学園祭二日目であっても一夏は鍛錬を欠かさず、早朝トレーニングを行っている――尤も、今日もまた『一夏ママ』として男装ホストクラブで働き、格闘バーでは最強
のマスターとして働いた上に、午後には生徒会主催のISバトルも控えているので、オーバーワークにならないように何時もよりは幾分軽めのメニューではあるがな。
……其れでも、5kmのマラソン、ベンチプレス150㎏、腕立て伏せ百回のウェイトトレーニングの後は、木刀の素振り二百回を行い、最後に筋肉の柔軟性を失わない
ように太極拳とヨガの柔軟体操を行ってターンエンド!
此れで何時もよりも軽めと言うのだから恐ろしい……此れだけの厳しいトレーニングで日々自分を追い込んでいるからこそ、一夏は強いんだけどね。
そんな訳で、今日も今日とて早朝トレーニングを終えた一夏は自室に戻って来たのだが……


「あれ、何で居るんだ刀奈?いや、刀奈だけじゃなくてロランとグリフィンとクラリッサも。」


其処には現在同室のヴィシュヌ以外の嫁ズが居た。否、別に居て悪いと言う事ではない。放課後とかに此の部屋に集まって遊んだりすると言う事はあるのだから。
しかし、朝から此の部屋に集まると言う事は此れまでは無く、朝は食堂で合流だったので一夏も刀奈達が何で居るのか少し疑問であるらしい。


「其れはね、私が呼んだからだよ!!」

「うわ、束さん!!」


何故刀奈達が此処に居るのか?其れは束が呼んだからだった様だ……学園のセキュリティをいとも簡単に突破して一夏の部屋に参上するとか、マジで凄過ぎるわ
此の人!!果たして篠ノ之束と言う人間に出来ない事など存在するのだろうか?……いや、多分存在しないだろう。


「束さん、如何して此処に?」

「いやぁ、いっ君達は今日あの糞ボケとその金魚の糞と戦うんでしょ?
 いっ君達が負けるとは兆に一つもないと思うけど、其れでも勝負に絶対はないから、決戦前に束さんが直々に整備してあげようかと思ってね?後、少し改良の方も
 しとこうかと思ってね。
 夏休み期間中に採ったデータの詳細を見たら、皆の機体にはまだ改良の余地があったから、決戦前に改良しちゃおうかなって思ってね――だからさ、ちょいっと待
 機状態のIS貸してくれるかな?」

「え?あ、はい。」

「束博士の整備と改良なら安心ね♪」


そんな束の目的は、一夏達の機体の整備と改良だった――二次移行して性能が爆発的に上がった一夏達の機体だが、夏休み中に採取したデータの詳細を改めて
見てみたらまだ改良の余地があったらしい……二次移行=パイロットへの完全最適化と言う訳ではないようだ。
だからと言って、整備と改良をこの場でやろうとかは普通は絶対考えないだろうが……まぁ、一般人と天才の感覚は違うと言う事なのだろう。


「いっ君の左手のビームクローは、変形機構をオミットして掌から直接荷電粒子砲を撃てるようにして、追加でプラズマキャノンも付けとこう。カタちゃんの左手のビー
 ムソードは着脱可能にしてビームブーメランとしても使えるようにして、ローちゃんはグレネードランチャーで使える弾の種類を増やして、ヴィーちゃんは剣の発火能
 力を全身で使えるようにして、グリちゃんは手甲にビーム反射装甲を追加、クラちゃんはAICの効果範囲を広げてと……あ、後はコアの共鳴で二次移行した訳だか
 ら其れを応用して……」


一夏達から機体を渡された束は、其れを夫々専用のコンピューターに接続すると凄まじい勢いでコンソールを叩きながら整備と改良を同時に行って行く……マルチタ
スクが如何のとかのレベルではないスピードである。
束が作業をしているのを見た一夏は、何を思ったのかキッチンへ向かい、そして数分後トレーにサンドイッチとコーヒーを乗せて戻って来た。


「態々すいません束さん。朝飯まだでしょ?良かったら食べて下さい。」

「おぉ!サンキューいっ君!いやぁ、作業しながらでも食べやすいサンドイッチとはナイスなチョイスだね!流石一流主夫は分かってるね!」


整備と改良を行ってくれている束に朝食の差し入れだったらしく、其れを受け取った束はブラックコーヒーを一気に飲むと、サンドイッチを片手に更にスピードを上げて
作業を続けていく……余りのスピードに腕と指が沢山に見える位だ。
その後数分で作業は終わり、一夏達の機体は見事に整備され、更に改良されて此れまで以上の性能を出せるようになったのは間違い無い……陽彩達が試合に勝
つ確率は更に低くなった訳だ。
学園祭二日目の朝は、一夏達には少し予想外の展開が待っていたが、結果的に機体性能は向上する結果になったので問題は無いだろう――束はその後、円夏と
簪の所にも行って機体の整備を行い去って行ったが、まぁこの人の事だから『南風野吏』に変装して学園祭二日目に参加するんだろうな。うん、間違いねぇわ。

それはさて置き、束は一夏達の機体に『コアが共鳴しての二次移行』を応用した『何か』を仕込んだみたいだが、其れが何なのかは試合で明らかになるだろう。それ
と、よくよく考えると一夏と刀奈以外の機体は夫々の国の物だから、普通は勝手に改良とか拙いんだが、束がやったとなれば話は別だ。ISの生みの親以上にISに詳
しい人物など、此の世界には存在しないのだから。











夏と刀と無限の空 Episode46
『学園祭二日目!開幕するISバトル!!』










学園祭二日目。
本日、一夏と嫁ズは昨日とは逆に、午前中は『格闘バー・コロッセオ』の方に出て、午後は夫々のクラスの出し物に出ると言うスケジュールになっており、現在バーで
ガッツリと接客中!
学園祭二日目が始まったばかりだと言うのに店は大盛況なのだが、此れは昨日この店を訪れた客が、自身の感想と共に店内の写真をSNSにアップした事が大きい
と言えるだろう。其れが拡散し、噂が噂を呼んで大入り状態なのだ。


「はいはい、女の子には手を触れないで下さい!!」

「だからと言って男の子にも手を触れないで下さいね!!」


そんな店内で、一夏はスタッフの女の子に触ろうとする男性客を、女子達は逆に一夏に触れようとする女性客……だけでなく一夏に触れようとする、所謂『おネエ』と
言われる客の対処も行っていた……学園祭の模擬店とは言え、店の雰囲気的にスタッフに触れようとする輩は如何しても出てしまうらしい。
野郎が女子に、女性が一夏に触れようとするのは一億歩譲って良いとして、おネエが一夏に触れるのは絶対にアウトだ!一夏はノーマルなのだ!って言うか、おネ
エに招待状送った生徒誰だよマジで!?入場口のスタッフも良く通したわ!……SLGBの差別アカンって事なのかもしれんけど、一夏の精神に悪影響しかない。


「あら、残念……彼ったら顔が好みだし、シャツから出てる二の腕も、太くないけど逞しいからちょっと触れてみたかったのにぃ、残念だわぁ?」

「彼には婚約者が居るので諦めて下さい!!此れ以上一夏君に触ろうとしたら退店させますからね!?」


まぁ、今の所実害は出てないので大丈夫と言う事にしておこう……この店の事をSNSにアップした人も、不埒な輩が一夏と嫁ズによって成敗されている動画も上げて
おけばこう言う事しようとする連中は居なかったのかも知れないけどな。
因みに本日はスタッフの衣装は昨日と変わっており、女子はディーヴァ(アメリカプロレスでレスラーが連れて来る美女)が着る様な衣装であり、一夏はグレート・ムタ
の入場コスチューム(頭巾無し)である……流石に此れは作ったモノではなく、ネットのプロレスグッズ専門ショップで購入したのだろうが。
だが、この衣装チェンジによって華やかさは昨日よりも大きく増したと言えるだろう……ラウンドガールの衣装は兎も角、レフェリーの衣装はあまり派手さがあるモノで
はないからな。


「マスター、グレート・ムタの衣装着てるなら、パフォーマンスで毒霧やってくれよー!」

「毒霧?……OK。刀奈、選手コール頼む。」

「任せなさいな♪
 それじゃあ……赤コーナー、188cm、110㎏、グレート・ムーター!!」



――ブシュー!!



客のリクエストに応え、刀奈のコールと共に一夏は見事なグリーンの毒霧を披露し客は大盛り上がり!毒霧の材料は普通に食紅を使った色水だ――ノンアルカクテ
ルには、見た目の華やかさを加える意味で天然素材の食紅を使ってるので其れを使ってね。


「毒霧まで完璧とか、マジでアイツは何でもそつなく熟すな?ありゃ、グレート・ムタならぬグレート・イチってか?」

「お兄、ホントプロレスとか好きだよねぇ?でも、今のは確かに見事だったと思う。」


バーを訪れていた五反田兄妹にもこのパフォーマンスは好評であり、このパフォーマンスを皮切りに女子達も様々なパフォーマンスを披露してバーは更に盛り上がり
を見せ、特に一夏の嫁ズが一夏と共に行ったパフォーマンス(両腕を広げた一夏の両肩に刀奈とロランが立ってポーズ、腕を組んで仁王立ちする一夏の頭の上で片
手倒立するヴィシュヌ、ブリッジをしてる一夏の上に立つクラリッサの両肩に立つグリフィン)は大喝采だった他、ジャンプした乱を一夏が軽く手でサポートしてとっても
見事な宙返りを披露したのも盛り上がった。……今更だけど、此の子達の身体能力ハンパないわ。


「よう、邪魔するぜ?」


其処に現れたのは陽彩だ。相変わらず、少し『ワル』っぽい感じで入って来たのは、其れがカッコいいと思って居るからなのだろうが、ハッキリ言って全然似合ってな
い事この上ない。『チョイワル』がカッコいいと思っているくせに深層心理ではヒーローになりたいと言う願望があるので、その矛盾が似合わない姿に成ってるのだけ
れど、本人は其れに気付いていないのだろう。
そもそもワルぶるのがカッコいいって中二病かって話である……悪ではないが、己の正義を貫いて若干ダークヒーローと化してる一夏の方が万倍カッコいいって。


「邪魔だと思うなら来るな。そんでさっさと帰れ。」

「お前、こう言うのは挨拶みてぇなもんだろ!!」

「知ってて言ってんだよ。
 俺はお前とは顔も合わせたくねぇんだからさっさと帰りやがれ正義。お前が居るだけで店の空気が悪くなるからな。」

「何処までもムカつくなテメェは織斑……まぁ、俺もこの店が目的じゃなくて、お前に用があったから其れが済んだら直ぐに帰ってやるよ――って、お前五反田か?久
 しぶりじゃねぇか?」

「……だな。俺は会いたくなかったけどよ。」


其れに対応した一夏の毒舌も中々のモノである……この辺は刀奈の影響があるのかも知れない。刀奈が本気で毒吐き始めたら、其れだけで相手を精神的にKO出
来るレベルだからな?ワイドショーの毒舌コメンテーターも絶句する位だ。
其れを受けた陽彩も怯まずに一夏に言い返し、そして弾に気付いて声を掛けたが、弾は心底『嫌な奴に会っちまった』と言った感じだ……中学時代の陽彩が此の上
無く最低な事をしていたってのを知っている弾からしたらそうなるのも仕方ないわな。


「オイオイ、他の客に迷惑をかけるなよ?……俺に用って、何だ?」

「午後の生徒会主催のISバトル……ただ試合をするだけじゃ面白くないから、髪切りマッチにするってのは如何だ?負けた方はその場で勝った方に丸坊主にされる
 って奴だ。
 勝者は敗者に更なる屈辱を与えられるってな……如何よ?」


でもって陽彩が一夏に言って来たのは『生徒会主催のISバトルは、敗者が丸坊主にされる髪切りマッチ』にしようと言うモノだった……敗者への罰ゲームとしては割
とポピュラーなモノと言えるだろう。――まぁ、中には負けて坊主になった事で逆に人気が出たって例もあったりするのだが。


「余程自信があるみたいだな?……良いぜ、その提案飲んでやる。
 だけどな、丸坊主になるのは俺とお前のどっちかだけだ。互いに嫁ズの髪は切らない方向で行こうぜ?お前も嫁の坊主姿なんて見たくねぇだろうし、髪は女の命っ
 て言うからな。
 其れと、提案して来たのはお前なんだから、俺が勝ったらバリカンのアタッチメント外して1mm坊主にしてやるからその心算で居ろよ?」

「上等だ。今回ばかりは俺が勝つぜ、絶対にな!!」


一夏は其れを受けるが嫁ズの髪は切らない方向に持って行った辺りは見事だろう……女性にとって、尼さんを目指してる訳でもない限りは丸坊主にされるってのは
ある意味で全裸にされる以上の辱めだからな――尤も、仮に嫁ズも丸坊主になるとしても、一夏の嫁ズが丸坊主になる事は絶対ないと言っていいだろう。機体性能
も基本的な身体能力も陽彩の嫁ズを遥かに上回ってる訳だから。
そもそも一夏組が陽彩組に負ける事なんてのは、海馬がラスボス以外に負ける位あり得ん事だわ。


「ケリを付けようぜ、正義?」

「貴様の死を持ってな!」


最後はKOF97の京vs庵の対戦前デモを行ってターンエンド!……陽彩は意外とノリが良い事に驚きだ。――因みに、今の遣り取りはバーに居た客全員が目撃して
居たので、陽彩は負けた際に『そんな事言って無い』と言う言い逃れは不可能だろう。
そして、目的を果たした陽彩は……


「そんじゃ営業の邪魔になるんで、退店願いますよっと!!」


一夏にアイアンクローを喰らって、そしてバーの外にぶん投げられて強制退店となった。
特に千冬から教わった訳ではないが、一夏は見様見真似で千冬の最強にして最恐のアイアンクローをも会得しているみたいだ。――予想外の方法で強制的に退店
させられた陽彩は頭から派手に流血していたが、其れは僅か一分足らずで止まった……見習いとは言え、神に転生させて貰っただけに、身体は頑丈で傷の治癒能
力も普通の人間より高いらしい。
『あの野郎……ぜってーボコす』とか言っていたが、最初にちょっかいを出したのは陽彩の方なのだから、ハッキリ言って自業自得だろう。……序に、陽彩と箒が籍を
置いている剣道部は『和風喫茶店』をやっているのだが、陽彩と箒は部長から『君達はクラスの方に専念して』と、事実上の戦力外通告を受けていたりする――所属
してる部活の部長から直々に戦力外通告とか、剣道部内でも相当に嫌われてるんだな。

陽彩を放り出した後の格闘バーは平和に大盛況を続け、正午には一夏と嫁ズは休憩タイムに入り、昨日と同様に出店を回りながら昼食を済ませ、そして午後は夫々
のクラスの出し物に従事した。
でもって、今日も今日とて一年四組の『男装ホストクラブ』は大盛況で、トップホストである刀奈君は今日も一番の指名が入ったのだった……其れだけじゃなく、一夏
ママにも指名が入ったのは驚きだ。
果たして、こう言った店でママに指名が入る事があるのかとも思うが、逆に言うなら指名が入る程に一夏ママの完成度は高かったって事なんだろうな。元がイケメン
だけに、女装しても美人な訳だからちょっと納得だけど。因みに指名したのは野郎ではなく女子だったとも言っておく。








――――――








そして、文化祭二日目も佳境に入って来た十五時、アリーナは超満員札止め状態になっていた。
理由は簡単……遂に始まるからだ、生徒会主催の一夏と嫁ズvs陽彩と嫁ズのISバトルが!――世界に二人しか存在しない『男性IS操縦者』がISバトルを行うと言う
だけで話題性は充分なのに、更にそのパートナーも戦うと言うのだから盛り上がるなと言うのが無理と言えるだろう。
特にパートナー達の出身国である、日本、オランダ、タイ、ブラジル、ドイツ、中国、イギリス、フランスのお偉いさん達は気が気ではないだろう――この試合の結果に
よっては国際的な立場が変動するかもしれないのだから。


「アルベール、如何してシャルロットは織斑君ではなく二人目の彼と同じチームなのかしら?」

「し、シャルロットが言うには、織斑君の方はガードが固そうだとの事で、ガードが緩い二人目をターゲットにしたらしい。」

「成程ね……其れならば納得出来るけど……彼の遺伝子サンプルをシャルロットは、一体どうやって採取したのかしらね?……って、聞くまでも無いわよね?
 ……アルベール、貴方シャルロットにハニトラ命じたわね?」

「い、いや、私は『可能ならば彼の遺伝子サンプルも採取して欲しい』とは言ったが、ハニトラなど断じて命じては……」

「その言い方が紛らわしいんでしょうが!
 『遺伝子サンプルも欲しいので髪の毛でも送ってくれ』って言えば良かったでしょうが!貴方のその言い方じゃ、暗に『ハニトラやれ』って言ってるようなモノじゃない
 のよ此の大馬鹿者が!!」

「ペギャラッパ!!」


……フランスからの観戦者は、妻が夫をフルボッコにしてたみたいだが。……ロゼンタ・デュノア、原作では最悪の継母だったが、此の世界では親友の忘れ形見であ
るシャルロットを本当の娘の様に思って居る人であるみたいだな。


「其れでは、此れより生徒会主催のイベントを開始します!」


此処で、アリーナの中央にスポットライトが当てられ、そのスポットに照らされた夏姫が高らかにイベントの開催を告げる!――尚、夏姫が着てるのはIS学園の制服
じゃなくて簪が自作した『孔雀舞』の衣装王国Verである。ラフで露出度の多い衣装だが、其れが夏姫の褐色肌とベストマッチしてるのだから簪のチョイスは見事だと
言わざるを得まい。
その夏姫のすぐ隣には二つのビンゴマシーンと思しき装置が……此れで誰と誰が戦うのかを決めるのだろう。


「此度の試合、六対六なので引き分けと言う結果もあり得るので、大将戦は2ポイントの勝利ポイントが入る事とする!
 だが、此れでも一勝四敗で大将戦を迎えた場合は四敗している方が大将戦で勝っても負けてしまうので、何方かが四敗以上している場合、四敗以上しているチー
 ムが大将戦を制した場合は6ポイントが入る事とする!
 但し、この方法で勝った場合には、勝者が敗者に言い渡せる命令権は消滅する事とする!」


夏姫は試合のルールを説明し、『四敗以上している場合でも大将戦の結果によっては逆転勝ちもあり得る』と言う事を伝え、客のボルテージを上げていく――五連敗
をしていても、大将戦で勝つ事が出来れば一発逆転もあり得る訳だからね。
因みに、この試合では生徒会公認のトトカルチョも行われているのだが、現在のオッズは一夏組8に対し、陽彩組2と圧倒的に一夏組に賭けている人の方が多い。
と言うか、学園の生徒は一年一組の生徒を除いて全員が一夏組に賭けていると言っても良いレベルだ……陽彩組が2なのは、生徒以外の外部客に大穴を狙うギャ
ンブラーが居たからだろう。


「其れでは早速、第一試合のルーレット行ってみよう!ビンゴマシーン、スタート!!」


夏姫の号令によってビンゴマシーンが起動!矢張りこの装置で対戦の組み合わせが決定されるのだろう。尚、大将戦だけは一夏vs陽彩と決まっているので、アリー
ナのオーロラヴィジョンに表示されている対戦表も大将戦だけは一夏と陽彩の顔が表示されている。
さて、起動したビンゴマシーンは夫々玉を輩出し、夏姫が其れを確認する。


「このイベントの第一試合を戦うのは、一夏チーム『更識刀奈』!陽彩チーム『篠ノ之箒』だ!」


夏姫が手にした玉には『更識刀奈』と『篠ノ之箒』の名が記されており、オーロラヴィジョンの対戦表の第一試合の場所に刀奈と箒の顔が表示される。


「おやおや、行き成り一夏のパートナーの中で最強である刀奈が出る事になるとは……相手に同情してしまうね。」

「え、私が最強なの?」

「模擬戦の成績では、私達全員刀奈に負け越してますので。」

「言われてみれば……でもそれって精々一勝か二勝でしょ?圧倒的に勝ち越してるなら未だしも、その程度の勝ち越しで最強って言われてもねぇ……」

「其れじゃ、暫定最強で♪」

「現役の軍人である私に勝ち越してる時点で相当だけれどな……まして、私達が勝てない一夏に圧倒的に勝ち越してるんだから最強で良いだろう?」

「クラリッサ、私と一夏の戦績は、一夏がIS起動して間もない頃のも含めてだからね?私も最近は一夏に勝てなくなってきてるから。」

「最近絶好調だからな俺。いや、でも皆も強いだろ?俺も勝ってはいるけど、何度か『ヤバい』と思った事があるからな……でも、そうやって切磋琢磨してお互いに強
 く成れるとか最高だよな。」


一夏組の方はこんな遣り取りがなされてたのだが、一夏のイケメン発言に嫁ズはもう何度目かも分からない胸キュンだ……決して驕らず、相手の強さを正当に評価
して、そして『互いに上を目指せたら最高』と言うのはある意味で最強の殺し文句と言えるだろう。
そして其れだけでなく……


「思い切りぶちかまして格の違いってモノを見せてやれ刀奈。」


出撃前の刀奈の頬にキスを落とす……と同時にアリーナには黄色い歓声が巻き起こる。だって、オーロラヴィジョンには一夏が刀奈の頬にキスをするシーンがバッチ
リ映ったからな。放送部ある意味いい仕事をしたわ。


「えぇ、行って来るわ一夏!初戦を制して、流れをこっちに持って来るから期待してね♪」

――【目指せ完全勝利】


一夏から最高の『勝利のおまじない』を貰った刀奈は扇子にそう記すと、意気揚々とアリーナのバトルフィールドに移動し、其処で対戦相手である箒と対峙すると、


――バッ!


最早お馴染みとなった、身体の右側に重心を移動し手拳を構える独特のポーズになると、其処から左右の腕をクロスさせてから左腕を大きく回し、右腕と共に振り抜
き、キレッキレな仮面ライダーBlackの変身ポーズを披露して紅龍騎を纏う。


「私は一夏の嫁、更識刀奈!」


決めゼリフも鮮やかに刀奈が専用機を起動すると、箒も負けじと専用機である紅椿を起動するが、起動した紅椿の姿は臨海学校の時にお目見えしたモノとは別物に
なっていた。
腕部と脚部の装甲の他に、胸部と腰部にも装甲が追加され、頭部にV字アンテナのヘッドパーツが追加されただけでなく、腰部装甲には左右に身の丈と同じ位の長
大な太刀が一本ずつ装備され、背部には巨大なバックパックが……フルスキンでこそないが、紅椿は『ガンダムアストレイ・レッドフレーム改』となっていた。
陽彩が己の機体を利用して強制的に二次移行させた事でこんな姿に成ったのだろう……陽彩の前世の記憶から、無意識の内に箒にピッタリなガンダムと言うモノを
選んでしまったのだろう。


「(あの姿、二次移行した?……ちーちゃんに扱かれて二つリミッターが外れた事は分かってたけど、その状態で二次移行ってのはあり得ない事だよ――確実にクソ
  転生者が何かしたな?
  でも、其れでもアイツじゃカタちゃんに勝つ事は出来ねーけどね。――いや、元愚妹だけじゃなく、他の奴等もいっ君の嫁ちゃんに勝つ頃は出来ねーよ。)」


『南風野吏』としてこの試合を観戦している束は、箒の機体の姿が変わっている原因をすぐさま看破した上で、刀奈が箒に負ける事ないだけでなく、一夏達が負ける
なんて事は全く持って思って居ないようだった。
原作の束は箒が一番だったが、此の世界の束は既に箒を見限っている――姉として『箒が其れを選んだのならば』と思ってはいたのだが、余りのDQNっぷりに嫌気
がさして臨海学校で絶縁を言い渡した訳だからね。

それはさて置き、第一試合が始まったのだが、此れは開始直後から刀奈が優勢だった。
刀奈も箒も近接戦闘型なのだが、刀奈の得物が槍であるのに対して箒の得物が太刀であったのが明暗を分けた……『刀で槍に挑むのは三倍の力量差が必要とな
る』と言われるように、刀奈の槍術は箒を圧倒していたのだ。


「お義姉さんに夏休み中扱かれてこの程度なの?だとしたら才能無いわよ貴女。――天才の姉の妹は無能、此れはあまりにも皮肉が利き過ぎて笑えるわ。」

「黙れ!!」


そして其れだけではなく、箒を煽って冷静な思考を奪って行く。
刀奈の煽り・おちょくりスキルは最高レベルであり、其れは箒の様な単純な性格の人物には特に刺さると言う訳だ――激高して突っ込んで来た箒に、刀奈は柄で強
烈なカチ上げを喰らわせ、ガードが手薄になったボディに超速の連続突きを叩き込んで箒の機体のシールドエネルギーを大きく削る。『言葉もまた兵法』と言うが、刀
奈の戦い方は正に言葉を巧く使っていると言えるだろう。煽って、おちょくって冷静さを奪って相手の実力を半減させてしまうのだから。
だが……


「この程度で、私を倒せると思うなよ!!」


箒が吠えると同時に紅椿のシールドエネルギーが全回復する――此れこそ紅椿の単一仕様である『絢爛舞踏』だ。
本来ならば、全てのリミッターが解除されて初めて解放されるモノだったのだが、陽彩による強制二次移行でリミッターが強制的に外された事で此の機能が使えるよ
うになったのだ――しかも絢爛舞踏は、ヴィシュヌの機体に搭載されている『シールドエネルギーの最大値の50%を一試合に一度だけ回復する』と言う回復機能とは
違い、『シールドエネルギーを全回復、回数制限はない』と言うクソチートな機能であり、ISバトルの根底すら覆してしまうようなモノなのだ。


「シールドエネルギーの回復ねぇ?回数制限がないのだとしたら厄介だけれど、でも其れなら其れで一撃でシールドエネルギーをゼロにすれば良いだけの話よね?
 シールドエネルギーがゼロになれば、幾ら回復出来ると言ってもその時点で試合終了なんですもの。」

「一撃でだと?そんな事が出来る筈ないだろう!無限のシールドエネルギーが有るに等しい私が負けるか!!」

「そうね、シールドエネルギー無限状態なのは其の通りでしょうけど、其れは減っても回復するからであり本当の意味で無限ではないわ……其れを、其の身で味わう
 と良いわ。」


其れでも刀奈は驚く事なく槍と左腕のビームソードを使って箒を攻め立て、箒は二本の大太刀で其れに応戦するが、地力に圧倒的な差があるために全てを防ぐなん
て事は出来ずに被弾してしまう。
尤もその度に絢爛舞踏でシールドエネルギーは回復してしまうのだが、機体のシールドエネルギーは回復しても箒の体力とダメージまでは回復しない……刀奈の苛
烈な攻めを受け、装甲の無い部分に何度も攻撃を受けた箒は、ダメージと疲労が蓄積し動きがドンドン悪くなっている。

逆に攻めている刀奈の方は、激しい攻撃を行っているにも拘らず、息一つ乱れておらず、マダマダ余裕たっぷりと言った感じであり、この時点で何方の方が上である
のかは火を見るより明らかだろう。


「あらあら、もうお終い?機体も二次移行したみたいだったから少しは期待したんだけれど、やっぱり三流は何処まで行っても三流でしかないわね。」

「はぁ、はぁ……なん、だと?」

「気に障ったかしら?でも、三流でない者に三流と言うのは失礼だけど、三流に三流と言うのは事実を言っているだけよねぇ?
 まぁ、機体の性能其の物はとても高いと思うけれど、乗り手である貴女が未熟なせいで其の性能は一割も引き出す事が出来ていない事に気付いているかしら?い
 ないわよねぇ?ハッキリ言うと、貴女機体の性能に振り回されてるわよ。
 シールドエネルギーの回復機能があるから未だ試合は終わっていないけれど、もしも其れが無かったらとっくに試合終了だって事を分かってる?此れ以上戦っても
 貴女が無様を曝し続けるだけ……力の差は分かったでしょうから大人しく降参しなさいな。」


圧倒的な力の差を見せ付けた上で、刀奈は箒に『降参勧告』をする……勿論刀奈とて、箒が素直に其れを受け入れるとは思ってはいない。要するに、この勧告は試
合を盛り上げる為のエンターテイメントなのである。『ISバトルとは、エンターテイメントでなければならない!』と言う奴であり、決して舐めプではない!


「だ、誰が降参なんかするか!
 自ら敗北を認める等、軟弱者のする事!私は未だ負けていない……負けを認めなければ敗北にはならん!!」

「あらそう……でも残念、貴女はもう詰んでるわよ?」

「なに?って、何だ此れは!?腕が、凍り付いている!?」


刀奈の予想通り降参はしなかった箒だが、『詰んでいる』と言われたと同時に腕に違和感を覚えたので見てみると、装甲に覆われている肘から下が完全に凍って動
かす事が出来なくなっていたのだ。
何故腕が凍っているのか?答えは簡単、刀奈がナノマシンを操って凍らせたのである。
紅龍騎は元々ナノマシンを生成し、其れによって分身を作り出したり水蒸気爆発を起こす事が可能だったのだが、刀奈は『水蒸気爆発起こす位の超加熱が出来るの
なら、凍らせてしまう位の超冷却も出来るのでは?』と考え、ぶっつけ本番でそれをやって見せたのだ。


「腕だけじゃないわよ?ナノマシンは既に貴女の周囲に散布してあるから、ドンドン凍り付いて行くわよ!」

「な!?そんな!!」


そしてドンドン箒は凍り付いて行き、遂には首から下が凍り付いてしまった……飛行用のブースターを凍らせてない辺り、凍らせて地上に落として大ダメージと言うの
は考えていないのだろう。
だが、凍らされた箒の方は堪ったモノではない。氷漬けにされた事で機体の絶対防御が発動しても、絢爛舞踏でシールドエネルギーは回復するのだが、身体が凍え
て行く感覚がなくなりはしない……絶対防御のおかげで凍傷になる事は無いだろうが、身体が冷え切って行く感覚には一種の恐怖を覚えるだろう。


「さて、其れじゃあこれでフィナーレと行きましょうか?」


此処でダメ押しとばかりに、刀奈はナノマシンで己の分身を五十体出現させる。
身動き一つ出来ない状態の所に五十体の分身とか、詰みとかチェックメイトとかそう言うレベルではなくオーバーキルレベルなのだが、そんな事は刀奈には知った事
じゃない……束お手製の専用機を貰っておきながら其れを持て余し、全く自分の物に出来ていない箒は、此の場で完全に潰す心算なのだから。


「此れは只の分身じゃなくて、触れたら爆発する爆弾人形よ。さて、御自慢のシールドエネルギー回復機能で耐えきる事が出来るか見せて貰うわ!」

「其れじゃあ行くわよ皆!」

「スーパーゴーストカミカゼアターック!」

「全軍突撃~~♪」

「「「「「「「「「「逝ってきまーす♪」」」」」」」」」」(鍵カッコ省略)


そして分身が一気に動けない箒に向かって突進し、そして箒に触れると同時に巻き起こる大爆発!!マルマインやゴローニャもビックリなレベルの大爆発である!
爆発の凄まじさに、アリーナが震えたのは決して気のせいではないだろう。


「此れで終わりよ!」


其の爆風に向かって刀奈はイグニッションブーストで突進すると槍を突き出し、そして爆炎の中から箒に強烈な突きを見舞った状態で現れ、箒をアリーナの床に叩き
付ける!!
さらに其処からクリアパッションを喰らわせて一気にシールドエネルギーを削り切る!!
爆弾人形から目一杯の大爆発を受けた上で、胸部への突きと床に叩き付けられた事で連続で回復量を上回る勢いでシールドエネルギーが消費されていた所に、ク
リアパッションを叩き込まれた事で遂にシールドエネルギーがゼロになって機体が強制解除されてしまった。


「其処まで!勝者、更識刀奈!」

「私と戦うにはレベルが圧倒的に不足していたわね?」



○更識刀奈(7分45秒 クリアパッション)篠ノ之箒●



此れにより、刀奈の勝利となり先ずは一夏組が大事な初戦を制しての一勝だ。矢張り、団体戦で初戦を制するってのは流れを掴む意味でも大事な事だからね。
敗北した箒は、気を失っていた為にタンカで運ばれる事になったのだが、勝利した刀奈は機体を解除して自分のチームベンチに戻り、仲間とハイタッチをして『先ずは
一勝した』事を喜ぶ。
刀奈的には負ける要素が全く無い試合だったが、其れでも初戦で白星を奪ったと言うのは嬉しい事なのだろう。


「アイツ程度じゃお前の相手じゃないが、其れでも見事だったぜ刀奈。」

「ふふ、ありがとう一夏♪」


出撃前とは逆に、今度は刀奈が一夏の頬にキスをしてこれまた会場を盛り上げる……観客席にいた千冬が『少しは人目を気にしろ』と眉間を抑えていたのだが、こう
言ったのが大好きなJKのハートはガッチリ掴んでいたので問題は無かろう。心底愛し合ってるカップルのイチャ付きには、殺意は湧かずに寧ろ『良いぞもっとやれ』と
なるモノがあるのだ。あるのだよ。

そんな一夏組とは逆に、初戦を落とした陽彩組のチームベンチは気落ちしてお通夜に……


「箒が負けたか……だが、奴は所詮私達の中で最弱の存在。私達で奴の負けを取り返せば良い。」

「ラウラ、アンタ其れ悪役側のセリフな上に盛大な負けフラグなんだけど……でも、確かに箒は機体性能は抜群だけど、アタシ達の中では一番弱かったから負けても
 仕方ないでしょ?
 逆に言うと、箒が戦った奴が向こうの最強っぽいから、他の奴等にならアタシ達は勝てるわ。ロランにはクラス対抗戦では負けたけど、アタシはあの時とは違うから
 今度戦ったらアタシが勝つわよ!」

「陽彩さんのおかげで進化したブルー・ティアーズならば誰にも負ける気がしませんわ!」

「今のはサービスゲームだ……残りの試合、俺達が制してやろうぜ!」


なってはおらず、『所詮箒は最弱だから負けて当然』と言った感じで次に向けての士気を高めていた……原作では紅椿を入手後に適性がCからSになった箒だが、こ
の世界では紅椿を入手しても適性はCのままだった様だ。
其れじゃ刀奈に勝つってのは無理ってモンだろう……と言うか刀奈をはじめとして、一夏組は全員がIS適性が『AAA+』と言うトンデモないランクなっているのだ――夏
休み前は、刀奈以外の嫁ズは『B+』だったのだが、夏休み中にも鍛錬を怠らずに己を鍛えていた事で一夏と刀奈と共に『ニアS』にまでなっていたのだ。序に付け加
えると、一夏と嫁ズ以外の一夏チームの面々も、全員が適性『A』になっている……まるで超サイヤ人のバーゲンセールの如くだな。
逆に陽彩組は陽彩がチートで『AA+』だが、箒は『C』で其れ以外は『A』または『A-』と適性でそもそも圧倒的な差があるのだ……適性で勝負が決まる訳ではないの
だが、其れでもこの差は大きいだろう。……その差を理解してない陽彩達は、実におめでたいと言わざるを得まい。


「其れでは、第二戦……ビンゴスタート!!」


んでもって第二戦のビンゴが始まり、ビンゴマシーンから夫々玉が排出され、夏姫は其れを拾って高らかに掲げて次の対戦を発表する。


「次なる試合、戦うのは……ヴィシュヌ・イサ・ギャラクシーと、ラウラ・ボーデヴィッヒだ!!」


夏姫の発表と共に、オーロラヴィジョンの第二試合の欄にヴィシュヌとラウラの顔が表示される。――第一試合で負けた箒の顔は黒く塗り潰されている。
ビンゴマシーンは完全にランダムなのだが、其れでもこの組み合わせになったと言うのは、ある意味で運命だったのかもしれない……ヴィシュヌとラウラには、浅から
ぬ因縁がある。言うまでもなくタッグトーナメント前のアレだ。
其れを言ったらグリフィンもなのだが、腕を折られたヴィシュヌの方がラウラとの因縁は深いと言えるだろう……もしもクラリッサが治療用のナノマシンを投与してなか
ったら、夏休み期間中も不自由な生活を強いられていたかも知れないのだからね。


「アイツか……またフルボッコにして、今度は再起不能にしてやるか。己の無力さをその身で知るが良い!」



「ラウラ・ボーデヴィッヒ……また貴女と戦う事になるとは思いませんでしたが、戦う以上はこの間の屈辱を晴らさせて頂きます――そして、教えて上げますよ。卑怯な
 手を使わなければ貴女は私に勝てないと言う事を。」


この因縁の対決に、ヴィシュヌもラウラも闘気が膨れ上がるが、その闘気はヴィシュヌの方が圧倒的に強く、ヴィシュヌの周りにはオーラが現れているだけじゃなく、そ
のオーラは『黄金の虎』と『隻眼でスキンヘッドのムエタイの帝王』に形を変える……虎は兎も角、サガットを宿すとかマジスゲェわ。
それと同時に、未だ第二試合だと言うのに観客のボルテージは上っている――夏姫の読みはバッチリ当たったと言う所だろう。超満員札止め状態のアリーナには次
々と新たな客が押し寄せ、立ち見状態になってるからね。


「一夏、私にも勝利のおまじないをしてくれますか?」

「勿論。」


んで、出撃前のヴィシュヌの頬に一夏がキスを落として、これまたアリーナに黄色い歓声が飛ぶ……一夏の嫁へのキスシーンは、芸術品の如き美しさがあるので仕
方ないかもだけどな。……此れが陽彩と嫁ズだったらこうはなるまいて。
そして、一夏から勝利のおまじないをされたヴィシュヌはバトルフィールドに立ち、あの屈辱的な蹂躙劇を清算するために闘気を高めるのだった……!!











 To Be Continued 







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