Side:遊里


取り敢えず、今日も今日とて凶悪犯罪も発生しないで平和な日々なんだけど、何故かアタシとジャックは深影さんに呼び出されて、このレストランに。
シティが一望できる、高級ホテルの展望レストランなんて初めてだわ。
代金については完全に相手持ちだから遠慮なんかはしないけど、な~~~~にか、裏があるような気がしてならないのよね?あ、言峰麻婆追加で。


「遊里よ、今のでその劇物は何杯目だ?」

「ジャスト5杯目、まだまだ余裕で行けます!!
 あ、其れからノンアルコールカクテルの、カルピスのコーラ割も宜しく!それから『激辛・インド風カレーフライドポテト』も追加で!!」

「甘味と辛味のオンパレードか貴様は!!
 本気で、どうなっているのだ貴様の胃袋は!?常人がこのメニューを食したら、胸焼けでは済まぬ痛手を被るぞ!!!」


そう言われても、好きな物は好きだからしょうがないのよジャック。
其れに、私が個人的に食べる物はアレだとしても、普段皆に作ってる料理は真面でしょ?だったら問題ない、辛味と甘味は私のジャスティスだからね!


「まぁ、人の趣向に彼是口を出すのは良くないかもしれんからな。
 ――で、態々俺と遊里を呼び出して何の用だ、狭霧深影?よもや、本当に昼食を奢る等と言う、生温い理由ではなかろう?」


で、此処で確信に斬り込むとは、流石絶対王者!!斬り込み方が違うわ此れ!!


「ばれていましたか……元より、隠す心算は無かったのですが、彼方達に1人の男性を保護をお願いしたいんです。」


人物の保護?……此れは、確かに軽い物ではないかもしれないね。












異聞・遊戯王5D's Turn91
『登場!ハイパーメカニック!』










まぁ、私的には全然OKよ?
借り受けてるポッポハウスも、まだ空き部屋があるし、1人増えたくらいで大差はないわよ……其れに、賑やかになるのは嫌いじゃないしね。


「おい、安請け合いをするな遊里。そいつが何者かも分からんのだぞ?」

「そうだけどさ、セキュリティの良心とも言える深影さんが、危険人物を保護してくれとか言うと思う?」

「其れは思わんが……まぁ、お前の事だから直感的に大丈夫だと感じ取ったのかもしれんがな。
 まぁ、お前が良いと決めたのならば、其れを覆すのも難しいから、万が一問題が起きた場合には、その時々で対処して行くしかあるまいな………」


出来ればその方向で。
って言うかジャックって、アタシには苦言を呈しても『ダメだ』とは、滅多な事が無い限り言わないのよね~~~……此れって信頼されてる証なのかな?
だとしたら、嬉しい限りね♪


其れで深影さん、其の人は何処に?
てっきり一緒に此処に来てるのかと思ったんだけど、姿が全く見えないわよ?……別室で待たせたりしてるのかしら?


「えぇ、部下と一緒にレストランの外で待ってもらってるから、今呼ぶ――」

「狭霧捜査官、保護していた男が何処かに行きました!」

「から――って、何処かに行ったって如何言う事!?貴方達、一緒に居た筈でしょう!?」

「それが、ちょっと目を離した隙に……まだ、外には出ていないと思うんですが……」

「~~!!もう、直ぐに探すわよ!!」


若いのに苦労してるよね深影さんて……って言うか、セキュリティは本気で採用基準考えるべきだと思うのはアタシだけ?長官に提言しようかしらね…

でも、此れは確かに笑える状況じゃないわ……保護対象者が居なくなっちゃった訳だからね――取り敢えず、アタシ達は地下駐車場に行こうジャック。
Dホイールを直ぐに動かせるようにしておけば、万が一シティを捜索するなんて事になった場合には協力できるからね。


「そうだな。
 しかし、本当にセキュリティの職員の無能さには呆れて物が言えん……市民の税金で食っているのだから、もう少しキリッとしてほしい物だな。」

「仰る通りで!」




んで、地下駐車場直通のエレベーターで直行!!
駐車場には、特に今の所は何もないみたいだけど――ん?アタシ達のDホイールの所に誰か……特徴的な髪型の男の人が居るんだけど。

「あの~~~……アタシ達のDホイールに、なにか?」

「あぁ、此れは君達のDホイールだったのか。
 あまりにも良く出来ている上に、メンテナンスも丁寧に行き届いている良い機体だったから、思わず見とれてしまったんだ。」

「フッ、最高性能を誇る、俺のホイール・オブ・フォーチュンと、遊里のレーゲンデュエルの良さが分かるとは、貴様只者ではないな?
 Dホイーラーか否かは兎も角、日常的にDホイールに触れる機会のある人間でなければ、見ただけで機体の善し悪しが本当に判断は出来んからな。」


確かに。
この人のアタシ達の機体への評価は、シンプルそのものだけど其れだけに期待性能その他を理解してないと、出てこないモノだわ……二流は、余分な
修飾語を使って評価を下す事が多いからね。

え~~と、其れでアタシ達の相棒を褒めて貰ったのは嬉しいんだけど、貴方は一体どちら様でしょうか?
因みにアタシは上条遊里、隣りの彼は、知ってるだろうけどジャック・アトラスね。


「絶対王者と無敵女帝だろ?どちらも良く知ってるさ。
 俺の名前は『星津 衛遊』。一介の技術者だ。」


星津衛遊……何だろう、初めて会ったはずなのに、初めての気がしない?……何か、何処かで会ったような気がするわね……此れってデジャヴ?
まぁ、実際問題初めて会う訳だから、アタシの気のせいなんだろうけど……



「あ~~~~~!居た~~~~!!
 マッタクもう、勝手にうろつかないでください星津さん!貴方は一応、保護された身なんですからね!?」

「スマナイ、此処に素晴らしいDホイールが有る気がして、つい我慢できなくなってしまったんだ。」

「Dホイール中毒者ですか貴方は!?」



此処で深影さん参上!
って言うか、星津さんが保護された身って言う事は、アタシ達が身柄を預かるのはこの人って事なの、深影さん!?


「そう言う事になります……遊里さんとアトラス様が偶然とはいえ彼と出会うとは思いませんでしたけど。
 其れで、実際に彼と会ってみて、大丈夫そうですか?」


この人を……大丈夫よねジャック?


「あぁ、全く問題なしだ。
 少なくとも、表面を取り繕って、裏で悪事を働くような下衆でない事は間違いないだろうからな。コイツならば、俺達で預かったとて問題はなかろう。」

「なので、全然OKですよ深影さん。
 そう言う訳で、貴方は今日からウチの一員になるから、宜しくね♪」

「シティの何処かで暮らす事に成るとは聞いてたが、まさか君達の所だったとはな。
 だが、君達の所なら色々と面白い体験が出来そうだから、俺としても願ったりさ――それじゃあ、今日から宜しく頼む、遊里、ジャック。」


此方こそよろしくね星津さん……うぅん、衛遊!
貴方を、ポッポハウスの新たなメンバーとして歓迎するわ!!!




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で、ポッポハウスに連れて戻れば、予想通りクロウも鬼柳も、ニコもウェストも、遊びに来てた龍亞と龍可も、衛遊の事を歓迎してくれて良かったわ。
まぁ、アタシ等は割とこんな感じだから、明らかな敵意を持ってない限り拒む事はしないからね。

それで、早速同居生活が始まった訳なんだけど――


「此れは……此処のプログラムをこうすれば、スタート時の加速を大きく出来るんじゃないか?」

「其れはアタシも考えたんだけど、其れだとコーナーリング性能を犠牲にしないとでしょ?
 ライディングデュエルのコースって、高速コーナーが多いんだけど、所々にシケインみたいなコーナーがあるから、コーナーリング性能は落とせない。」

「だったら……此処をこうして、其れからこっちを……後は此処をこうすれば……此れで如何だ?」

「此れは!こんな方法があるなんて思わなかったわ!!凄いわよ衛遊!!」

只今、絶賛Dホイールの新型プログラム構築中!!
何て言うか、衛遊は本気で凄いわ!!アタシが悩みに悩んでたスタートダッシュの弱さを、思わぬ形で克服するプログラム組んでくれちゃったからね!



「よぉ、遊里と衛遊が何話してるか理解できるかジャック?」

「うむ、マッタク分からん。」

「技術者同士の専門的な会話……俺達に分かる筈がねえな……」



ジャックとクロウと鬼柳が置いてけぼり状態だけど、技術者として話が合うって言うのは嬉しいのよ?
此れまで、こんな風に技術的な事を話せる相手は居なかったからね?――其れを踏まえると、衛遊様様よ!!アタシは今、とても満足しているからね!

「アレだけ悩んでたスタートダッシュの弱さが、こうも簡単に解消されるなんて……貴方の保護を受け入れてよかったわ衛遊!」

「俺の方こそ、此れだけの性能のDホイールに触れる事が出来た事に感謝してる。
 遊里達と一緒に来なかったら、こんな機会には恵まれなかっただろうからな――此処は、俺にとっては最高の場所かも知れないな。」


そうだったら嬉しいわ♪


取り敢えず、今日は此処までにしとこうか?
此れを夫々のDホイールにインストールするのには時間が掛かるし、色々あって衛遊も疲れただろうしね?良い時間だし、今日はもう休もうか?



「だな……あまりの真剣さに、つい見入っちまったが、そろそろ日付が変わりそうだから寝るとすっか……明日も、仕事が有るからな……」

「寝ぼけて仕事でミスしたら満足出来ねぇから、休むとするか……」

「俺も、明日は防衛戦だからな……寝ぼけ頭では最高のデュエルは出来んからな。
 其れではな遊里、良き夢を。衛遊も、ゆっくり休むと良い。」


良き夢をって、意外と気障だよねジャックって。其れが滅茶苦茶似合ってるから、マッタク嫌味を感じないのが凄い所なんだけどさ。

ま、そんな訳で衛遊も適当に休んでね?
さっき案内した部屋を使っても良いし、適当にその辺で寝ても良いからさ――毛布もそこらに有るのを適当に使ってくれれば良いしね。


「あぁ、了解した。」

「それじゃあ、お休み♪」

慌ただしい一日だったけど、衛遊が来たのは良かったわね。
衛遊のおかげで、アタシ達のDホイールの性能は更に上がるだろうし、整備面でもアタシの負担が、此れまでの半分になりそうだからね。


兎も角、このプログラムデータを上書き保存して……此れでOKね。――それじゃあ、お休みなさい……








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Side:プラシド


ちぃ……『    』め、名を偽って遊里と接触するとは……何処までも俺達の邪魔をする心算か――!

だが、貴様がその気ならば俺にも考えがある――貴様等が構築したDホイールのプログラム、其れを貰い受けるか、あのどんぐりピエロを使ってな。


そのプログラムを使えば、ゴーストを強化する事も出来るだろうからな……コイツは面白くなって来たぜ。



俺達の目的成就の為にも、貰うぞその力―――――!!














 To Be Continued… 






登場カード補足