Side:クロウ


遂に来やがったか『地縛神』!!
前回のデュエルでは、アイツの凶悪効果の前に遊里は事実上の敗北を喫する事になった……文字通り『初見殺し』にやられたって所だぜ。

だが今回はそうじゃねぇ。
前回のデュエルで、遊里も地縛神の特性を分かってる筈――今度はこの前の様には行かない筈だぜ!!


「前回のデュエルとやらを俺は知らないが、遊里が奴に負けるとはどうしても思えん――其れだけデュエリストとしての魅力に差があるのか。
 なんにせよ、遊里はこのデュエルを必ず制する――寧ろ制して貰わなくちゃ満足できないぜ。」

「鬼柳……」

そうだよな!
サテライトの無敵女帝たる遊里が、同じ相手に苦汁を舐めるなんて事は絶対に有り得ねぇ!!

良いのを一発貰ったせいで、ライフも大幅に減っちまったが、だけど未だ負けた訳じゃねぇからな……此処から逆転するしかねぇだろ遊里!

俺が超える事の出来た地縛神を、お前が超えられねぇ筈がねぇだろ?


地縛神をぶっ倒して、キッチリリベンジ決めてやろうぜ遊里!!












異聞・遊戯王5D's Turn52
『闇を払いし救世の銀風』











遊里:LP1000  SC3
輝天龍 シルバー・ウィンド:ATK3800(祈りの巫女 ホーリー・エルフの効果適応)
ダーク・マジシャン・ガール:ATK2500
祈りの巫女 ホーリー・エルフDEF2500


亜美:LP1750  SC4
地縛神 Ccapac Apu:ATK3000




Side:遊里


「苦し紛れのリバースカードがどれだけ役に立つのかしら?…私のターン!!」


遊里:SC3→4
亜美:SC4→5



苦し紛れと言われればそうかも知れないけど、このカードは地縛神の持つ無敵効果の範囲の外に存在してるカード……その正体が分かる?
分かる筈がないわよね?常に他者を見下して、自己研鑽を怠ったアンタにはアタシの戦術が見通せるはずもない。


「言ってくれたわね遊里!!
 そんなに死にたいなら望み通りにしてやるわ!!地縛神 Ccapac Apuで、遊里にダイレクトアタック!!この一撃で砕け散りなさい!!」

「悪いけどお断りよ亜美!トラップ発動『ガード・ブロック』!!
 このカードの効果は地縛神に対して発生する物じゃなく、アタシへの戦闘ダメージ無効効果だから地縛神の効果では無効にできないわ!」

そうは言っても、はるか上空から襲い来る巨大な拳は迫力満点だったのは間違いないわ。
けど、さっきのターンと今ので幾らなんでも分かったんじゃない――地縛神は、決して無敵で最強のスーパーモンスターじゃないって。


「なんですって?」

「フィールド魔法がある限り、自分より低いレベルのモンスターとランク10以下のエクシーズモンスターの効果は受けない。
 魔法と罠の効果も受けずに、相手に直接攻撃出来る上に自分は攻撃対象にならない――確かにトンでもないモンスターだと思うわ。
 其れこそフィールド魔法が除去される事のないライディングデュエルなら、文字通り『最強』と言える力を発揮してくれるでしょうね。
 だけど、地縛神は無敵だとしても、其れを操るデュエリストやルールそのものにまで干渉する事は出来ない!
 『戦闘ダメージを0にする』って言うルール効果や『相手はバトルフェイズを行えない』って言う相手の行動を縛る効果なら問題ないわ!!」

だからその数少ない弱点を突かせて貰った。
其れにね亜美、一度苦汁を舐めたモンスターにもう一度やられるほど間抜けじゃないわよアタシは?


「ほざけ……そう言ったカードがデッキに無限に存在して居る訳じゃないでしょう?
 何れは底を突いてジリ貧になるのは目に見えてる……ドレだけ足掻こうと、地縛神を従えてる限り私に負けはない!!
 カードを2枚セットしてターンエンド!!」

「ならその前に決着を付けるまで!!アタシのターン!!」


遊里:SC4→5
亜美:SC5→6

輝天龍 シルバー・ウィンド:ATK3800→2500



ホーリー・エルフの効果をシルバー・ウィンドに適応し、シルバー・ウィンドの効果をシルバー・ウィンド自身に適応するわ!!


輝天龍 シルバー・ウィンド:ATK2500→3800→4300


「其れでダイレクトアタックを狙おうって魂胆だろうけど無駄よ!手札から『ヴェルズ・キュドラー』の効果発動!!
 このカードを手札から捨てる事で、このターン私が選択した相手モンスターは攻撃できない!!そう、シルバー・ウィンドがね!!」

「だから如何したの?こうすればアンタがシルバー・ウィンドの攻撃を封じて来る事くらいはお見通しよ!!
 ホーリー・エルフとシルバー・ウィンドの効果も見せ技に過ぎない!アタシはチューナーモンスター『月夜のシルバー・フォング』を召喚!」
月夜のシルバー・フォング:ATK1200


アタシの本命はこっち!!
レベル5のホーリー・エルフに、レベル3のシルバー・フォングをチューニング!

「集いし星の瞬きが、聖なる力を呼び覚ます。光射す道となれ!シンクロ召喚、切り込め『プリンセス・ヴァルキリア』!!」

さて、何時ぞやのリベンジと行きましょうか?
プリンセス・ヴァルキリア:ATK2500


「新たなレベル8のシンクロモンスターですって――!」


マダマダぁ!!アタシはプリンセス・ヴァルキリアの効果発動!
手札を1枚捨て自分の墓地のモンスター1体を特殊召喚する!姫騎士の力で蘇れ!!『祈りの巫女 ホーリー・エルフ』蘇生召喚!!


祈りの巫女 ホーリー・エルフ:DEF2500


「じ、上級のシンクロモンスターが4体も……う、嘘でしょう!?」

「シンクロを軸にした速攻召喚と、其処からの猛攻がアタシのデュエルだって言う事を忘れた訳じゃないわよね?
 シルバー・ウィンドは攻撃できなくとも、プリンセスとガールで攻撃する事は出来る!!2人ともお願い!!!」

お任せ~~~!!喰らえ、ブラック・ハイペリオンスマッシャー!!!

相変わらずネタ全開ですね貴女は……

この際だからプリンセスもネタ行ってみよう!!寧ろ行ってみよう!!流れ的に行くべきだから即興で良いから行ってみよう!!

……逃げ道なしですか……乗り気ではありませんが仕方ありません――では、約束されし勝利の剣(エクスカリバー)!!


思った以上にノリノリねプリンセスも!?本気で何処からネタ仕入れて来てるのか説明してほしいわよ……
まぁ、其れは其れとしてもプリンセスとガールの攻撃が通ればアンタのライフは0!……どっちかだけでも通れば0なんだけどさ。


「させるかぁぁ!!トラップ発動『地縛神の呪い』
 私の場に地縛神が存在する時、相手モンスターの攻撃を2回まで無効にできる!!此れでアンタの攻撃は無効にさせて貰うわ!!」


む……そう簡単には通らないか。
だけど、何時までその地縛神に頼れるかしらね?――カードを2枚セットしてターンエンド。


輝天龍 シルバー・ウィンド:ATK4300→3800


「私のターン!」


遊里:SC5→6
亜美:SC6→7



「地縛神相手に良くも此処まで持ったと褒めてあげるわ遊里!だけど其れも此処までよ!!
 私は手札からスピードスペル『Sp-ダブルアタック』を発動!!
 私のスピードカウンターが7個以上ある時、私のモンスター1体はこのターンのバトルフェイズに2回攻撃出来る!!
 幾らアンタでも、2連続のダイレクトアタックは躱しきれないわよね?この一撃で地獄に叩き落してやるわ!!地縛神でダイレクトアタック!!」


確かに2連続のダイレクトアタックはキツイかもしれないけど、アンタの攻撃は全て予測済みよ!
リバースカードオープン、トラップカード『決闘-セメント・デュエル』!!
このターン、互いのプレイヤーは自分のモンスターを1体選択し、選択したモンスター同士をバトルさせる!!


「なにぃ!?」

「此れもまたモンスターを選ぶと言うプレイヤーに対する効果だから地縛神の効果の外よ。
 アタシが選ぶのは当然『輝天龍 シルバー・ウィンド』!!さぁ、アンタは何を選ぶの亜美!!」

「く……私が選ぶのは『地縛神 Ccapac Apu』……!!」


地縛神の能力を過信して、他のモンスターを召喚しないのが仇になったわね?
更にトラップ発動、『シンクロンデストラクター』!!
このターン、アタシのシンクロモンスターが相手モンスターを戦闘で破壊した時、相手に破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与えるわ!

「バトルは既に止まらない!!迎撃よシルバー・ウィンド!!轟け『シューティング・ストリーム』!!」

消え去れぇぇぇ!!


――ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!


……やったかな?


「……よもやこんな手で迎え撃つとか、相変わらずムカつくわアンタは……」
亜美:LP1750
地縛神 Ccapac Apu:ATK3000



無傷!!……そのリバースカードのせいか……


「トラップカード『縛られし神の呪怨』
 発動ターンのみ地縛神は破壊されず、地縛神が戦闘を行う事によって発生する私へのダメージも0になる!アンタのコンボも無駄って事よ!」


思った以上に考えてるみたいね……正直言って今の一撃必殺のカウンターを躱されたのは痛いわ……


「今のカウンターには肝を冷やしたけど、だけど其れだけにこれ以上の戦術があるのかしら?
 バトルフェイズを終了し、スピードスペル『Sp-分かり易い攻撃目標』を発動!!
 スピードカウンターが5個以上ある時に発動できるこのカードは、発動後永続魔法となって私のフィールドに残る。
 そしてこのカードが存在する限り相手は私のモンスターに攻撃しなくてはならないわ!此れで私がダイレクトアタックを喰らう事はもうない!
 それ以前にアンタはもう攻撃する事すら出来なくなったか…ターンエンドよ!!」



此れは可成り拙いかも……地縛神が1体のみの状況なら、ダイレクトアタックで一気に勝負を掛けられたけど其れも出来なくなった。
って言うか地縛神にそのカード装備したら完全戦闘ロックじゃないのよ!?………此れは少しばかり追い詰められたわね………

次のターンで決着を付けないと可成りやばいけど、アタシの手札には現状を打開できるカードがない……如何すれば………



――キィィィィィン………



え?


「な、痣が――遊里に!!!」


――ギュオォォォォォォォ!!


な、何?力が満ちて来る………赤き竜の力が!シグナーの力がアタシに集まってくるのが分かる!!
ジャック、鬼柳、龍可……皆の力がアタシに集中してる!!其れに、デッキの一番上のカードが光り輝いてる……なら今は此れに掛ける!!

「アタシのターン!!」


遊里:SC6→7
亜美:SC7→8

輝天龍 シルバー・ウィンド:ATK3800→2500



このカードは!!……今はこのカードに賭ける!!
アタシはチューナーモンスター『救世竜 セイヴァー・ドラゴン』を召喚!!


救世竜 セイヴァー・ドラゴン:DEF0


そしてスピードスペル『Sp-超次元同調』を発動!!
アタシのスピードカウンターが7個以上ある時、自分のフィールドまたは墓地からシンクロモンスターの素材をゲームから除外して発動!!
除外したモンスターで召喚できるシンクロモンスター1体をエクストラデッキからシンクロ召喚する!!

「アタシは此れで、フィールドのシルバー・ウィンドとセイヴァー・ドラゴン、墓地のレベル・スティーラーをゲームから除外してチューニング!!」

「レベル・スティーラー!?……さっきのプリンセスの効果を発動する時にコストとして!!」


そう言う事!!行くわよ亜美、救世竜がこのデュエルに終止符を下ろすわ!!

「星の輝きが集う時、その輝きは新たな奇跡を照らし出す!光射す道となれ!」


――ゴォォォォォォォォ……!!


「シンクロ召喚!光来せよ、『閃天龍 セイヴァー・ウィンド』!!」

覚悟は良いな、地に縛られし邪神よ!!
閃天龍 セイヴァー・ウィンド:ATK3800


「せ、閃天龍 セイヴァー・ウィンドですってぇ!!?」

「今度こそ終わりにするわ亜美!ホーリー・エルフの効果をセイヴァー・ウィンドに適応!!」
閃天龍 セイヴァー・ウィンド:ATK3800→5100


更にセイヴァー・ウィンドの効果発動!
1ターンに1度相手モンスター1体の効果を無効にし、エンドフェイズまでアタシのモンスターは破壊されなくなる!!
そしてセイヴァー・ウィンドのレベルは10!!地縛神の能力で無効にする事は出来ないわ!!!『ドレイン・ストーム』!!


「そ、そんな………ど、土壇場でこんな事ガァァァァァァァァァァァ!!!」

「効果が無効になった今、地縛神は攻撃から逃れる事は出来ない!!
 ラストバトルよ亜美!!閃天龍 セイヴァー・ウィンドで、地縛神 Ccapac Apuに攻撃!!貫け『アブソリュート・サイクロン・フォース』!」

消え……去れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!


――キュゴォォォォォォォ……ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!


「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!そ、そんな……こんな事が……私はダークシグナーとして……世界を……!!」


誇大妄想は此処で終わりよ亜美。
塵は塵に、灰は灰に――そして死者は冥府に……自ら命を絶った癖にダークシグナーとして生きるなんてのは余りにも無様だわ。

アタシに出来るのは精々冥府に送り返してやる事くらいよ……後は閻魔様の沙汰に任せるだけ。



バイバイ亜美、もしもアンタが真面なデュエリストだったら互いに切磋琢磨して高め合える良いライバル関係になれてたかもね……



「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁ!!!」
亜美:LP1750→0


今度生まれ変わったら、高慢な態度を取らずに自己研鑽を怠らない奴に生まれてきなさい。
アンタが転生した時に、アタシが生きてて、其れでアンタが真面な人間になってたその時は、またデュエルの相手になってあげるわ。

だけど取り敢えずは、地獄巡りツアーを存分に味わって来ると良いわよ♪








――――――








Side:ブランシュ


如何やらどこかでシグナーのデュエルが終わったみたいだな――俺にはあんまり関係ないけどな。
だけど、さっきの僅かな痣の疼きは一体何だ?……何かに呼応してたみたいだけど、痣は鈍く光るだけだった……意味が分からないぜ。

まぁ、感じからしてシグナーが負けた訳じゃないみたいだから良いけどな。


其れよりも今は自分の事だ。

「ミスティ……」

「待っていたわブラン……」


他のシグナーが向かってない場所を選んで来たのが、この廃墟のレジャーランドだったんだが、此処の守り人がミスティだったとはな……
コイツも運命って奴なのか、其れは分からないが……ある意味好都合だ。

アンタとのデュエルは絶対に避ける事は出来ないって思ってた――そしてそのデュエルで俺は全てを清算して決着を付ける事が出来るんだ!


そして何よりも俺の目的であるシグナー全滅の為にもアンタを倒さない訳には行かないんだよ!



だから此処は俺の力をフルに使って押し通らせてもらうぜミスティ!!















 To Be Continued… 






登場カード補足



ヴェルズ・キュドラー(ヴェルズ化バトル・フェーダー)
レベル1    闇属性
悪魔族
手札からこのカードを捨て、相手モンスター1体を選択して発動する。
エンドフェイズまで、選択した相手モンスターは攻撃する事が出来ない。
ATK100    DEF100



Sp-超次元同調
スピードスペル
自分のスピードカウンターが7個以上ある時に発動できる。
自分のフィールドまたは墓地からシンクロモンスターの素材となるモンスターをゲームから除外し、
除外したモンスターのレベル合計と等しいレベルのシンクロモンスター1体をエクストラデッキからシンクロ召喚扱いで特殊召喚する。



Sp-ダブルアタック
スピードスペル
自分のスピードカウンターが7個以上ある時に自分フィールド上のモンスター1体を選択して発動する。
選択したモンスターはこのターンのバトルフェイズ中に2回攻撃出来る。



Sp-分かり易い攻撃目標
スピードスペル
自分のスピードカウンターが5個以上ある時に発動できる。
このカードは発動後永続魔法となり自分の魔法・罠ゾーンに表側表示で置かれる。
このカードが表側表示で存在し、自分フィールド上にモンスターが存在する場合、相手は必ずモンスターを攻撃しなくてはならない。



決闘-セメント・デュエル
通常罠
互いのプレイヤーは自分フィールド上のモンスターを1体選択する。
このターン、互いに選択したモンスターにしか攻撃する事が出来ない。



地縛神の呪い
通常罠
自分フィールド上に「地縛神」と名の付くモンスターが表側表示で存在する場合に発動できる。
このターン、相手の攻撃を2回まで無効にできる。



縛られし神の呪怨
通常罠
エンドフェイズまで「地縛神」と名の付くカードは破壊されず、「地縛神」が戦闘を行う事で発生する自分へのダメージは0になる。