Side:龍可
ディマクは倒した――けど、まさか負けたらその途端に灰になって消えちゃうんなんて――!!
ダークシグナーは死者が能力に目覚めた存在――デュエルに負ければ消え去る運命って事だけど、もし負けてたら私達があぁなってた…!
「それ以前にデュエルで命を懸けるなんて……そんなの絶対におかしいよ、間違ってる!!」
確かにトップデュエリストは、デュエルに命を懸けてるけど、其れは敗北が=死には直結しない――あくまでデュエリストの覚悟みたいなもの。
其れを超えての本当の命のやり取りなんて……絶対に間違ってる!!
「龍可もそう思うだろ?――だからさ、俺達で止めようよ。
こんなのはデュエルじゃない!!!デュエルってのは楽しむためのモノだから、命のやり取りなんて絶対に間違ってるもん!!
ダークシグナーは全部ぶっ倒して、デュエルの本当の魅力を世界中に教えてやろうぜ龍可!!」
そうだね……デュエルの本当の楽しさを分かって貰えないのは嫌だもん。
取り敢えずモーメントにエンシェント・フェアリーのカードをセットして――
――ゴウン……ゴウン…
動いた!!旧モーメントが正回転を始めた――ならこのモーメントはもう大丈夫……残るモーメントは後6個……そっちは宜しくね遊里――!
異聞・遊戯王5D's Turn48
『鉄砲玉が穿つ暗き闇』
Side:クロウ
はぁ、はぁ……とっさに廃棄された冷蔵庫に逃げ込んだおかげで死なずに済んだみてぇだが――俺にも分かるほどに闇が強くなってやがる!
此れだけの濃厚な闇の気配に当てられたら、一般人は其れだけでお釈迦になって新たなダークシグナーの手駒になっちまう…!!
其れだけは何としても避けなきゃならねぇが――だからと言って俺に何が出来るってんだ?
俺には遊里達のような『決闘龍』もなければ、ジャックみたいなカリスマ性がある訳でもねぇ……だけど其れだけで諦める手はないぜ!!!
「おい!居るなら出てきやがれクソやろう!!この鉄砲玉のクロウ様が直々に相手をしてやるぜ!!
其れとも何か?ビビっちまって縮み上がってんのかよ?……だとしたらトンでもないチキンだな?――正直言って興ざめだ!!」
「ほう、大きく出たな小僧……!!」
大きいのはアンタの方だろ?――確実に2m近くあるだろうが――アンタがダークシグナーだって言うのかよボマー!!!
「如何にも私はダークシグナーだ……だが、只のダークシグナーではない!!
私は故郷に残して来た小さな妹と弟を護る為に敢えてダークシグナーとなったのだ!!……全ては2人の為に――――!!」
姉弟を護る為にだと!?……如何言うこった……?
「レクス・ゴドウィン……奴を倒さねば、私の妹と弟にも何れ魔の手が伸び、嘗ての故郷の様に奪われるのは間違いない。
遊里との戦いで復讐は無意味と知ったし、妹と弟も彼女に任せれば或はとも思ったが――矢張り怨敵はこの手で討たねばならんのだ!!
例えそれが血塗られた外道の道であっても、怨敵を討って憂いを無くさねば、遊里に託したとて安心は出来ん!!!」
「んの、馬鹿野郎が!!!護る為にテメェが手を汚してどうする!!
まぁ、俺だってガキ共の為に決して良いとは言えない事してるからデカい事は言えねぇが、其れでも他人の命を奪うのは間違いだろ!!」
「因果は応報してこそ意味がある!
奴にこの手で天誅を下したその時に、初めて犠牲になった村の者達の魂が浮かばれる――其れがもう1つの目的だ!!」
あくまでもやめねぇってか……ならデュエルだボマー!
テメェのやろうとしてる事は絶対に間違ってる――だから此処でテメェをぶっ倒して其れを止める!!止めて見せるぜ!!!
「シグナーでもない者が私に挑むか?……其れも良いだろう。
だが、ダークシグナーとのデュエルに臨むと言う事は、即ち命を懸けると言う事だ――敗北は死を意味するデュエル…覚悟は良いのだな?」
――轟……
コイツは……遊里が戦った時にも現れてた炎の壁――もう逃がさねぇって事かよ?
「ヘッ、上等だ……地縛神でもダークシンクロでも来やがれってんだぜ!!」
「ほう?恐れはないか……」
「俺様を誰だと思ってやがる!!
『サテライトの鉄砲玉』『黒翼の使徒』ことクロウ・ホーガン様だぜ!?闇の力如きにビビるかよ!!」
行くぜボマー、目を覚ましてやるよ!!
っと、だがその前に、このデュエルではオートパイロットはオフにして貰うぜ?
地縛神の攻撃を躱すには、マニュアルモードで、テメェのライディングテクニックで攻撃を躱す以外に手はねぇからな。
「良いだろう……だが、闇のデュエルの衝撃はフィールをも上回る事を忘れるな!!」
「だが、遊里のフィール以上って事はねぇだろ?なら余裕だぜ!!
……御託は此処までだボマー、始めようぜ!!!フィールド魔法『スピードワールド』セットオン!!!」
『デュエルモードスタンバイ、マニュアルモード。』
――ヴン……
手加減は無しだ……此処からはカードが語るデュエリストの領域だぜ!!
「「ライディングデュエル、アクセラレーション!!!」」
……巨体の割には中々速いじゃねぇか?
だが、このクロウ様相手にファーストコーナーを取るのは至難の業って事を思い知りな!!――貰うぜ、ファーストコーナー!!!
「!!何という鋭いコーナーリング……遊里のコーナーリングも見事だったが、お前もまた引けは取らんか……」
「ったりめーだ!
確かに僅差とは言え負け越してるし、一度たりとも遊里に勝ち越した事はねぇからナンバー2のままだが、何時かは勝ち越してやる!
んで、そいつを成し遂げる為にも、テメェ等ダークシグナーの好きになんぞさせられねぇ!!」
テメェ等の好きにさせたら、ダチや仲間達と楽しくデュエルする事だって出来なくなっちまうからなぁ!!
「ならば私を止めてみろクロウ!」
「言われるまでもねぇ!!!」
「「デュエル!!!」」
クロウ:LP4000 SC0
ボマー:LP4000 SC0
俺のターン!
……この手札は――成程な、初手から手加減なしでぶちかませって事か!!
俺は『BF-蒼炎のシュラ』を攻撃表示で召喚!!
BF-蒼炎のシュラ:ATK1800
更に、俺のフィールドに『BF』が存在する時、手札の『黒槍のブラスト』と『残夜のクリス』は特殊召喚できるぜ!!
BF-黒槍のブラスト:ATK1700
BF-残夜のクリス:ATK1900
「行き成り3体のモンスターか……」
「黒翼の展開力を舐めるなよ?そして此れだけじゃねぇ!!
俺は、蒼炎のシュラ、残夜のクリス、黒槍のブラスト、3体のレベル4BFでオーバーレイ!オーバーレイネットワークを構築!!
黒き雷雲よ、白雷を轟かせ闇夜を穿て!エクシーズ召喚!!虚空を裂け、『BFT-轟雷のコンドル・スパーク』!!」
『オォォォォォ!!!』
BFT-轟雷のコンドル・スパーク:ATK2500
カードを1枚セットしてターンエンドだ。
「行き成りオーバーレイユニット3つのランク4エクシーズと来たか……そうでなくては面白くない!行くぞ!私のターン!!」
クロウ:SC0→1
ボマー:SC0→1
「私は手札よりスピードスペル『Sp-オーバー・ブースト』を発動。
エンドフェイズにに私のスピードカウンターを1にする代わりに、このターンのスピードカウンターを4つ増やす。」
ボマー:SC1→5
デメリット覚悟でのスピードカウンター増加か。
尤も、このデメリットも後攻1ターン目ならデメリットにはなり得ねぇ……スピードカウンターが1になっても其れはターン開始時に戻るだけだ。
だが、此処でスピードカウンターを増やして来たって事は、少なくとも必要なスピードカウンターが5個以下のスピードスペルの発動が狙い…
何をかまして来る心算だ?
「更にスピードスペル『Sp-ソニック・エクスプロージョン・ペンタ』を発動!
私のスピードカウンターが5個以上ある時に、ライフを1000ポイント払って発動!
デッキか手札から『サモン・リアクターAI』『トラップ・リアクターRR』『マジック・リアクターAID』をゲームから除外!
そして、デッキ、手札、墓地の何れかから『ジャイアント・ボマー・エアレイド』を特殊召喚する!!!」
『ゴォォォォォォォォォンン!!』
ジャイアント・ボマー・エアレイド:ATK3000
ボマー:LP4000→3000
んな!?行き成り攻撃力3000の爆撃巨大ロボとかマジか!?
「オーバーレイユニット3つのエクシーズは見事だったが、私の戦術はその上を行ったようだな?
やれ、ジャイアント・ボマー・エアレイド!コンドル・スパークを粉砕しろ!!!!」
「そうは行かないぜ!!
コンドル・スパークの効果発動!相手モンスターと戦闘を行う場合、このカードのオーバーレイユニットを1つ取り除いて発動できる!
このカードと戦闘を行う相手モンスターの攻撃力を800ポイントダウンさせるぜ!!」
「何だと!?」
ジャイアント・ボマー・エアレイド:ATK3000→2200
この効果は防げねぇだろ?返り討ちだぜ!!
「く……手札からスピードスペル『Sp-守護の障壁』を発動!
このカードはスピードカウンターが5個以上ある時に速攻発動できる…そして、其の効果はこのターン私のモンスターは戦闘破壊されん!」
戦闘耐性か……だけどダメージは受けて貰うぜ!!!
ボマー:LP3000→2700
更にトラップカード『撃滅の黒翼』を発動!
相手に戦闘ダメージを与えた時に発動できる!デッキからレベル4以下の『BF』1体を選択して特殊召喚する!!!!
俺がデッキから呼び出すのは、レベル3の『上弦のピナーカ』!!
BF-上弦のピナーカ:ATK1200
「此処までとは……ダークシグナーの使命をほったらかして、お前と全力で戦いたくなって来たぞクロウ!!」
「そいつは光栄だぜボマー…使命とか関係なしに楽しむのが本来のデュエルだろ?
だけど、其れだけに俺はお前等を見過ごせねぇ………闇の瘴気で世界を包み込むなんてマッドはお断りだ!!」
「……だが、もう止まれん……お前の力で私を退ける以外に手はないだろう…尤も最終的にダークシグナーが勝ったら意味は無いがな。
カードを1枚セットしてターンエンドだ。」
ボマー:SC5→1
ダークシグナーが勝つなんて事は絶対に無いぜ?
仮に俺が此処で負けたとしても、その穴の埋め合わせはしてくれるからな遊里は……お前達の勝ちなんざ、端っからなかったのさ!!
そしてお前も俺に勝つ事は出来ないぜボマー!!!
「俺はサテライトの仲間達の思いを背負ってるからな!!――んな巨大爆撃ロボにやられてられっかよ!!俺のターン!!」
クロウ:SC1→2
ボマー:SC1→2
俺は『BF-速攻のマグナム』を召喚!」
BF-速攻のマグナム:ATK1500
レベル4の速攻のマグナムに、レベル3の上弦のピナーカをチューニング!
黒き旋風よ、天空へ駆け上がる翼となれ!!シンクロ召喚、『BF-アーマード・ウィング』!!!
『ウオォォォッォォォォオォォォォ!!』
BF-アーマード・ウィング:ATK2500
さぁてと……俺のデッキが何処までダークシグナーに通じるか……まぁ、何が来ようとも返り討ちにしてやるぜ――!!!!
To Be Continued… 
登場カード補足
Sp-ソニック・エクスプロージョン・ペンタ
スピードスペル
自分のスピードカウンターが5以上ある時にライフを1000ポイント払って発動する。
デッキか手札から「サモン・リアクターAT」「トラップ・ツールRR」「マジック・リアクターAI」をゲームから除外する。
手札か墓地から「ジャイアント・ボマー・エアレイド」1体を選択して特殊召喚する。
この特殊召喚は「サモン・リアクターAI」の効果による特殊召喚として扱う。
守護の障壁
スピードスペル
自分のスピードカウンターが3個以上ある時に発動できる。
自分のスピードカウンターが5個以上ある時、このカードは速攻発動できる。
このターン自分フィールド上のモンスターは戦闘によっては破壊されない。
撃滅の黒翼
通常罠
相手に戦闘ダメージを与えた時に発動できる。
デッキからレベル4以下の「BF」と名の付くモンスター1体を選択し、そのモンスターを自分フィールド上に特殊召喚する。
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