Side:遊里
さてと……如何、少しは落ち着いたかしらブランシュ?
「あぁ……ゴメン……いろいろ迷惑かけちまって……」
「別に良いわよ――アンタが魔道に堕ち切るのを防ぐ事が出来たと思えば、此れ位は如何と言う事はないわ。
アンタのデュエルタクティクスも存外高い物だったから、純粋にデュエルの内容だけを考えるなら、其れなりに楽しめるモノだった訳だしね。」
だけど、此れからアンタは如何するの?
アタシ達は此れからゴドウィンの所に向かう心算で居るんだけど――
「俺もお前等について行かせてもらうぜ……レクス・ゴドウィン、アイツは色々と知っていそうだからな。」
なら決まり!全員でシティに乗り込むわよ!
「その意見には賛成だが、暫し待て遊里。」
「ジャック?何か問題がある?」
「問題と言うかだな……取り敢えずお前は着替えた方が良いんじゃないか?
幾ら何でも、そんな彼方此方裂けたライダースーツで治安維持局の長官に謁見する訳にも行くまい……あまりにもセクシー過ぎると思うんだがな。」
へ?……そう言えばそうだったぁ!?
良く見りゃ、下乳とか脇腹とか内股とか、途轍もなく際どいとこばかりが狙ったように裂けてるじゃない!!何だって、こうなるのよ~~~~~!!!
異聞・遊戯王5D's Turn66
『決戦前の小休止と言う何か』
「……大丈夫か遊里?」
「大丈夫よアイン、落ち着いて来たわ。」
取り敢えず、アインが『バリアジャケット』とか言うのを私に展開してくれたおかげで、彼方此方裂けたライダースーツ姿ではなくなったわ。
まぁ、見た目は壊れる前のライダースーツだけど、ゴドウィンに謁見するなら最低でも此れ位の格好じゃないと、流石に礼を失するのは間違いないし。
けどさ、シティに行く前にヘリの操縦如何しよう?パイロットが全員重傷で、操縦出来そうにないんだけど。
さっすがにアタシもヘリの操縦までは出来ないわよ?――それ以前に、この中でヘリの操縦なんて出来る人いるの?
「ヘリの操縦出来る人~~~?」
「おう、俺に任せな!」
へ?牛尾、操縦できるの!?
「俺を誰だと思ってんだ、元セキュリティの人間だぜ?ヘリで出動した事だって何度もあるし、操縦したのだって一度や二度じゃねぇ。
大分御無沙汰だが、シティまでならそんなに距離もねぇし何とか大丈夫だろ。伸びちまったパイロットは……セキュリティに回収して貰えばいい。」
「いや、其れには及ばない。たった今、サテライトの病院の方に転送しておいた。」
「転送って……アインてホントに何でもありね?」
でも、牛尾が操縦できるって言うならシティまでの足は大丈夫って訳だ。
じゃあ、一路治安維持局に!先ずは、全てを知ってると思われるゴドウィンに、色々話して貰わないとならないからね。一体何を考えていr―――
――PiPiPiPiPi…!!
っと、通信?……え~~~と、恵からだ。はい、もしもし?如何したの?
『遊里、ダークシグナー達の方は如何?……巧く行ってる?』
其れは大丈夫。てか、取り敢えず全員倒したからね。
で、今から色々知ってるだろうゴドウィンの所に直行する心算なんだけど、態々連絡して来るなんて何かあったの?
『有ると言えば有った。
ゴドウィン長官の所に行く前に、可能だったら矢薙御爺さんの所に来て欲しい……遊里にとって、大事な話があるから。』
「アタシにとって大事な話?」
何だろう?
でも、矢薙の爺ちゃんの所って事は、大昔の何かが関係してるって事だろうから――若しかしてアタシとユウリの関係とかかな?
或は、シグナーとダークシグナーの戦いについて何か分かったとか?……兎に角、無視は出来ないわね?OK、先ずはそっちに向かう事にするわ。
『うん……待ってる。』
「じゃ、また後でね。」
と言う事で、急ではあるけどゴドウィンの所に行く前に、矢薙の爺ちゃんの所によってく事になったんだけど別に良いわよね?
「是非もあるまい?
ましてやお前にとって大事な話であると言うのだから、其れを聞いてからゴドウィンの所に行っても遅くは無かろう――貴様等も異論はないな?」
「ねぇよ。」
「無いぜ。」
「ないよ?」
「俺もない。」
ありがと。
じゃあ先ずは矢薙の爺ちゃんの所に行って!頼むわよ牛尾!!
「っしゃ~~!任せとけ!!一路、矢薙の爺さんの家目指して驀進だぜ~~~~~~~!!!!」
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んで、ヘリに揺られること15分、矢薙の爺ちゃんの家に到着!
どったの爺ちゃん、何か新しい事でも分かったの?
「おぉ、待っとったぞ遊里ちゃん達。
うん、何かの役に立つかも知れんと思って、パソコン使って色々調べてみたんじゃが、興味深い物を見つけての?取り敢えず此れを見るんじゃ。」
「コイツは石板か?随分と古いモノみたいだが……コイツが何かあるのか爺さん?――一見するを只の石版みたいだが……」
「特に変わった点は……うぅん、此れは只の石版じゃない!!」
「ホントだ!!よく見てよ石板に描かれた人とモンスターを!
此れって遊里とジャック、其れにシルバー・ウィンドとレッド・デーモンじゃないの!?」
!!……確かに言われてみれば、この石板に描かれてるのはアタシとジャック、其れにシルバー・ウィンドとレッド・デーモンにしか見えないわね?
と言う事は、つまり此れはユウリとジャッキーの事を描いた石板であると言う事?
「かも知れんな。
其れと、ジャッキーと言うのは愛称だ……奴の本名は『ジャガン・アールヴ』だからな。」
「そうなの?……って、なんでジャックが其れを知ってるのよ!?」
「……俺が戦ったダークシグナーが奴だったからだ。
如何にもアイツは、ユウリの死を受け入れられずにダークシグナーへと堕ちてしまったらしい……無論その魂は浄化したがな。
だが、只同胞が命を落としたと言うだけでは、闇に堕ちる理由にはならん……ジャガンとユウリは、恐らく深い中にある恋人関係だったのかもな…」
其れはまた何とも………だけど、ジャックにやられたなら多分魂は浄化されてるでしょうね。
だけど爺ちゃん、この石板が一体如何したの?取り立てて、何か注目する事もないと思うんだけど……
「この石板だけならば確かにそうじゃろうよ。しかし、石板に刻まれた碑文を読むと一気に重要性が増大じゃよ。
石板に刻まれた碑文を訳すと……『我が魂は永遠に消える事はなく、そして邪悪なる存在を消し去る力となる』と言う事が刻まれてるんじゃ。
更に、この石板には、輪廻転生を思わせる一文も記されとるんじゃ……それらを総合的に判断すると、遊里ちゃんはユウリの転生体かと思っての。」
違う……とは言いきれないわね。
ダークシグナーとのデュエルの後から、時折ユウリの記憶であろうものを受信してたのは間違いないからね。
それで?
「うむ……この石板を元に調べを進めて行った結果、5000年周期で戦いが起きているのは間違いないじゃろ?
じゃが、何回目のぶつかり合いで命を落としたユウリの無念はワシには分からん――じゃが、もう一枚、この石板を見て貰えるかの?」
もう一枚?
うん、此れにもユウリとジャッキーが描かれてるけど―――……ちょっと待って爺ちゃん、此れは一体何て言う冗談なの?
この石板でユウリとジャッキーが対峙してるのは、誰が如何見たってゴドウィンじゃない!!此れは一体如何言う事なの!?
「詳しい事は分からんけど、少なくとも遊里ちゃんとユウリ、ゴドウィン長官と石板のゴドウィン長官(仮)は無関係であるとは思えないんじゃよ。
しかも、この度のシグナーとダークシグナーの戦いにはジャガンも参戦しておったらしいからの?……如何にも只では済まないと思うんじゃ。」
かも知れないわね。
でも、此れは確かにアタシが知っておかなければならない事だったわ爺ちゃん!つーか、良くこんだけの事を調べたもんだよ、マジ凄いって!!
「カッカッカ、遊里ちゃんの為なら此れ位はお安い事じゃて。
じゃが遊里ちゃん、君の魂には間違いなくユウリの魂が刻み込まれておるじゃろ――其れをくれぐれも忘れないようにしてもらえるかのう?」
「大丈夫だよ爺ちゃん……アタシは力には溺れないからね!!」
だから大丈夫。
シグナーとして、その使命を果たして見せる――うぅん、必ずや果たすわ。
けど、如何やらゴドウィンには聞く事が増えたみたいね?
如何してゴドウィンが太古の石版に、其れもユウリとジャッキーと敵対する勢力として描かれているのか……幾ら何でも謎が大きすぎるわ。
ゴドウィン――アンタは一体何を知っている?……そして、何を成さんとしているのかしら?……知る事は難しそうだけど全部話して貰うわよ!!
――――――
Side:ゴドウィン
此れは此れは、思った以上に巧く行きましたね?
ダークシグナーを、全て滅したにも関わらず、遊里達のデュエリストオーラは未だに確かな気配を残して健全ですからね……実に見事です。
ですが、そのデュエリストの闘気こそ私が最も求めて居たモノ。
デュエリストの闘気が高ければ高いほどその効果は倍化していくと言う事なのでしょうね。……故にその力は貰い受けましょう。
さぁ、最終章の幕開けまであと僅かです。
私の思いが勝つか、其れとも君の絆が勝つか……果たして何が生き残り、何が淘汰されて行くのか……其れは全く持って想像出来ませんがね。
では、そろそろ鳴らすとしましょうか?――終わりの始まりを告げる鐘の音をね………
To Be Continued… 
登場カード補足
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