Side:ジャック
漸くシティから出発する事が出来たが、すっかり陽が落ちてしまったな……マッタク、事前に必要な移動手段を確保しておかないからこんな事になるのだ。
それ以前に、俺達をサテライトに向かわせるのが目的ならば移動手段は十分確保しておいて然るべきだろうに……
まさか、ゴドウィンは遊里だけを先にサテライトに戻す事が目的だったのではないだろうな?
奴は、言うならば『タヌキオヤジ』な部分があるのは否定出来ん――裏と表で全く異なる顔を使い分けるなど造作もない事だろう……虫の好かん奴だ。
まぁ、仮にそうだとしても遊里ほどのデュエリストならば早々負ける事は有り得まい…相手がダークシグナーであろうな。
「おわっ!なにアレ!!サテライトになんか模様が……!!」
「ホント……アレって模様と言うよりは地上絵?……人…かな?」
「アレは……ナスカの地上絵じゃねぇか?……なんだってそんなモンがサテライトに……」
ナスカの地上絵だと!?
矢薙の話では、ナスカの地はシグナーとダークシグナーにとって切っても切り離せない場所だった筈!……その地上絵がサテライトに現れただと!?
おい、少し高度を下げてあの地上絵に接近しろ!!
「り、了解!!」
只事である筈がない……恐らくは何か…………ちぃ、矢張りか!!
「遊里………」
地上絵の中ではライディングデュエルが行われていたか……しかも戦っているのは遊里……となると相手はダークシグナーだろう。
どうやら俺の予想は現実になったようだが……だが、ダークシグナー如きに負けるお前ではあるまい?……格の違いを見せ付けてやるが良い!!!
異聞・遊戯王5D's Turn36
『破滅を導きし、縛られた神』
遊里:LP1250 SC2
輝天龍 シルバー・ウィンド:ATK2500
冥剣士 ゴーズ:ATK2700
冥天使 カイエン:ATK2500
亜美:LP3650 SC3
ヴェルズ・ギドラー:ATK2750
ヴェルズ・ティアマト:ATK2550
Side:遊里
よりヴェルズに浸食されたグングニール……ヴェルズ・ティアマトか――グングニールの効果とオピオンの効果考えると嫌な予感しかしないわね。
グングニールの破壊効果なら兎も角、オピオンの特殊召喚制限だと拙すぎる。
シンクロ主体のアタシのデッキは高レベルモンスターの特殊召喚を封じられると可成りキツイからね。
「ヴェルズ・ティアマトの効果発動!
このカードのオーバーレイユニットを1つ取り除き、相手フィールド上に表側表示で存在するカードを全て破壊する!!!」
「破壊効果の方だったか……てかその効果も大概極悪ね!?
表側限定とは言え、モンスターも魔法・罠も関係なく全滅ってあくどい事この上ないわよ……マッタクインチキ効果此処に極まれりね。」
残せるモンスターは1体のみ…伏せカードが此れだから、残すのは……アナタしかないわ。
シルバー・ウィンドの効果をシルバー・ウィンド自身に対して発動!此れによりシルバー・ウィンドはこのターン破壊されず、攻撃力が500ポイントアップ!
『スマン、冥府の使者達よ……』
輝天龍 シルバー・ウィンド:ATK2500→3000
大丈夫よシルバー・ウィンド……ゴーズとカイエンの魂は、次のターンで彼女に受け継がれるから。
まぁ、これでこのターンはギドラーとティアマトがシルバー・ウィンドを攻撃する可能性は減った……だけど亜美のあの顔は、間違いなく何か企んでるわね?
「お前がシルバー・ウィンドの効果を発動する事なんてお見通しよ遊里!!戦闘耐性を得た攻撃力3000でも、コイツには敵わないでしょう?
私は墓地のヴェルズ・ダークナイトとヴェルズ・ブレイカーの2体のヴェルズをゲームから除外し、『ヴェルズ・ネメシス』を特殊召喚!!」
『Gywaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!』
ヴェルズ・ネメシス:ATK3350
今度はヴェルズに浸食された『A・O・J ディサイシブ・アームズ』!?
しかも攻撃力は3350!……此れは如何考えても来るわよね……これ以上の被弾はあんまり宜しくないんだけど、まぁ仕方ないか……
「バトル!ヴェルズ・ネメシスで、シルバー・ウィンドを攻撃!!
破壊耐性を得ているとは言え、戦闘ダメージを無効化する事は出来ないでしょう?『リヴェンジストライク』!!!」
――ドガアァァァン!!!
「うあぁぁぁあ!!」
遊里:LP1250→900
「更にヴェルズ・ネメシスの効果!
このカードは、通常の攻撃に加え、自分フィールド上のこのカード以外のヴェルズの数だけ攻撃出来る!
私のフィールド上にはギドラーとティアマトが存在している…よって更に2回の攻撃が可能!!切り崩せ『リヴェンジオーバーストライク』!!!」
――ドォォン!!ドガァァァァァン!!!!
『むおぉぉぉぉぉぉ!!』
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
遊里:LP900→550→200
何て効果よ…一度に喰らった訳じゃないからスピードカウンターは減らなかったけど…合計ダメージ1050って…流石に少し効いた……
――ピキッ!!
どころかアタシ以上にレーゲンの方に効いてるわね此れ。
アタシは耐えられても、ジャンクパーツで組み上げたレーゲンじゃあ、この闇の力には耐えきるのは難しいかも……此れは長引かせない方が良いわね…
「お前のライフも風前の灯だな遊里!!ターンエンド!!」
「風前の灯火でも、僅かに燃えてれば何らかの切っ掛けで其れが燃え盛る炎になる事は珍しくないわよ亜美?
アタシはエンドフェイズにトラップ発動!『ロスト・スター・ディセント』!そして永続トラップ『エンジェル・リフト』!!」
ロスト・スター・ディセントで墓地のカイエンを効果制限とステータス制限をかけ、レベルを1つ下げて特殊召喚!
更にエンジェル・リフトで墓地のギガ・クリボーを攻撃表示で特殊召喚するわ!
冥天使 カイエン:DEF2700→0 Lv7→6(効果無効、表示形式変更不可)
ギガ・クリボー:ATK600
そして、シルバー・ウィンドの攻撃力も元に戻る。
輝天龍 シルバー・ウィンド:ATK3000→2500
「しぶといな…」
「自慢じゃないけど、アタシのしぶとさは台所に出る『G』並なのよ?アタシのターン!!」
遊里:SC2→3
亜美:SC3→4
「さて、反撃の猛ラッシュと行きましょうか!!
レベル6となった冥天使 カイエンに、レベル2のギガ・クリボーをチューニング!!
集いし星の瞬きが、聖なる力を呼び覚ます。光射す道となれ!シンクロ召喚、切り込め『プリンセス・ヴァルキリア』!!」
『懲りない侵略者ですね……無に帰してあげましょう!』
プリンセス・ヴァルキリア:ATK2500
頼むわよプリンセス!
アタシは、ギガ・クリボーの効果で2枚ドロー!そしてプリンセス・ヴァルキリアの効果発動!
手札を1枚捨て、墓地のモンスターを特殊召喚する!!……この状況を打開できるのは貴方しかいない、蘇れ『漆黒魔族ギルファー・デーモン』!!
『グガァァァァァァァア…!!』
漆黒魔族ギルファー・デーモン:ATK2200
ギルファー・デーモンの効果で、アタシのモンスター達は攻撃力が300ポイントアップし、アンタのモンスターの攻撃力は500ポイントダウンする!!
輝天龍 シルバー・ウィンド:ATK2500→2800
プリンセス・ヴァルキリア:ATK2500→2800
漆黒魔族ギルファー・デーモン:ATK2200→2500
ヴェルズ・ネメシス:ATK3350→2850
ヴェルズ・ギドラー:ATK2750→2250
ヴェルズ・ティアマト:ATK2550→2050
「遊里……お前!!」
「未だよ!シルバー・ウィンドの効果をシルバー・ウィンド自身に対して発動!
これで、このターン、シルバー・ウィンドは破壊されず、攻撃力は500ポイントアップする!!」
輝天龍 シルバー・ウィンド:ATK2800→3300
バトル!!漆黒魔族ギルファー・デーモンで、ヴェルズ・ティアマトに攻撃!!『ギルファー・ブレイズ』!!!
『ウオォォォォォォォ…ガァァァ!!』
――ゴォォォォォ!……バガァァァァン!!!!
亜美:LP3650→3100
「なわあぁぁぁぁぁあぁぁ!!!!く……やってくれる……だが、オーバーレイユニットを持ったティアマトが戦闘破壊された事で効果発動!
ユニットを持ったティアマトが戦闘で破壊された時、デッキからカードを1枚選択して手札に加える事が出来る!」
カードの種類を選ばずの万能サーチって、とことんインチキ効果内蔵してるわね。
まぁ、良いわ……何をサーチしても流れはアタシの方に引き寄せさせて貰うから!!
続いて、プリンセス・ヴァルキリアで、ヴェルズ・ギドラーに攻撃!!闇に堕ちた氷龍を切り裂いてプリンセス!!
『任せて下さい遊里!覇ぁぁぁぁぁ…デュランダル・ブレイザー!!!』
――ズバァァァァァァァ!!!!
「がわぁぁぁあぁ!!!!」
亜美:LP3100→2550
――ピキ……
く……アタシが発するフィールにも……だけどゴメン、もう少しだけ耐えてレーゲン!
このデュエルが終わったらすぐに整備してあげるから!!
「更にもう一発!!輝天龍 シルバー・ウィンドで、ヴェルズ・ネメシスに攻撃!!轟け『シューティング・ストリーーーーーーム』!!!!」
『消え去れ…邪念に縛られし最終兵器よ!!!』
――キィィィィン……ドガァァァァァァァァァァァン!!!
亜美:LP2550→2100
「ぐぅぅぅ……だが、ネメシスが破壊された時、『ディザイア・トークン』を2体フィールドに残す…!!」
ディザイア・トークン(星2・闇・機械):DEF800(×2)
此処でトークンを……って事は次のターンで強力な上級モンスターをアドバンス召喚か、或はシンクロか…
どの道、アタシはこれ以上のダメージを受ける訳には行かない――カードを1枚セットしてターンエンド!
輝天龍 シルバー・ウィンド:ATK3300→2800
伏せたカードは『ダビデスター・バインド』……此れを発動すれば、大概のモンスターを弱体化する事が出来る。
其れに次のアタシのターンで、アタシのスピードカウンターは5になり、手札の『Sp-シルバー・コントレイル』が発動できるようになるわ。
この亜美のターンを凌げば、次のアタシのターンで…!!
「私のターン!」
遊里:SC3→4
亜美:SC4→5
「……さぁてと…なぁ遊里……私達ダークシグナーがサテライトで勧誘活動紛いの事をしてるのは知ってるわよね?
ダークシグナーは誰もがなれる訳じゃないのだけれど……なんで、あんな事をしていたか分かる?」
「は?人材確保じゃなかったの?……てっきり人手不足解消かと思ってたんだけど…」
「そんな訳ないでしょう?……ダークシグナーには、人を操る力を持った奴が居るのよ……其れの操り人形を得るためよ。
黒いローブを纏って、信仰宗教みたいな勧誘してれば、印象は兎も角人の目は集まる……私達を野次馬的に見に来た奴を操るのが真の目的よ!!」
はぁ?…てか余計に意味が分からないんだけど?
人を操るってのは兎も角、そんな事をしてどうするの?操り人形じゃ、アタシ達には勝てないって事はシティでアタシが証明したと思うんだけど?
「くくく……操ってお前達と戦わせるわけじゃないわ……寧ろもっと有効的な使い方!
そいつ等の意思を奪って、我等ダークシグナーの最大の戦力に魂を捧げる生贄になって貰うのよ……結界の外を見てみなさい!!」
結界の外って…………なっ、黒いローブを纏った人が沢山!!
此れは…まさか今言ってた!!
「そう…生贄よ!このカードの為のね!!」
「生贄って……止めなさい亜美!!!」
「止める訳ないでしょう!!!私は2体のディザイア・トークンをリリース!!!」
――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
な、なに?空に何か………アレは――石で出来た心臓!?
――ドクン…!ドクン……!!
「「「「「「「「「「あぁ~~~~~~~~~~………」」」」」」」」」」
――しゅぅぅぅぅぅ…
!!結界の外に集まった人達が光の粒に!!……まさか、本当に生贄にしてるって言うの!?
「そのカードの召喚を止めなさい亜美!!アンタ、関係のない人達まで巻き込むつもりなの!?」
「はぁ?知らないわよそんな事!!
寧ろ、サテライトのゴミ屑が私の役に立てるって言うんだから、泣いて喜ぶべきだわ……屑の魂でも邪神の生贄には使えるんですからね!!」
亜美……アンタ、ダークシグナーになって、心底腐りきったみたいね……!!
人の魂を生贄にするカードを平気で…笑って使うなんて絶対に許さない!!アンタの言う邪神共々、冥界に送り返してやるわ!!
「くくく……其れは無理だな!!幾らお前でもこのカードを攻略する事なんて不可能よ!!
見せてあげるわ遊里……此れが私達ダークシグナーの真の力!!!数多の人間の魂を喰らいて現れよ!!『地縛神 Ccapac Apu』!!!」
――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!
『グオォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!』
地縛神 Ccapac Apu:ATK3000
んな!!……なに、この大きさ!!まるで怪獣映画に出て来る怪獣そのもの…!!
しかも、これから感じる禍々しい気配は、ダークシンクロやダークエクシーズの比じゃない――『地縛神』……此れは一体……
To Be Continued… 
登場カード補足
ヴェルズ・ティアマト(ヴェルズ・オピオンのダークエクシーズ)
ランク-4 闇属性
ドラゴン族・ダークエクシーズ/効果
レベル-4モンスター×2
1ターンに1度、このカードのオーバレイユニットを1つ取り除く事で、相手フィールド上に表側表示で存在するカードを全て破壊する。
オーバーレイユニットを持ったこのカードが戦闘で破壊された場合、デッキからカード1枚を選択して手札に加える事が出来る。
ATK2550 DEF1650
ヴェルズ・ネメシス(ヴェルズ化A・O・J ディサイシブ・アームズ)
レベル10 闇属性
機械族・効果
このカードは通常召喚出来ない。自分の墓地の「ヴェルズ」と名の付くモンスター2体をゲームから除外した場合にのみ特殊召喚できる。
このカードは通常の攻撃に加え、自分フィールド上に存在するこのカード以外の「ヴェルズ」と名の付くモンスターの数まで攻撃する事が出来る。
このカードが破壊された時、自分フィールド上に「ディザイア・トークン」(星2・闇・機械・攻守800)を2体特殊召喚する。
ATK3350 DEF3250
|