
 夏姫の試験官の名は『更識楯無』……新年度からの生徒会長にして、学園最強の肩書を持ち、更には自由国籍を取得して、日本人でありなが
 らロシアの代表になったほどの強者よ。」

「マジで!?」

「大マジよ一夏。
 何だって夏姫の相手を生徒会長様が直々にするのかって言うのは興味があるけど、こればかりは聞いても答えてくれ無いと思う~~……てか
 逆に言うなら、其れ程の実力者が出て来たって事は、夏姫ってば可成り注目株って事よね?」



確かにそう考える事も出来るかもだが、何にしてもあの人の実力は相当だぜ?……若しかしたらスコールさんに匹敵するかもだ。
俺でも感じ取れる試験官の闘気はマジモンだしな――此れ程の人が相手だってのは、夏姫姉でも苦戦するのは間違い無いかもだぜ。

でも、負けるなよ夏姫姉?――俺達は信じてるぜ、苦戦しても夏姫姉は最後には勝利を捥ぎ取るってな!!











Infinite Breakers Break7
『IS学園入学試験3~相手は学園最強~』










Side:夏姫


アタシの実技試験官が現役の生徒で、しかもIS学園の生徒会長だとはな……一体如何言う基準で試験官を選んでいるのか、学園長に小一時間
程問い詰めたい所だぞ本気で。
だがしかし……『更識楯無』か――名前を聞いて思い出したが、自由国籍を取得してロシアの代表になった人だったな?其れを考えると、実力的
には、試験官としては申し分ないと言う事か。

尤も、他の試験官と違って専用機を使ってる訳だから、その時点で比較にならないのかも知れないけどな。

「だが、なんでアタシの相手は教師でなく、お前なんだ更識楯無?」

「あらあら、おねーさんの方が歳上なんだから敬語や敬称を付けるべきだと思うんだけどなぁ、夏姫ちゃん?」

「年上とは言っても、高々1つ位だろう?その程度の差など誤差の内だ。
 そもそもにして、お前とてどちらかと言うと、堅苦しく接されるよりもフランク――と言うか、普段通りの態度で接して貰う事を好むタイプだと思うか
 らな……敬語も敬称も不要と判断したまでだよ。」

「あら、観察眼は中々のモノみたいね?おねーさん感心よ。」



まぁ、色々有ったんでなアタシも。
……両親の遺産目当てで近付いて来る輩をこれでもかと見たせいか、自然と人の本質を見抜く力がついたらしい――その事に関してだけは、ア
イツ等に感謝してもいいかもな。
で、改めて聞くが、なんでお前がアタシの試験官なんだ楯無?



「そうねぇ?強いて言えば、興味が湧いたのよ、貴女に。」

「アタシに興味が湧いただと?」

「えぇ、其の通り。
 一夏君の事を発表するISRIの会見は、私もテレビで見ていたのだけれど、最後の最後で起きたハプニング――あの時の貴女達の動きで、興味
 を持ったと言えば良いかしら?」



あぁ、アレを見ていたのか?
だが、どうしてそれが興味を持つ事に繋がる?……あの程度の事は出来て当然じゃないのか?



「いいえ無理ね。
 アレは余りにも突然すぎた。普通なら驚き、動く事すら儘ならないし、よしんば動けたとしても咄嗟に身を守る行動をとるのが普通なの。
 にも拘らず、貴女達は身を守るよりも、ISを部分展開して襲撃者の四肢を撃ち抜いた――此れは、国家代表レベルのIS操縦者でも出来る事じゃ
 ないわ。
 咄嗟にあんな事が出来るのは――実際に実戦での経験があるかどうかは兎も角として、『人を殺す為の戦闘訓練』をしている者だけよ。」

「!!」

成程、そう言う事か。
まぁ、其処まで分かっているなら隠す事も無いだろうが、確かにアタシを含め、ISRIの企業代表4名は『戦場戦闘』、お前の言う通り『人を殺す為の
訓練』を受けているよ。



「あら、あっさり認めちゃうんだ?でも、何の為に?」

「あの時の事が答えだな――どんな事が起きても、冷静に対処する事が出来るようになる為さ。
 お前の言う通り、その訓練をしていなかったら咄嗟に迎撃は出来ずに、若しかしたら一夏はあの馬鹿女に殺されていたかも知れないからね。」

まぁ、本当は亡国企業のエージェントとして、違法研究施設や、ISを持っているテロ組織を壊滅させるために必要だったからなんだがな。
だが、だからと言って如何してアタシだけに興味を持つ?一夏も鈴もマリアも、同じ訓練を受けていると言うのに。



「そうねぇ?……此ればっかりは、一夏君達よりも貴女の事が気になったとしか言いようがないわ。
 一夏君も、鈴ちゃんも、マリアちゃんも確かに強いし、あのハプニングの時にも的確に動いてたけど、その中でも私の目に留まったのが貴女だっ
 たのよ夏姫ちゃん。
 若しかしたら、貴女に惚れちゃったのかもね?」

「IS学園の生徒会長様に惚れられると言うのは光栄だな。」

アタシに興味が湧いたのは、単純にお前の琴線に触れたと言う事か。
これは誇っても良いかも知れないな?――何せ、日本の『対暗部用暗部』、日本版のカウンターテロユニットとも言える『更識家』の現当主様の琴
線の触れたのだからね。



「――!其れを知っていたの?」

「驚く事でもないだろう?
 今の時代、情報はネットワーク上に氾濫してると言っても過言じゃない――まぁ、国家の重要機密に関する事は厳重なプロテクトが施されている
 が、其れでもそれは万全じゃないだろう?
 やりようによっては情報を引き出す事は出来るんだ――だから、更識の事も知っているさ。生憎とISRIには、優秀なIT技術者がいるのでね。」

「更識と言う名前からバレちゃってた訳か。」

「その通り。」

まぁ、更識だけならパンチ力に欠けるが、お前がさっき言った『人を殺す為の訓練』が決定打だったぞ楯無。
アタシ達の反応を異常だと言う事は幾らでも出来るが、だからと言ってその反応が何によって培われた物なのかを断定するのは難しい――断定
するには己も同じような経験をしていないと無理だ。
だから、お前も経験してるんだろう、『人を殺す為の訓練』と言うのを。



「……否定しないし、出来ないわね此れは。
 貴女の言う通り、私も『人を殺す為の訓練』を受けているわ……だからこそ、貴女と直接やり合ってみたい――其れが私が試験官に志願した理
 由よ。」

「アタシと戦うために試験官になったのかお前は。」

なら、楽しみだな?
アタシと同類の人種である更識楯無が、試験官だったと言うのは、ある意味で最高だったのかも知れん――出会ってから10分と経ってないが、
楯無は、少なくても悪人ではないだろうからね。

だが、アタシと戦うために試験官になったのだと言うのなら、其れには応えないとな――悪いが本気で行かせて貰うぞ楯無?……落とされても文
句は言うなよ?
先にダンスを誘って来たのはそっちなんだからな。








――――――








No Side


ISRIの企業代表4人が挑んだ入試試験は、実技の最後の最後で『学園最強』と言われる生徒会長『更識楯無』が現れると言う事態になってはい
たが、其れでも試験は順調に進んでいた。


『試験開始。』


最後の試験となる、夏姫vs楯無の実技試験の開始が告げられ――


「疾っ!!」

「せいや!」



――ガキィィィン!!


其れと同時に、アリーナの中央で夏姫と楯無が激突した。
夏姫はラケルタビームサーベルを、楯無は蛇腹剣ラルティーネイルを使用しての鍔迫り合いが行われているのだ。
本来ならば、実体剣であるラスティーネイルでは、ビームサーベルとの鍔迫り合いを行う事は出来ないのだが、楯無は自身の専用機である『ミス
テリアス・レイディ』の機体特性を使い、ラルティーネイルに、ナノマシンで構成された高密度の水のヴェールを纏わせる事で、鍔迫り合いを可能に
していたのだ。


「実体剣に水を纏わせる事でビームサーベルを受け止めたか……流石だな?」

「貴女は光、私は水。互いに無形の物をこうして固定化させて近接戦闘を行っているのだから、常識外れも良い所よね?」

「その意見には賛成、だ!」


その鍔迫り合いを皮切りに始まったのは、目で追うのが困難な――ともすればISのハイパーセンサーであっても捉えきれるかどうかと言うレベル
の激しい剣戟だ。
刀身の重量が0であるビームサーベルを振るう夏姫の方が攻撃スピードは上だが、刀身に質量がある分だけ楯無の攻撃の方が重い――詰まる
所、総じて戦えば略互角。
夏姫が素早い連撃を繰り出せば楯無は其れを的確にガードし、夏姫の攻撃の僅かな隙に楯無が打ち込めば、其れはシールドで防がれる。この
攻防だけならば、モンド・グロッソの決勝戦にも引けを取らないだろう。


「それにしてもやるわね夏姫ちゃん?
 あの時の射撃の正確さから、貴女は射撃戦の方が得意だと思っていたのだけど……」

「まぁ、確かにアタシは射撃戦の方が得意だが、近接戦闘が苦手な訳じゃない。
 其れに、相手の実力を把握するには、射撃戦を行うよりも、近接戦闘でガチンコを行った方が分かり易い――元来人間は、近接戦闘を得意とす
 るハンターだったのだからな。」

「そうね、確かに其の通りだわ!
 でも、そう言う事なら互いに相手の実力は分かったと言う事になるわよね?……なら此処からは――」

「あぁ、文字通りのセメントだ!」


だが、その剣戟は唐突に終わりを迎える。
楯無が繰り出したランス『蒼流旋』の攻撃を躱した夏姫は、腰部のレール砲を発射すると距離を取り、そのままルプスビームライフルを用いての射
撃戦へとシフトする。

無論楯無とて簡単にはやられず、レール砲での一撃を、咄嗟に水のシールドでガードすると、夏姫の射撃に対して、蒼流旋に搭載された4門のガ
トリングガンで対抗する。

だが、機体に搭載されている火器に関しては、フリーダムの方がミステリアス・レイディよりも遥かに多い。
ミステリアス・レイディに搭載された火器が、基本蒼流旋の4門ガトリングガンだけなのに対し、フリーダムに搭載された火器は、頭部の4門のバ
ルカン砲、ルプスビームライフル、腰部のレール砲2門、背部のバラエーナ2門と圧倒的なのだ。
セーブモードでの起動では頭部のバルカン砲は使えないとは言え、其れでも個別に使用できる火器が5つ存在している時点で、4門のガトリング
ガンが1本のランスに搭載されているミステリアス・レイディとは比較にならないのである。

だからと言って射撃戦になれば夏姫が圧倒的に有利かと言えばそうではない。
ミステリアス・レイディはナノマシンで構成される水を扱う事の出来る機体である為、水のシールドは勿論ながら、やろうと思えば本体や武器から
水の弾丸やウォーターカッターを発射する事も出来るからだ。

だが其れでも射撃戦は夏姫のステージであるのは否めないだろう。
と言うか、夏姫の射撃戦は、一般に知られている射撃戦とは異なる物なのだ――射撃戦と言うのは本来、遮蔽物を盾にして行う物であり、ISを用
いた戦闘の場合は、シールドで相手の攻撃を防ぎながら行う物である。
そして、必然的に射撃型のパイロットは、2人以上で戦う場合には後方支援担当になる場合が殆どなのだが、夏姫の戦闘スタイルは、その常識
を覆す物――夏姫は決して足を止めず、動き回りながら正確な射撃を行っているのだから。

言葉にすれば簡単な事だが、動きながら正確な射撃をすると言うのは可成り難しい事だ。
停止射撃ですら正確に撃ち抜くのは難しいと言うのに、動きながらの行間射撃で正確な射撃を行うと言うのは、最早神業に近い――否、1~2発
ならば兎も角、其れを連射すると言うのは並大抵の事ではない。

だが、夏姫は其れをいとも簡単にやってのけているのだ――無論、其れが出来るようになるまでは可成りの苦労をした訳だが。
つまり夏姫は、これまでの射撃型の概念を覆す存在――『足を止めずに正確な射撃を行える、単騎で戦えるガンナー』とも言うべき存在なのであ
る。(マリアは空間制圧型なので除外するが。)

この戦い方に楯無は素直に驚いてた。


「(強い……私が思っていた以上に!!
  アレだけの高速軌道を行いながら、この正確な射撃……私の目に狂いはなかった!夏姫ちゃん、貴女はやっぱり最高よ!!)」


と同時に、その顔には笑みが浮かんでいた。己と互角以上に戦える力を持った強者と見える事の出来た『歓喜の笑み』が。

楯無はハッキリ言って可成り優秀な人物だ。
若干16歳でカウンターテロ組織である『更識』の当主を務めている事からも、其れは疑いようもないが、同時に彼女に勝てる人間等、同世代はお
ろか、大人であっても中々存在しなかった。
まぁ、其れは楯無が『楯無』を襲名する以前から続けて来た鍛錬の賜物であるのだが、皮肉にもそのせいで彼女は強くなり過ぎた――妹のため
に、最強である事を誓った彼女からすれば、其れは喜ぶべき事なのだろうが、同時に競い合える相手がいなくなってしまい、少々退屈していたの
だ。(己の従者である虚でも、楯無に勝った事は無い。)

其処に現れた自分と互角以上に戦える夏姫の存在に歓喜しても不思議は無いのである。


「ふふふ……ホントに最高ね!もっと私を楽しませてくれるかしら夏姫ちゃん?」


何時しか楯無の顔からは、普段の飄々として人を喰ったような雰囲気は消え去り、真剣な『戦う者』としての表情に変わっている。


「ふ、良い顔だな楯無?
 さっきまでの飄々とした表情も嫌いじゃないが、その真剣な顔の方が、アタシ好みだ!」


其れを見た夏姫も、獰猛な笑みを浮かべ、楯無を攻め立てる!
今やアリーナは完全に『モンド・グロッソの決勝戦?何それ美味しいの?』と言わんばかりの超人級の戦いが繰り広げられていた――射撃戦を行
っていたかと思えば近接戦に移行し、しかし少しでも目を離そうものなら次の瞬間には射撃戦に切り替わっていると言う、正に目を離す事が出来
ない戦いが繰り広げられているのだ。

正に一進一退!
このまま行けば泥仕合だが――そんな状態の中で先に切り札を切ったのは楯無だった。


「ねぇ、夏姫ちゃん少し蒸し暑いと思わない?」

「何だ、藪から棒に?――確かに少し蒸し暑いかも知れないが……」

「そうよねぇ?……だから、少し快適にしましょうか?クリアパッション!!



――バガァァァァァァァン!!!



瞬間、凄まじい水蒸気爆発が夏姫を襲う。
此れまでの戦いの中で空気中に散布していたナノマシンを霧状にして夏姫の周りに散布し、ナノマシンを発熱させる事で水蒸気爆発を起こすミス
テリアス・レイディの一撃必殺技とも言える『クリアパッション』。
流石の夏姫も、突然の水蒸気爆発には驚き、フリーダムは爆炎に包まれた。
そして、その瞬間に教師陣は夏姫の敗北を考えたが――


「PS化された装甲とシールドが無ければお陀仏だったな。」

「……流石にそう簡単には行かないか……」


爆炎が晴れた先に居たのは無傷の夏姫。
物理攻撃に対して無敵とも言えるPS装甲と、本体装備のシールドを使ってクリアパッションの一撃を完全に防いで見せたのだ。――だが、其れで
終わる筈もなく、夏姫は高速機動を持ってして楯無の側面を取ると、全ての火器を解放したフルバーストをブチかます!!

如何に水の盾があるとは言え、この攻撃を正面から受け止めるのは危険だ――ビームライフルとレール砲だけならば兎も角、バラエーナの攻撃
は、いとも簡単に水の盾を貫通するのだから。

だから楯無は、ギリギリで其れを回避するが、回避した先には夏姫が先回りしてビームサーベルで斬りつけてくる。
普通ならこれでゲームセットだろうが、楯無は超人的な反応速度でラスティーネイルを展開して、その攻撃をガードする……最早この戦いは、入
学試験のレベルを超えているだろう。


「おあぁぁぁぁぁぁ!!」

「ていやぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


そして、夏姫と楯無が何度目かの剣戟を行おうとしたその瞬間に――


――ビーー!


『タイムオーバー。ドロー!』


時間切れを告げるベルが鳴り響き、アナウンスから『時間切れ引き分け』が言い渡される。
其れに伴い、夏姫と楯無も自身のISを解除し、アリーナに降り立つ――不完全消化の試合であったにも関わらず、本人達は満足そうだが。


「灰色決着か……だが、此のままで終わると言うのは性に合わん……いずれ、お前とは決着をつけるとしよう楯無。
 だから、アタシがお前を倒すその時まで、誰にも負けてくれるなよ?」

「勿論その心算よ夏姫ちゃん。
 最強で居る理由が増えちゃったけど、まぁ悪い事じゃないからね?――貴女達が学園に来る日を楽しみにしているわ。」

「ふ、精々楽しみにしておけ。」


何方も一歩も退かぬ激闘を演じた夏姫と楯無は、相手を労う意味を込めてガッチリと握手を交わす。――と同時に、これにてISRIの企業代表の入
試試験は終了。

尚、夏姫と楯無が握手した時の写真はIS学園内で話題となり、新聞部の新年号外で大きく取り上げられる事になるのだが、其れはまた別の話。
何れにしても、ISRIの企業代表4人が合格するのは間違い無いだろう。







――――――








Side:千冬


特別ハプニングなどは起きずに、ISRIの企業代表の入試試験は終わったのだが、試験から得られたデータに目を疑ったのは私だけではないだろ
うな……いや、これを驚かずに何と言うのだ?

実技試験ではIS適性も判断されるのだが……その結果がこれとはな……


・蓮杖夏姫:IS適性SS
・蓮杖一夏:IS適性S+
・凰鈴音:IS適性S+
・マリア・C・レイン:IS適性S+



こんな事は初めてだ……代表4人が揃いも揃ってオーバーSランクとは恐れ入る。
――だが、如何して此れだけのIS適性を持った者達が?オーバーSの適性を持った操縦者など、数える程しか居ないと言うのに。

……一夏と夏姫に関しては、裏で束が何かしたと考える事も出来るが、鈴とレインのIS適性の高さは異常としか言いようがない――一体どんな訓
練をしたら、此処までのレベルになると言うんだ?……考えるだけ徒労だな此れは。

……如何やら来年度は、例年以上に厄介事が多くなりそうだ……頼りにしているぞ山田先生?



「はい、任せて下さい先輩!」

「先輩ではなく、織斑先生だ。」

だが、お前達がIS学園に来るのは歓迎するぞ夏姫、一夏、鈴、レイン――若しかしなくても、お前達と言う存在は、IS学園に良い意味で一石を投
じてくれるだろうからな。

ふふ、楽しみにしているぞ。







――――――








Side:夏姫


IS学園での試験から2週間……アタシ達は見事IS学園に合格し、晴れてIS学園の生徒としてあの場所に通う事が出来る訳だが……心の準備は
出来てるかお前達?



「愚問だな夏姫姉……心の準備なんて、とっくに出来て居るぜ!」

「右に同じ!一夏が心を決めたってんなら、アタシも心を決めるだけでしょ!!――だから、何時でも行けるわ夏姫!」

「言われずともよ夏姫……さぁ、行くとしましょう?」

「だな。」

準備が出来ているようで安心したよ――なら、少し早いがIS学園の存在してる孤島に向かうとするか。――行くぞ!!



「オウよ!!」

「全力全壊ね!」

「私達の力、IS学園に轟かせましょう夏姫。」

「あぁ、無論その心算だ!束さんも『好きにやってくれていい』って言ってたからな――何にしてもIS学園での生活は退屈し無さそうで安心したよ。
 堅物や女尊男卑の奴が居ないとは行かないが、それらは淘汰されて行くだろうしな。」

結局最後に残るのは常識人と言う事なのかも知れないがな。――何にしても、此処からがスタートラインなんだろうな。











行くぞ、IS学園に――!!












 To Be Continued… 



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