Side:遊里


何処かでデュエルが終わったのは間違いない。
空に地上絵の姿が出て来ても痣が疼かず、其の後で痣の反応が有ったって事は、龍可と龍亞が一緒にデュエルして――そして勝ったわね。

直接この目で見た訳じゃなくても分かるわ……個々はまだまだ未熟だけど、タッグを組めば双子だけに凄くかみ合うからね龍亞と龍可は。

「其れは其れとしても、あそこに浮かぶ地上絵の文様は一体何!?
 痣も反応してないんじゃ、アレの相手はシグナーじゃない普通のデュエリスト……幾ら何でも無茶過ぎよ!!」

「確かにな……シグナーだけがダークシグナーと戦えるって訳でもないが――流石に無茶は否定できねぇ。
 シグナーとダークシグナーで互角ってんなら、シグナーじゃない奴がダークシグナーに挑んだら、勝率は当然下がるだろうしな……」


それ以上に、負けてしまったらその時は地縛神の生贄になるか、新たなダークシグナーになるかの二者一択だからね……


鬼柳、予定を変更してあのデュエル場所に向かうわ!!異論はないわね?


「OKだ……ダークシグナーとデュエルをしてる奴の面くらいは拝んでおきたいからな。」


なら決まり!全速力でブッ飛ばすよ!!


最悪の場合、デュエルをノーコンテストで終わらせる事も考えておいた方が良いかもしれないね…












異聞・遊戯王5D's Turn49
『邪神を切り裂け、黒き翼よ!』











クロウ:LP4000   SC2
BF-アーマード・ウィング:ATK2500
BFT-轟雷のコンドル・スパーク:ATK2500



ボマー:LP2700    SC2
ジャイアント・ボマー・エアレイド:ATK3000





Side:クロウ


状況だけ言えば、俺の方にアドバンテージがあるのは間違いねえ。
巨大爆撃兵器は脅威だが、アーマード・ウィングがいて、更に手札に『疾風のゲイル』が居るこの状況なら一気に押し切る事が出来るぜ!

だが、その為にはアイツに『セットカード破壊』の効果を使わせなきゃならねぇ。
確実にゲイルをフィールドに呼び出さねぇと、あのデカブツを破壊する事は出来ねぇからな……800ダメージは覚悟の上だ!!

伏せるカードは……へへ、コイツが適任だな!

「俺はカードを1枚セット!」

「ジャイアント・ボマー・エアレイドの効果は知っているだろう!
 相手がカードをセットした時、そのカードを破壊し800ポイントのダメージを与える!!」


――パリィィィン!!


クロウ:LP4000→3200



ぬお!!……結構来るじゃねぇか――しかもこいつは闇の瘴気ってだけじゃねぇ……闇の瘴気がボマーのフィールと共鳴していやがる!
差し詰め『暗黒のフィール』って所か……楽に行く相手でもなさそうだが……このターンで決めてやるぜボマー!!


「なに?」


「伏せカードは囮であると同時に、文字通りの罠だ!俺が伏せたカードは『ブラック・アサルト』!!
 セット状態のこのカードが破壊された時、デッキか手札からレベル4以下の『BF』1体を特殊召喚する!!
 コイツの効果で、俺はデッキからレベル3の『BF-風切りのオラビ』を特殊召喚!!」
BF-風切りのオラビ:ATK1200


そして、チューナーモンスター『BF-疾風のゲイル』を攻撃表示で特殊召喚!!


BF-疾風のゲイル:ATK1300


「……成程、この大量展開を確実にするために、敢えて伏せカードを私に破壊させたと言う訳か……見事だ。」

「お前は見た目に反して慎重なところが有るのは、フォーチュンカップでのデュエルで分かってたからな。パブリックビューで見てたし。
 俺がカードを伏せたら、そいつを警戒してエアレイドの効果を発動する事は予想してたから――そいつを利用させて貰ったぜ!!」

そして此処からが俺の狙いだ!
疾風のゲイルの効果発動!相手モンスター1体の攻守力を半減させる!!効果対象は当然『ジャイアント・ボマー・エアレイド』!!


ジャイアント・ボマー・エアレイド:ATK3000→1500


「攻撃力を半分に……!!」

「おっと、コイツはホンの幕開けに過ぎないぜ?盛り上がるのは此処からだろ!!
 俺は、レベル3の風切りのオラビに、レベル3の疾風のゲイルをチューニング!!
 漆黒の暴嵐、今翼となりて天空を駆け抜けろ!!シンクロ召喚、射殺せ『BFT-黒雲のオウル・ランス』!!」

『ガァァァァアァァ!!』
BFT-黒雲のオウル・ランス:ATK2400


行くぜボマー!
アーマード・ウィングで、ジャイアント・ボマー・エアレイドに攻撃!!『ブラックハリケーン』!!


「見事なコンボだが、その攻撃は通さぬ!!トラップ発動『バリアフォース』
 このカードを発動したターン、私の場の攻撃表示の機械族モンスターは戦闘では破壊されず、私に対する戦闘ダメージも0になる!!」


ち、早々簡単には行かねぇか……カードを2枚セットしてターンエンドだ。


「私のターン!!」


クロウ:SC2→3
ボマー:SC2→3



「私はジャイアント・ボマー・エアレイドの効果発動!手札を1枚捨て、相手フィールド上のカード1枚を破壊する!!
 この効果で破壊するのは当然戦闘破壊が不可能なアーマード・ウィング!!」


やっぱしそう来るよな……
だが、俺はそう簡単にはやられないぜ!!


「だろうな……だが、このモンスターを前にしても未だそんな事が言えるかな?
 私は チューナーモンスター『クラスター・ボンバー』を召喚!!」
クラスター・ボンバー:DEF900


此処でチューナーって……まさか遊里戦で見せたアイツを呼ぶつもりなのか!?


「如何にも!!君は私の最強モンスターが姿を現すに相応しいデュエリストだ、クロウ・ホーガン!!
 故に私も私の持てる全ての力を出し尽くして君に勝つ!!」

「へ……そいつは光栄だな!!」

「行くぞクロウ!
 レベル8のジャイアント・ボマー・エアレイドに、レベル2のクラスター・ボンバーをチューニング!!
 闇より出でし鉄血の翼、破壊の炎となりて全ての敵を打ち払わん。シンクロ召喚、現れよ『アトミック・ボマー・エアレイド』!!」

『Goooooooon!!』
アトミック・ボマー・エアレイド:ATK3500


来やがったな、ボマーのデッキ最強のモンスターが……!


「アトミック・ボマー・エアレイドの効果発動!
 1ターンに1度、私の墓地のモンスター1体をゲームから除外し、除外したモンスターの攻撃力の半分のダメージを相手に与える!
 私は墓地のジャイアント・ボマー・エアレイドをゲームから除外し、君に1500ポイントのダメージを与える!!」

「1500ポイント!!……どわぁぁぁぁあぁ!!!」
クロウ:LP3200→1700    SC3→2


「そして、アトミック・ボマー・エアレイドで、オウル・ランスに攻撃!『アトミック・ボムズ・アウェイ』!!」

「そうは行くかよ!!カウンタートラップ『攻撃の無力化』!!コイツでバトルを終わらせるぜ!!」

その攻撃を喰らったら、俺のライフは風前の灯火になっちまうからな……


「……素晴らしいなクロウ……もしも私がダークシグナーでなかったならば、ドレだけこのデュエルを楽しめた事か……
 だが私はダークシグナー、そしてレクス・ゴドウィンを断罪する闇の使者なのだ……此処で負ける事は出来ん!!!」


俺も本音を言えばダークシグナーじゃないアンタと戦いたかったぜボマー。
だけどこうなっちまった以上は仕方ねぇ………ガチでケリ行けようぜボマー!!どっちが勝っても恨みっこなしの本気のデュエルでな!!


「異論はない!!カードを1枚セットしてターンエンド!!」



俺のターン!!



クロウ:SC2→3
ボマー:SC3→4




さぁてと、如何したもんか……


「クロウ!!」

「お前だったのか!!」


遊里、其れに鬼柳!!如何したんだよお前等!!


「如何したもこうしたも、空に魚みたいな地上絵が出て来たから、誰かがダークシグナーとデュエルしてるって思って来たのよ!
 まさか貴方だとは思わなかったわクロウ……てか、クロウがやってるとなると、ノーコンテストにして中断は無理かな?…てか無理よね?」


ったりめーだ!!
この鉄砲玉のクロウ様が、乗り掛かった舟のデュエルを途中で投げ出せるかってんだ!!ダークシグナー相手でも止める気はないぜ!!


「だよねぇ……だったら、絶対負けないでクロウ!
 てか、相手がダークシグナー化したボマーって………オイコラボマー、目を覚ましなさいって!!」

「遊里!!……私は狂っている訳では無い!!」

「いや、如何見ても狂ってるんだけど……言葉は届かないか…
 そうなるとデュエリストの必殺の一撃で目を覚まさせるより他はないわ――貴方に全部任せて良い、クロウ!?」


任せとけよ!アイツの目を覚ましてやらぁ!!俺はコンドル・スパークの効果発動!
オーバーレイユニットを1つ取り除き、相手フィールド上の表側表示のカードの効果を3枚まで無効にする!!
此れでアトミックの効果は無効になるぜ!!


「此処で効果無効だと!?」

「其れだけじゃねぇ!!更に手札から『BF-祈祷のシキミ』の効果発動!
 このカードを手札から捨てる事で、俺の墓地の『BF』1体を特殊召喚する!!来い『BF-疾風のゲイル』!!」
BF-疾風のゲイル:ATK1300


でもって、疾風のゲイルの効果でアトミック・ボマー・エアレイドの攻守力を半分にするぜ!!


アトミック・ボマー・エアレイド:ATK3500→1750


「ぶちかますぜボマー!!
 黒雲のオウル・ランスで、アトミック・ボマー・エアレイドに攻撃!!『ブラックフェザー・クラッシャー』!!!」


――バガァァァン!!


ボマー:LP2700→2050

「むおぉぉぉ!……だが、トラップ発動!『兵器再生工場』
 私の場の機械族モンスターが戦闘で破壊された時、私のフィールド上に『ウェポントークン』を可能な限り特殊召喚する!!」
ウェポントークン(星1・地・機械):DEF0(×5)


攻守0とは言え、速攻で5体のモンスターとかマジか!?
……確実に3体は残っちまうが、其れでも数を減らしといた方が良い事には違いねぇ!

「疾風のゲイルと、轟雷のコンドル・スパークで、トークン2体に攻撃だ!!」

だがボマーのライフは減らねぇ………カードを1枚セットしてターンエンドだ。


「私のターン!!」


クロウ:SC3→4
ボマー:SC4→5



「このターンで終わりだクロウ……我がダークシグナーとしての力をその目で見るが良い!!
 私はウェポントークン2体をリリースし………現れよ、我等ダークシグナーの力となりし地に縛られし邪神よ!!」


――ドクン、ドクン!!


アレは、遊里と日堂とか言う奴のデュエルの時に現れた石造りの心臓!!
――って事はまさか!!!


「全てを喰らい尽くせ『地縛神Chacu Challhua』!!!」

『ガオォォォォン!!』
地縛神Chacu Challhua:ATK2900


来やがったか地縛神!!


「Chacu Challhuaの効果発動!!1ターンに1度、このカードの守備力の半分のダメージを相手に与える!!
 Chacu Challhuaの守備力は2400!よって1200ポイントのダメージを受けて貰うぞ!!」


――バガァァァッァァン!!


「どわぁぁぁぁぁぁ!!」
クロウ:LP1700→500    SC4→3


此れは流石にキツイ……だけど俺は……ん?


『もう止めてお兄ちゃん……こんなの絶対間違ってる!!』

『僕達は大丈夫だから…だからもう止めて!!』



!!!アレは、地縛神の中に見えた子供は……まさか、ボマーの姉弟!!
おいボマー、お前の妹と弟はお前が操る地縛神にその魂を囚われてる!!今直ぐデュエルを止めろ!!これじゃあアイツ等が!!


「!!……なんだと!?
 この地縛神に私の妹と弟の魂が捕らえられていると言うのか!?……そうだとしたら私は何と言う愚かな事を…!!
 救うべき者を、逆に苦しめていたと言うのか私は――!!もしそうならば、これ以上のデュエルは余りにも無意味――!!?」


――ギュル………


「むおぉぉぉぉぉっぉ!?」


ボマー!?…如何した、大丈夫かよ!!


……クックック……デュエルは続行だ……!此処で終わりなど有り得ん事だ……!!


!!……テメェ、ボマーじゃねぇな?
ボマーが正気を取り戻そうとしたのを阻止しようって魂胆かよ、地縛神!!テメェは地縛神の意思だろ!!


如何にも……コイツに正気を取り戻されては面倒なのでな……乗っ取らせて貰った。
 同時に、我がコイツを乗っ取ったと言う事は、貴様には万に一つの勝利の可能性すら消え失せたと言う事だ!!
 地縛神の攻撃にて闇に沈めクロウ・ホーガン!!Chacu Challhuaでダイレクトアタック!!


そうは行かないぜダボが!!
オウル・ランスは、このカード以外の『BF』が2体以上存在する時、相手モンスターの攻撃を全て一身に受けきるモンスターだ!!

コンドル・スパークと疾風のゲイルが存在する今、如何に地縛神と言えども俺へのダイレクトアタックは、オウル・ランスに向かうぜ!!


其れが如何した……貴様のライフは残り500……このバトルが成立すれば、貴様のライフは0よ!!

「……そいつは如何だろうな?」

なに!?


トラップ発動!『黒翼の絆』!!俺のフィールド上の『BF』1体を選択して発動!
エンドフェイズまで、選択したモンスターの攻撃力は、選択したモンスター以外の『BF』の攻撃力の合計値分アップする!!

俺が選択するのは黒雲のオウル・ランス!
そして、オウル・ランス以外の『BF』の攻撃力の合計値は3700!!よってその3700ポイントがオウル・ランスに上乗せされるぜ!!


BFT-黒雲のオウル・ランス:ATK2400→6100


こ、攻撃力6100だとぉ!?

「クソッタレな邪神に負けるクロウ様じゃねぇ!!
 黒雲のオウル・ランス、地縛神を返り討ちにしろぉ!!『ブラックフェザー・クラッシャー』!!」

『デヤァァァアァア!!!』



――バガァァァァアン!!




「むおわぁぁぁぁぁあぁ!!!」
ボマー:LP2050→0


へへ……俺の勝ちだぜ……!!

だが、このフィールの反動はキツイ――下手したら飛ばされて……のわぁぁぁぁっぁぁぁ!!


「「クロウ!!」」



――パシ……



「大丈夫か、クロウ……」

「ボマー!!!」

お前、何で……てか正気に戻ったんだな?


「無様な姿をさらしたな……お前の一撃で目が覚めたよ…
 私がすべき事はゴドウィンを断罪する事ではなく、幼き妹と弟を護る事だったと言うのに、其れがこの様とは笑うに笑えないモノだ……
 まぁ、どの道ダークシグナーとなった私には敗北は己の存在の消滅に直結するわけだがな……だが、其れでも私は晴れやかな気分だ。」


ボマー……


「ダークシグナーを倒せ……奴等を倒さねば世界は漆黒の闇に包まれる……だから頼んだぞクロウ、遊里…未来を切り開く者よ……」


――ボロリ……シュゥゥゥン


ボマー……あぁ、約束するぜ!!
必ずダークシグナーは全部ぶっ倒して終わりにしてやるってな!!!

だからさ、もう少しだけ待っててくれよ……選ばれしシグナーが、ダークシグナーをブッ飛ばして戦いに終止符を打つその時をな……!!













 To Be Continued… 






登場カード補足



地縛神Chacu Challhua
レベル10    闇属性
魚族・効果
フィールド魔法カードが表側表示で存在しない場合、このカードの以下の効果は無効になる。
●このカードは相手に直接攻撃出来る。
●このカードはこのカードよりもレベルの低いモンスターとランク10以下のエクシーズモンスターの効果を受けない。
●このカードは魔法・罠カードの効果を受けない。
●相手はこのカードを攻撃対象に指定できない。
●1ターンに1度、このカードの守備力の半分のダメージを 相手ライフに与える事ができる。
ATK2900    DEF2400



ブラック・アサルト
通常罠
セット状態のこのカードが破壊された時、デッキか手札からレベル4以下の「BF」と名の付くモンスター1体を選択して特殊召喚する。



黒翼の絆
通常罠
自分フィールド上に表側表示で存在する「BF」と名の付くモンスター1体を選択して発動する。
このターン選択したモンスターの攻撃力は、選択したモンスター以外の「ブラックフェザー」と名の付くモンスターの
元々の攻撃力の合計値分アップする。



バリアフォース
通常罠
自分フィールド上に表側表示で存在する機械族モンスターは戦闘によっては破壊されず、自分への戦闘ダメージも0になる。



兵器再生工場
通常罠
自分フィールド上の機械族モンスターが戦闘で破壊された場合に発動できる。
自分フィールド上に「ウェポントークン」(星1、地、機械、攻守0)を可能な限り特殊召喚する。