Side:ブランシュ
サテライト行きの大型連絡船に入り込んで、サテライトに来たはいいが……シグナーにしろダークシグナーにしろ一体どんな容姿なんだ?
アイツ等を狩りつくすって言っても、よくよく考えたら俺はアイツ等の顔すら知らないんだよな…?……意外とアホだな俺も。
ち……痣が疼くって事は、奴等は間違いなく此処に居る筈なんだけどな……ディヴァインを殺す前に情報を引き出しとくんだった。
てか、確認しなかったけどあの前髪野郎しぶとく生きてたりしないだろうな?……まぁ、生きてたら生きてたでまた止め刺すだけだけど……
「其れよりも先ずはシグナー……よりもダークシグナーか。
サテライトってのはシティよりも広い情報網が有るって事だから、手当たり次第に聞き込みすればどこかで『アタリ』を引くかもしれないか……」
まぁ、俺の予想が正しければ『あの人』がダークシグナーになっちまってる可能性は可成り高いかも知れないけど、それは俺のせいでもあるからな…
何にしても先ずは情報収集が先決ね……何も分からずに突撃するのは身の程知らずの猪武者のする事だからね。
とは言え、シグナーとかダークシグナーって言っても早々分かる筈はないか……仕方ない、この忌々しい痣を曝して聞いてみるほかないらしいな。
異聞・遊戯王5D's Turn39
『その者、敵か味方かそれとも…』
でもって、サテライトで聞き込みを続ける事約90分……予想はしてたけど、矢張りそれ程有効な情報はないな。
尤も、『黒いローブを纏った集団』がサテライトで何やら活動してるらしいって言うのは如何にも少しばかり『臭い』情報だがな……
多分その黒ローブの一団はダークシグナーって事で間違いないだろうな。
だが、だとしたら一体何の訓練をしているって言うんだ……?……皆目見当もつかないな俺は……
まぁ、何がどうあれ、俺は1匹残らずにアイツ等を消し去れれば其れで良し、最悪の場合はサイコパワーを使って潰してやるのも悪くないよね。
とは言え、シグナーでもダークシグナーでも無い連中を巻き込むのは流石に気が引ける……ん?
「やっぱり遊里には勝てないよなぁ……!
今日だって俺の戦術を全部受けきったうえで勝っちゃうし……遊里のレベルにまで達するのは容易じゃないよなぁ……」
誰だあの緑髪のガキンチョは?明確なモノじゃないけど僅かに痣が反応している……若しかしてシグナーの関係者なのか?
だとしたら好都合だな?
「おい、其処の緑髪。」
「え?俺?」
他に誰が?お前に少し聞きたい事が有る。
「なんだよ……」
?……不満そうな顔だな?……あぁ、そう言う事か……まぁ、そう思うだろうね…
「若しかしてと思うが、俺の方が年下だと思ったか?」
「え、違うの!?」
「……お前何歳だ?」
「えっと……11歳。」
「俺は14だ。」
「え?」
「もっと言うなら、俺は『女』だからな?」
「えぇ~~~~~~~~~~~!?……なんか、色々ゴメン。」
チビ男に間違われるのにも慣れてるけどね……こんな見た目と喋り方じゃ仕方ないし。
取り敢えず其れは今は良いとして本題だが――お前『ダークシグナー』って言う奴等の事を何か知らないか?
「ダークシグナー……!!」
「その様子だと知っているみたいだな?
……奴等が今どこで何をしてるかは知らないか?或は奴等の本拠地とか………」
「……知って如何するの?」
決まってるだろ?纏めて叩き潰す……まぁ、俺の知り合いがダークシグナーになってるかも知れないから其れを確認てのも有るけどな。
だが、ダークシグナーを叩き潰したら――その次はシグナーを叩き潰す予定だけどね?
「ダークシグナーだけじゃなくてシグナーまで!?……お前一体何者なんだ!?」
「……俺もまたシグナーだ……この忌々しい印によって人生を狂わされたサイコデュエリスト――ブランシュ・ノーチラスだよ!」
シグナーは全員俺の手で狩ってやる。
だが、シグナーと敵対してるダークシグナーに狩られるのは面白くないからね……だから先ずはダークシグナーを全部ぶちのめす。
そしてその後にシグナーを叩きのめしてやる!!!
「……!!そ、そんな事させるか!!お前なんかに、龍可や遊里はやらせない!!!」
「威勢がいいな……ならどうする?」
「そんなの決まってる……お前を倒してそんな事は止めさせる!!!」
――轟!!
へぇ?……只のガキかと思ったら、此れは中々良いデュエリストみたいだな?
風に舞った小さな紙屑だけど、其れがたった1個とはいえコイツの『デュエリストの闘気』に当てられて、間違いなく弾けた……此れは予想外ね。
「……只のデュエル好きの子供かと思ったが、中々に良いデュエルオーラを持ってるなお前。
粋がってるだけのガキなら適当にあしらってやる心算だったが……気が変わった、本気で相手をするよ――お前、名前は?」
「……龍亞。」
龍亞か……悪くない名前だね。
ならば龍亞、お前のデュエリストの力で俺を止めてみろ――もしもお前が俺に勝つ事が出来たら、シグナーを襲うのは止めると誓うよ。
いや、寧ろシグナーに力を貸してやっても良い……あくまでお前が勝てた場合だけれどね。
「本当だな!?……遊里とのデュエルで磨いた俺の強さ……見せてやる!!」
「良いね、その闘気……アルカディアムーブメントではなかなか味わえなかったものだ。
始めようか龍亞……お前の力、見せて貰うぞ!!」
「絶対に勝ってやる!!」
「「デュエル!!!」」
ブランシュ:LP4000
龍亞:LP4000
さて、シグナーと関係のある龍亞の実力は、どれ程の物だろうな。
――――――
Side:遊里
――カチャ、ギュ……ヴィィィィィィン……カチャカチャ……
よし、機体の修復は略OKね、気分は如何かなレーゲン?
『エンジン、ソリッドビジョン投影システム全てオールグリーンです。』
なら良かった♪改修序でに搭載したAIも中々良い仕事してくれてるわね?自分の愛機と話が出来るなんてより愛着が湧くじゃない~~~♪
あぁ、もう無理させてゴメンね?……今度は大丈夫だから!
『はい、破損部分は全て直りました……ですが矢張りジャンクパーツから造った本体は強度に可成りの難があります。
この状態でダークシグナーに挑んだら、また同じ結果になるのではないかと危惧するのですが……』
あ~~~……やっぱりジャンクパーツで組み上げた機体だと強度に難ありか。
幾らシティから持ち込まれたジャンク品の中から『良品』を選んだって言っても、此ればかりは仕方ないわね。
「ねぇジャック、絶対王者の権限でもってDホイールの機体に使えそうな部品を調達する事って出来ない?」
「出来るかどうかと言われれば可能だが――人工知能を作れるくせに、強度を増した部品を造る事は出来んのかお前は?」
やろうと思えば出来るだろうけど、その為の機材やら何やらがないと流石に無理よ?
レーゲンのAIだってジャンクパーツから組み上げたに過ぎないからね――の割には随分と高性能のAIが出来上がっちゃった訳なんだけど。
「機材があれば出来るのか?……デュエルの腕も然る事ながら、お前は頭脳と技術力も相当に……
だがデュエルでは勝っていたと言うのに機体強度のせいで負けたとなっては泣くに泣けんのは確かだな?
ふむ……では、俺のホイール・オブ・フォーチュンの部品を製造した工場からカタログを取り寄せるとしよう、其処からお前が選べばよかろう。
代金は……必要経費としてゴドウィンに落とさせるから遠慮せずに必要なモノを購入するが良い!」
ホントに!?やだもうジャックったら素敵すぎ♪
アタシ等は命懸けでダークシグナーと戦うんだから、Dホイールのパーツ位は長官殿に必要経費で落として貰わないと割が合わないわよ。
アレ?そう言えば龍亞は?朝から姿が見えないけど……
「龍亞なら『少しダークシグナーの情報集めて来る』と言って、出かけて行ったぞ?
早々ダークシグナーに関しての情報が得られるとは思わないが、シグナーでないあの子も何かしようと思っての事だと思うが…
まぁ、あの子は強いし、いざデュエルする事になってもそう簡単に負ける事はないだろう?」
「アイン……確かにそうだけど、一言欲しかったわね……この分だと龍可にも言ってないわね絶対。
確かに龍亞は粗削りだけど強いし、サテライトのデュエリストにだって引けは取らないだろうけど――相手がダークシグナーなら話は別よ。」
龍亞は引き際を知ってるから、ダークシグナーに無謀に挑む事はないと思うけど、ダークシグナーが見逃すとも言い切れないでしょ?
あ~~~もう、一言言ってくれれば牛尾や弥生を付き添いとして付けたのに~~~~!!
「子供とは言え、其処は男の子の小さなプライドじゃないかな?
自分はシグナーじゃないけど遊里や龍可の為に何かしたい――出来れば自分1人で……可愛い事じゃないか。
其れに心配なら、なんなら私が龍亞を探してこようか?力が大分落ちたとは言え、広域での力の行使は私の十八番だからな?」
そういやそんな事言ってたね。
アタシからしたら、どうやって都市レベルの超広範囲を把握してるのかと聞きたいんだけど、多分聞いても分からんだろうね……異世界の力だし。
まぁ、でも其れなら頼んでも良いかな?
アタシとしても龍亞の事は気になるけど、『救い難い弩阿呆』とか他のダークシグナーとのデュエルに備えてレーゲンの改修を優先したいから。
「任せておけ……時に龍亞がダークシグナーや、其れに準じるやばそうなのとデュエルをしていたら介入しても良いんだろう?」
「良いよ?ただし龍亞が介入を拒んだ場合はダメだけどね。
そうじゃなかったら、アインの極悪外道な『混沌開闢カオスロード』で完膚なきまでに叩きのめしても一向に構わないわ。寧ろやっちゃってOK。」
「Jawohl.(了解した。)其れじゃあ行ってくるよ。」
お願いね~~……って、オイオイ空飛んでったよあの人は!?…なんだかなぁ……
「遊里、彼女は一体何者なのだ?」
「ごめんジャック、ぶっちゃけアタシにも良く分からないです…」
まぁ、アインが行ってくれれば大丈夫だとは思うけどね……さて、其れじゃあ本体以外の整備と強化を続けますか。
――――――
Side:龍亞
「先攻は俺から!!ドロー!!」
ブランシュ……シグナーとダークシグナーを倒して何をするのか知らないけど、少なくともシグナーに…遊里達に手出しはさせないぜ!
俺はシグナーじゃないけど、だけど遊里達の仲間なんだ……皆に害を与えるって言うなら、俺が今此処で倒してやる!!
「俺は『D・スマホン』を攻撃表示で召喚!!」
D・スマホン:ATK1500
スマホンは攻撃表示の効果発動!
1ターンに1度デッキからカードを1枚ドローし、其れがレベル4以下の『D』と名の付くモンスターだった場合特殊召喚できる!
……俺が引いたのはレベル4の『D・ビデオン』!スマホンの効果成功で特殊召喚するぜ!!
D・ビデオン:DEF1000
「只の運任せ……じゃないな?――お前はスマホンの効果でレベル4以下の『D』を引くと深層心理で確信していた。」
「深層心理って何?……良く分からないけど、此れで俺のフィールドには2体のレベル4モンスターが揃った!
俺はスマホンとビデオン、2体のレベル4モンスターでオーバーレイ!
希望の未来を護る為、力と思いが超合体!エクシーズ召喚、出撃だ『SD・マグナムボーグ』!!」
『グオォォォォン!!』
SD・マグナムボーグ:ATK2300
先攻ターンは攻撃できないから、カードを2枚セットしてターンエンド。
「行き成りランク4のエクシーズと来たか……ならば応える!俺のターン!!
手札から魔法カード『エンジェル・バトン』を発動。デッキからカードを2枚ドローし、その後手札を1枚捨てる。
…俺は2枚ドローし、手札の『カニカブト』を墓地に送る……そして『エビカブト』を召喚!!」
エビカブト:DEF1000
「エビカブトの召喚に成功した時、墓地の『カニカブト』を特殊召喚できる。」
カニカブト:DEF900
チューナーとレベル3のモンスター…狙いはランク3のエクシーズかレベル6のシンクロだけど…
「更に魔法カード『フラットレベル・Max8』を発動。このカードで、このターン俺のモンスターは全てレベルが8となる!!」
エビカブト:Lv3→8
カニカブト:Lv3→8
違う…狙いは1ターン目からランク8のエクシーズ!!
「俺はレベル8となったエビカブトとカニカブトの2体をオーバーレイ!
エクシーズ召喚!古代より蘇りし強者、その剛腕で天地を震わせよ!『古代甲殻獣メガトン・ユリテス』!」
『グオォォォォォォォ……!!!』
古代甲殻獣メガトン・ユリテス:ATK2600
な、何だよこの迫力……!!ランク8のエクシーズって言っても此れは迫力があり過ぎだよね!?
……若しかしてブランシュは、俺の想像以上のデュエリスト――其れこそ遊里に匹敵するくらいのデュエリストなのか!?
――だけど、そうだとしても俺は負けない……龍可と遊里の為にも、シグナーの為にもこのデュエルは絶対に勝ってみせる!!!
To Be Continued… 
登場カード補足
フラットレベル・Max8
通常魔法
エンドフェイズまで、自分フィールド上に表側表示で存在するレベル5以下のモンスターのレベルは8になる。
|