Side:ブランシュ


ちょっと待て、悪いがもう一遍言って貰えるか?なんかのっぴきならない事を聞いた気がするんだが……


「ですから、今度のファッションショーで、ミスティさんと共演予定だったモデル2名が体調を崩してしまって、参加できなくなってしまったんですよ!!
 今度のイベントは大きなモノだけに外せないのですが、流石にミスティさん単体では些かきついかと……」


聞き間違いじゃなかったかコンチクショウ!!
本番まで残り四日でキャンセルって、ドンだけだって―の!!まぁ、体調不良じゃ仕方ないかもしれないけど、今からじゃあ代役を立てるって言っても、ミ
スティと同じステージに立てるレベルのモデルとだと、スケジュールが立て込んでるだろうからなぁ……此れは結構ピンチだよな俺?

だけど、この困難を何とかしてステージを成功させなきゃ、マネージャー失格だ!!


幸いにして、プロじゃないけど代役の宛は有るからな――てか、あの2人だったら並のモデルなんぞ話にならないレベルの容姿だし、打診してみる価値は
在りそうだな?


デュエル以外の事で助けを求めるのは不本意なんだが――この際は仕方ないって所だよな……ミスティの一大ステージな訳だからさ!!











異聞・遊戯王5D's Turn97
『再会の理由はモデル代理?』










Side:遊里


マッタク持って、ブランからメールが来るとは驚いたわね……内容が、内容だけに余計に驚いたのは否めないけどね。
まさか、ファッションショーのモデルの代役を頼まれるとは予想外にも程があるわ――アインも呼ばれていた事に関しては、ある意味で納得だけどさ。
でも、何だってアタシ達だったのやら……まぁ、頼まれた以上は受けるけどね。


んでもって、チケット片手に飛行機に揺られること数時間――漸く現地に到着!!
ブランが空港に迎えに来てくれるって言う事だったんだけど……


「お~い、久しぶりだな遊里、アイン!!」


誰かが向こうから手を振りながらやって来た……相手は私達の事を知ってるみたいだけど――敢えて問おう、アンタは誰?


「出会いがしらが其れかよ!!俺だ俺、ブランシュ・ノーチラスだよ!!」



………ウソでしょ!?全然別人じゃない此れ!!
こんな事言ったらアレだけどは、ぶっちゃけあり得ないでしょうに!!
イメチェンで済む騒ぎじゃないわよ此れ!!毛質どころか、頭の骨格まで変わってんじゃないのよ此れ!!何、作画監督が交代でもしたって言うの!?


「危険度MAXな事言ってんじゃねぇ!!
 確かに自分でも別人28号なのは否定しねぇが、せめて俺の頑張りの証って事で納得してくれよ……容姿を女の子らしくするって大変なんだからな!」


……言われてみれば確かにそうかもね。


さてと、其れじゃあ改めまして久しぶりねブラン。元気してた?


「ったく……まぁ、適当に忙しいけど、其れなりに息災でやってるさ――モデルのマネージャーってのも、意外と面白い部分があるからな。」

「中々に充溢した日々を送っているようだな?
 ダークシグナーと戦って居た時のお前から感じた、仄暗い力も完全に消えているみたいだし、今のお前となら良いデュエルが出来そうだよ。」


確かに、容姿だけじゃなくてオーラって言うか気配って言うか、そう言うのもまるで別人だわ。
すっごく良い表情してるし、その感じだとサイコパワーの方も、前よりもより制御できるようになってるかも知れないわね。


「まぁ、大分力は制御出来るようになったし、感情の揺らぎで暴走する事も無くなったのは事実だな。
 ――って、そんな話してる場合じゃねぇんだった!!取り敢えず、車用意してあるから話はそっちでだ!!色々と打ち合わせもしたいからよ!!!」

「確かにそうね。
 何をどうすれば良いのかとか聞いとかないとアレだし、何でアタシとアインに白羽の矢が立ったのかを聞いておきたい所だし。」

「まぁ、確かにそうだな。」



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で、乗り込んだ車の中にはミスティが。一緒に来てたんだ。
まぁ、空港まで出迎えに来てたら人だかりができちゃうだろうから、車の中で待ってたのは正解だわ。
じゃあ、詳細説明プリーズ。


「メールにも書いたけど、ミスティの競演相手だったモデルが体調崩しちまってさ、代役を頼むにしても一緒に仕事した事のあるモデル連中は軒並みスケ
 ジュールが詰まっててよぉ……だけど、仕事をキャンセルする事も出来ないだろ?
 其れで誰かいないかって考えた時に、お前等が思い浮かんだんだよ――行き成りの事でワリィが、頼むぜ?」

「態々呼び立てて悪かったわね2人とも――感謝してもしきれないわ。」


あ~~~……うん、其れについては良いんだけど、何だってアタシとアインだった訳?
アタシ達じゃなくても、代役務められそうな人は多いと思うんだけど?……それこそ、適当なグラドルにでも声かけた方が早かったんじゃないの?


「そうかも知れねぇけど、そうなると面倒な交渉とか必要だろ?
 こう言っちゃなんだけど、お前達なら二つ返事で了解してくれそうだし、何より2人の体格が病欠したモデルと殆ど同じだから衣装合わせの手間もないと
 思ってさ……加えて、2人ともモデル顔負けの容姿だからな。」


成程ね。確かに筋は通ってるわ。
でもブラン、ミスティ、アインは兎も角としてもアタシは如何なんだろう?――流石にマーカー付が舞台に上がるって言うのは問題があるような気が……


「其れについては大丈夫よ遊里さん。
 メイクの方に連絡して、貴女のマーカーは皮膚を再現した特殊メイクで隠す事になって居るから。」


抜かりなしって事ね、お見事。

で?ファッションショーは兎も角として、其れだけじゃないわよね?


「……流石にばれてたか。
 実は、ファッションショーの翌日には、デュエルモンスターズを使った体感型ゲームのβテストがあって、そのイベントにもミスティは病欠の2人と一緒に
 参加する予定だったんだよ――モデルデュエリストって事でな。
 其れを踏まえると、やっぱりデュエルが強い奴は必須だったって訳よ――そんな訳で、宜しくお願いします、割とマジで!!」


そんなイベントまで……良いじゃない、面白そうだし!
って言うか、アタシ的にはファッションショーよりも、そっちのイベントの方が魅力的だわ!!デュエルモンスターズを使った体感型ゲームって何よ!!!


「其れは当日のお楽しみって事で……俺だって、詳しい事は知らねぇんだよ……」

「ファッションショーよりもそっちに反応するなんて、遊里さんは根っからのデュエリストなのね?」

「あぁ、遊里の身体はカードで出来ているからな。」


ちょっとアイン、人をどこぞの弓兵みたいに言わないでもらえる?――確かに、頭にウルトラハイパーの付くデュエル馬鹿ってのは否定しないけどさ。

だけど、アインだって興味あるでしょ、デュエルモンスターズを使った体感型ゲームって。


「まあ、確かにな……私も、デュエルは好きだからね。」


なら問題ないでしょ?


ま、取り敢えずは、今夜のファッションショーを何とか成功させないとね。
結構大きなイベントらしいから、失敗したらミスティの今後の仕事に影響しかねない――何処まで出来るか分からないけど、頑張らないとよね。








――――――








Side:アイン


で、車で移動した先はファッションショーの会場だった。
余りにも急な事だっただけに、時間も無く、更には私と遊里が現地に到着したのが、ショーの当日と言う事も有って、半ば突貫作業的な感じで衣装合わせ
や、各種打ち合わせ、リハーサルなどが行われ――遂に本番が始まった。


此れだけの人を前に何かをするなどと言う事は無かった事だから、少しばかり緊張してしまうのだが……遊里は、大丈夫みたいだな?


「フォーチュンカップで、大勢の観客の前でデュエルした事を思えば此れ位はね――だけどまぁ、人の数が凄いって言うのは否定しないわよ。
 マッタクもって、此れだけの人が集まるファッションショーだとは思っても居なかったけどね。………アイン、此処で――」


あぁ、私は『指を組んだ状態で両腕を上げ』、遊里は『指を組んだ状態で両手を腰の辺りに』だったな。

衣装ごとのポーズも決まっているから、中々に大変だ……完全に此れを暗記しているプロモデルには、本気で頭が下がるな。


加えて――



「次は3人一緒にだ!ミスティさんが戻ってきたら、直ぐに出れるようにしておけよ!?」

「え~っと、次の髪型は、ミスティさんが左のサイドテール、アインさんが右のサイドテール、遊里さんは編み込みの下ろしで良かったですか!?」

「ってオイこら、次に使う80番と91番のビーズは何処だ!?
 ネックレスと、イヤリングも見当たらねぇぞ!!さっさと持ってこいや!!!」



スタッフの忙しさはその比じゃないな。
忙しさの極みを『盆と正月が一緒に来た』と表現する事があるが、此れは其れじゃあ済まないレベルかも知れないね……正にスタッフが東奔西走だよ。


「ほら、アインさんも今度はこっちの衣装ですよ!!」

「遊里さん、顔の特殊メイクが剥がれかけてますからこっちに!!!!」


息つく暇もないとは、正にこの事だね。

比喩ではなく、目が回る程の忙しさだよ。


だが、その忙しさを何とか乗り切る事が出来たおかげで、ファッションショーは大成功に終わったみたいだけれどね♪








――――――








Side:遊里


でもって翌日。


昨日のファッションショーの写真とかは、各種ファッション情報誌に掲載されるって事みたいね……其れは先に言えっての!!まさか、雑誌に載るとはね。
デュエル専門誌に載った事はあるけど、ファッション誌なんて言うのは初めてだからね?……精々、誇張された記事が書かれていない事を祈るわ。


まぁ、其れは其れとして、今日は新ゲームのβテスト日。


イベントの会場であるゲームセンターには可成りの人だかりが出来てるわね?
大体、デュエリスト50%、ゲーマー30%、その他が20%ってとこか……矢張り注目のゲームであることは間違いないみたいだわ。


「其れではミスティさん、お願いできますか?」

「ふふ、お手柔らかにお願いするわね?」


そんな中でβテスト開始。

プレイヤーは特殊なバイザーを掛け、自分のデッキを指定の場所に置いてゲーム開始――仮想空間でカードを使うゲームみたいね。

詳しい事までは分からなかったけど、テスト版の難易度だったらミスティなら楽勝――




――ビー!!ビーーーー!!!




と思ってたら行き成り警報!?

なに、何か不具合が起きたの!?
それ以前に、ミスティは無事なの!?



「全電源カット!!マシンを手動で動かせるようにしろ!!!!ミスティさんの安全を最優先に!!」

「全電源カット!!マシンコントロールを此方に……って、そんな馬鹿な!!!」



へ?如何したの?何か問題が?



「コントロールの移行が出来ない!?
 それに、電源をカットしたのにゲームが止まらない……何よりも、ミスティさんが目を覚まさないのに、ゲームが進行している――!!!」


な、何ですって!?



「そんな、嘘だろ!?おい、確りしろミスティ!!目を開けてくれ!!!!」

「まさか、此れは………」



考えたくもないけど、まさかミスティの精神はゲームに捕らわれてしまったとで言うの?――此れは、如何やらモデルの代役だけでは済まない事態が起き
た……と言うよりは、起きてしまったみたいね――!!














 To Be Continued… 






登場カード補足