Side:ブランシュ
くそ……何だってこんな事に成っちまうんだよ!?
体感型ゲームのテストプレイで、ミスティの意識がゲームに取り込まれるとか、流石にそんなのは無しだろオイ!?ドンだけの厄介事だってんだマジで!
「遊里、何とかならないか?」
「……ダメね、外部からのアクセスは完全に受け付けてないわ。
――とは言っても、方法が無い訳じゃない……私達が、ゲームをプレイしてゲーム内に入り込み、ミスティを助け出した上で、ゲームのバグを倒す事が
出来れば、多分全てが元通りになると思うわ。」
って事は、自ら死地に赴く必要があるって事か……上等だぜこの野郎!!
ミスティは、俺にとっては姉同然の存在だからな?――其れを助け出すためだったら、例え火の中だろうと水の中だろうと突貫ブチかましてやるぜ!!
「ふふ、その意気よブラン――って言うか、そのセリフが聞きたかったわ。」
「へ?」
「ミスティを助けたいのは、私と遊里も同様だ。
幸い、テスト用のマシンはあと3台残っているからな――私達全員でアクセスして、ミスティを助け出そうじゃないか!!」
「突入前に、貴女の覚悟を聞いておきたかったんだけど、文句なしにバッチリね!!――行きましょブラン、ミスティをゲームから解放する為にね!!」
遊里、アイン……あぁ、頼りにしてるぜ2人とも!!
そんで待ってろミスティ!!必ずアンタを助け出すからな!!―――にしても、一体誰がこんな事をやりやがったんだ?
――心当たりが無い訳じゃないがまさかな……アイツは、死んだ筈なんだからな……!!
異聞・遊戯王5D's Turn98
『バトルのフィールドはゲーム内』
Side:遊里
と言う訳で、アタシとアインとブランは、ミスティがプレイしてたゲームの、残った3つの席に乗り込んで、そしてゲームがスタートした訳だけど…ここ何処?
上下左右とも幾何学的な紋様で埋め尽くされた球体型の部屋の内部……まさかバグってる?
『バグじゃないですよ~~~。此処はチュートリアルの為の部屋なんです。
あ、申し遅れました、私は、各種チュートリアルを説明する為のノンプレイヤーキャラクターの『マジシャンズ・ヴァルキリア』です。お見知りおきを。』
と思ったら、此処はチュートリアルルームだった訳か。
態々こんな部屋を設定するなんて、開発者は相当に気合いを入れたみたいだね~~~……本気でご苦労様だよ。
それで、チュートリアルがあるって事は、此のゲームは単純にデュエルって言うゲームではない訳なんだろうけど、通常のデュエルとの差異はどれだけ?
『基本的には、通常のデュエルと同じですが、此のゲーム内でのデュエルには特殊なルールが存在しているのです。』
「特殊なルール?」
「其れは一体……」
「確かにそいつは気になるな?」
一体どんな特殊ルールがあるって言うんだろ?
『それが『デッキマスター』のシステムです。
全てのプレイヤーキャラは、デュエルを行う前にそのデュエルに於けるデッキマスターを選択し、フィールド上の『デッキマスターゾーン』に表側表示で置
きます。そして、デッキマスターとなったモンスターには、通常のモンスター効果とは異なる効果が設定されていますので、お気をつけて。』
デッキマスター!!確かに其れは、面白そうね?
『ゲーム内では、他のプレイヤーとのデュエルや、デュエル用のNPCとのデュエルの他、街以外のフィールドではデュエルモンスターズのモンスターが襲っ
て来る場合もありますが、その際もモンスターの召喚や魔法・罠の発動と言った行為で戦闘が可能になります。
この特殊バトルの場合は、どんなモンスターでも召喚条件を無視して召喚できるので、純粋なパワーバトルを堪能してください。
それと、此れが一番重要なのですが、デッキマスターは如何なるモンスターを設定した場合でも、あらゆる条件を無視して特殊召喚出来ると言う特性を
持っています――が、召喚したデッキマスターが倒された場合は、ライフポイントが残っていても敗北となるのでご注意ください。』
成程、デッキマスターとはつまり、そのデュエルに於けるデッキの将みたいな物で、将が討ち取られたら其処でお終いって訳ね……デッキマスターを召喚
する場合には、状況を見極めるのが何よりも大事になるって訳か。
『以上でゲームの説明は終わりになります。其れでは『デュエル・ビート・オンライン』の世界を、是非お楽しみください♪』
――シュゥゥゥゥン!!
と、漸くゲーム開始みたいね………って、なんじゃこりゃぁぁぁぁぁ!?服が変わってる!?いや、デュエルディスクの形まで変わってる!?
此れって若しかしてゲームの仮想空間内でのアタシ……『アバター』ってやつかしら?
アタシの衣装は軽装の甲冑と言った所かしら?ブーツ型の具足と、肘部分までの籠手に胸部の軽甲冑……まぁ、割とよくある『女戦士』の格好ね。
でもってデュエルディスクは腕に装着する部分が盾で、カードを置く部分が剣のイメージって所ね。
「ゲーム内の衣装とは言え、またこれを纏う事になるとはね………しかもデュエルディスクのイメージはお前か、ナハト……」
アインの衣装は、ワンピース型の黒のインナーに、ミッドナイトブルーの上着と腰マント、足首までの鉄製の具足に、何故か背中に黒い羽根が3対6枚。
でもって極めつけはデュエルディスクの形状……何だろう此れ?ぱ、パイルバンカー付きの特殊腕部装備と言うか何と言うか…取り敢えず強そうだわ。
其れでブランだけど……
「なんだって、こうなるんだよ………」
その気持ちは分かるわね……アタシが其れだったら間違いなく同じ事を思うだろうし。
よりにもよって、毛皮製のワンピースタイプの衣装に、これまた毛皮製の籠手と具足、挙げ句の果てにデュエルディスクは骨細工のイメージって、完全に
『女バーサーカー(アマゾネスでも可)』のイメージだもんねぇ……まぁ、どっかの街で衣装買って着替えるとしましょう。
ま、其れは兎も角としてゲームのスタート地点は林みたいね?
街中じゃないとなると、野生のモンスターが出てくる可能性は充分にある訳だけど――どうやら、早速お出ましみたいね!!
『ガァァァァァァァァァ!!』
メンタル・スフィア・デーモン:ATK2700
『ハァァァァァァ!』
マジカル・アンドロイド:ATK2400
『ムオォォォォォン!!』
ハイパー・サイコ・ガンナー:ATK3000
野生のモンスター達が!!……って言うか、ゲーム開始直後に現れる敵にしては、少しばかり強過ぎないかしらね?
普通だったら、レベル4以下の通常モンスターとかその辺が出てきそうな感じだけど、行き成りサイキック族の上級シンクロモンスターって流石に在り得な
いわ――或は、此れもミスティの意識を取り込んだバグの影響なのかも知れないけど……
「考えても仕方ないから、取り敢えず殲滅して先に進むわよ2人とも!!」
「言われるまでもねぇ、撃滅してやる!!頼むぜ『鎧殻龍 シェルアーマー』!!」
『カァァァァァァァァァァァァ!!』
鎧殻龍 シェルアーマー:ATK2600
「立ち塞がるならば、砕いて進むのみだ!出番だぞ『カオス・ソルジャー』!!」
『テヤァッァアァァァアァァァ!』
カオス・ソルジャー:ATK3000
この布陣なら、貴方の出番よ『漆黒魔族ギルファー・デーモン』!!
『ゴォォォォォォォォォォォォォォ!!』
漆黒魔族ギルファー・デーモン:ATK2200
そして、ギルファー・デーモンの効果により、アタシ達のモンスターの攻撃力は300ポイントアップし、相手モンスターの攻撃力は500ポイントダウンする!
漆黒魔族ギルファー・デーモン:ATK2200→2500
鎧殻龍 シェルアーマー:ATK2600→2900
カオス・ソルジャー:ATK3000→3300
メンタル・スフィア・デーモン:ATK2700→2200
マジカル・アンドロイド:ATK2400→1900
ハイパー・サイコ・ガンナー:ATK3000→2500
これで、攻撃力は全軍アタシ達のモンスターが上回ったわ――さぁて、開幕の合図に、弩派手に行きましょうか!!!
漆黒魔族ギルファー・デーモンで、マジカル・アンドロイドに攻撃!!
「シェルアーマーで、メンタル・スフィア・デーモンに攻撃!!」
「カオス・ソルジャーで、ハイパー・サイコ・ガンナーに攻撃!!」
吹き飛べ『ギルファー・ブレイズ』!!!
「『アクアフォール・ハンマー』!!」
「『カオスブレード』!!!」
――キィィィィィィィィィィィン……ドガバオアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!
はい、一撃撃滅!!
確かに、ゲーム開始直後に現れるモンスターとしては強力だったけど、アタシ達の前ではさして脅威にはならなかったわね?――百数十戦を勝ち抜いて
きた、デュエリストの実力を舐めるんじゃないわよ!
だけど、如何にもこいつ等だけで終わりって言う事でも無いみたいね?
『『『『『『『『『『『『『ゴギギギギギギギギギギ。』』』』』』』』』』』』
多種多様なサイキック族モンスターがもっさり
まぁ、サイキック族モンスターが来る事来る事……此れはどんなに少なく見積もっても100体は居るでしょうけど、その程度でアタシ達を止められると思っ
てるの?……だったら、纏めて吹き飛べぇ!!!!!
「上等だ……ぶっ殺してやらぁ!!」
「此方は、人命にかかわる事態だから余計にね――殲滅するのが礼儀だろう!!」
だよね?………さぁて、ゲーム開始直後だけど、ゲーム内でのレベルアップも兼ねて、撃滅してあげるわ雑魚モンスターの集団が!!
――群がるサイキック族モンスターを撃滅中だから、少しだけ待っててね♪
んでもって、やるもやったり1人頭30体!!
今回のバトルだけで、アタシ達はゲーム開始直後のレベル1からレベル28まで成長したわよ!!
まぁ、レベルアップは良いんだけど、今まで出てきたモンスターが全てサイキック族と言うのが気になるわね?……もっと色々な種族のモンスターが出て
来ても良さそうな物だけど、現れたのはサイキック族のモンスターばかり……幾ら何でもこれはゲームのバグで済ませられる事態じゃないわ。
寧ろ本気でバグってたら、逆に多種多様なモンスターが現れるでしょうからね……にも拘らず、サイキックの軍団――気に留めておいた方が良いかもね。
とは言え、マダマダゲームは始まったばかり。
ミスティを助ける為にも、此のゲームは完全攻略しないとよね――さて、先に進みましょうか!!
――――――
Side:???
ククク……ブランを誘き出す心算でミスティの意識を攫った訳だが、まさか上条遊里とアインまで現れるとは……此れは、私にとっては嬉しい誤算だな。
肉体は滅んだが、魂だけの存在になったが故に、ネットワークに介入してデータを弄るなど造作もない事だ――例えば、フィールドに現れるモンスターの
種族を1種族に限定すると言った感じにな。
精々頑張って、私の下に辿り着くが良い――辿り着いた暁には、跡形もなく消し飛ばしてやろうじゃないか!!
ククク………我が復讐の炎は消えないぞ――貴様等の命を喰らい尽くすその時までな!!
――――――
Side:遊里
でもって、群がるモンスターを撃滅しつつやって来たんだけど………此れって何のいじめ?
「草原の次のフィールドが、猛吹雪の雪原てのは色々おかしくねぇか?」
「まぁ、ゲームにバグがあるらしいから、こんなちぐはぐなフィールドの組み合わせがあるのかも知れないね。」
とは言え、先に進むにはこの猛吹雪の雪原を抜けなきゃならない訳だから、きっと雪原を安全に通り抜ける為のアイテムか何かが存在してる筈だから、先
ずは其れを探し出すのが先決ね。
幸いにも、現地店から南西に進んだ場所に街があるから、其処で雪原を超える為の情報を集めるとしましょうか?
「情報収集……RPGの基本だな。」
「情報は有って困る物でもないし、先ずはその街に行って情報収集と言うのは、上策だと思うぞ遊里。」
だよね♪
この手のゲームの攻略には情報が欠かせないからね?――ミスティを助ける為にも、街で情報収集と行こうじゃない?
ブリザードが吹き荒れるあの雪原を超えない限りは、次には進めないみたいだから、思いっきり気合い入れてくわよ、ブラン、アイン!!
「おうよ、上等だぜ!!」
「あぁ、力の限りな。」
さて、誰が何の目的でこんな事をしたのかは知らないけど――真犯人は、絶対に探し出してそして撃滅してあげるわ!!
多くの人が楽しみにしてたゲームのシステムを乗っ取って、好き放題ってのは万死に値するからね……覚悟だけは、しておきなさいよ黒幕的存在は!!
何処の誰かは知らないけど、アタシ達が必ず叩きのめしてあげるから、首を洗って待っていなさいよね!!
To Be Continued… 
登場カード補足
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