Side:クロウ
クソッたれ、結界で隔てられちゃ、幾ら何でも如何しようもねぇ――遊里達が命懸けのデュエルに臨むってのに、俺は見てる事しか出来ねぇのかよ!
俺が彼是考えたところで、デュエルするのは遊里達だ……其れは分かってるけど、俺はダチ公が命懸けのデュエルに臨むのに何も出来ねぇのか!
――ガァァァアァァン!!
「「クロウ!?」」
「クソッたれ……ダチ公が死地に赴こうって言うのに俺には何も出来ねぇ………何が鉄砲玉のクロウだ――俺は……無力なだけじゃねぇかよ!!」
「そ、そんな事ないよクロウ!!」
龍亞?
「クロウは、デュエルに参加できなくても遊里の事を応援はしてるんだよね?――だったらクロウは無力じゃない!
アカデミアに居た頃に遊里が教えてくれたんだ、自分のデュエルを応援してくれる人が居るなら、其れはデュエリストにとって何にも勝る力だって!」
「!!!」
応援こそがデュエリストの力――確かに言えてるかも知れねぇな。
サンキュー龍亞、危うく俺は只の鉄屑になり下がるところだったぜ!――そうだよ、参加できないなら俺は魂の限り遊里達を応援すりゃあ良いんだ。
俺はデュエルには参加できねぇが、お前等の勝利を信じてるぜ――思いっきりぶちかまして、ゴドウィンの野望を叩きのめしちまえ!!
異聞・遊戯王5D's Turn68
『因縁のデュエルの開幕!!』
遊里:LP4000 SC0
ジャック:LP4000 SC0
鬼柳:LP4000 SC0
ゴドウィン:LP12000 SC0
Side:遊里
さてと、変則デュエルが始まった訳だけど、如何したモノかな?――条件を見ればアタシ達が圧倒的に有利だけど、ゴドウィンも其れは分かってる筈。
つまりは自分が負ける事はないと確信しての事でしょうね……だけど敢えて言うよゴドウィン――その程度でアタシ等に勝つ心算じゃないよね?
「なに?」
言われただけじゃ分からないか……最大限ぶっちゃけて、アンタ如きはアタシの敵じゃないって言ってるのよ!理解できた?
寧ろこのデュエル方式は万々歳だよ――アンタにターンが回る前に、私達はフィールドを整える事が出来る訳だからね?
「ほざくか……ならば、その力見せてみよ!!」
「言われなくとも!!――ジャック、鬼柳、手加減なしで行くわよ!!」
「フン、王者のデュエルに手加減は不要!ゴドウィン、貴様の傲慢は、今此処で砕いてくれる!!」
「ゴドウィン……俺を満足させてくれるんだろうなぁ!?」
ジャックも鬼柳も気合十分か……だけど、1ターン目は譲って貰って良いかな?――先ずは私が場を整えるから。
「フン、是非もない――お前が何をしようとしているのか興味もあるしな。」
「やっちまえ遊里……俺達の最高のデュエルで、ゴドウィンに最大級のフィールを叩き込んでやろうぜ!!」
賛成!――さて、覚悟は良いわねゴドウィン?アタシのターン!!
……此れはまた中々に良い引きだね?この手札なら行ける!アタシは手札を1枚捨て、『THE トリッキー』を特殊召喚!!
THE トリッキー:ATK2000
更にチューナーモンスター『トゲクリボー』を通常召喚!!
トゲクリボー:DEF200
ゴドウィンが無理矢理くっつけた右腕には竜の頭を模した赤い痣があった――つまりゴドウィンはシグナーの力も、その身に宿してる事になる。
って言う事は、シグナーの証である決闘龍がデッキに居るのは確実だから、先ずは其れを無力化する!
「レベル5のTHE トリッキーに、レベル2のトゲクリボーをチューニング!
集いし破竜の魂が、破壊の剣士を呼び覚ます。光射す道となれ!シンクロ召喚、切り崩せ『龍滅剣士 バスター・ブレイダー』!!」
『覇ァァァァァァァァ!!』
龍滅剣士 バスター・ブレイダー:ATK2600
カードを2枚セットしてターンエンド。
「成程、奴が持っているであろう決闘龍を封じようと言う訳か?良い判断だ、俺のターン!!」
遊里:SC0→1
ジャック:SC0→1
鬼柳:SC0→1
ゴドウィン:SC0→1
「フィールド上にレベル7以上のシンクロモンスターが存在する場合、手札の『竜人王 ルード・カイザー』は特殊召喚できる!」
竜人王 ルード・カイザー:ATK1800
「そして、チューナーモンスター『フレア・リゾネーター』を攻撃表示で召喚!」
フレア・リゾネーター:ATK300
アタシが高レベルのシンクロモンスターを召喚した事を生かしての高速展開!
流石はジャック!しかも、並べたモンスターのレベル合計は8――行き成り呼ぶのね?ジャックのデッキ最強のシンクロモンスターを!
「無論だ!俺は、レベル5の竜人王 ルード・カイザーに、レベル3のフレア・リゾネーターをチューニング!
万物を焼き尽くす孤高の絶対王者よ、天地鳴動の力を揮うが良い!シンクロ召喚!降臨せよ『煌魔龍 レッド・デーモン』!!」
『バオォォォォォォォォォ……!!』
煌魔龍 レッド・デーモン:ATK3000
「フレア・リゾネーターの効果で、レッド・デーモンの攻撃力は300ポイントアップする!」
煌魔龍 レッド・デーモン:ATK3000→3300
来た!最強の破壊龍、レッド・デーモン!
しかもフレア・リゾネーターの効果で攻撃力は3300!これなら元々の攻撃力が3299までのモンスターを効果で破壊する事が出来るわね。
「カードを1枚セットしてターンエンド!」
「2人とも1ターン目から魅せてくれるぜ……だったら俺も全力で行かなきゃ満足できねぇよな?俺のターン!!」
遊里:SC1→2
ジャック:SC1→2
鬼柳:SC1→2
ゴドウィン:SC1→2
「手札から、スピードスペル『Sp-エンジェル・バトン』を発動。
スピードカウンターが2つ以上ある時、カードを2枚ドローしその後手札を1枚捨てる……俺は『インフェルニティ・ビショップ』を墓地に捨てる。
更に、2枚目の『Sp-エンジェル・バトン』を発動!2枚ドローし……そうだな、今度は『インフェルニティ・ビートル』を墓地に捨てるとするか。」
先ずはスピードスペルのコンボで、手札入れ替えと墓地肥やしか。
だけど、鬼柳の本領は多分此処からよね?この程度で満足するなんて事はあり得ないと思うし。――思いっきり満足しようじゃない?
「カードを4枚セット。そして手札を1枚捨て『インフェルニティ・ヘッドハンター』を特殊召喚!」
インフェルニティ・ヘッドハンター:ATK2000
「俺の手札が0枚で、更に『インフェルニティ』と名の付くモンスターが存在する場合、墓地の『インフェルニティ・ストライカー』を特殊召喚出来る!!」
インフェルニティ・ストライカー:ATK900
おぉ!鬼柳もお得意のハンドレスコンボを使って、速攻でレベル8のシンクロを、エースを呼ぶ準備は完了ね!
「あぁ……行くぜ!レベル6のインフェルニティ・ヘッドハンターに、レベル2のインフェルニティ・ストライカーをチューニング!
天国と地獄、その狭間の煉獄から、人知を超えた力が世界に溢れ出す。シンクロ召喚、出でよ『煉獄龍 フォルト・スクライド』!!」
『グオォォォォォォォ!!!!』
煉獄龍 フォルト・スクライド:ATK3000
鬼柳の決闘龍も降臨!
しかも墓地にはインフェルニティ・ビショップが居るから、フォルト・スクライドは事実上の不死の龍となった訳だし――この布陣は正に最強じゃないの?
「かもな……俺は此れでターンエンド。
さぁ、貴様のターンだゴドウィン――こんな変則的なデュエルを吹っかけて来たんだ、俺達を満足させてくれるんだろうな?」
「ククク……精々粋がるが良い、貴様等が如何足掻こうとも我の勝ちは揺るがぬ!!!我のターン!!」
遊里:SC2→3
ジャック:SC2→3
鬼柳:SC2→3
ゴドウィン:SC2→3
「相手フィールド上にのみモンスターが存在する場合『太陽の神官』は特殊召喚できる!」
太陽の神官:ATK1000
「私のフィールド上に太陽の神官が表側表示で存在する場合、手札のチューナーモンスター『太陽の巫女』は特殊召喚できる。」
太陽の巫女:DEF1000
「太陽の巫女の効果発動!このカードの特殊召喚に成功した時、デッキから攻撃力0のモンスターを特殊召喚できる。
我がこの効果で呼び出すのは、『DT-ナイトメア・ゲリュオン』!!」
DT-ナイトメア・ゲリュオン:ATK0
「そして、『太陽の衛兵』を通常召喚!」
太陽の衛兵:DEF0
んな、1ターンで4体ものモンスターを展開したですって!?
しかも、チューナーとダークチューナー双方が呼び出されたって事は、上級のシンクロモンスターとダークシンクロモンスターを呼び出すのが狙いよね?
一体何を――
「神たる我の力を見るが良い!我はレベル5の太陽の神官に、レベル3の太陽の巫女をチューニング!
太陽昇りし時、全ての闇は光によって払われる。降り注げ陽光!シンクロ召喚、『太陽覇龍 ライジングサン』!!
『キシャッァァッァァッァァァァァアァァ!!』
太陽覇龍 ライジングサン:ATK3000
「続いて、レベル1の太陽の衛兵に、レベル7のDT-ナイトメア・ゲリュオンをダークチューニング。
闇夜に月昇る時、それは一筋の希望をも消し去る絶望となる。滅びを導け!シンクロ召喚『月光滅龍 ルナパンドラ』!!」
『グゴアァァッァァァァァッァ!!!』
月光滅龍 ルナパンドラ:ATK2500
!!――1ターンで、レベル8のシンクロと、レベル-6のダークシンクロを揃えるって、ドンだけだゴドウィン!?
メガマッチョになったのは伊達じゃないみたいね………これは、中々に高難易度の戦いになりそうだわね。
「我は、カードを1枚セットしてターンエンド。」
「だけど、アンタには負けないよゴドウィン!!アタシのターン!!」
遊里:SC3→4
ジャック:SC3→4
鬼柳:SC3→4
ゴドウィン:SC3→4
手札からスピードスペル『Sp-エンジェル・バトン』を発動!デッキからカードを2枚ドローし、その後手札を1枚捨てる。
アタシは手札のレフティ・ドライバーを墓地に捨てる。でもって『幻想の闇魔導師』を攻撃表示で召喚!!
幻想の闇魔導師:ATK1500
幻想の闇魔導師の効果発動!このカードの召喚、特殊召喚に成功した時、手札のレベル1のモンスターを特殊召喚できる!!
頼むわよ、チューナーモンスター『ライティ・ドライバー』!!
ライティ・ドライバー:ATK100
ライティ・ドライバーの効果発動。
1ターンに1度、アタシの墓地から『レフティ・ドライバー』1体を特殊召喚できる!さぁ、出番よ『レフティ・ドライバー』!!
レフティ・ドライバー:DEF100
レフティ・ドライバーの効果発動!墓地から特殊召喚されたレフティ・ドライバーのレベルは3になるわ!
レフティ・ドライバー:Lv2→3
行くわよゴドウィン!レベル3となったレフティ・ドライバーと、レベル4の幻想の闇魔導師に、レベル1のライティ・ドライバーをチューニング!! 集いし星の瞬きが、聖なる力を呼び覚ます。光射す道となれ!シンクロ召喚、切り込め『プリンセス・ヴァルキリア』!!
『狂信者……滅びる覚悟は出来ていますね?』
プリンセス・ヴァルキリア:ATK2500
頼りにしてるわよプリンセス!ってか、早速その力を使わせて貰う訳だし。
プリンセス・ヴァルキリアの効果発動!手札を1枚捨て、自分の墓地のモンスター1体を選択して特殊召喚する!……さぁ、蘇れ『THE トリッキー』!
THE トリッキー:ATK2000
マダマダぁ!!リバースカードオープン!永続トラップ『リミット・リバース』!
アタシの墓地に存在する攻撃力1000以下のモンスターを攻撃表示で特殊召喚する!出番よ…チューナーモンスター『クイック・スパナイト』!
クイック・スパナイト:ATK1000
「プリンセス・ヴァルキリアのコストとして、そのカードを!!しかもこの布陣は……!!」
「さっきのターンは様子見兼牽制ってこと……このターンからはフルスロットルで行くわよ?
レベル5のTHE トリッキーに、レベル3のクイック・スパナイトをチューニング!!
集いし願いが、天空を駆け抜ける疾風となる。光射す道となれ!シンクロ召喚、飛翔せよ『輝天龍 シルバー・ウィンド』!!」
『5000年前の決着を、今此処で着けようではないか――堕ちた戦士よ!』
輝天龍 シルバー・ウィンド:ATK2500
クイック・スパナイトの効果でルナパンドラの攻撃力を500ポイントダウンさせるわ。
月光滅龍 ルナパンドラ:ATK2500→2000
行くわよ、バトル!!プリンセス・ヴァルキリアで、月光滅龍 ルナパンドラに攻撃!斬り裂け『デュランダル・ブレイザー』!!
「ルナパンドラの効果発動。このカードが相手の攻撃対象になった時、私のライフを1000ポイント回復する。」
「無駄よ。プリンセスの攻撃対象になったモンスターの効果は無効になる!」
「そのセリフをそのまま返そう!ルナパンドラは、自身を攻撃するモンスターの効果を無効にする!
よって、プリンセス・ヴァルキリアの効果は、ルナパンドラを攻撃するその瞬間に無効となった!故にルナパンドラの効果は有効なり!!」
ゴドウィン:LP12000→13000
そんな効果が!……だけど、攻撃力はプリンセスの方が上!効果は無効にされようとも、一撃必殺で斬り捨てる!!
――ズバァァァァァァッァ!!
ゴドウィン:LP13000→12500
「くふふ……億さずに攻撃してくるか……そう来なくてはな!!」
「何時までその余裕が続くかしらね?
龍滅剣士 バスター・ブレイダーで、太陽覇龍 ライジングサンに攻撃!!『ドラゴン・ブレイク・ソード』!!」
バスター・ブレイダーは、ドラゴンと戦闘を行う時、ダメージ計算を行わずにそのモンスターを破壊する!!太陽覇龍には此処で退場して貰うわ!
「ぐぬぅ……だがライジングサンの効果発動!
このカードが戦闘及びモンスター効果で破壊された時、自身を破壊したモンスターを破壊し相手にそのモンスターの攻撃力分のダメージを与える!
此れで竜破壊の剣士は爆散し、貴様にその攻撃力分、2600ポイントのダメージを与える!!」
「甘い!バスター・ブレイダーは相手のドラゴンの効果を一切受け付けない!!よって、ライジングサンの効果も通じないわ!!」
「……竜破壊の剣士の名は伊達ではないか……。
だが、ライジングサンが破壊された時、我の墓地の『月光滅龍 ルナパンドラ』を特殊召喚する!!」
月光滅龍 ルナパンドラ:ATK2500
蘇生効果!!……だけど、その程度で怯みはしない!!シルバー・ウィンドの効果を発動し、その効果をシルバー・ウィンド自身に適応!
これで、このターン、シルバー・ウィンドは破壊されず、攻撃力は500ポイントアップする!!
『風の守護は無敵と知れ……』
輝天龍 シルバー・ウィンド:ATK2500→3000
いっけ~~~!!シルバー・ウィンドで、ルナパンドラに攻撃!響け『シューティング・ストリーム』!!!
――ゴバァァァァッァッァアァァァッァァァ!!
「ルナパンドラの効果で、我のライフは1000ポイント回復する!」
ゴドウィン:LP12500→13500
その効果は厄介だけど……此処は押し通る!!アタシのフィールを存分に味わうと良いわ!!
「ムオォォォォォ!!……僅か500ポイントながらこの衝撃……侮れんな。」
ゴドウィン:LP13500→13000
「だが、この程度は何の問題にも成らぬ!!見せてやろう、神に選ばれし者の力と言う物を!!
月光滅龍 ルナパンドラが破壊された時、我の墓地に眠る『太陽覇龍 ライジングサン』が特殊召喚されるのだ!!さぁ、蘇れ太陽の龍神よ!!」
『バオガァァァッァァァァァァ!!』
太陽覇龍 ライジングサン:ATK3000
相互蘇生能力!!
まさか此れは………若しかしなくても、無限ループコンボ!?………中々に厄介で面倒なコンボを作り上げてくれたわねゴドウィン――!
如何やらこのデュエル、思ってたよりも面倒な事になるかも知れないわ――先ずはこの無限ループを破る術を見つけないと話にもならないわね。
上等じゃないゴドウィン――この無限ループを超えて、アンタを倒す!無敵女帝と絶対王者と無手札の鬼神を相手にした事を後悔させてやるわ!!
「ターンエンド。」
どうやら、このデュエルは此処からが本番みたいね。
To Be Continued… 
登場カード補足
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