Side:遊里
取り敢えず、ゴドウィンには会わなきゃならない訳だからシティに行かないとだよね?
そのゴドウィンに連絡入れたら『そう来ると思っていました』って事で、シティまでのヘリを寄越してくれたみたいだし。
ジャック達にもその旨を伝えたから、今頃はヘリに向かってるか、或は先に着いてるのかもしれないわ――だけど、この何とも言えぬ感覚は一体…?
ダークシグナーと対峙した時とは違う、嫌な感覚がアタシに纏わりついてる。
若しかしなくても、ヘリの待機所で面倒な事が待ってるって事かしら?
まぁ、ドレだけ面倒な事でも、デュエルで如何にかなるって言うなら其処まで面倒じゃないんだけど――如何やら目的地には着いたみたいね。
「略同着か遊里――」
「皆一緒に到着ね?」
「ジャック!其れに龍可達も!」
ホントに殆ど同着だったみたいね?
そうじゃなかったら、到着と同時に顔合わせとは行かないモノ。
まぁ、其れは良いとして、ジャックも感じるわよね?この先から発せられているだろう、強烈な『負のオーラ』って言うモノにさ?
「あぁ、気が付いている。
ダークシグナーは全て倒した故、此れだけの負の力を持つ者は一体誰であるのか気にはなるが――何れにしても真面な奴では無かろうな。」
だろうね……だけどまぁ、此処に足突っ込まないと何も出来ないからね?
さて、鬼が出るか蛇が出るか――
異聞・遊戯王5D's Turn62
『牙を剥くサイコデュエリスト』
で、足を踏み入れた訳だけど――此れは一体何?
「あ……ぐ…あぁぁぁぁっぁぁ……」
「ば、化け物め……」
傷だらけで苦しんでるのは、多分ゴドウィンが寄越した治安維持局のスタッフなんだろうけど――
「化け物で結構だぜクズが……テメェ等も纏めて葬ってやるから安心してな――と、来やがったな?上条遊里とシグナー共がよぉぉぉ!!!」
――バガァァァァッァアン!!!
其れとは違う小柄な……え~~と、多分女の子?から発せられてる闇の瘴気はハンパじゃない――如何考えたって普通じゃないわよね?
同時に、このセキュリティを叩きのめしたのも間違いなくこの子だわ………果たして、一体何が目的なのかしら?
「待ってたぜシグナー共……テメェ等を血祭りにあげる事を心の底から楽しみにしてたぜオイ!!
ダークシグナーが全て倒された今、俺は貴様等全てのシグナーを狩りつくし、その忌むべき印をこの世界から跡形もなく消し去ってやるぜ!!」
シグナーを狩るですって?それは流石に聞き捨てならないわね?――アンタは何者?名を名乗りなさいよ。
「すでに龍亞から聞いてるんだろ?
俺はブランシュ・ノーチラス!全てのシグナーとダークシグナーを打ち滅ぼすサイコデュエリストだ!!!!」
――バガァァァァァッァァァアン!!!
!!コイツが龍亞やアインの言ってた奴か!!
確かにトンでもないサイコパワーをその身に秘めているみたいね……しかも、何て言うか精神状態が如何見ても真面じゃないわ此れ。
「アンタが龍亞の言ってたブランシュか。
ねぇ、マッタク持って分かり切ってるんだけど、確認の為に聞くわ、アンタの足元に倒れてる人達はアンタがやったのかしら?」
「決まってるだろ?コイツ等が無事だと、テメェ等がシティに行っちまうからな?
だが、コイツ等がこうなっちまえばヘリは飛ばないし、シグナーも一同に此処に集まる――狩りつくすには持って来いだろ?」
成程ね。
だけど其れだったら、アンタのサイコパワーでヘリ壊せば良いんじゃないの?パイロットやスタッフを態々傷付ける必要はないと思うんだけどねぇ?
「馬鹿かお前?無機物ぶっ壊すよりも、コイツ等を甚振った方が気が晴れるだろう?
いや、コイツ等だけじゃねぇ……テメェ等シグナーをぶちのめしたら、手当たり次第に世界中の奴等をぶちのめしてやる!1人も逃がさねぇでな!」
平然とトンでもない事を口にするわねコイツは?
世界中の人をぶちのめすってのは流石にアレだけど、其れよりもその人達を痛めつけた方が気が晴れるだなんて、随分とふざけた事言うじゃない?
「フン、力で相手を制すると言う考えそのものは賛同してやるが、戦う力を持たぬ者に刃を向けるとはトンでもない狂犬だな貴様は。
ただ力を振り回すだけの狂犬が、俺達を打ち滅ぼすとは中々に面白い冗談だ。流石に面白すぎて、笑う事すら出来んがな。」
「そんな事が本気で出来ると思ってるのか?……だとしたら満足できないぜ。」
「何とでも言えよ、俺は俺の目的を果たすだけだからな。」
矢張りと言うか何と言うか、言葉は通じないか。
ヘリのパイロットはアインの治癒魔法で何とかして貰うとして、コイツを倒さない限りシティには渡れそうにない――なら、やるしかないか!
「シグナーをぶちのめすか――オイ、デュエルしろよ。」
「お前が俺とやるのか、上条遊里?」
えぇ、アンタとデュエルしてあげるわブランシュ。どの道アンタを倒さないとシティに行く事は出来そうにないからね。
序に言うなら、アタシはシグナーの代表としてアンタと戦う……だから、アタシが負けた場合には決闘龍のカードは全部アンタに渡すわ。
決闘龍のカードはシグナーの証……煮るなり焼くなり好きにしなさい。
「テメェ、其れ本気で言ってるのか?」
「本気だけど?……其れともこの程度の提案で怖気づくのかしら?」
「だとしたら貴様は三流だな。遊里よ、我が魂たるレッド・デーモンの命運はお前に託す!
だが遊里よ、この俺の前でつまらんデュエルを見せてくれるなよ?――身の程知らずの小娘に、女帝の力を味わわせてやるが良い!」
「フォルト・スクライドの命運をお前に託すってのも悪かねぇ。
だが、俺の龍の命運を預かった以上は負けるなよ遊里?――最高のデュエルを見せて、俺を満足させてくれ。」
「遊里なら大丈夫……エンシェント・フェアリーの運命を貴女に託すわ遊里!……そして、その子を救ってあげて。」
ジャック、鬼柳、龍可……ありがと、絶対勝つわ、このデュエル!!!
「こうも簡単に決闘龍のカードを賭けるだと?
よっぽどそいつの事を信頼してるのか、或は俺の事を舐めてるのか……どっちにしても、その選択を後悔させてやるぜシグナー共!!」
「出来るモンならやってみなさい?――アタシは、アンタみたいな奴にだけは絶対に負けないわ!!」
「「デュエル!!」」
遊里:LP4000
ブランシュ:LP4000
「先攻は貰うぜ!俺のターン!手札から『コロソマ・ソルジャー』を召喚!」
コロソマ・ソルジャー:ATK1300
「そして効果発動!このカードは召喚に成功した時、手札の魚族か水族のモンスター1体を墓地へ送る事でデッキから1枚ドローできる!
俺は手札から水族の『エビカブト』を墓地へ送り、1枚ドロー!」
墓地肥やしとドローか、悪くない効果の組み合わせね?
「更に水属性モンスターの効果を発動するために墓地へ送られた『エビカブト』の効果発動!
デッキから水族・攻撃力800以下の通常モンスター1体を特殊召喚する!俺は『カニカブト』を特殊召喚!」
カニカブト:DEF900
既にレベル3のモンスターが2体!だけど此れで終わりとは思えないわね……
「更に水属性モンスターの特殊召喚に成功した場合、このカードは手札から特殊召喚できる!来い『ヨーピアン・イセシュリンプ』!」
ヨーロピアン・イセシュリンプ:DEF1000
通常モンスターを利用して一気に同レベルの3体のモンスターを展開して来たって事は、狙いは素材3体のランク3エクシーズかしら?
「行くぞ!俺はレベル3のコロソマ・ソルジャーとカニカブト、ヨーロピアン・イセシュリンプでオーバーレイ!
3体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚!荒波を操り、深海の王の威光を示せ!『トライエッジ・リヴァイア』!!」
『グゴォォォォォォォォ!!』
トライエッジ・リヴァイア:ATK1800
行き成り素材3体のエクシーズモンスターか。
攻撃力だけ見れば、その辺のレベル4アタッカーレベルだけど、トライエッジ・リヴァイアは効果が面倒だからね?牽制としてはまずまずだわ。
「カードを1枚セットしてターンエンド。」
「アタシのターン!相手フィールドにのみモンスターが存在する場合、手札の『ジャンク・フォアード』は特殊召喚できる!」
ジャンク・フォアード:ATK900
更に、チューナーモンスター『クイック・スパナイト』を召喚!
クイック・スパナイト:ATK1000
「テメェもテメェで、行き成りレベル6のシンクロモンスターとは中々気前が良いじゃねぇか!!」
「出し惜しみはしない主義なもので――行くわよ!レベル3のジャンク・フォアードに、レベル3のクイック・スパナイトをチューニング!
集いし風に秘めた思いが強固な壁を撃ち砕く。光射す道となれ!シンクロ召喚、突き崩せ『有翼幻獣 キマイラ・ガイスト』!!」
『ガオォォォォォォォォォン!!!』
有翼幻獣 キマイラ・ガイスト:ATK2100
クイック・スパナイトの効果で、トライエッジ・リヴァイアの攻撃力は500ポイントダウンするわ。
トライエッジ・リヴァイア:ATK1800→1300
「攻撃力が……だが、其れでもコイツの効果を発動すれば、お前のモンスターの攻撃力はコイツと同じになる。相討ち狙いで攻撃して来るか?」
まさか。
アタシは装備魔法『小細工無用』をキマイラ・ガイストに装備!
このカードを装備したモンスターの攻撃対象になったモンスターの効果は無効になる!
よって、トライエッジ・リヴァイアの効果もまた無効になる!
「馬鹿な!!」
「アタシを簡単に倒せるとは思わない方が良いわよ?
有翼幻獣 キマイラ・ガイストで、トライエッジ・リヴァイアに攻撃!蹴散らせ、『キマイラ・インパクト・チャージ』!!」
「ちぃぃぃ!トラップ発動『攻撃の無力化』!
このカードでモンスターの攻撃を無効にしてバトルフェイズを終了するぜ!」
凌いだか…そうでなくちゃつまらないけどね。――カードを1枚セットしてターンエンド。
「俺のターン!手札から速攻魔法『RUM-クイック・エボリューション』を発動!!』
ランクアップマジック?
エクシーズのランクを引き上げるカードだった筈だけど、其れを使って何をしようとしているのやら…
「このカードは自分の場のランク3以下のエクシーズモンスター1体をランクアップさせ、カオスエクシーズに進化させる!
俺はランク3のトライエッジ・リヴァイアでオーバーレイ!1体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを再構築、カオスエクシーズ・チェンジ!!」
来るか、カオス・エクシーズが!!
「混沌の力交わりし時、荒ぶる王の魂が海洋を支配する!現れろ『 トライエッジ・ポセイドン』!!」
『ウォォォォォォ…!ハァッ!!』
CX トライエッジ・ポセイドン:ATK2300
攻撃力がキマイラ・ガイストを上回ったか…だけどトラップ発動!『腕っ節の勝負』!
このカードが発動したターン、エンドフェイズまで互いのフィールド上に表側表示で存在するモンスターの効果は無効になる!!
「成程……だが効果が無効になった所で、攻撃力はポセイドンの方が上だ!
CX トライエッジ・ポセイドンで、有翼幻獣 キマイラ・ガイストに攻撃!!『トライデントタイダルフォール』!!」
――バリィィィン!!
遊里:LP4000→3800
中々やるじゃないブランシュ。
けど、キマイラ・ガイストは破壊された時、自分の墓地からこのカードのレベルと同じになるようにチューナーと非チューナーを特殊召喚できる!
ガイストの効果で、再び顕現せよ、『ジャンク・フォアード』!『クイック・スパナイト』!!!
ジャンク・フォアード:ATK900
クイック・スパナイト:ATK1000
「転んでも只では起きねぇか…カードを1枚セットしてターンエンドだ。」
「アタシのターン!手札から、魔法カード『クイック・サモン』を発動!
デッキからレベル2以下のモンスター1体を選択して特殊召喚する!出番よ『レフティ・ドライバー』!」
レフティ・ドライバー:ATK300
「んな、今度は速攻でレベル8のシンクロ召喚だと!?」
「シンクロ召喚はアタシの証……相手が誰であろうと其れだけは変わらない!
レベル2のレフティ・ドライバーとレベル3のジャンク・フォアードに、レベル3のクイック・スパナイトをチューニング!
集いし星の瞬きが、聖なる力を呼び覚ます。光射す道となれ!シンクロ召喚、切り込め『プリンセス・ヴァルキリア』!!」
『この力……祓わねばなりませんね。』
プリンセス・ヴァルキリア:ATK2500
クイック・スパナイトの効果で、トライエッジ・ポセイドンの攻撃力は500ポイントダウンするわ。
CX トライエッジ・ポセイドン:ATK2300→1800
「更にプリンセスの効果発動!
手札を1枚捨て、自分の墓地のモンスター1体を特殊召喚するわ!冥界より舞い戻れ『有翼幻獣 キマイラ・ガイスト』!!」
『さぁ、出番ですよ!』
『グオォォォォォォォォォォ!!』
有翼幻獣 キマイラ・ガイスト:ATK2100
「上級のシンクロモンスターが2体――!!」
驚いてくれた?……だけど此れだけじゃないわ!
アタシはこのターン、未だモンスターを通常召喚してない!……出番よ、チューナーモンスター『ギガ・クリボー』!!
『ク~~リグリ~~~~!!』
ギガ・クリボー:DEF400
「新たなチューナーだと?……まさか!!」
「そのまさかよブランシュ!アタシはレベル6のキマイラ・ガイストに、レベル2のギガ・クリボーをチューニング!!
集いし願いが、天空を駆け抜ける疾風となる。光射す道となれ!シンクロ召喚、飛翔せよ『輝天龍 シルバー・ウィンド』!!」
『力を得て堕ちたか……ならば、助け出さねばな。』
輝天龍 シルバー・ウィンド:ATK2500
「馬鹿な……此処で決闘龍だと!?
いや、だがそう来なくちゃ面白くねぇ……其れでこそ潰し甲斐があるぜ!!」
そう思う?だけど此れは現実よ!先ずはギガ・クリボーの効果でカードを2枚ドロー!!
更に魔法カード『武装再生』を発動し、墓地の装備カード『小細工無用』をシルバー・ウィンドに装備する!!
此れにより、シルバー・ウィンドの攻撃対象になったモンスターの効果は無効になる!!――覚悟は出来てるわよねブランシュ?
「テメェ……!!」
「バトル!輝天龍 シルバー・ウィンドで、CX トライエッジ・ポセイドンに攻撃!穿ち貫け『シューティング・ストリーム』!!!」
『失せろ、混沌に捕らわれし者よ!!』
――キィィィン……バガァァァァァァアァァン!!
「ぐ……うわぁぁぁっぁあぁぁぁ!!」
ブランシュ:LP4000→3300
さっきのターンの礼はしたわブランシュ。
悪いけど、アタシはアンタに負けてやる心算は毛頭ない……アンタみたいな腐れ脳に負けたとあっちゃ、如何にも格好が付かないしね?
だけど、取り敢えず後悔すると良いわブランシュ――アンタが挑んだのはサテライトの女帝……濁りきった目をしたデュエリストには絶対に負けない!
追撃よ!プリンセス・ヴァルキリアで、プレイヤーにダイレクトアタック!斬り裂け……『デュランダル・ブレイザー』!!
『斬り捨てます!!!』
プリンセスの聖剣の一撃……受けられるモノなら受けてみなさい!尤も受けきれるかどうかは、一切合切分からないけどね……
To Be Continued… 
登場カード補足
クイック・サモン
通常魔法
自分のデッキからレベル2以下のモンスター1体を選択して特殊召喚する。
このカードの効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効になる。
武装再生
通常魔法
自分または相手の墓地に存在する装備魔法カード1枚を選択して発動する。
フィールド上に存在する表側表示モンスター1体に選択した装備魔法カードを装備する。
RUM-クイック・エボリューション
通常魔法 自分フィールドのランク3以下のエクシーズモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターと同じ種族でランクが1つ高い「CX」と名のついたモンスター1体を、
対象のモンスターの上に重ねてエクストラデッキからエクシーズ召喚扱いとして特殊召喚する。
「RUM-クイック・エボリューション」は1ターンに1枚しか発動できない。
小細工無用
装備魔法
装備モンスターが相手モンスターを攻撃する場合、攻撃対象になったモンスターの効果は無効になる。
腕っ節の勝負
通常罠
エンドフェイズまで互いのフィールド上に表側表示で存在するモンスターの効果は無効になる。
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