Side:遊里


爺ちゃん、この石板の画像データって、アタシの携帯端末の方にコピーさせて貰っても良いかな?多分必要になると思うんだ…ゴドウィンとの謁見で。
ユウリとジャガンと相対する形で描かれてるゴドウィンそっくりな『誰か』を無視する事はできないしさ。


「構わんよ、幾らでもコピーしていくと良いじゃろ。
 じゃが遊里ちゃん、ワシの『年寄りの第六感』が告げとるんじゃが、ゴドウィン長官との謁見はくれぐれも用心してくれ。絶対に只では済まん筈じゃ…」

「爺ちゃん……うん、分かってるから大丈夫!!」

「心配には及ばん……ゴドウィンの奴が何を考えてるかは知らんが、奴の考えがこの世界にとって良くない事であるのならば叩き潰すだけの事。
 絶対王者たる俺と、無敵女帝たる遊里、其れに加えて此れだけのデュエリストが集って出来ない事などありはせんからな。」


だね。
ジャックの言うように、此れだけのデュエリストが集まってるんだから大丈夫。ゴドウィンが何を企んで居ようとも絶対に何とかなる!して見せるから!

「だからさ、爺ちゃん達はアタシ達を信じて待ってて?
 全部が無事に終わったら、必ずここに勝利報告に来るって約束するからさ。」

「そうじゃな……うむ、待っとるよ遊里ちゃん――頑張ってやっといで。」

「頑張って……遊里達なら、出来る。」


うん!!行ってくるよ爺ちゃん、皆!!
牛尾、お願い!!!


「おうよ!全速力でゴドウィンの所に向かうから、確り掴まっとけよぉ!!
 どうにも、きなくせぇ奴だとは思ってたが、コイツは若しかしたら若しかするかもしれねぇ……一路、治安維持局に向けて驀進するぜえぇぇぇぇ!!」


光の速さでぶっ飛んで!!
取り敢えず、アンタの知ってる事……全部吐いて貰うよ、レクス・ゴドウィン長官様!!











異聞・遊戯王5D's Turn67
『石板の真実が最終決戦の布石』










Side:ジャック


そんなこんなで、治安維持局に到着した訳だが……如何にも妙な雰囲気だな?
屋上のヘリポートに誰も居ないとは一体何事だ?普段ならば、ヘリが到着したら数人のセキュリティ隊員が居るモノだが……何とも不気味な事だな。


「………凄く、此処は嫌な予感がする…」

「龍可?」

「此処には『負の力』が満ちてる……『死』の気配が蔓延してる……」


感覚的に鋭い龍可は、俺達以上に此処の異常さを感じているようだな?


確かに、今の治安維持局本局は、建物全体が闇のオーラで包まれてしまったのではないかと錯覚するほどに重々しい空気に包まれているからな…
だが、そんな場所であろうとも、ゴドウィンが此処に居るのは間違いない。先ずは長官室に行くべきだろう。


「そうね……其処でゴドウィンに色々聞かないとだわ。」

「ならば決まりだ……行くぞ、ゴドウィンが居るであろう長官室にな!!」

貴様の企みと野望を、精々曝け出して貰うぞゴドウィン――俺をお飾りのキングに仕立て上げた代償を、そろそろ払って貰っても良い頃だからな!



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――バキィ!!!


入るぞゴドウィン!


「……扉を蹴破っておいて言うセリフでしょうかね?まぁ、彼方達が来る事は分かっていましたが……」

「ほう?……ならば俺達の用件も分かっていようなゴドウィン?」

「確信はありませんが、大体の予想は付きます――彼方達も、あの石版を見たのでしょう?
 ジャックと遊里に酷似した二人の人間が、私と酷似した人間と対峙している……そう、まるで2vs1のデュエルをしているかのような石板を。」


その通りだ!
そして、あの石版を見る限り、俺と遊里と貴様が全く何の関係もないとは思えん……ゴドウィン、貴様最初から全て知っていたな?


「何故そう思うのです?」

「アタシとジャックがサテライトで出会い、フォーチュンカップが開催され、赤き竜が現れ、大会終了後にアタシとジャックと龍可がシグナーに覚醒した。
 更に、その直後に傀儡だったとはいえダークシグナーが現れ、4人目のシグナーでとして鬼柳がアタシ達に合流し、そして戦いが始まった。
 これらを全て『偶然』の一言で済ますには出来過ぎてるでしょ?此れだけ有って、アンタの事を疑うなって言うのは無理があるとは思わないかな?」

「しらばっくれるなよゴドウィン?
 こっちは貴様の望み通り、ダークシグナー共を蹴散らしたんだ……知らぬ存ぜぬで白を切られたんじゃ、大凡満足できないぜ。」


そう言う事だ……洗いざらい話して貰うぞ?
如何しても言いたくないと言うならば、最大級のフィールを持ってして身体に聞いてやっても構わんがな!


「其れは遠慮しておきましょう――まぁ、隠し通せるものでもありませんし、全てをお話ししましょう。」


――パチンッ………ゴォォォォォォォォォォォ!!!!



「「「「「「「!!?」」」」」」」」」


なんだ、指を鳴らした途端に景色が!!
……其れに、何だあの巨大な祭壇らしきものは?此処は、長官室ではないのか?――一体何をした、ゴドウィン!!


「ちょっとした手品で、長官室から私の屋敷の特別室へと移動しました……こう言う事も得意ですので。」

「……しかし、その実態はモーメントを利用した相転移装置を指鳴らしで超高速起動しただけだと、間髪入れずにトリックバレしてみる。」

「手品のネタばらしをされると、一気にしらけるなオイ……」

「私なら、本当の転移くらいは出来るけどね?」

「アンタ、本当にサイコデュエリストじゃねぇんだよな……?」


……手品でも何でもなかった訳か。
其れでゴドウィン、こんな所に連れて来て如何しようと言うのだ?


「真実を語るには、其れに相応しい舞台が必要だっただけの事ですよ。
 さて、何から話すべきかとは言っても……そうですね、あの石版の事だけを言うならば、五千年前の戦いを描いたもので間違いないでしょう。
 ですが、あそこに描かれている戦いの結末はシグナー二人の敗北でした……尤も、敵である究極神も瀕死の深手を負ったようですがね。
 そして、その深手を負った究極神を封印したのが、石板には描かれていない三人目のシグナー『キリウ・ヴェイデス』……」


キリウ…だと!!?……まさか…!!


「俺の前世みたいな奴がやったってのかよ?……何ともぶっ飛んだ話だぜ。」


鬼柳もまた、俺や遊里の様に五千年前の因縁をその身に宿していると言うのか?……だとしたら、益々これは偶然ではないな。


「ユウリ・エーベルバイン、ジャガン・アールヴ、キリウ・ヴェイデス……この三人のシグナーの魂、或は力を継いだのが君達なのです。
 そしてその三人の決闘龍たる『守護の銀龍』『破壊の魔龍』『煉獄の黒龍』もまた君達に受け継がれているのですからね。」

「俺と遊里、そして鬼柳がシグナーとなるのは必然だったと言う事か…
 だがゴドウィン、俺達の事は兎も角として、貴様は一体何者だ?……あの石板に描かれていた、貴様そっくりの人物……知らんとは言わせんぞ?」

「其れは果たしてどう説明したモノでしょうね……確かに彼と私は全くの無関係ではないでしょう。
 彼の目的は、理不尽な世界を破壊による再生で正す事だった……そして究極神の力に目を付けたのです。
 ですが、究極神の力は余りにも巨大にして強大故に、制御出来なかったら、破壊による再生どころか世界そのものが吹き飛びかねないですから。
 とは言え、其れは頓挫してしまいましたがね………ですが、今この時、其れを成す絶好の機会が訪れた訳です。」


何だと?




――ギュイィィィィン!!




此れは……結界だと!?
俺と遊里、其れに鬼柳が閉じこめられたか……ゴドウィン、貴様~~~~!!!


「一つ言い忘れていましたが……私もまた、彼の記憶を継いでいるが故に、彼の目的を果たす事こそが我が目的です。
 君達とダークシグナー達の戦いは――実に、実に見事すぎるほどの前座でした………ですが、そのお蔭で私は今最高の力を得れる!!」


――ヴォン……


なんだ?……アレは、腕?


「此れは、我が兄ルドガーの右腕であり、赤き竜の頭の痣が刻印された物です。
 そう、我が兄ルドガー・ゴドウィンは、神と邪神、その双方の力をその身に秘めながら、しかし兄は邪神の道を選んだ!私に正道を託して!
 ですが、其処で私は悟った!!神だけでも邪神だけでも世界は変えられないと!邪神の力で一度滅ぼし、神の力で再生するしかないと!!」


演説しながら、己の義手を引き千切り、保管されていた右腕を無理矢理繋げようとするとは狂人め。
だが、ゴドウィンよ、今貴様の前に立ち塞がる、三人の最強デュエリストの存在を忘れた訳ではあるまいな?……貴様の野望は成就させん!!


「ククク………ならば、デュエルで我を屈服させてみるが良い!」


腕と融合したその瞬間に、ダークシグナーとしての力も覚醒したか……おまけに全身の筋肉が膨れ上がっているとは……此れは只事ではない。
フン…だが俺は、俺達は恐れん!!デュエルで屈服させてみろと言うなら望み通りにしてやる!!


行くぞ、遊里、鬼柳!!奴の誇大妄想を、今此処で完全に砕くぞ!
『絶対王者』に『無敵女帝』と『無手札の鬼神』が束になれば、どんな敵とて打ち崩せる!……覚悟は良いな、レクス・ゴドウィン!偽りの双極者よ!








――――――








Side:遊里


ゴドウィンの奴、何か知ってるどころか、バリバリ当事者だった訳ね。
しっかも、ゴドウィンはルドガーの腕を無理矢理自分にくっつけて、ダークシグナーとシグナーの双極の力をその身に宿したって事みたいだし……

だけど、破壊による再生何て言うのは絶対に認めないわ!!!破壊の先にあるのは更なる破壊……破壊による再生なんて間違ってると思う!!
だから此処で止める!!アタシとジャックと鬼柳で、デュエルでアンタを制して見せるわ!!!


「やってみるが良い!!最終デュエルの開幕だ!!
 デュエル形式はライディングデュエル方式!我一人と、貴様等三人による変則デュエル!!よって、我のライフは貴様等のライフ合計の12000!
 そして、貴様等のターンが全て終わった後で、我のターンとなる……故に、全てのプレイヤーは己の1ターン目には攻撃は出来んがな!!」


何とも特殊なルールだけど……其れでアタシ達に勝てると思ってんの?


「ククク………我は今此処に神となる!故に敗北は有り得ぬ!!――精々足掻くが良い!!」



――ゴゴゴゴゴッゴゴゴゴオオッゴオゴゴゴゴ……ズゥゥゥン……


これは……特別室が外に持ち出された!?……成程、最終決戦の舞台を整えたって事か……だけど、この舞台で敗北した姿を曝すのはアンタだよ。


「ほう………大きく出たな?」

「ジャックも言った事だけど、『無敵女帝』『絶対王者』『無手札の鬼神』を相手取って勝てると思ってるの?」

「だとしたら、貴様は三流以下の大馬鹿者だなゴドウィン……自分と相手との力量差をも見抜く事が出来なかったのだからな!!
 貴様に、絶対王者ジャック・アトラスが、本物のデュエルを教えてくれる!!」」

「だが、其れでもシグナーとダークシグナー双方の力を宿してんだろ?……だったら、精々俺を――俺達を満足させてくれよな!」


こっちは準備万端よゴドウィン……オイ、デュエルしろよ。
アンタの誇大妄想バリバリの野望は、今此処で砕く!そして究極神を倒して、シグナーとダークシグナーの戦いにも幕を下ろす!!


「果たして出来るかな?」

「出来る出来ないじゃない…やるのよ!
 大体にして、アタシとジャックと鬼柳が組んだ暫定最強チームはアンタ如きには負けないわ!……精々負けた時の言い訳でも考えときなさい?」

「減らず口を……このデュエルで神たる我の力を見るが良い!!」


是非とも見せて欲しいわね?
まぁ、其れは兎も角、此れからのデュエルがメインイベントっぽいから――派手に行くから覚悟しときなさいよゴドウィン?



「望むところだ……始めるとしようか!!」


「アンタの好きにはさせないよゴドウィン!」

「絶対王者の前に立つのが如何言う事か……その骨身に染みこませてやる!!」

「温いデュエルでがっかりさせるなよ?……満足させてくれよな、俺を!!」


行くわよ、ジャック、鬼柳!!!



「「「「デュエル!!!」」」」


遊里:LP4000   SC0
ジャック:LP4000   SC0
鬼柳:LP4000   SC0

ゴドウィン:LP12000    SC0




ライディングデュエル形式とは言え、ゴドウィンは祭壇の頂上から移動してないって何ともシュールな絵面よね。
だけど其れだけに、ゴドウィンにはマシンクラッシュによる敗北だけは有り得ないか……だったら最高のフィールで叩きのめすだけだわ!



シグナーとダークシグナーの戦いの、最終章を始めようじゃない!……勝つのは、アタシ達だけどね!!!















 To Be Continued… 






登場カード補足