Side:遊里


「す、すっげぇ……未だデュエルは始まったばかりなのに、2人とも攻撃力3000のモンスターを従えてるなんて…!」

「其れだけじゃない、あの鬼柳って人は物凄い実力者よ……それこそ遊里やジャックにだって匹敵するかもしれない……」


龍可の意見には賛成するわね。
彼は、間違いなくアタシやジャックと同等レベルに居るデュエリスト……アタシが感じる彼のデュエリストオーラはジャックに引けを取っていないもの。

「いずれにしても、このデュエルは確りと見ておきなさい?
 どちらが勝つにしても、超一流同士のデュエルは見るだけでもいい経験になる筈だからね。」

なんて、かく言うアタシが一番観戦者の中で興奮してるのかもね。
でも、此れはしょうがないわよ――ジャックと、其れに匹敵するデュエリストのデュエルなんて、デュエリストとデュエルファンには垂涎の対決よ?

寧ろ、こんなデュエルにワクワクドキドキしないのは本当じゃない――このデュエルは此処からが本番だわ。

共に最強レベルの攻撃力を備えた龍は、どんな戦いを見せてくれるのかしら?


実に楽しみだな…

これぞ正に全力全壊!全力デュエルもリリカルm…はいストップ!自重しなさいガール!!…プリンセスのいぢわる…


……ホントにこの子は何処で色々覚えて来るのやら…











異聞・遊戯王5D's Turn30
『満足しようぜ?最強デュエルで!』










ジャック:LP4000
煌魔龍 レッド・デーモン:ATK3000



鬼柳:LP3500
煉獄龍 フォルト・スクライド:ATK3000




Side:ジャック



煉獄龍 フォルト・スクライド……俺がレッド・デーモンを呼び出した返しのターンでこれ程のモンスターを呼び出してくるとは…矢張り只者ではないな。
だが、俺のレッド・デーモンも、奴のフォルト・スクライドも攻撃力は互角の3000……このままでは相討ちが関の山だが、如何する心算だ?


「行くぜジャック!
 煉獄龍 フォルト・スクライドは、俺の手札が0枚の時、相手の魔法と罠の効果を一切受け付けない!
 更に、俺の墓地には手札が0の時『インフェルニティ』か『煉獄』のモンスターをダイレクトアタック可能にする『インフェルニティ・クィーン』がいる!
 これらが示す答えが何が、お前には分かるだろう?」


極めて防御が難しい訳か……
手札0枚ならばモンスター効果は受け付けない攻撃力3000のモンスターによるダイレクトアタック…対処法がなければ2ターンで終わる事だろうな。


「クィーンの効果をフォルト・スクライドに適応し、フォルト・スクライドでジャックにダイレクトアタック!!『インフェルニティ・デス・ブレイザー』!」

「……温いわ!手札より『バトル・フェーダー』の効果を発動!
 相手のダイレクトアタック時に、手札のコイツを特殊召喚してバトルフェイズを終了する!」


バトル・フェーダー:ATK0


そう簡単に絶対王者の首が取れると思うなよ?
凶悪極まりないそのコンボは褒めてやるが、高々魔法と罠の耐性持ちでのダイレクトアタック如きで俺を倒せるとでも思っているのか?


「いや……そう簡単に行くとは思ってないさ。
 それどころか、絶対王者がこのコンボで簡単に沈む程度のデュエリストじゃあ大凡満足できないぜ。
 俺の手札は0だからバトルが終了したら特にやる事もない。ターンエンドだ。」

「俺のターン!」

厄介なコンボではあるが、この伏せカードとレッド・デーモンの効果を使えば奴のライフを削りきる事は可能だが――何かあるな。
レッド・デーモンの破壊の力は奴とて重々理解して居る筈……にも拘らず、フォルト・スクライドを護るカードが何もないとは考え辛い。
伏せカードは0だが……そうなると墓地のカードに何かあると見て間違いないだろうが――

「何を狙っているかは知らんが、俺の前に立ち塞がる者は只只管砕いて進むのみ!『強靭王 ギルガメス』を召喚!」
強靭王 ギルガメス:ATK900


更に、リバースカードオープン!トラップカード『ナイトメア・デーモンズ』!!
俺のフィールド上の強靭王 ギルガメスをリリースし、貴様のフィールド上に攻撃力2000の『ナイトメア・デーモン・トークン』を3体特殊召喚する!


ナイトメア・デーモン・トークン:ATK2000(×3)


「俺のフィールドに3体のモンスター?」

「解せんか?今に分かる!『強靭王 ギルガメス』の効果発動!
 このカードが墓地に送られた時、エンドフェイズまで俺のシンクロモンスターの攻撃力は500ポイントアップする!」

『バァァァオォォォォ!!!!』
煌魔龍 レッド・デーモン:ATK3000→3500



此れで攻撃力はフォルト・スクライドを上回った!レッド・デーモンの効果発動!
レッド・デーモンよ、奴のフィールドのモンスターを焼き尽くせ!『クリムゾン・デス・メテオ』!!!


――ドォォォォン!!


ナイトメア・デーモン・トークンは破壊された時、貴様に800のダメージを与える。
レッド・デーモンに破壊されたトークンは3体!よって2400のダメージを受けるが良い!!


「ぐ……やってくれるぜ!!」
鬼柳:LP3500→1100


残りライフは僅かに1100…強化されたレッド・デーモンで蹴散らしてくれるわ!!


「……焦るなよジャック、フィールドをよく見てみな…」

「なに?…………なんだと!?」

粉塵が晴れて…


煉獄龍 フォルト・スクライド:ATK3000


奴のドラゴンが無事だと!?


「墓地の『インフェルニティ・ビショップ』の効果を発動した。
 俺の手札が0枚で、コイツが墓地に居る時、俺のフィールド上のモンスター1体はエンドフェイズまで破壊されねぇ。
 俺の手札が0である限り、煉獄龍が死ぬ事はねぇのさ。」

「成程な……だが、破壊されないとは言えダメージまでは無効にできんだろう!
 俺は絶対王者、相手が何であろうとも全力で立ち向かい、そして勝利し続けなければならない存在!
 俺の前に難攻不落などないと知れ!レッド・デーモンで、フォルト・スクライドに攻撃!『アブソリュート・ヘル・バーン』!!!」


――ドガバァァァァッァン!!


「ぐあぁぁぁぁぁ!!!」
鬼柳:LP1100→600


「俺はカードを1枚セットしてターンエンドだ。」
煌魔龍 レッド・デーモン:ATK3500→3000


「流石は絶対王者…効いたぜ!俺のターン!…『インフェルニティ・ミラージュ』を召喚!」
インフェルニティ・ミラージュ:ATK0


「インフェルニティ・ミラージュの効果発動!手札が0枚の時、コイツをリリースして、墓地のインフェルニティ2体を蘇えらせる。
 煉獄の地平より蘇れ『インフェルニティ・ビートル』『インフェルニティ・アーチャー』!」
インフェルニティ・ビートル:ATK1200
インフェルニティ・アーチャー:ATK2000



!!この布陣は……更なるレベル8モンスターを呼ぶと言うのか!?


「其れ位じゃなきゃお前を満足させる事は出来ないぜ。
 レベル6のインフェルニティ・アーチャーに、レベル2のインフェルニティ・ビートルをチューニング!
 黒き炎が猛る無限の煉獄、その炎獄を束ねし覇者よ、獄炎の裁きを下せ!シンクロ召喚、『煉獄王 ベリアル』!!!」

『グオォォォォォォ……』
煉獄王 ベリアル:ATK2900



この局面で新たな最上級シンクロを出してくるとは……矢張りこいつは只者ではあるまいな。


「俺の手札が0間の時、ベリアルは俺の場のモンスターの攻撃力を800ポイントアップさせ戦闘耐性を与える!!」
煉獄龍 フォルト・スクライド:ATK3000→3800
煉獄王 ベリアル:ATK2900→3700



「そして墓地のクイーンの効果をフォルト・スクライドに適応!
 行くぜ!フォルト・スクライドで、ジャックにダイレクトアタック!『インフェルニティ・デス・ブレイザー』!!!」


――ゴォォォォォォ!!!


「ぐおぉぉぉぉぉ!!!」
ジャック:LP4000→200


ぐ……一撃で此処までのダメージを与えて来るとは――矢張り遊里並の実力者と言う事か!


「此れで終わりだぜ!ベリアルで、レッド・デーモンに攻撃!『獄滅の爆炎葬』!!!」

「その攻撃は通さん!トラップ発動『攻撃の無力化』!此れでバトルフェイズを終了する!」

「ち、堅いな……ターンエンド。」


マッタク持って恐ろしいコンボを考え付く奴が居る者だ……だが、それだからこそデュエルは面白い。
デュエリストの数だけデッキと戦術は存在している、その数は星の数ほども有るだろう……故にまだ見ぬ戦術も多い。
コイツのハンドレスと言う戦術も初めて知った戦術だ……心が滾るわ!

良いだろう、貴様の編み出した最高戦術、この俺の力で退けて見せてやる!俺のターン!

「レッド・デーモンの効果発動!1ターンに1度、レッド・デーモンよりも攻撃力の低いモンスターを焼き尽くす!」

「其れは無駄だ、俺のモンスターはレッド・デーモンの攻撃力を上回ってる……効果は不発だぜ?」


……あくまでフィールド上のだろう?
誰が貴様のフィールドを焼き尽くすと言った!俺はこの瞬間に、速攻魔法『天地鳴動』を発動!
このカードの効果で、フィールドに効果を及ぼす効果は墓地に効果を及ぼすモノと化す!この意味が分かるか?


「まさか!!!」

「そう、レッド・デーモンが焼殺するのは貴様のフィールドのモンスターではない。俺と貴様の墓地に存在する、9体のモンスターだ!!」

次元を超え、死者の魂を焼き尽くすが良い!『クリムゾン・デス・メテオ』!!!


――ゴォォォォォォ!!!


「馬鹿な…!!」

「此れで墓地のモンスターも除外され、コンボは崩れ去った!そして此れで止めだ、装備魔法『王者の鼓動』をレッド・デーモンに装備!
 装備モンスターの攻撃力は、ゲームから除外されているモンスター1体に付き400ポイントアップする!
 ゲームから除外されているモンスターの数は10体!よって攻撃力は4000ポイントアップする!!」

『バオォォォォォォォォ!!!』
煌魔龍 レッド・デーモン:ATK3000→7000



「攻撃力7000だと!?」


俺にとって勝利とは必然の物!常に勝ち続けてこその絶対王者なのだ!
終焉だ鬼柳京介!レッド・デーモンで、煉獄龍 フォルト・スクライドに攻撃!『アブソリュート・ヘル・バーン』!!


『バオォォォォォ……ガァァァァァァ!!!!!』


――バガァァァァァァァァァァァン!!!!


「ぐ……うおわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
鬼柳:LP600→0


フン……此れが絶対王者のデュエルだ!身に染みたか?


「良いフィールだったぜ……此れ位のデュエルなら、負けても満足だ……久々の楽しいデュエルだったぜ…」


満足したデュエルか……其れならば何よりだ。
さて、貴様にはいくつか聞きたい事も有るのでな、答えて貰うぞ?








――――――








Side:遊里


いや〜〜〜、実に手に汗握る見事なデュエルだったわ。
敢えて手札を0にする事で真価を発揮するハンドレスなんて見た事もない戦術だったわね〜〜!其れを撃ち破ったジャックは流石だけど。


で、デュエル後に矢薙の爺ちゃんの家で鬼柳の話を聞いて……やっぱし貴方はシグナーなんだ?


「まぁな……痣が疼くんでこっちに来てみたんだが、まさか行き成り3人のシグナーに出会えるとは思ってなかったがな。」

「普通に考えれば探す方が大変だって…」

まぁ、でも此れでシグナーは4人て事よね?
残る1人は何処に居るかは知らないけど、此れは良い事だと思うわ……ジャックは如何思う?


「究極神に対抗しうる力が集うのは悪い事では無かろう………ゴドウィンの思惑も読めん所があるからな。
 実力ある仲間であるならば、むしろ歓迎すると言うモノだ。」

「俺もジャックに賛成!強い味方は多い方が良いよ♪」


龍亞……確かにそうね♪
鬼柳、貴方も私達と共に戦ってくれるかしら?


「聞くまでもないだろ?俺はその為にここに来たんだぜ?
 其れにさっきのジャックとのデュエルで、お前等のレベルも大体分かった――手を組むに値する連中だぜ全員な。
 相手が何だろうと、来る奴は全部倒して満足しようぜ?」


異論なし♪
これからよろしくね鬼柳!………ん?


――ファンファンファンファンファンファン!!


うげ、セキュリティの車!!
何だってこんな所に来たっての?


『あ〜〜あ〜〜〜!上条遊里!治安維持局のゴドウィン長官が君を探している!聞こえているなら大人しく出てきなさい!!』



うわ〜〜〜〜……滅茶苦茶面倒な事になりそうなんですけど。
てか、それ以前に長官直々に御指名って相当だよね?

新しい仲間が増えたと思った矢先に此れ?長官、少しは空気読んでくださいって……はぁ、面倒な事になりそう…
















 To Be Continued… 






登場カード補足



天地鳴動
速攻魔法
フィールドを対象にする効果は墓地を対象にする効果になり、墓地を対象にする効果はフィールドを対象にする効果になる。
この時、墓地に存在するカードが破壊された場合、そのカードはゲームから除外される。



王者の鼓動
装備魔法
「煌魔龍 レッド・デーモン」または「王」と名の付くモンスターにのみ装備可能。
装備モンスターの攻撃力はゲームから除外されているモンスターの数×400ポイントアップする。