ジャック:LP3200   SC4
天狼王ブルー・セイリオス:DEF0(ロスト・スター・ディセント効果)


挑戦者:LP2400   SC2
サイバティック・ワイバーン:ATK100(ブルー・セイリオス効果)




Side:ジャック


ふん、只の跳ねっ返りかと思ったが、まさかデッキのモンスターを通常モンスターのみで構成したバニラビートダウンとはな、久々に楽しませて貰ったぞ。
ならば、その礼はたっぷりとしなくてはなるまい――俺のターン!!


ジャック:SC4→5
挑戦者:SC2→3



俺は、チューナーモンスター『ライト・リゾネーター』を守備表示で召喚!


ライト・リゾネーター:DEF700


そして俺は、レベル5となったブルー・セイリオスに、レベル2のライト・リゾネーターをチューニング!
天頂に輝く死の星よ、地上に舞い降り生者を裁け!シンクロ召喚!切り刻め『天刑王 ブラック・ハイランダー』!!


『ムオォォォォォ……!!』
天刑王 ブラック・ハイランダーATK2800


これで終わりだ!!天刑王 ブラック・ハイランダーで、サイバティック・ワイバーンに攻撃!『デス・ポーラ・スレイ』!!!


――ズバァァァ!!!


「おわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
挑戦者:LP2400→0


フン、多少は楽しめたが、其処までだ。
貴様とのデュエルには、遊里とのデュエルで感じた熱さも、フィールの強さも感じんからな――一から修業をし直してくるが良い。
貴様が強くなり、再び俺の前に挑戦者として現れたその時は、俺もまた全力で相手をしてやろう『絶対王者』としてな。

だが、覚えておけ……俺は絶対王者!生半可なデュエリストでは、俺の皮を割く事すら出来んと言う事をな!!それ以前に、俺は絶対に負けん!!!

もしも此の世に、俺を倒せるデュエリストが居るとしたら、其れは初代デュエルキングの武藤遊戯か、或は無敵女帝の上条遊里くらいだろうな。











異聞・遊戯王5D's Turn94
『現れたるは、偽王者と偽魔龍』










Side:遊里


まぁ、大体予想はしてたけど、今日の防衛戦も、蓋を開けてみればジャックの圧勝だったわね~~……トドメはブラック・ハイランダーって言うのも中々♪
あそこでレッド・デーモンを呼ぶよりも、ブラック・ハイランダーの方が映えるからね?――実力だけじゃなく、ジャックは『魅せる』事にも拘ってるから。

そう言う意味では、今のデュエルは最高レベルのパフォーマンスだったんじゃない?
相手の攻撃をものともせずに突き進んでいく絶対王者ってのは、シティの市民の憧れになってもおかしくないでしょう?まぁ、家の住人なんだけどさ。


其れは兎も角、おめでとうジャック!流石、絶対王者の名は伊達じゃないわね?実に見事なデュエルだったわよ?


「そうか?……まぁ、あの程度は所詮『中々出来る』レベルに過ぎんからな……俺やお前の相手ではない。
 其れに、勝ち続けてこその絶対王者だ――例えどんな奴が相手であろうと、俺は負けん!!再びお前とデュエルをする、その時まではな遊里!!」


と思ったら、既に先を見据えてる訳ですか……まぁ、アタシも人の事は言えないわ――何時か、ジャックとは決着を付けないとだからね。
其れが何時になるかは分からないけど、その時は最高のデュエルをしましょ、ジャック?


「無論だ……デュエルは魂と魂がぶつかり合うからこそ楽しいのだからな。――其の意味では、今日の相手も中々だったが、あの程度ではな――!!」

「流石は絶対王者、言う事が違うわ。」

さてと、其れじゃあ今日の晩御飯のメニューは、ジャックの防衛を記念して、遊里さん特製のメンチカツにしようかな?アレは結構好評メニューだしね♪
そうと決まれば早速買い物に!確か今日はお肉屋さんで豚のひき肉が特売だった筈だから!メンチカツは豚ひきじゃないと、美味しく出来ないし。

じゃあそれを買って…後は、八百屋さんでキャベツを―――って、あれ?
如何したのセキュリティの皆さん、血相変えて?――若しかして、面倒な事件でも起こったのかしら?


「そうではない……いや、ある意味でそうとも言えるのだが――失礼ですが絶対王者、同行を願えますか?」

「……任意同行と言うやつか?……付き合ってやっても良いが――」

「――一体、ジャックが何をしたって言うの?」

態々、任意同行許可書を作って来た辺り、ジャックが何かやらかしたって言う確固たる証拠があるのよね?――先ずは其れを見せるのが先じゃない?
って言うか、碌に確認もしないで、行き成りジャックに任意同行求めるとか、本気でアホなの?バカなの?無能なの?人権侵害で訴えれるわよ此れ?


「其処まで言わなくともいいだろう!!こっちだって人手不足なんだよ!!副長官居なくなるし!!
 ――ゴホン、まぁ、その通りかも知れんが、此の写真を見てくれるかな?昨夜の22時ごろにハイウェイの監視カメラが捉えたモノだが――」


此れってライディング・デュエルの現場?
た~しかにジャックに良く似た人物が映ってるけど、コイツはジャックじゃないわ――だって、昨日の午後10時なら、ジャックはアタシとクロウと一緒に、ブ
ルーアイズカフェで一休みがてら、デュエル談議に花咲かせてたしね?多分店の店員が証人になってくれるわ。
なんたって、彼女は熱烈なジャックファンだから、ジャックが店に来たのを忘れる筈がないし。……ジャックと居ると射殺さんばかりに睨まれるけどね。

って言うか、ジャックはこんな無用なストリートデュエルをしない事くらい、分かるでしょうアンタ等にだって!!


「其れはそうなのだが、目撃情報ではこの犯人は『レッド・デーモン』と思しきカードを使っていたと言うのが如何にもね?
 『煌魔龍 レッド・デーモン』は絶対王者ジャック・アトラスのみが持つカード……其れを使っていたという目撃情報が有る以上は、此方としても……」

「コピーカードの可能性は?」

「……あ。」


やっぱり考えてなかったのね……何て言うか、若しかしなくてもセキュリティってマニュアル化された捜査方法しか出来ないって言うのかしら?
確かに、此れだけの状況証拠があるならジャックを疑うのは分かるけど、そのカードがコピーカードで、犯人はジャックのコスプレしてるとか、そう言う可能
性も考えなさいって――そうじゃないと、また私みたいな冤罪被害者を出すわよアンタ達?


「ぐ……其れを言われると、実に耳が痛いが――「……随分とふざけた事をしている奴がいるようだな……!!」……キ、絶対王者?」


あらら……当然だけど、相当にご立腹ねジャック?
まぁ、自分の名を騙る辻デュエリストが現れ、挙げ句の果てに『レッド・デーモン』のコピーカードを使ってるかもってなれば、其れは頭にも来るわよね?


「俺の名を騙るのみならず、我が魂たるレッド・デーモンのコピーカードを使うとは……此処まで腹立たしい、挑戦表明をして来た奴は初めてだ。
 だが俺は絶対王者……俺と戦いたいというのならば相手になってやろう――そして王者のフィールで俺の名を騙る愚者を吹き飛ばしてくれるわ!!」


――轟!!


「のわぁぁあっぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!?」

「……偽ジャックを吹っ飛ばす前に、セキュリティの捜査官吹っ飛ばしちゃったわね~~~。相変わらず、凄まじいフィールですこと。アタシは平気だけど。

それで、如何するのジャック?


「決まっているだろう?
 夜のレーンを走って、俺の名を騙る辻デュエリストをおびき出し、そしてこの手で叩き潰し、セキュリティに突き出してくれる!!」


ですよね~~~♪
それじゃあ、早速今夜決行と行きましょうか?アタシがオペレーターを務めて、偽物を倒すのはジャックって事で!――任せるわよ、絶対王者?


「フン……俺を倒せる可能性があるのはお前だけだ。――俺は絶対王者だ、辻デュエリスト如きに後れは取らん!!」


まぁ、そうでしょうね。



でも、なんだろうこの胸騒ぎは?
ジャックのデュエリストレベルなら、相手が初代デュエルキング級の相手じゃない限りは負ける事は無いと思うけど……なんか、凄く嫌な予感がするわ。

取り敢えず、用心だけはしておいてねジャック?


「無論だ――油断と慢心は、既に己に負けた証と言うからな。」


まぁ、アタシの考えすぎよね……ジャックは負けないわ。
でも、辻デュエリストは、何だってこんなに『分かり易い』挑発をして来たのかしら?――其処までしてジャックとデュエルがしたかったって事なのかな?

その辺も、ジャックが偽物を倒せば明らかになるだろうけどね。








――――――








Side:ジャック


俺の名を騙って辻デュエルとは、マッタク持ってふざけた事をしてくれたものだ……その代償はキッチリ払って貰うぞ偽物が!!!
遊里よ、レーンに何か反応は有ったか?


『今の所は……うぅん、ちょっと待って。
 今、ジャックが走ってるレーンに高速で近付く反応あり!!Dホイール照合……機体は『ホイール・オブ・フォーチュン』!!!』


と言う事は、俺の偽物が現れたという事か――ならば、叩き潰してくれる!!!


『気を付けてね、ジャック……!』

「案ずるな、俺は負けん――俺の名を騙る雑魚等にはな!!」



――ギュイィィィィン!!



来たか、偽物が!!


「キングは只一人、この俺だ!!
 今の貴様はキングとして府抜けている――だから教えてやろう、この俺がキングのデュエルの真髄と言うモノをな!!」

「ほざけ、俺の名を騙る貴様が絶対王者を謳うなど、300年は早いと知れ!!!」

だが、貴様の望みはデュエルなのだろう?……ならば、掛かってくるが良い!!其れを、俺が粉砕してくれる!!
覚悟は良いな、俺の偽物よ!!フィールド魔法『スピード・ワールド2』セットオン!!


『デュエルモードオン、レーンをセントラルに申請――サジタリウス。』


直線と高速コーナーで構成されたコースか……コイツを叩き潰すには持って来いのコースだな!!
覚悟は良いな、辻デュエリスト!その力を見せてみるが良い!!


「「デュエル!!」」


ジャック:LP4000    SC0
偽ジャック:LP4000    SC0




ファーストコーナーは貰った!!――俺の先攻からだ!!

「俺のターン!『獣戦士王 ミノタウロス』を攻撃表示で召喚!!」
獣戦士王 ミノタウロス:ATK1700


カードを1枚セットしてターンエンドだ。


「俺のターン!」


ジャック:SC0→1
偽ジャック:SC0→1


「俺は、手札よりスピードスペル『Sp-オーバー・ブースト』を2枚発動!
 此れにより、エンドフェイズに俺のスピードカウンターは1になるが、このターンのエンドフェイズまで、俺のスピードカウンターは8個増える!!」


何だと!?


偽ジャック:SC1→9


「そして、相手フィールドにのみモンスターが存在する場合、手札の『バイス・ドラゴン』を特殊召喚出来る!!
 但し、この効果で特殊召喚したバイス・ドラゴンのステータスは半分になる!」
バイス・ドラゴン:ATK2000→1000


「更に、チューナーモンスター『フレア・リゾネーター』を召喚!」
フレア・リゾネーター:ATK300


この速攻……悪くないが、此れは行き成りレベル8のモンスターをシンクロ召喚する心算か?――まさか!!


「俺は、レベル5のバイス・ドラゴンに、レベル3のフレア・リゾネーターをチューニング!
 王者の鼓動、今此処に列を成す――天地鳴動の力を見るが良い!!シンクロ召喚、我が魂『レッド・デーモンズ・ドラゴン・ダークソウル』!!」

『バオアァァァァァッァァァァァァッァァァァ!!』
レッド・デーモンズ・ドラゴン・ダークソウル:ATK3000



「そして、フレア・リゾネーターの効果で、レッド・デーモン・ダークソウルの攻撃力は300ポイントアップする!!」


レッド・デーモンズ・ドラゴン・ダークソウル:ATK3000→3300


此れは……傷だらけのレッド・デーモンだと!?
しかも強化しての召喚とは……如何やら、只のコピーカードではないようだな――何とも面倒な……


「レッド・デーモン・ダークソウルのモンスター効果発動!
 1ターンに1度、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスターを全て破壊し、破壊したモンスター1体につき800ポイントのダメージをあたえる!」


――バガァァァァアッァァァァ!!!


しかも、何と言う効果だ……場合によってはワンターンキルも出来る効果だぞ此れは!!!


ジャック:LP4000→3200


「この効果を発動したターンは、俺は攻撃出来ないが――ここで、スピードスペル『Sp-時の女神の悪戯』を発動!
 俺のスピードカウンターが6個以上ある時、ターンを次のオレのターンのバトルフェイズに飛ばす!!故に、レッド・デーモンズ・ドラゴン・ダークソウルは
 攻撃可能となる!!此れが真の王者のデュエルと知れ!!」

「ば、馬鹿な!!!」

まさか……こんな事が起きるとは!!!
俺の動きは、相手に読まれていたのか、其れとも俺とデュエルする前に、俺のデータは集まっていた――其れだけに、こんな物が!!


「消えろ……敗北の冥府に沈め!!レッド・デーモンズ・ドラゴン・ダークソウルで、プレイヤーにダイレクトアタック!!
 消え去れ雑魚が……『アブソリュートクリムゾン・フレア』!!」


だが、この程度では!!
リバースカード、オープン!トラップカード『デモンズ・チェーン』!!此れで、貴様のモンスターはその攻撃を制御される!!


「甘い甘い!!脆弱、脆弱~~!!その様な小細工など、この俺には通じぬ!!
 レッド・デーモンズ・ドラゴン・ダークソウルは、このカードを対象にした罠カードの効果を受け付けぬ!!デモンズ・チェーンなど、無駄な足掻きだ!!」


何だと……!?


「消えろ雑魚が……鉄槌を振り下ろせ、レッド・デーモンズ・ドラゴン・ダークソウル!!!」

『バオォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!』


――ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!



「ぐおわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ジャック:LP3200→0


馬鹿な……こんな事が有り得るのか!?――偽物に、俺が負ける等と言う事が……其れに、このレッド・デーモンは……コイツは一体何者なのだ…?








――――――








Side:遊里


そんな……まさかジャックが負けるだなんて!!
でも、今のデュエルは明らかにオカシイわ……レッド・デーモンの亜種みたいなシンクロモンスターも然る事ながら、偽ジャックの手札が充実し過ぎてる。

そう、まるでどう転んでもこの結末になるように、操作されてた手札だった可能性が否定できないわ。


って言うか、そうでもしなきゃ辻デュエリスト如きが、ジャックに勝つ事なんて不可能よ!其れこそ天地がひっくり返った所で絶対にね。


つまりはイカサマデュエルの可能性が高いわ……なら、ジャックと機体を回収して、マシンにイカサマ防止機能を付けるだけね――そうすれば、次は負け
ないからね、ジャックは!!





けど、ジャックを回収しようと現場に向かった私達の前にジャックの姿は無かった。――まるで、その場から消えてしまったかのように。


でも、だとしたら、今あなたは何処にいるのジャック!?


聞こえていたなら返事をしなさい!!シティの絶対王者が、イカサマデュエルで潰されたなんて、そんな事は絶対に認めないわ!!
だから、聞こえてたら返事をして!!ジャック……ジャックーーーーーーーーー!!












 To Be Continued… 






登場カード補足




レッド・デーモンズ・ドラゴン・ダークソウル
レベル8    闇属性
ドラゴン族・シンクロ/効果
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
1ターンに1度、自分のターンのメインフェイズに発動できる。
相手フィールド上に表側表示で存在するモンスターを全て破壊し、破壊したモンスター1体につき800ポイントのダメージを相手に与える。
この効果を発動するターン、このカードは攻撃する事が出来ない。
このカードは、このカードを対象にした罠カードの効果を受けない。
ATK3000    DEF2000



Sp-時の女神の悪戯
スピードスペル
自分のスピードカウンターが6個以上ある時に発動可能。自分のスピードカウンターが8個以上ある時、このカードは速攻発動できる。
相手の次のターンをスキップし、次の自分のターンのバトルフェイズを行う。