Side:クロウ
なんだよアレは…!!
デケェなんてもんじゃねぇ……まるで高層ビルじゃねぇか!!アレがモンスターだってのかよ!?
話しでしか聞いた事がねぇが、あの武藤遊戯の僕だって言う『三幻神』だって此処まででデカくはねぇだろうよ……コイツは一体…
つか、こんなのを相手にして遊里は大丈夫なのか!?
幾らソリッドヴィジョンの一撃って言っても、こんだけデカい相手の攻撃じゃ、発生するフィールだってハンパねぇ筈だ…!!
何よりこのデカブツからは言いようのねぇ不快感をと言うか、本能的な忌避感を覚えるぜ…そんだけの存在だって事かコイツは――!!
遊里が負けるとは思わねぇが、だからと言って今回ばっかりは無事で済むとも思えねぇ……ちぃ、行くしかねぇか!!
『ウオォォォォォォォォォォォォン!!!!』
「煩っせぇぇぇ!!デカい図体で迷惑な雄叫び上げてんじゃねぇ、この木偶の坊!!騒音公害も大概にしやがれってんだ!!」
こんだけ距離が離れてんのにこの煩さって、近くに居る遊里は目が回るほど煩いんじゃねぇか?
ったく、何がしたいか知らねぇが、はた迷惑なモンを呼び出してくれたもんだぜ!!
異聞・遊戯王5D's Turn37
『戦慄!地縛神 Ccapac Apu!』
遊里:LP200 SC4
輝天龍 シルバー・ウィンド:ATK2800(ギルファー・デーモン効果)
プリンセス・ヴァルキリア:ATK2800(ギルファー・デーモン効果)
漆黒魔族ギルファー・デーモン:ATK2500(自身の効果)
亜美:LP2100 SC5
地縛神 Ccapac Apu:ATK3000
Side:遊里
地縛神 Ccapac Apu……この局面で攻撃力3000のモンスターを呼び出してくるとはね……しかも人々の魂を生贄にしてなんて…!!
気分は最悪よ亜美……如何してくれるのよ?
「知るか……だが安心しろよ、Ccapac Apuが喰った魂はコイツを倒せば解放されるらしいわよ?……尤もそんな事は絶対に不可能だと思うけれどね~~!」
「高々攻撃力3000を従えただけで随分と強気になるわね亜美?
確かにCcapac Apuは攻撃力3000を備えた強力モンスターかもしれないけど、ギルファー・デーモンの効果を忘れた訳じゃないわよね?
ギルファー・デーモンが存在する限り、相手モンスターの攻撃力は500ポイントダウンするわ!」
「ククク……そんな効果が通じると思ってるの?この地に縛られし邪神に、レベル6程度の魔族の効果など通用しないわ!!!」
――バリィィン!!
な、ギルファー・デーモンの呪縛が弾き返されたですって!?
「地縛神 Ccapac Apuは自分よりも低いレベルのモンスターの効果を受け付けない。
レベル10のCcapac Apuに、レベル6のギルファー・デーモンの効果なんて塵芥にも劣るゴミ効果なのよ!アハハハハハハハ、実に愉快だわ!!!」
有り得ないでしょそれは流石に…其れって大概のモンスター効果は効かないって事じゃない!
レベル10以上のモンスターなんて数えるほどしか居ないんじゃなかったけか……その上でこの効果は、幾ら何でも反則に過ぎると思うわよ!?
「くくく…この邪神の効果は其れだけじゃないわよ遊里!!
その身に地縛神の恐怖を抱いて敗北すると良いわ!!やりなさい、地縛神 Ccapac Apu!!!」
『ウガァァァァァァァァァ!!!!』
そうはさせるモンですか!
シルバー・ウィンドの効果をシルバー・ウィンド自身に適応し、攻撃力を500ポイントアップして破壊耐性を付与する!!
輝天龍 シルバー・ウィンド:ATK2800→3300
此れで攻撃力はシルバー・ウィンドの方が高くなった!
シルバー・ウィンド、Ccapac Apuを返り討ちにして!!響け『シューティング・ストリーム』!!!
『再び地に帰るが良い!!』
――スギュゴォォォォォォ!!……スカッ
「え!?」
『馬鹿な!!攻撃がすり抜けただと!?』
シューティング・ストリームがCcapac Apuをすり抜けた?しかも迎撃された筈のCcapac Apuは全くの無傷って如何言う事よ!?
く…兎に角モンスターでの迎撃が出来ないなら、モンスター以外のカードで対処するしかない……此れなら如何よ!!
トラップカード『ダビデスター・バインド』!!
此れで、Ccapac Apuを守備表示にし、効果を無効にするわ!!
「此れはまた厄介なカードを…だけど其れすら無駄なのよ!!」
――バリィィィン!!
そんな……六芒星の拘束陣すら受け付けないなんて……く…拙い……此れじゃあ攻撃を躱せない!!!
――ビシィィ!!!!
「!!!!」
拙い……レーゲンが限界……!!
――ピキッ!ビシ……バキバキ…!!バリィィィィィィィィィィィィィィン!!!
「へ!?あ……く……きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
――ドズシャァァァァァァァァァァァァァァ!……ドスッ……
ぐ……此れは……攻撃成立前にマシンクラッシュでノーコンテスト……?だけど、攻撃が成立してたらアタシは……!
そ、其れよりも流石に……地面に叩き付けられると…堪えるわね……此れは立ち上がるのもちょっとキツイ――
――ズキィィィ!!
!!!が……な、なに!?お腹が……焼けるように…………うわ……うそ…レーゲンの破片が刺さってるじゃないのよ…あ…ヤバイ意識が…
「ふぅん……おんぼろDホイールのおかげで命拾いしたって所ね?」
ソウデスネー……取り敢えずアンタの優勢勝ちだから…今直ぐ居なくなってほしいんだけど…
正直言って……痛みで、反応返すのもキツイ……これ、結構ヤバくない……?てかヤバイ……血が足りないかも……
「しかも破片がグッサリか……くくく…良い様ね遊里!!
マシンはクラッシュして、お前も重傷……傷の痛みと地縛神の恐怖に精々怯えていなさい……まぁ、生きていればの話だけどね!!!」
――ドカァァァァ!!!
「あぐ……がふ…ゲホ………はぁ…はぁ……の…ドS……」
更に……蹴り込むかね……普通……あ~~~……もう無理……意識手放しても良いわよ……ね?
取り敢えず……コイツは……次にデュエルした時には……全力のフィールで……オーバーキルしてやるわ………!
――――――
Side:ジャック
あのバカデカいモンスターの攻撃と同時に、地上絵のような物も消えたが……まさか遊里が負けたとでも言うのか!?
全てのソリッドヴィジョンが消えたと言う事はデュエルが終了したと言う事だが……オイ、今直ぐあの場所にヘリを下ろせ!!!
「え!?で、ですが!!」
「良いから言う通りにしろ!!」
「は、はいぃぃ!!!!」
クソ……如何にも嫌な予感が拭えん。
あのデカブツから感じた邪悪その物の気配と言い、ダークシグナーにはダークシンクロやダークエクシーズ以上の脅威があるような気がしてならん。
「遊里!!」
「オイ、遊里!!!」
む……何だ貴様は?遊里の知り合いか?
「あん?誰かと思えばシティの絶対王者様じゃねぇか?……サテライトに何の用だ?」
「遊里の知り合いのようだが……聞いていないのか?……と、今はそれどころではあるまい!オイ、遊里!!確りしろ!!!!」
「……………」
此れは……腹にDホイールの破片が!!
しかも可成りの出血ではないか…!!オイ、直ぐに遊里をヘリに運び込め、そして全速力で病院に搬送しろ!!!
「待てよ、シティの病院に連れて行くより、此処からならマーサハウスの方が近い。
あそこなら手術が出来る医者も居るし、シティまで行くよりも早いぜ!!」
「確かに、マーサの所なら安心できるな…おし、そっちに運び込むぞ!Dホイールの積み込みも忘れるなよ!!」
むぅ……サテライトで暮らしている奴等がそう言うのならばマーサハウスとやらは其れなりの場所なのだろうな……まぁ近いならば其方にした方が良い。
兎に角先ずは遊里の事が先決だ、そのマーサハウスとやらに急ぐぞ!!
――――――
Side:クロウ
まさかシティの絶対王者が来てるとはな……遊里から話は聞いてたが驚いたぜ。
まぁ、おかげで遊里を速攻でマーサハウスまで連れてこれたんだけどな。
「マーサ!!マーサ!!!!」
――ドンドンドン!!!
「!!…クロウか…如何したんだこんな時間に?」
アイン!!…マーサは居ないのか?……って、居ないなら居ないでも良いけどよ、遊里が大怪我してるんだ、先生は居るかよ!?
「遊里が!?……直ぐに呼んでくる、遊里は医務室の方に!!」
「分かった!!」
マーサは多分居るんだろうが手が離せなかったてところだろうな……まぁ、遊里の事を知ったら飛び出してくるだろうけど。
兎に角、遊里を中に運ぼうぜ!!
頼む……助かってくれよ遊里…!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
――ガチャ
「「「先生遊里は!?」」」
「遊里は大丈夫なのか?」
先生が出て来たって事は手術が終わったて事だが、遊里は大丈夫なのかよ!?
「大丈夫、可成り深く刺さっていたが幸いにも内蔵に損傷はなかったから命の危険はないよ。
ただ、縫合の痕は残るし、輸血の血液が足りなかったから目を覚ましても少しの間は思うように動けないかもしれないけれどね。」
「「「「「「「「「はぁ~~~~~~」」」」」」」」」
命に別状がないってんなら安心したぜ……でも傷跡は残っちまうのか…そいつは結構きついよな…
「……状況から見て、恐らくは遊里のDホイールがクラッシュしてデュエルはノーコンテストと言うところだろうが…遊里が此処までやられるとはな…
ダークシグナー……如何やら俺達が思っている以上にトンでもない相手なのかもしれんな…」
……そうなんだろうな…俺は良く分からねぇけど……だけどダークシグナーが碌でもない奴だってのは分かったぜ。
遊里のあの傷は、Dホイールの破片が刺さっただけじゃねぇ、間違いなく人為的に押し込まれてたぜ……ダークシグナーがやったに違いねぇ…外道が!!
「マッタク無茶をするもんさ……女の子が身体に傷痕ついてるなんてあんまりだよ……一体遊里は何と戦ってるって言うんだい?」
「……言うなれば闇の使者だな……遊里を含め、俺達シグナーはそいつ等と戦う為に存在しているらしいからな…」
遊里……お前、若しかして俺が考えてる以上にトンでもない事態に片足突っ込んでるって言うのか…?
――――――
Side:遊里
………見覚えのある天井だ……此処はマーサハウスよね?
地縛神の攻撃を喰らう直前でレーゲンが大破して……其れでその破片がアタシのお腹に……うん、思い出しても痛すぎるわ。
「遊里…目が覚めたのか!?」
「アイン……うん、ゴメンね心配かけて…」
「全くだ…だが、私よりもマーサやクロウ、其れと絶対王者に礼を言っておけ……お前が運び込まれてから、殆ど寝ないでお前の事を看ていたんだからな。」
うん、そうするわ。
……相変わらず不思議な人だわアインって。
本人が言うには此処とは違う世界で自分を消した筈なのに、気が付いたらサテライトに居たって意味わからないっての…。
おまけに本当の名前は別にあるけど、其れは後継者に譲ったから自分の事は『アイン』と呼んでくれって、マジで何モンなのよアインは……まぁ良いか。
其れよりもアイン………ゴメン、ぶっちゃけ血が足りない……何か食べさせて……
「ふぅ…そう来ると思ったよ。
取り敢えず、レバニラ炒めとほうれん草のバター炒めと小松菜の味噌汁だ、此れでも食べて体内の鉄分を補給しておけ。」
「言われなくとも~~~~!!いただきます!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
ふぅ…ご馳走様♪鉄分300%のメニューのおかげですっかり元気になったわ。
「其れは良かった……ふむ、来たみたいだな。」
「「「「「「「「遊里ーーーーーーー!!!!」」」」」」」」
おぉう、皆御登場!?幾ら何でも派手過ぎない!?……まぁ良いけどね。
「目が覚めたか遊里…心配したぞ……」
「あはは…ゴメンねジャック心配かけて……だけど、アタシはこの通り元気バリバリだから安心してよ。」
「ならば良いのだが…酷い怪我だったのでな…おまけに傷痕が残ると聞いたのでな…」
そうなんだよ~~~~…見てよこの傷!!
――ガバッ
「!~~~~///!!!ば、馬鹿者~~~!!女性が簡単に肌を曝すなあぁぁぁ!!」
「だってこうしないと見えないでしょ!?
見てよこの傷痕……絶対に一生消えないじゃない!!……顔はマーカー付きで身体は傷物、此れじゃあ嫁の貰い手もないじゃないのよォォォ!!!」
「そうか?……お前ほどの奴ならば引く手数多だと思うがな…」
「マーカー付きで傷物の女なんて誰も欲しがらないっての……其れともジャックが貰ってくれるの?」
「……お前が其れを望み、心底俺でもいいのならばやぶさかではない…」
へ?マジで……うん、遊里さんちょっと予想外です……まさか冗談にマジで返されるとはね……こりゃアタシの負けだわ。
と、まぁ悪ふざけは此れ位にして……ジャック、其れに皆もアタシに聞きたい事が有るんだよね?
「あぁ…だが、お前に聞きたい事は1つだけだ――遊里、お前が戦ったあのデカブツ……アレは一体何なのだ?」
……予想はしてたけど、やっぱりそこから来るよね……まぁ、隠す必要もないから話すけどさ。
亜美がラストターンで召喚したアレは地縛神って言うらしいわ。
恐るべき力を秘めた闇のカード……ダークシグナーが従える、最強にして最悪の邪神よ………!!
To Be Continued… 
登場カード補足
地縛神 Ccapac Apu
レベル10 闇属性
悪魔族・効果
フィールド魔法カードが表側表示で存在しない場合、このカードの以下の効果は無効になる。
●このカードは相手に直接攻撃出来る。
●このカードはこのカードよりもレベルの低いモンスターとランク10以下のエクシーズモンスターの効果を受けない。
●このカードは魔法・罠カードの効果を受けない。
●相手はこのカードを攻撃対象に指定できない。
●このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊した場合、 破壊したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。
ATK3000 DEF2500
|