Side:遊里


アイツとのデュエルで大ダメージを受けて数日…


「此れで良いのか遊里?」

「バッチリよアイン♪」

あの傷もすっかり治って、何時でもデュエルは出来る状態――だけどアタシの目の前にあるのはコンクリートブロックと瓦の山。
手を怪我しない様に、ちゃんとグローブをはめて…先ずは此れを……砕く!!

「覇あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…!!」

一撃必殺ーーーーー!!


――バガァァァァァァァァァァン!!バキィィィィ!!メッキャァァァァァァ!!!!



キッカリ10秒でコンクリートブロックと瓦を完全粉砕!!よし、此れならデュエルしても大丈夫ね♪


「いや、其れで良いのか遊里!!その全快確認方法は絶対に間違っているぞ!!
 何処の世界に、自分の身体が全快したからと言って瓦割やらブロック砕きをする奴が居る!?普通は軽い運動で確かめるモノだろう!」

「いや、それじゃ何となく面白くないし『全力全壊』で確かめろって言う神の電波を受信して……
 それに、軽い運動程度じゃ暫く大人しくしてた身体が満足できそうにないんだもん。」

「だったら改修の済んだDホイールの試験走行も兼ねて、適当に流してくればよかったのではないか!?
 と言うか、そんな邪神の毒電波などは受信しても従うな!寧ろ着信拒否に設定しておけ!!」


あ……言われてみれば確かにそうね――それじゃあ、改めてレーゲンとサテライトを適当に流してくるとしましょうか!行ってきま~~~す!!













異聞・遊戯王5D's Turn43
『蜘蛛使い。新たなダークシグナー』











てな訳で、私もスッカリ回復してダークシグナーとのデュエルに関しては先ず負ける気がしないわね。
そもそも、シグナーであるアタシ達には敗北は厳禁だからね。ダークシグナーが支配する仄暗い闇の世界の構築は絶対阻止しないと……!!

まぁ、アレから特に怪しい動きを見せてる訳じゃないのが逆に不気味と言えば不気味だわ。
てっきり畳みかけて来るモノだとばかり思ってたんだけど、ダークシグナー側にも都合があるのかしら?……新たな人材確保してないわよね?

新しいのが出て来ても倒すだけとは言え、あんまり数が増えると面倒な事この上ないのは事実だし。

「クロウ達が帰ってこない?」

「あぁ……弥生とクロウ、それに宇里亜嬢ちゃんが、この間出かけてから帰って来てねぇんだ。
 3人が何時も暮らしてる所に行ってみたんだが居なくてよぉ……普段なら兎も角、最近はダークシグナーがうろついてるらしいからな……」


そんな時にクロウ達が戻って来てないってのは気になるわ。
クロウと弥生は殺しても死なないような奴だから大丈夫だとは思うけど、未だ子供の宇里亜は流石に心配ね……何もないと良いんだけど。


「後で手分けして探した方が良かろうな――万が一と言う事が無いとは言いきれんからな今は。」

「何かあってからじゃ遅すぎるし、そんなのは不満足だぜ。
 時に遊里、クロウと弥生は良いのか?幾ら何でも、ダークシグナーとやりあったら只じゃすまないぜ多分。」

「その2人は絶対平気よ、特にクロウはね。
 ハッキリ言ってクロウのしぶとさはアタシ以上よ?つまりG以上よ!?ぶっちゃけ言うならクマムシ並のしぶとさなのよクロウって?
 極論を言えば、例え核で世界が滅びようとも、クロウは絶対に生き残るって言いきれるわ……サテライトの中でも特にしぶといんだから。」

だからクロウに関しては無問題。
取り敢えずは宇里亜の捜索を優先すべきね。


「そうだな、私も手伝おう。」

「私も行くよ遊里!」

「俺も!!」


龍可と龍亞は此処に残っててくれるかなぁ?
アインは空飛んだりとか不思議な力があるからアレだけど、2人にはもしも宇里亜が戻って来た時の為に此処で待機しててほしいのよ。
宇里亜が戻ってきたら、直ぐに連絡を入れてほいしんだ――大事な大事な連絡役をお願いしたいんだけど、ダメかなぁ?


「う……そう言う事なら、仕方ないか……」

「確かに、皆に色んな事を伝える役割は必要だものね……分かった、気を付けてね遊里。」


えぇ、大丈夫よ。直ぐに見つけて――


――キィィィィィィン……!!



「「「!!!」」」


痣が反応してる!しかもこの極端に強い反応の仕方は………まさか!!!


「フッフッフッフッフッ……雁首を揃えて集まっていたかシグナー共――さぁ、デュエルの時間だ。」

「ダークシグナー……!!」

狙ったようなタイミングで現れてくれるわね!宇里亜を探しに行かないといけないのに……だけど無視する事も出来ないわ――!


「我が名はルドガー……シグナーとダークシグナーのデュエルは逃げる事は出来ん……さぁ、私と戦え上条遊里!」

「態々御指名とは、アタシも随分と人気者ね?尤も貴方達に好かれてもあんまり嬉しくはないけど。
 だけど、アタシとのデュエルが望みだって言うなら受けてあげるわダークシグナー!全快記念に叩きのめしてやる!!」

そう言う訳だから、コイツとのデュエルはアタシが受ける。皆は宇里亜の捜索をお願い!
其れからマーサ、牛尾、子供達を外に出さないで!!


「あぁ、任せときな……!負けんなよ、遊里!」

「子供達の方も任せとけ!」

「うん、お願い。」

「……俺はお前と一緒に行こう。
 普通の相手ならば兎も角、ダークシグナーが相手となったら何があるか分からん……伏兵が居るかもしれんからな。」


ジャック……言われてみればそうね。
じゃあ、ジャックはアタシと一緒に来てくれる?絶対王者が付いて来てくれるなら、頼もしい事この上ないし。


「任せておけ!」



「話はまとまったか?……ならば付いて来い、もっと広い場所でデュエルをせんとなぁ……」


何処でも好きにどうぞ?だけど貴方の終焉の場所になるかもしれないんだから、デュエル場所は良く考えて選ぶ事をお勧めするわ。


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選んだ場所は此処……割と開けた、サテライトの中心街と言うか元はビル街だった場所――今は見る影もないけどね。
まぁ、此処なら広さは充分にあるし、デュエルをするには充分だわ。


「フッフッフッ……さぁ、始めようか上条遊里!」

「そうね……始めましょうかルドガー!!」


「「デュエル!!」」


遊里:LP4000
ルドガー:LP4000



先攻は貰うわ!アタシのターン!!
……さて、如何行こうかな?行き成りシンクロしても良いけど、ルドガーは実力未知数――先ずは様子を見るのが上策ね。

「アタシは手札を1枚捨て、『THE トリッキー』を特殊召喚!」
THE トリッキー:DEF1200


カードを1枚セットしてターンエンド。


「私のターン…!
 相手フィールド上にのみモンスターが存在する場合、手札の『DT-スパイダー・コクーン』を特殊召喚できる!」
DT-スパイダー・コクーン:DEF0


「そして、『ダーク・スパイダー』を通常召喚!!」
ダーク・スパイダー:DEF0


この布陣は……ダークシンクロ!!やっぱり行き成り来るわよね…狙いはレベル-4のダークシンクロ?


「ダーク・スパイダーの効果発動!1ターンに1度、ターン終了時まで私の昆虫族モンスター1体のレベルを2つ上げる事が出来る。
 この効果をスパイダー・コクーンに適応し、スパイダー・コクーンのレベルは5から7となる!!」
スパイダー・コクーン:Lv5→7


狙いはレベル-6!!通常のシンクロだったら、レベル8になる組み合わせ……一体どんなモンスターが来るって言うのよ……!!


「レベル1のダーク・スパイダーに、レベル7となったスパイダー・コクーンをダークチューニング!
 闇と闇重なりしとき、冥府の扉は開かれる。光無き世界へ!ダークシンクロ!出でよ『地底のアラクネー』!!!」

『ギショアァァァァァァ!!!』
地底のアラクネー:ATK2400



うげ……蜘蛛人間って悪趣味ねぇ?確かにダークサイドのモンスターって感じだけど、この外見は生理的に受け付けないわ――特に女性は!
見た目からして凄く嫌な予感がするわね……


「地底のアラクネーの効果発動!1ターンに1度、相手モンスターをこのカードに装備できる!
 邪悪なる蜘蛛の糸からは逃れられんぞ?THE トリッキーを吸収しろ、『トワイナー・スレッド』!!!」


――ギュルリ…!!


トリッキーが!!……此れでアタシのフィールドはがら空き…!!
だけど、ダイレクトアタックをしてくれるなら逆に好都合だわ。アラクネーの攻撃力は2400……冥府の使者が駆けつけるには充分だもの。


「おぉっと、此れを忘れていた……フィールド魔法『スパイダー・ネット』
 このカードが存在する限り、昆虫族モンスターが攻撃した場合、ダメージ計算終了まで相手はモンスター効果を発動出来ん!!」

「ハァ?マジで!?」

「何か狙っていたようだが残念だったなぁ?更にアラクネー自身が攻撃時に相手の魔法と罠を封じる効果がある…貴様は丸腰同然だ!
 やれ、地底のアラクネー!遊里にダイレクトアタックだ、『ダークネット』!!」


――ズシャァァァァ!!!


「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
遊里:LP4000→1600


「遊里!!」


つぅぅ……大丈夫よジャック。
だけど、コイツの闇の力は亜美のモノよりも強い……ダークシグナーの中でも上位のデュエリストって事か……


「ふはははは!!良い様だなぁ…カードを1枚セットしてターンエンド!!」

「今のは結構効いたわルドガー……せめてたっぷりとお礼をしないと済まない位にはね!アタシのターン!
 アタシは『幻想の闇魔導師』を召喚!そして、其の効果で手札の『ライティ・ドライバー』を特殊召喚!!」
幻想の闇魔導師:ATK1500
ライティ・ドライバー:DEF300


更にライティ・ドライバーの効果で、トリッキーを特殊召喚する際に墓地に捨てた『レフティ・ドライバー』を特殊召喚!
そして、レフティ・ドライバーは墓地から特殊召喚された時、レベルが3となる!!


レフティ・ドライバー:DEF100  Lv2→3


「ほう……レベル8のシンクロか…」

「今度はこっちの番!レベル3となったレフティ・ドライバーとレベル4の幻想の闇魔導師に、レベル1のライティ・ドライバーをチューニング!
 集いし2つの魂が、カオスの力を呼び覚ます。光射す道となれ!シンクロ召喚、現れろ『レジェンダリー カオス・ソルジャー』!!」

『フオォォォォ……テアァァァ!!!』
レジェンダリー カオス・ソルジャー:ATK3000


バトル!レジェンダリー カオス・ソルジャーで、地底のアラクネーに攻撃!一刀両断、『混沌掃滅斬』!!!


――ズバァァァ!!!


ルドガー:LP4000→3400

「良い攻撃だ……だが残念だったな?地底のアラクネーは破壊される時、自身が装備したモンスターを身代わりに出来る。
 装備したTHE トリッキーを盾にしアラクネーは無傷……そして次の私のターンにカオス・ソルジャーが吸収され、貴様に再び攻撃が通る!
 フッフッフ……精々踊るが良い、死のダンスをな!」

「……生憎と、ダンスは苦手だわ。だから其れは拒否させてもらいましょうか!
 カオス・ソルジャーは、バトルフェイズ中に2回の攻撃が出来る伝説の剣闘士!2回目の攻撃を盾で防ぐ事は出来ないでしょう?」

「成程…奴の効果は厄介だが、其れはあくまでも盾があればこそだ。
 盾がなければ耐える事は出来んし、倒してしまえばさして脅威でもない……見事な戦術だ遊里!」


序に言っとくと、カオス・ソルジャーがバトルで破壊したモンスターはゲームから除外される。蘇生だってさせないわよ!
2度目の攻撃!!その蜘蛛人間を切り裂いて!!『混沌掃滅斬』!!


『ハァァァァアァァァ!!!』


――バガァァァァァン!!!



「ぬおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
ルドガー:LP3400→2800


貴方の闇の力も結構強かったけど、アタシのフィールも中々でしょ?


「うむ……実に効いたぞ遊里……だが、この攻撃には礼を言わねばなるまい!
 言い忘れていたが、お前の最初の攻撃の時に、既にこのカードを発動していた!!永続トラップ『縛られし神への闘争』!!
 相手が攻撃を行う度に、このカードに『地縛神カウンター』を1つ置き、カウンターが4つ溜まった時にデッキから地縛神が目を覚ます!
 お前がこのターン行った攻撃は2回!よって地縛神カウンターは2つ乗る!!」
縛られし神への闘争:地縛神カウンター0→2


!!!そんなカードを…!!しかも既にカウンターが2つも……!!
つまり、アタシはあと2回の攻撃でルドガーのライフをゼロにしないと地縛神が目を覚ます……そんな事になったらまた多くの人達が……!!

「く……ターンエンド!」

何とかして、カウンターが溜まりきる前にルドガーを倒さないと……!!













 To Be Continued… 






登場カード補足




DT-スパイダー・コクーン
レベル5    闇属性
昆虫族・ダークチューナー
このカードをシンクロ素材とする場合、ダークシンクロモンスターの シンクロ召喚にしか使用できない。
相手フィールド上にモンスターが存在し、自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、 このカードは手札から特殊召喚する事ができる。
ATK0    DEF0



スパイダー・ネット
フィールド魔法
このカードが表側表示で存在する限り、昆虫族モンスターが攻撃宣言をした時、相手はダメージ計算終了までモンスター効果を発動出来ない。



縛られし神への闘争
永続罠
相手がモンスターで攻撃する度に、このカードに「地縛神カウンター」を1つ乗せる。
「地縛神カウンター」が4つ乗ったこのカードを墓地に送る事で、デッキから「地縛神」と名の付くモンスター1体を特殊召喚する。