Side:???


 「よし、サテライト到着!」

 「本当に良いのかな?」


 大丈夫!絶対バレないから。誰も粗大ゴミの冷蔵庫に子供が入ってるなんて思わないし、実際無事来れたじゃん。
 それに龍可だって遊里の事気になるだろ?
 遊里が悪い事して捕まったなんて絶対嘘だ!えんだいだよえんだい!


 「ソレを言うなら冤罪でしょ。
  確かに遊里の事は気になるけど、サテライトに潜り込むなんて…いくらなんでも無謀よ?」

 「無謀でも何でも良いの!」

 遊里の無事を知りたいんだからさ。
 あれ、でも遊里はどこに居るんだろう?


 「龍亞?」

 「いぃ!?いや、大丈夫…多分、きっと…」

 「しょうがないなぁ…とは言っても連絡もとりようがないし…」


 あははは……如何しようか……って、龍可あれ!!


 「如何したの?…アレは…輝天龍 シルバー・ウィンド!」

 「遊里のエースモンスター!きっと遊里がデュエルしてるんだ!」

 行ってみよう龍可!


 「うん!」


 待っててね遊里!俺と龍可が直ぐ行くから!










 異聞・遊戯王5D's Turn5
 無敵女帝(エンプレス)vs絶対王者(キ ン グ)










 Side:遊里


 「ふ、この俺と同等に戦えるデュエリストなど一体何時振りだろうな?
  『サテライトの女帝』の名は伊達ではないようだな!」
 ジャック:LP3800    SC6
 煌魔龍 レッド・デーモン:ATK3000



 「貴方もね…『絶対王者』とはよく言ったものだわ。」
 遊里:LP3500    SC6
 輝天龍 シルバー・ウィンド:ATK2500
 プリンセス・ヴァルキリア:ATK2500



 とは言えこのままじゃレッド・デーモンには及ばない。
 よし…手札からスピードスペル『Sp−エナジー・ボルト』
 スピードカウンターが5個以上ある時、アタシのモンスターの攻撃力を500ポイントアップし、相手モンスターの攻撃力を300ポイントダウンさせる!



 輝天龍 シルバー・ウィンド:ATK2500→3000
 プリンセス・ヴァルキリア:ATK2500→3000
 煌魔龍 レッド・デーモン:ATK3000→2700




 「ほう…レッド・デーモンを越えてきたか?
  尤も、此れくらいはやってもらわねば折角のエースモンスターの登場も興醒めだが…」

 「言ったでしょう、勝利は譲らないって。
  バトル!輝天龍 シルバー・ウィンドで、煌魔龍 レッド・デーモンに攻撃!『シューティング・ストリーム』!!」

 『コォォォォ…カァァァァァ!!』


 ――ドシュゥゥゥ!!



 「凄まじい銀色のブレスか…良い攻撃だが、王者は膝を折らん!
  トラップ発動『王者の疾風』!このターン、モンスターは戦闘で破壊されず、俺が受けるダメージはお前も受ける!」
 ジャック:LP3800→3500


 ダメージ反射+モンスターの戦闘耐性…!
 早々簡単にエースモンスターを倒させてはくれないわよね。


 遊里:LP3500→3200


 プリンセスで攻撃しても結果は同じ…だけど!

 「此処は遭えて攻撃を選択する!プリンセスで、レッド・デーモンに攻撃!『デュランダル・ブレイザー』!!」

 『ハァァア!』


 ――ズバァ!!



 「ほう?遭えて攻撃を選択するとはな!」
 ジャック:LP3500→3200


 「理解できない?」
 遊里:LP3200→2900


 「いや…お前が無意味な攻撃をするとも思えん。
  自分がダメージを受けてでも俺のライフを減らして於いた方が都合がいい戦術があるのだろう?」


 さて如何かしら?
 アタシはカードを2枚伏せてターンエンド!


 輝天龍 シルバー・ウィンド:ATK3000→2500
 プリンセス・ヴァルキリア:ATK3000→2500
 煌魔龍 レッド・デーモン:ATK2700→3000



 さぁ、如何来る、絶対王者?








 ――――――








 Side:ジャック


 己の真なる全力が出せる相手と言うのはありがたいものだ。
 あの2枚のカード…何を狙っている?


 ふ……何が待ち受けていようとも臆せず進んでこその王者!
 俺のターン!!


 遊里:SC6→7
 ジャック:SC6→7



 良い引きだ。
 矢張り本気のデュエルではデッキも本来の力を存分に発揮してくれる様だな。

 「墓地のダーク・リゾネーターをゲームから除外し、『進撃のガジェット・ソルジャー』を特殊召喚!」
 進撃のガジェット・ソルジャー:DEF2000


 そしてチューナーモンスター『幻影王 ハイド・ライド』を召喚!


 幻影王 ハイド・ライド:ATK1500


 「レベル5、進撃のガジェット・ソルジャーに、レベル3、幻影王 ハイド・ライドをチューニング。
  伝説に其の名を残す誇り高き獣の王よ、其の威光を現世に示せ!シンクロ召喚、顕現せよ『幻獣王 モザイク・マンティコア』!!」

 『シャァアッァァ!!!』
 幻獣王 モザイク・マンティコア:ATK2800



 モザイク・マンティコアの効果発動!
 1ターンに1度、自分の墓地からモンスター1体を効果を無効にして特殊召喚出来る。
 更に、この効果で特殊召喚されたシンクロモンスターはカード効果では破壊されん!

 地獄より蘇れ、『天刑王 ブラック・ハイランダー』!!


 『ウオォォォ!!』
 天刑王 ブラック・ハイランダー:ATK2800



 「上級の攻撃力に蘇生と、特定モンスターの場合は効果破壊耐性…見事だわ。
  それにしても、上級のシンクロモンスターが此れだけ並ぶと流石に圧巻ね?」

 「其の割には冷静だなお前は…尚の事どんな戦術を用意しているか楽しみだ。
  だが、俺はお前の戦術の上を行く!
  スピードスペル『Sp−シンクロ・インビジブル』!
  スピードカウンターが7個以上あるとき、俺のシンクロモンスターはカード効果では破壊されん!」

 此れでお前がどんな攻撃反応カードを伏せていようとも俺には通じん!
 行くぞ!煌魔龍 レッド・デーモンで、輝天龍 シルバー・ウィンドに攻撃!『アブソリュート・ヘルバーン』!!


 「…流石は絶対王者、抜かりない戦術だわ。
  けど、生憎とアタシのカードはモンスター破壊カードじゃない!
  リバースカードオープン、トラップカード『ライジング・ドライブ』!そして『シンクロン・デストラクター』!!」


 其の2枚は…!


 「ライジング・ドライブはエンドフェイズまでアタシのシンクロモンスターの攻撃力を800ポイントアップして貫通効果を付与する。
  そしてシンクロン・デストラクターは、アタシのシンクロモンスターが相手モンスターを戦闘で破壊したとき相手にそのモンスターの攻撃力分のダメージを与える!」
 輝天龍 シルバー・ウィンド:ATK2500→3300
 プリンセス・ヴァルキリア:ATK2500→3300



 く…このコンボの為に王者の疾風の効果が有りながらも攻撃をしてきたのか。
 このコンボで俺のライフをゼロにする為に…!

 だが、そうはさせん!
 スピードスペル『Sp−ストライクパワー』
 このカードはスピードカウンターが6個以上ある時に速攻発動できる!
 エンドフェイズまでモンスター1体の攻撃力を1000ポイントアップする!
 これで、レッド・デーモンの攻撃力を1000ポイントアップする!


 『バオォォォォ!!!』
 煌魔龍 レッド・デーモン:ATK3000→4000


 砕け散れシルバー・ウィンド!!



 ――ゴォォォォ!!!



 「きゃぁぁぁぁぁ!!!」


 吹き飛んだか?…む!?


 輝天龍 シルバー・ウィンド:ATK3800
 遊里:LP2700




 シルバー・ウィンドは無事!
 しかも攻撃力が上がっている!?


 「シルバー・ウィンドの効果『守護の風盾』を発動したわ。
  シルバー・ウィンドは1ターンに1度、カード1枚を選択し、選択したカードを破壊から護る。
  此れでシルバー・ウィンドは自分自身を護ったのよ!
  更にこの効果を適用されたモンスターは、次のアタシのターンが終るまで攻撃力が500ポイントアップする!」

 「…絶対防御と言える効果…!
  更に攻撃力上昇の効果も合わさり、己へのダメージも軽減したという事か。」

 「そう言う事♪」


 なんと言う効果だ…流石はエースと言った所だな。
 カードを1枚セットしてターンエンド。


 煌魔龍 レッド・デーモン:ATK4000→3000
 輝天龍 シルバー・ウィンド:ATK3800→3000
 プリンセス・ヴァルキリア:ATK3300→2500



 次は何を見せてくれる!
 お前とのデュエル…俺の魂が昂ぶる!
 もっと俺を…絶対王者ジャック・アトラスを楽しませて見せろ、上条遊里!








 ――――――








 Side:遊里


 今のが決まらないなんて、絶対王者攻略は簡単じゃないか…まぁ、簡単に攻略できたら面白くないけど。

 「アタシのターン!」


 遊里:SC7→8
 ジャック:SC7→8




 プリンセスの効果発動!
 墓地から『月夜のシルバー・フォング』を蘇生するわ。


 月夜のシルバー・フォング:ATK1200


 「そして『ジャンク・ディフェンダー』を守備表示で召喚。」
 ジャンク・ディフェンダー:DEF1800


 レベル3のジャンク・ディフェンダーに、レベル3の月夜のシルバー・フォングをチューニング!

 「集いし闘気が、まだ見ぬ未来を指し示す。光射す道となれ!シンクロ召喚、轟け『漆黒魔族ギルファー・デーモン』!!」

 『オォォォ…!』
 漆黒魔族ギルファー・デーモン:ATK2200



 ギルファー・デーモンの効果!
 このカードが存在する限り、アタシのモンスターは攻撃力が300ポイントアップし、相手モンスターの攻撃力は500ポイントダウンする!


 輝天龍 シルバー・ウィンド:ATK3000→3300
 プリンセス・ヴァルキリア:ATK2500→2800
 漆黒魔族ギルファー・デーモン:ATK2200→2500



 「なんだと…!?」
 煌魔龍 レッド・デーモン:ATK3000→2500
 幻獣王 モザイク・マンティコア:ATK2800→2300
 天刑王 ブラック・ハイランダー:ATK2800→2300



 一気に殲滅するわ!
 シルバー・ウィンドで、レッド・デーモンに攻撃!『シューティング・ストリーム』!!


 「させん!トラップカード『王者の叫び』!俺のモンスター1体を選択して発動!
  選択したモンスターは俺の墓地の『王』と名の付くモンスターの数×500ポイント攻撃力がアップする!
  この効果の対象は当然レッド・デーモン!
  そして俺の墓地の『王』は合計4体!よって攻撃力は2000ポイントアップ!!」

 『バオアァァア!!』
 煌魔龍 レッド・デーモン:ATK2500→4500


 迎撃用の攻撃力上昇カード!
 けど、アタシだって…スピードスペル………って、ちょっと!!!


 ――キキィ〜〜〜〜〜!!!


 「うわ!!」

 「ぬぅ…!!」


 進行を遮るように車が!!
 決着前にDホイールが停止した場合はデュエルは続行できない…


 「おのれ…水を注してからに…!」

 「本当よね…」

 誰よ、無粋な横槍入れてくれたのは…!


 「イ〜ッヒッヒッヒ…困りますねジャック様、この様なお戯れは。
  絶対王者がサテライトを訪れるなど、王の名に傷が付きますよ…ヒッヒッヒ…!」

 「誰あれ?」

 「イェーガー…ち、面倒な…」


 面倒な奴なんだ?
 一体何の用なの…アタシとジャックのデュエルを邪魔して…!


 「ヒッヒッヒ…絶対王者を連れ戻すのが目的です。
  ジャック様にはこれからもシティの絶対王者として君臨して頂かないと…」

 「ほざくな…貴様等の用意した三流とデュエルするのはもう沢山だ!
  俺は真なる絶対王者になる為に、強敵を求めてサテライトに来たのだ、戻る心算はない!!」

 「ほう?戻っていただけなのでしたら、そちらの彼女を逮捕、拘束する事になりますが?
  許可なしに絶対王者とのデュエルを行った事実だけでも逮捕は可能なのですよ?」


 !!コイツ…!!


 「貴様……く、致し方あるまい…この場は退いてやる。
  どの道横槍を入れられて興が冷めた……決着は次の機会まで預けておこう。」

 「ジャック…」

 何時になるか分らないわねソレ。
 …でも、完全決着の時は楽しみにしてる。


 「ソレは俺もだ…腕を磨いておけ女帝!」

 「貴方もね、絶対王者!」

 この場は退いた方が得よね…逮捕されたらデュエルも出来ないし。
 けど、何時か必ず決着は付けるわよ、ジャック…!


 「では失礼…イ〜ッヒッヒッヒッヒ!!」


 …不快な笑い声だこと…ピエロめ。

 はぁ〜〜それにしても不完全燃焼だわ。
 弥生に相手してもらって燻り押さえようかな?


 「あ、居た!見つけたよ龍可!!」

 「本当?…本当だ…遊里ーーー!!」


 へ?
 えぇ!?ちょ、何で此処にいるの!?

 「龍可!龍亞!!」

 どうやってサテライトに来たのよ、2人とも……













  To Be Continued… 






 登場カード補足



 Sp−エナジー・ボルト
 スピードスペル
 自分のスピードカウンターが5個以上有る時に発動できる。
 エンドフェイズまで、自分フィールド上のモンスターの攻撃力は500ポイントアップし、相手フィールド上のモンスターの攻撃力は300ポイントダウンする。



 Sp−シンクロ・インビジブル
 スピードスペル
 自分のスピードカウンターが7個以上有る時に発動できる。
 このターン自分フィールド上のシンクロモンスターはカード効果では破壊されない。



 Sp−ストライクパワー
 スピードスペル
 自分のスピードカウンターが4個以上有る時に、自分のモンスター1体を選択して発動する。
 選択したモンスターはエンドフェイズまで攻撃力が1000ポイントアップする。
 自分のスピードカウンターが6個以上あるとき、このカードは速攻発動できる。



 ライジング・ドライブ
 通常罠
 エンドフェイズまで自分フィールド上のモンスターの攻撃力は800ポイントアップする。
 また、相手の守備モンスターを攻撃した場合、攻撃力が守備力を上回っていれば其の数値分の戦闘ダメージを相手に与える。



 シンクロン・デストラクター
 通常罠
 発動ターン、自分のシンクロモンスターが相手モンスターを戦闘で破壊し墓地へ送った場合、
 相手に破壊したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを与える。



 王者の疾風
 通常罠
 このカードを発動したターン、互いのモンスターは戦闘では破壊されない。
 このターン、自分が受ける戦闘ダメージは相手も受ける。



 王者の叫び
 通常罠
 自分フィールド上のモンスター1体を選択して発動する。
 選択したモンスターの攻撃力はエンドフェイズまで、自分の墓地の「王」と名の付くモンスターの数×500ポイントアップする。