生徒会主催の『一夏組vs陽彩組』のISバトルの初戦は、刀奈が圧倒的な実力差を見せ付ける形で箒を下した……箒の専用機が二次移行してた事に驚き、期待した
ギャラリーは少なからず居たみたいだが蓋を開ければ刀奈の圧勝だったので、客席からは落胆の溜め息も聞こえていた。――特に大穴狙いのギャンブラーにとって
は行き成り幸先の悪い結果になったのだから当然かもな。……大穴狙わずに堅実に行けよってのは言うだけ無駄だろうなギャンブラーには。


「篠ノ之箒が束博士から直々に専用機を貰ったとの事だったので、彼女を日本の代表候補生にとの意見もあったのだが……今の試合を見る限り、代表候補生どころ
 か、試験生にもならないな?
 元代表候補だった君は如何考えるね?」

「言うまでもなく彼女にその資格はないと思いますわ会長。
 彼女が戦った更識刀奈は日本の国家代表の中でも特出した実力の持ち主ですが、其れを考えても篠ノ之箒の実力は余りに低いと言わざるを得ません……一ポイ
 ントもシールドエネルギーを削る事すら出来ずにパーフェクト負けとは、幾ら何でもないですよ。」

「君もそう思うか……では、篠ノ之箒の代表候補生への登録は白紙にと言う事で良いか。
 ――あの程度の存在を代表候補生にしては、我が国の品位を疑われてしまうからね。」


客席でこんな話をしているのは、国際IS委員会の日本支部の会長とその秘書である女性だ――箒が束から直々に専用機を貰ったと言う事は、臨海学校後に束がY
ouTube上で暴露してくれたので世界に知られる事になり、其れを知った日本は箒を代表候補にしようとしたのだが、其処はIS委員会日本支部の会長が、『待った』を
掛け、箒の実力を見極めてからと言う事になり、そしてこの学園祭で箒の実力を見る事になり、束の妹と言う事で多少は期待する部分もあったのだが……しかし、蓋
を開けてみれば箒の実力はお粗末其の物で、日本の国家代表最強と言われている刀奈が相手だったとは言え、シールドエネルギーを1ポイントも削れずにパーフェ
クト負けと言う結果で終了。
こんな結果では、代表候補生の話が白紙になるのは仕方無いと言えるだろう――代表候補生とは言え、生半可な実力で務まるモノではないのだから。


「此の世界の刀奈も中々やるな?」

「そうね……ナノマシンを使っての凍結だなんて、私も思いつかなかったわ。」


其れとは別にこの試合を観戦していたナツキとカタナは今の試合に素直に感心していた――実力で言えば刀奈よりもカタナの方が上なのだが、刀奈はカタナですら
思い付かなかったナノマシンの使い方をしたのだから、感心するのなってのが無理だけどな。
因みにナツキとカタナはミラージュコロイドを利用して空から学園内に入り、更にナツキは髪を金髪に染めて伊達眼鏡をはずし、カタナは髪を黒に染めて伊達眼鏡を装
備しているので、刀奈と夏姫に間違われる事は無いだろう。
髪の色と眼鏡の有無だけで人の印象ってのは可成り変わるモノだからね。


「この試合、一夏君達が全勝するのは当然だけれど……彼が何かやらかしそうな気がするんだけど、如何しましょうかナツキ?」

「一夏の命に危険があれば介入するが、そうでない場合は手は出さない方向で行こう――尤も、奴が何かしたら此の世界の束さんが奴を断罪しそうな気がするから
 な……アタシ達の介入は束さんの沙汰次第と言う事にしておこう。其れが良いだろうカタナ?」

「そうね、その方向で行きましょうか。」


不死者として数多の世界を旅してきた彼女達から見ても、陽彩と言うのは可成り特殊な人間に見えるのだろう――其れでもギリギリまで介入しないと言うのは、此の
世界に与える影響を最小限にしたいと言う彼女達の想い故だろう。


「次はヴィシュヌとラウラか……私達の世界のラウラならば良い勝負になっただろうが……」

「此の世界のラウラちゃんじゃ勝つのは難しいでしょうね……」


気絶した箒がタンカで運び出され、刀奈が自チームのベンチに戻った後でフィールドに出て来たのは一夏組がヴィシュヌで、陽彩組がラウラと言う、タッグトーナメント
前の因縁がある組み合わせだ。
タッグトーナメント前は公式戦では使用が禁止されている閃光弾を使った反則で遅れを取ったヴィシュヌとグリフィンだったが、逆に言えば反則技を使わなけばヴィシ
ュヌもグリフィンもラウラをフルボッコにしていた事だろう。


「カタナ、ラウラはドレだけ持つと思う?」

「そうね……十分持てば上出来じゃないかしら?」

「だよな……」


ナツキとカタナはこの試合はラウラが十分持てば上出来と予想したが、果たしてどうなるのか?……刀奈の見事なパーフェクト勝ちの余韻が残るフィールドにヴィシュ
ヌとラウラが現れ、第二試合もそろそろと言った感じだな。










夏と刀と無限の空 Episode47
『Still More Fighting~更に戦う者達~』










フィールドに現れたラウラは早速専用機を展開して身に纏うが、其れはドイツが開発したシュヴァルツェア・レーゲンとは似ても似つかないモノだった――装甲が存在
してる場所は箒と同じだったのだが、その装甲は黒く染まり、その背には二振りの剣を搭載した独特なバックパックが。
陽彩によって強制的に二次移行させられたラウラの機体は、ストライク・ノワールになったらしい。


「貴様、さっさとISを展開しろ!!」


それに対してヴィシュヌは機体を展開せずに、ラウラの機体を観察し、ラウラに言われて漸く動く――両腕を交差させてから大きく開き、胸の前で両手を合わせてから
独特の印を結び、最後に左手を腰で構えて右手を左上から右下に鋭く切る。


「行きますよ、フェニックス!」


キレッキレのポーズを決めて専用機を装着完了!!
そして其れだけではなく、ムエタイの試合前に選手が行う独特な舞踏の様な仕草まで披露してくれたのが、実は此れは舞踏等ではなく、地面やリングに対戦相手の
名前を足で書いて、其れを踏みつけると言う挑発行為だったりするのである。
此れだけでも十分な挑発なのだが、其れだけでは終わらずにヴィシュヌは更にジャブ×2→アッパーのシャドーを行った後に人差し指をラウラに向けて、『掛かって来
いよ』と言わんばかりの動作をする。
こんなあからさまな挑発行為は、普段のヴィシュヌだったら絶対にやらない事なのだが、タッグトーナメント前の一件で因縁のあるラウラに対しては、如何にタッグトー
ナメントで一夏と刀奈がキッチリやってくれたとは言え思う所があるので、挑発をせずには居られなかったのだろう。
試合前に冷静な判断力を奪っておこうと言う思惑もあったのかも知れないが。


「貴様……良いだろう、今度こそ叩きのめしてやる!」

「卑怯な手を使わなければ戦う事すら出来ない貴女に其れが出来るとは到底思えませんが……叩きのめされるのは貴女の方ですよラウラ・ボーデヴィッヒ。
 あの日受けた苦痛と屈辱、私だけでなくグリフィンの分も一緒に、熨斗を付けて返して差し上げます!」


加えてヴィシュヌは、あの時共にラウラに苦痛と屈辱を味わわされたグリフィンの分もキッチリ返す心算なのだ……二人分の苦痛と屈辱を熨斗を付けて返す=四倍に
して返すと言う事なのだろう。四倍なんて言わずに、超サイヤ人ブルー+二十倍界王拳位に倍加して返しても良いと思うけどな。ヴィシュヌは腕折られてる訳だし。


「其れでは第二試合、ヴィシュヌ・イサ・ギャラクシーvsラウラ・ボーデヴィッヒ!デュエル、スタートォ!!」


若干間違っているが大間違いと言う程は間違っていない夏姫の試合開始コールによってヴィシュヌとラウラの試合がスタート!
開始と同時にヴィシュヌはバックジャンプで距離を取りながら、クラスター・ボウを放ってラウラを牽制……ではなく、無数のエネルギーの矢をラウラに放つと言う牽制と
かではない攻撃を敢行!
『拡散弓』の名を冠するクラスター・ボウは、本来は複数の矢を放射状に放って回避が難しい広範囲攻撃を行う武装なのだが、実は複数の矢を一点に集中して放つ
事も出来るのである。


「ちぃ、小賢しい!」


ラウラはその矢をビームライフルショーティーとバックパックのリニアガンで撃ち落とす……腐っても鯛と言うべきか、流石に現役軍人だけに此れ位の事は簡単に出来
るみたいだが、全ての矢を撃ち落とした時にはヴィシュヌの姿はなかった。


「遅いですね。」

「!!」


ラウラが矢を撃ち落としている間に、ヴィシュヌはイグニッションブーストでラウラの背後に回り、そして脚部にビームブレードを展開した状態で強烈なムエタイ式回し蹴
りを背中に喰らわせてバックパックを破壊する!
とは言え、破壊されたのはバックパックを本体にマウントするターミナル部分なのでバックパックに搭載されている二本のブレードは使用可能だ……機体本体にはマ
ウント機構が無いので、使うにしても可成り勝手は悪くなるが。


「卑怯な手を使わなければ所詮はこの程度ですか……あの時後れを取った己を恥じますね。」


この先制の一撃を皮切りにヴィシュヌの猛攻が始まり、母親仕込みのムエタイの技でラウラに無数の拳と蹴りと肘と膝が叩き込まれて行く……ISバトルでは非常に珍
らしい格闘戦だが、此れこそがヴィシュヌの得意な戦い方なのだ。
祖国のタイでは、ムエタイ以外にも神事で行う剣を使っての演舞なんかも習っていたので剣を使った戦いも出来るのだが、矢張り真骨頂は格闘戦なのがヴィシュヌと
言えるのだ。


「此れはグリフィンの分です!」


更にヴィシュヌはラウラの水月に掌底を叩き込むと、その腕を上に振り抜いてアッパー掌底を叩き込む!此れはムエタイの技ではなく、グリフィンが使うブラジリアン柔
術の技だ――グリフィンの分も返す為に、慣れないブラジリアン柔術の技も使う所にヴィシュヌなりの拘りを感じると同時に、此れは中々の魅せ要素だろう。


「ギャラクシーさん、ムエタイだけじゃなくてブラジリアン柔術も使えるのかよ!ムエタイとブラジリアン柔術のハイブリット……ギャラクシーさんはISバトルだけじゃなく女
 子プロレスでもスターに成れる気がして来たんだが如何思うかな妹よ?」

「ごめんお兄、私格闘技よく知らないからコメント出来ない。」

「それな。お前も一度見て見ろって。一流選手のプロレスを見たらぜってーハマるぜ?特に武藤さんの試合とかマジ神だから!シャイニング・ウィザード最高だぜ!」

「シャイニング・ウィザードってあれだっけ?」


観客席で弾が盛り上がってる最中、ヴィシュヌはラウラに見事なシャイニング・ウィザードを叩き込んでダウンを奪う――夏休みの温泉旅行の際に偶然バスで一緒に
なったプロレスリングマスターからシャイニング・ウィザードの打ち方を教わっただけの事はあるわな。


「ぐ……調子に乗るな!!」


更なる追撃をしようとしたヴィシュヌだったが、此処でラウラがAICを発動してその動きを止める。
AICの発動には高い集中力が必要であり、ヴィシュヌにフルボッコにされていたラウラでは発動出来そうにもないが、其処は腐っても現役軍事なのでギリギリとは言っ
てもAICを発動するだけの集中力は維持していたようだ。


「ククク……捕らえたぞ?覚悟しろ、此処から始まるのは一方的な蹂躙劇だ――今度は腕だけでは済まさん。二度とISに乗れないように再起不能にしてやる!!」


AICで捕らえた事でラウラは勝利を確信し笑みを浮かべる――相手の動きを封じてしまえば一方的に攻撃出来るのだから勝利を確信しても仕方ないのだが、合同授
業で乱にAICを破られた事を覚えていないのだろうかコイツは?
覚えていないのならば只の馬鹿だし、自分に都合の悪い事は忘れるってんなら馬鹿未満の脳足りんで腐れ脳のクズだろう。乱の実力は高いが、ヴィシュヌは其れよ
りも上の実力者なのだからAICへの対抗手段は考えていて然りだろう。


「……」


身体は動かせないが呼吸は出来るので、ヴィシュヌは大きく息を吸い込むと……


「ヨガ……インフェルノ!!」

「!!!」


口から強烈な炎をラウラに放つ!――勿論、本当に口から火を吐いた訳ではなく、フェニックスの発火能力を応用した魅せプレイなのだが、行き成り強烈な炎を浴び
せられたラウラは集中力が切れてAICが解除される。
と同時に、ヴィシュヌが二連続の飛び蹴りからのジャンピングアッパーカットのコンボ……自身の母親が現役だった頃の必殺技を叩き込んでラウラをぶっ飛ばす!!


「ぐが……こんな、馬鹿な……!!
 貴様如きに此の私が負けるだと?そんな事があって堪るか……貴様如きに使う事になるとは思わなかったが、この目を使わせて貰うぞ!」


AICを破られた上で大ダメージを喰らったラウラは、眼帯を外してヴォーダン・オージュを開放!此れを開放すれば視野が大きく広がるだけでなく、相手の動きもより詳
細に分かるようになるので、可成りのアドバンテージを得る事が出来るのだ。


「だから何ですか?」

「げぴぃ!?」


だが、そんな事は全く関係なくヴィシュヌはラウラの顔面に拳を叩き込む……絶対防御のおかげで怪我はしてないが、絶対防御が無かったらラウラは前歯を一本たり
とも残さずに粉砕されていた事だろう。


「それが私に通じると思って居るのですか?生憎と私達はクラリッサと訓練を行っているので貴女が何をして来ても其れに対処する術は身に付けているんですよ。
 AICもヴォーダン・オージュも私達には通じません。」

「クラリッサとだと?
 だが、アイツは初期開発型のアドヴァンスド……後期開発型の私には及ばない筈だ!!」

「……本気でそう思って居るのならばおめでたいですね。
 クラリッサは確かに初期開発型のアドヴァンスドなのでしょうが、初期開発型と言うのは成果を得る為に開発コストは度外視して作られたワンオフの存在と言えるの
 ですが、後期開発型は初期開発型で得たデータをベースに生産コストを落として開発された量産品に過ぎません。
 貴女とクラリッサでは絶対的な差があるのですよラウラ・ボーデヴィッヒ。」


更に此処でヴィシュヌがラウラに精神的な揺さぶりをかけて冷静な思考を根こそぎ削り取る。
だが、ヴィシュヌの言う事は間違いではないのだ。生産コストを度外視して作られたプロトタイプが正式採用になった機体より高性能って言うケースは少なからずある
モノだからね……まぁ、同時に不具合を抱えてる場合も多いが。クラリッサの不具合……極度なオタク脳な部分だろうか?まぁ、誰にも迷惑は掛けてないから問題な
いだろうが。


「黙れぇぇ!!」


其れを聞いたラウラは激高し、二本のブレードのビームエッジ同士をぶつけてスパークさせ、その閃光で目潰しを行おうとするが、同じ手を二度も喰らうヴィシュヌでは
なく、目の前に炎の壁を作り出して閃光を遮ると、強烈な蹴り上げでラウラをアリーナの天井付近まで蹴り飛ばす!
更にクラスターボウの集中撃ちで追撃すると、ラウラは何とか体勢を立て直し、ビームライフルショーティの連射で対処するが、其処にイグニッションブーストで突撃し、
今度は炎を纏わせたフェニックスブレードを思い切り叩き付けてアリーナの床に墜落させる!……この時点でラウラの機体のシールドエネルギーは半分以下となって
居るが、シールドエネルギーが残ってる上にラウラの意識もある以上は試合は終わりではなく、ラウラもなんとか立ち上がる。


「お見せしましょう、ドゥルガー・シン・フェニックスの最終形態……ゴッドフェニックス!!」


だが、此処でダメ押しとばかりにヴィシュヌが機体の発火能力を全開にして全身を炎で包み込み、更にその姿を火の鳥――不死鳥へと変化させ、連続のイグニッショ
ンブースト、『リボルバーイグニッションブースト』で超絶加速してラウラに渾身のタックルを喰らわせる!
ISはマグマの熱や深海の水圧にも耐えられるので、炎を喰らっただけならば大した事は無いが、その炎の中心には固形のコアが有り、更に音速にも近い速度でブチ
当たって来たと言うのならば話は別だ。言うなればラウラが受けた衝撃は、小型の彗星が衝突したようなモノなのだから。


「ぐばがぁ!?」

「此れで終わりです……タイガァァ……ジェノサイド!!」


更に間髪入れずに、ヴィシュヌが跳び膝蹴り→ジャンピングアッパーカット×2のコンボを叩き込んでラウラのシールドエネルギーを0にする……ヨガインフェルノにゴッ
ドフェニックス、そしてトドメのタイガージェノサイド、一夏と撮った動画でプレイしたゲームの影響か、はたまたクラリッサが何か吹き込んだのか、ヴィシュヌにしては中
々にネタをぶち込んだと言えるだろう。


「そんな馬鹿なぁぁぁ……!!」

「私の……私達の勝ちです。」



○ヴィシュヌ(五分三十五秒 タイガージェノサイド)ラウラ●



見事にヴィシュヌが勝利を収め、此れで一夏組の二連勝!
逆に陽彩組は二連敗……其れも只の二連敗だっただけでなく、二試合続けてのパーフェクト負けに加えて、陽彩の嫁ズでは一番強いラウラがパーフェクト負けと言う
結果になったのだ。


「……何だか、学園に行く前よりも弱くなっている気がするなボーデヴィッヒは?
 黒兎隊の隊長からは既に下ろしたが、此れは国のIS委員会に国家代表資格の剥奪を進言した方が良いかも知れないな……彼女が国家代表ではドイツの品位が
 疑われてしまうからね。」

「中将、いっその事お姉様を国家代表にするのは如何でしょうか?」

「其れも良いかも知れないなマチルダ……この試合で結果を残してくれたら、ボーデヴィッヒの国家代表資格の剥奪を進言すると共に、ハルフォーフ大尉を国家代表
 に推薦しておくとしよう。」


観客席ではこの試合を見ていたドイツ軍のエドワードが、ラウラの国家代表資格を剝奪しようと考えており、同時にマチルダからの進言でクラリッサを国家代表にしよ
うとドイツのIS委員会に掛け合う事を決めていた。
其れとは別に、試合を見ていたタイのお偉いさん達の間では、ヴィシュヌを代表候補生から国家代表にしようと言う話が上がっていた――現役軍人のラウラを相手に
パーフェクト勝ちを収めたと言うのは強烈な印象だった様だ。


「一夏、勝ちましたよ!」

「おっと、見事だったぜヴィシュヌ!」


見事に勝利したヴィシュヌは、チームベンチに戻るなり一夏の胸に飛び込み、一夏も其れを確りと抱き留めて『勝利のハグ』を交わす……いやもう、ホントにラブラブだ
な一夏と嫁ズは。


「グリフィン、貴女の分も確りと返しておきましたよ?」

「サンキュー♪スカッとしたわ!」


ハグを終えたヴィシュヌはグリフィンとハイタッチを交わす――あの時同じ苦痛と屈辱を味わった仲だけに、ヴィシュヌはグリフィンの分も背負って戦い、グリフィンはヴ
ィシュヌに自分の想いを託してた訳だ。立場が逆だったとしても同じだったろうな。


さて、一夏組の二連勝で迎えた三戦目の組み合わせは『グリフィンvsシャルロット』だ。そして勿論出撃前のグリフィンの頬には一夏がキスしてる訳だわ。
シャルロットの機体は強制二次移行をされてないので、ラファール・リヴァイブ・カスタムⅡのままである……後発型の第二世代のカスタム機なので、2.5世代と言った
性能だが、二次移行したグリフィンの機体は第七世代と、機体性能差がハンパないのだ。

それでも試合が始まれば、シャルロットはお得意のラピッドスイッチを駆使して多種多様な攻撃を行ったのだが、グリフィンは其れを冷静に対処して接近し、アンロック
ユニットのダイヤモンドナックルと己の拳で超絶なパンチラッシュを叩き込んで一気に試合の流れを引き寄せる……六つの拳から放たれるパンチラッシュってのはジョ
ジョのスタープラチナの『オラオラ』をも越えてるだろう。
其れに加えてアイアンレインからのビーム攻撃も来ると言うのだから堪ったモノではない――圧倒的な地力の差と機体の性能差を実感したシャルロットは、自ら間合
いを離すと、両手を上げて降参の意を示してギブアップする。
此れで一夏組三連勝、陽彩組三連敗なのだが、実力差と性能差を見抜いて降参したシャルロットにも健闘を称える拍手が送られていた……無様に敗北した先の二
人とは違い、潔く敗北を受け入れた姿勢が潔い印象を与えたのだろう。――尤も、シャルロットは『勝てないなら、さっさと降参した方が印象悪くないよね』とか、『負け
ても二次移行機との戦闘データは入手できたから問題ないし』とか考えてたりするのだが、負けるにしても己の株を下げない事や己にとって利になる事を考えてる辺
り、何処までも腹黒く打算的だなコイツは。



○グリフィン(三分十秒 降参)シャルロット●



んで、勝利したグリフィンはこれまた一夏に抱き付いたのだが……無意識にサブミッションを極めていた。……全く意識せずともサブミッションが出てしまうとは、ブラジ
ル人の遺伝子に刻み込まれた喧嘩好きの因子恐るべし。
まぁ、一夏には簡単に外せるレベルのサブミッションであり、グリフィンには全く悪意はなかったので特に其れを咎める事はないが、其れだけじゃなく、一夏はサブミッ
ションを外すと同時に体を入れ替えてグリフィンをお姫様抱っこしてからベンチに下ろし、此れにまたも客席から黄色い歓声が上がる。
極上イケメンが極上美少女をお姫様抱っこするってのは、まるで映画のワンシーンみたいだから納得だけどな……此のお姫様抱っこで会場の糖度が更に上がり、ア
リーナで売り子をしてるスタッフの元にはブラックコーヒーを求める声が殺到したとかなんとか、知らんけど。
其れは其れとして一夏組が三連勝したと言う事は、この時点で陽彩が大将戦で勝つ以外に陽彩組が勝つ方法は無くなった訳である。

そんな中でビンゴマシーンが選出した第四試合の組み合わせは『クラリッサvs鈴音』だ。出撃前のクラリッサには、以下略!
鈴の機体も強制二次移行しているので外見が大きく変化している――箒とラウラの機体と同じ場所に装甲が存在してる他、其の手には巨大なバズーカが握られ、肩
からはこれまた巨大な砲身が見える……鈴の機体は強制二次移行でカラミティ・ガンダムになった様だ。
だがしかし、此れは失敗強化ではなかろうか?鈴は何方かと言えば近接戦闘型なので砲撃型のカラミティじゃなく、近接型のソードストライクやソードカラミティにした
方が良かったと思うのだが……陽彩には其処まで考えが回らなかったと言う事なのだろう。


「クソ、何で!何で当たらないのよ!!」

「狙いが大雑把なだけでなく、視線で何処を狙っているのかがバレバレだ……その程度の射撃と砲撃が現役の軍人に通じると思うな!」


試合が始まると、失敗強化だと言うのは直ぐに明らかになった。
カラミティは近接戦闘武器を一切搭載していない機体であり、鈴はあまり得意ではない砲撃戦を強いられる事になった訳だが、その攻撃は目標に向かって闇雲に撃
ちまくると言う酷いモノで、クラリッサは華麗に回避してイグニッションブーストで近付くと、シーリンキリンガーを一閃してシールドエネルギーを削る。
勿論其れで終わるクラリッサではなく、AICで鈴を拘束すると、アイアンクロー、ジャーマンスープレックス、アハトアハトの零距離砲と言った攻撃を叩き込んで鈴を追い
詰めていく。
公開処刑にも等しい攻撃だが、しかし一年二組からは大歓声が上がっている――今は一組に所属している鈴だが、夏休み前は二組に所属していたのだが、乱から
強引にクラス代表の座を奪い、そんな事をしておきながらクラス対抗戦で全敗した……にも拘らず偉そうにしていた鈴に、二組の生徒は相当な怒りを覚えていたって
訳だ――クラスメイトに此処まで嫌われるってのはある意味スゲェと思うけどな。


「此れで終わりだ……ハイデルンエンド!!」


その蹂躙劇も、最後にクラリッサがプラズマ手刀を鈴の機体に突き刺し、KOFのハイデルン教官の超必殺技を炸裂させシールドエネルギーをゼロにしてTHE END!



○クラリッサ(二分二十二秒 ハイデルンエンド)鈴音●



シャルロットがパーフェクト負けは回避したモノの、鈴もパーフェクト負けを喰らい此れで陽彩組は四試合中三試合でパーフェクト負けを喰らうと言う前代未聞となる不
名誉記録を打ち立てる事になったのだった。
そして、学園からの招待で学園祭に参加していた、中国の代表候補生管理官の楊麗々は重い溜息を吐いていた。


「相手が現役の軍人である事を差し引いてもこの結果は酷過ぎる……何よりもあの稚拙な戦い方は一体なに?得意でもない砲撃戦を仕掛け、その挙げ句に蹂躙さ
 れるとは、無様過ぎる。
 矢張り、凰代表候補生は国に戻して一から鍛え直した方が良さそうね……」


余りにも酷い鈴の試合内容に軽い頭痛を覚えながら、鈴を本国に召還して鍛え直す事を考えていた……此れだけ酷い試合を見せられたら、代表候補生管理官とし
てそう考えるのも無理ないわな。



試合後チームベンチに戻ったクラリッサは、『勝ったぞ』と言うと一夏の頬にキスをしてベンチに……一夏組では頬へのキスなんてのは最早挨拶のレベルなのかも知
れんな。そうじゃなかったら公衆の面前でキスなんぞ出来ないからな。

そして続く第五試合!
大将戦は一夏vs陽彩なので、必然的に第五試合はロランvsセシリアとなる訳だ。
既にセシリアは機体を展開しているのだが、矢張り強制二次移行をされた事で外見が大きく変化している――装甲が存在してるのは箒を始めとする他の陽彩の嫁と
変わらないのだが、一際異様なのが背部の円盤型のバックパックだ。
そのバックパックには円錐型のユニットが二つとボックス型のユニットが六つ――セシリアの機体はレジェンドガンダムになったらしい。……何でストライクフリーダム
じゃなくてレジェンドなのか?武装の多彩さよりも、BT兵器のビーム砲塔の多さを優先したとかそう言う事なのだろうか?まぁ、真意は陽彩にしか分からないだろう。
別に知りたくもないけど。


「……機体を展開しませんの?」

「ふふ、ISバトルはエンターテイメントでなければならないからね――機体の展開にも一工夫必要なのさ。」


其れは兎も角、ISを纏わずにフィールドに現れたロランはキレッキレの動きで『仮面ライダーナイト』の変身ポーズを決めて専用機を展開し、手にした槍をセシリアに向
ける。その姿は伝説の剣闘士其の物だ。


「エンターテイメントですか……確かに其れは必要ですわ。
 ですが、そう言うのならば少し付き合って貰いますわよロランさん……私とブルー・ティアーズが奏でる円舞曲に!!」

「円舞曲?其れは違うよオルコット嬢……此れから始まる戦いは君への葬送歌だ。
 だから精々綺麗に歌っておくれよ?此の場に集まったオーディエンスが望んでいるのは、君の悲鳴のソプラノと、呻き声のアルトなのだからね。」


互いに軽口を叩きながら始まった第五試合――決して『ダイゴ試合』ではない――は、先ずはセシリアがブルーティアーズを展開して、得意の多角的攻撃を仕掛けて
来たのだが、円夏のビット兵器の扱いと比べればセシリアの技術は稚拙極まりないのでロランにとっては避けるのに難は無く、まるで舞踏の様に華麗な回避で観客
を魅了する。
『円舞曲に付き合って貰う』と言ったセシリアに対し、舞踏の如き動きで回避して見せるとは中々に皮肉が効いた一発だろう。


「く……馬鹿にしていますの!?」

「おやおや心外だね?
 君が付き合ってくれと言ったのだろう?この戦いは君への葬送歌だと言うのはあくまでも私の主観なのでね、君の主観に少々付き合わせて貰っただけさ。
 だから、今度は君が私と観客にその美声を聞かせる番だオルコット嬢。」


馬鹿にされたと激高するセシリアを更に煽ると、ロランはガイアのアンロックユニット『ヴァインアームズ』を夫々別の方向に向けてビームを発射してブルーティアーズを
四機破壊すると、スピーシープランターからレイピアカウスを取り出してセシリアに斬りかかる。
何方かと言えば射撃戦の方が得意なロランだったが、一夏は勿論として一夏の嫁ズも近接戦闘型が多かった事もあり、彼女達と模擬戦を繰り返している内に、近接
戦闘の腕前も上っているのだ。


「く!」

「矢張り近接戦闘は苦手なままのようだね?」


セシリアも咄嗟に脚部アーマーからビームジャベリンを取り出して応戦するが、近接戦闘は苦手なままだったらしく、何とか防御するのが精一杯と言った感じ――ビー
ムエッジに実体剣で挑んで大丈夫なのかとも思うだろうが、レイピアカウスの刀身には対ビームコーティングが施されているので問題なしだ。
其のままロランは近接戦闘を続けていく。
セシリアが不得手としている近接戦闘を行うのはセオリーだが、この近接戦闘にはブルーティアーズを封じると言う目的もある――奇しくも、一夏がクラス代表決定戦
で円夏にやったのと同じ戦法だが、近接戦闘ではブルーティアーズの様なビット兵器は使えないのだ。
近接戦では遠距離戦よりも咄嗟の判断が求められるためビット兵器の操作をするのは難しい上に、自身を誤射してしまう危険性があるからな。


「はぁ……君程度が代表候補生とは、イギリスは余程人材が枯渇しているのかい?君程度の実力では、私の国では代表候補生の選考の対象にもならないぞ?
 ……其れとも、裏金でも使って代表候補生になったのかな?」

「――!私は血の滲むような努力をして代表候補生になったのです!今の言葉は撤回なさい!!」

「そうか、其れは申し訳なかった……だが、そうであるのならば君は代表候補生になった事に満足してトレーニングを怠ったと見える。……代表候補生になった時の
 君ならば今よりはもっと強かっただろうからね。」

「!!」


更にロランは精神面でもセシリアに揺さ振りを掛ける。
ロランは刀奈と同じ位、相手の精神を揺さぶるのが得意なのだが、刀奈があからさまな挑発で相手をおちょくるのに対し、ロランは相手の図星を突いて動揺させる方
法を得意としており、セシリアに対しても其れを行う。
セシリアもロランが言った事は図星だったらしく一瞬動きが止まってしまう――が、その隙を逃すロランではなく、トライデントパニッシャーでの強烈な突きを喰らわせ、
更に強烈な横蹴りを叩き込んでセシリアを吹き飛ばす!


「きゃぁぁぁぁぁ!!」

「悲鳴のソプラノ、確かに聞いたよ。」


此の攻撃でセシリアのシールドエネルギーは大きく減るが、距離が開いたのはセシリアにとっては好都合で、再びブルティアーズでの攻撃を開始する。
だが、ロランはまたも華麗に其れを回避すると、スピ―シープランターをショットガン形態にし、其れをヌンチャクの様に振り回して撃つ曲撃ち『ファイヤーワークス』で残
った四機のブルーティアーズも破壊する。
こうなると、もうセシリアが真面に使える武装は大型のビームライフルだけだが、このビームライフルは高出力ではあるモノの大型で取り回しが悪く、ブルーティアーズ
が破壊された状態では余り使える武器ではないのだ。


「く……此れでも喰らいなさい!」

「其れはお断りだね。」


苦し紛れに放たれたビームも余裕で回避すると、スピ―シープランターをグレネードランチャーに変形させ、そして其処から連続で強烈な砲撃を行う!しかも、通常の
グレネード弾だけでなく、束が新たに使用可能にした、火炎弾、氷結弾、硫酸弾、対B・O・Wガス弾と弾を変えてだ……いや、対B・O・Wガス弾は人間にはマッタク効
果が無いので使えるようにしなくても良かったと思うのだが、グレネードと聞いては束もやらずには居られなかったのだろう。ロマンは大事だ。
だが、ガス弾は効果が無くとも、火炎弾と氷結弾は高熱と低温で装甲を劣化させ、硫酸弾はビームライフルに命中して砲身を溶かして使用不能にする。


「あ……あぁ……あああああ!!」

「悲鳴のソプラノと、呻き声のアルトだけでなく、絶望のソプラノも中々に魅力的だね。」


ビームジャベリン以外の全ての武装を失ったセシリアは、絶望の叫びを上げるが、ロランは其れにニヒルな笑みを浮かべるとイグニッションブーストで肉薄してトライデ
ントパニッシャーの強烈な一撃を叩き込むと、スピ―シープランターをアサルトライフに変形させて超絶連射を喰らわせ……


「さぁ、全てを私に委ねると良い。」


セシリアの腹部を掴んで、其のままイグニッションブーストを発動してアリーナの壁まで突進して、アリーナの壁にセシリアを叩き付ける!そして其れだけじゃなく、叩き
付けると同時にヴァインアームズを上向きにしてビームを放って『気の柱』を疑似的に再現!そしてその柱にはドクロの模様が……KOFのマチュアの超必殺技のヘブ
ンズゲートだな此れは。


「私と戦うには、些か華麗さが足りなかったみたいだね?」



○ロランツィーネ(四分五十六秒 ヘブンズゲート)セシリア●



この試合もまた一夏組がパーフェクト勝利しただけでなく、国家代表と代表候補生ではその実力に大きな差が有ると言う事実をまざまざと見せつける結果となったの
だった――まぁ、同じ代表候補でも乱ならば勝てずとも負けない戦いをするだろうけどな。


「見事だったぜロラン。流石だな。」

「あの程度の相手に遅れは取らないさ……何より、君の前で敗北した姿を晒したくはないからね。――勝利のメイク・ラブだ。」


チームベンチに戻ったロランは、予想通りに一夏の頬にキスをする……いや、マジでナチュラルだな此れは。ブラックコーヒーはそろそろ売り切れ御免かも知れんな。
此れで戦績は一夏組の五連勝だが、しかしこれで勝負が決まった訳ではないのが此のISバトルだ――仮に大将戦で一夏が負けたら陽彩組に六ポイントが入り、逆
転負けになってしまうのだからね。


「つっても、俺が負けたら皆が勝った意味が無くなっちまうからな……責任重大だが、必ず勝って来るぜ。皆に対してふざけた事を言いやがった正義の奴に人誅下し
 てやるぜ!!」

「一夏、頑張って。貴方の勝利を確信してるわ。」

「織斑一夏、私が唯一認めた最強の男……嗚呼、其の雄々しき姿を私達に見せておくれ。多くの雌は、雄の強き姿に惹かれるのだからね。」

「多くは言いません……勝って下さい一夏。」

「どうせなら、私達の全勝で決めちゃおうよ?」

「身の程知らずの愚か者に、実力の差と言うモノを教えてやれ。」

「勿論、言われなくともその心算だぜ!」


そして残すは一夏vs陽彩の大将戦のみ!
一夏が勝ては其のまま一夏組の全勝だが、陽彩が勝てば六ポイントの勝利ポイントが入って逆転勝利となる一戦だけに、一夏にとっても陽彩にとっても絶対に落と
す事は出来ない試合だ。
出撃前に嫁ズからのエールを受けた一夏は、嫁ズ全員とハグをしてからバトルフィールドに向かい、その闘気は最高潮に高まったMaximum状態!――ともすれば高
まった闘気が銀色のオーラになってるのが見えるレベルだ。
それに対し、陽彩も闘気を高めてはいるが、其れは精々『気合を入れまくっている状態』でしかなく、一夏の闘気には遥かに及ばないものでしかないがな。


「織斑……今度こそ俺はテメェをぶっ倒す!――いや、ぶっ倒すだけじゃ足りねぇ!半殺しにしてやるから覚悟しろ!!」

「……あまり強い言葉を使うなよ、弱く見えるぜ?……って、実際お前は弱いか。
 其れよりも、半殺しなんて生温い事を言うなよ?どうせやるなら、『お前をぶっ殺す』位は言えよ?……半殺しなんて中途半端な事で満足するんじゃ、俺に勝つ事は
 出来ないぜ?俺は、お前をぶっ殺す心算で行くからな。」

「!!(コイツ、本当に一夏か!?)」


偽悪的な笑みを浮かべ、そしてサムズダウンして来た一夏に対し、陽彩はもう疑問を浮かべる事しか出来なかった――陽彩の知る原作の一夏は、鈍感の唐変木で
あり、そして此の上ないお人好しで、決してこんな事をするキャラクターではなかったのだから。
だが、此の世界は創作の世界ではなく現実であり、現実である以上、陽彩の原作知識は全く役に立たない――と同時に一夏をはじめとした人物が、陽彩が知ってい
る原作のキャラクターではないのだ。

陽彩が其れに気付く事は無いだろうが、其れは其れとして遂にこのバトルは大将戦に!――この試合に勝ったチームが勝者となるのだから、戦う一夏と陽彩だけで
なく、観客にとっても大事な試合と言えるだろう。
陽彩チームの勝利に賭けた人物は、この試合が最後の頼みの綱な訳だからね。


「ブチ殺してやるぜ織斑ぁ!!」

「やってみろ、出来るならな。」


試合前にも拘らず、一夏と陽彩は至近距離で火花を散らす……ともすれば顔が触れ合いそうな距離なので、腐女子は大興奮だったのだが、一夏も陽彩もその気は
ないので悪しからず。
だが、この闘気のぶつかり合いを見ると、大将戦はそう簡単に終わるモノではないかも知れないな――!!










 To Be Continued 







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