Side:遊里
「黒い痣を持つ謎の相手か……厄介な奴が出て来たもんだな?」
「うん…しかも−レベルのシンクロモンスターなんて未知のカードを使ってきたからね。」
操られてたと思われる彼であの強さなら、本来のダークシンクロの使い手はドレだけのデュエリストだって言うのよ……あまり考えたくはないわね。
昨晩のデュエルから一夜明け、アタシは矢薙の爺ちゃんの家で、昨日の晩に何があったのかを話してる――勿論ジャックも一緒にね。
最大の問題は、やっぱり黒い痣を持った謎のデュエリストの事……昨日の彼は操られてたみたいだけど、其れなら操り手が居る筈だわ。
まぁ、其れを見つけ出すのがハンパなく大変なんだけどさ……
でさ、情報は殆どないに等しいけど、何か分かった爺ちゃん?
「うぅむ……此れは予想外じゃよ遊里ちゃん。
遊里ちゃんのデュエルディスクに記録されていた映像を鮮明にして見たんじゃが…この蜘蛛の痣は、ナスカの地上絵の蜘蛛と一致したんじゃ!」
「……はい?」
ナスカの地上絵って、世界的に有名なアレだよね!?其れと同じ形の痣って一体……ナスカの地上絵には噂以上のモンがありそうだわ…
だけどそうなると黒い痣を持った者が1人とは限らないわよね?……若しかして此れって赤と黒の全面戦争勃発フラグ?……多分回避不能フラグね。
そう言えば、爺ちゃん曰くシグナーは5人との事だったけど、後2人は何処に居るのかな?
異聞・遊戯王5D's Turn29
『新たなシグナー合流也』
Side:???
飛行機にゆすられること数時間……やっとこ日本に到着だ……久しぶりだなこの感覚も…シティの方から魂の炎を感じるぜ。
如何やら日本には俺を満足させてくれるデュエリストが居るようだな……楽しみになって来た。
と、取り敢えず何処に行くか?
適当にぶらついても良いか、どうせなら『仲間』を見つけたいもんだよなぁ?
赤き竜の痣を持つのは俺だけじゃない……最低でもあと4人は居るはずだ……俺の勘がそう告げてるんでね。
――ヒィィィン…!!
痣が!!……OK……コイツに従ってみるか。
痣がより激しく反応する場所は………ドミノシティか!!……しかも繁華街じゃなくてダウンタウンの方から感じるぜ…こりゃ面白くなりそうだ。
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バスで市街地を抜けて、ダウンタウンの入り口で降車したんだが……此れは如何にもよからん連中が集まりそうな場所だぜ。
まぁ、因縁吹っかけられたらデュエルで叩きのめせば良いだけの事だし、俺のハンドレスには負けはねぇ――誰だろうと返り討ちにしてやるよ。
「其れは其れとして、痣の反応が消えちまったな……アレが無いと少し面倒なんだが……」
いざとなったら腕の痣見せて『此れと同じような痣持った奴知らないか?』とでも聞いて回れば良いか。
何にせよ、取り敢えずは人の集まりそうな場所に行くか。聞き込みやら何やらってのも、人だかりの方が色んな情報も集まってくるからな。
ダウンタウンみたいなスラム街ってのは治安は悪くても、情報収集するには持って来いの場所でもあるからな。
「いけ〜〜〜〜!!やっちまえ!!!」
「負けるなーーーーー!」
「そいつに勝ったら名が上がるぜ!!ダウンタウンの底力見せてやれ!!」
それに、何か面白い事が起こったみたいだ。行ってみるか!!
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・・・
何かと思えば、空き地でのデュエルか!此れは盛り上がるぜ!!
「アタシはプリンセス・ヴァルキリアの効果発動!手札を1枚捨て、墓地のモンスター1体を選択して特殊召喚する!
神姫の聖騎士の秘術が、冥界より黒き魔導師の魂を呼び寄せる!甦れ『ダーク・マジシャン・ガール』!!」
『ふっかーつ!』
ダーク・マジシャン・ガール:ATK2500
しかも、あの嬢ちゃんは中々に強いデュエリストみたいだな?
相手の男も悪くはないが、デュエリストとしての腕前は、ハッキリ言って月と鼈……いや、太陽とミジンコぐらいの開きがありそうだぜ……
「此れで終わりよ!手札から魔法カード『シンクロ・ボムズ・アウェイ』!
アタシのフィールド上にレベル7以上のシンクロモンスターが2体以上存在する時、相手フィールド上のモンスターを全て破壊する!!」
「なにぃ!?」
――ドッガァァン!!!
「止めよ!プリンセスとガールでダイレクトアタック!!」
『此れにて終焉です…!』
『全力全壊!!』
『『レインボー・フルバースト!!』』
――キィィィン……ドガバァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!
「このままでは終わらんぞ〜〜〜〜!!!」
ダウンタウンデュエリスト:LP3400→0
「いや、終わってるからね?このデュエルはアタシの勝ちだからね?……ま、何時でもリベンジ戦は受けるけどさ♪」
ハハッ…マジで余裕だな……相当な腕前のデュエリストだな――思わず挑戦したくなっちまうくらいだ……いっそ名乗りを上げるか?
「此れでアタシの5人抜き〜〜。てなわけで5勝したから、選手交代よジャック。」
「5人倒すごとに交代と言う約束だったからな……良かろう、俺に倒されたい奴から掛かってくるが良い!!」
と、此処でバトンタッチ?……って、待てよ――タッチした相手が『絶対王者』のジャック・アトラスだと?……此れは挑戦しない手は無いよな?
おい、俺が挑戦させてもらうぜ!!
――――――
Side:遊里
取り敢えず有力な情報が入るまでは、アタシ達はダウンタウンで生活する事にした。
因みに双子とアカデミアの仲間も一緒にね――ダウンタウンは治安が悪いからって言ったのに、龍可と龍亞はガンとして譲らかったからね。
まぁ、アタシとしても気心の知れた仲間と一緒って言うのは心地いいし安心できるからね。
で、ダウンタウンの連中相手にデュエルをしてるんだけど……激楽勝!!何て言うか負ける気がしないのよね〜〜。
今ので無傷の5連勝!……バトンタッチしたジャックも、5連勝は難しくないと思うし。
さて、ジャックの相手に名乗りを上げるのは一体誰かしら?
「今度は俺が挑戦させてもうぜ。」
「……ほう?見ない顔だが相当に自身があるようだな?……お前のデュエリストのオーラは相当に高いみたいなのでな!!」
誰?……でも、この人は強い!!
灰色の髪と黒いコートを纏ったこの人は一体……しかもダウンタウンの住人じゃない?
「まぁ、貴様が誰であろうとも、デュエルにはそんなモノは関係ない……デュエルとは己の魂をぶつけ合う事が第一だからな!!」
「至言だねぇ……ジャックが言うとより説得力があるわ。」
「ジャック・アトラス……流石は『絶対王者』か―――ならその実力で、俺を満足させてくれよな!!」
やる気充分みたいだね……如何するのジャック?
「知れた事…売られたデュエルは買うが礼儀!
良いだろう、貴様とのデュエルを受けてやる!――だが、後になって絶対王者に挑んだ事を後悔する羽目になっても知らんがな!」
「満足できるデュエルが出来れば後悔なんぞ有り得ないぜ……!俺を後悔させるなよ?」
「…ならばとことん、骨の髄にまで満足を刻み込むが良い!!」
あはは〜〜…ジャックのダウンタウンデュエルの1発目は中々如何して激しいデュエルになりそうだわ。
ジャックは勿論、あの人も多分相当な腕前のデュエリスト――期待するなって言うのが無理よね。
「時に、名前くらい名乗らんか?」
「おっと、コイツはうっかり……俺の名は鬼柳――鬼柳京介だ!!」
「鬼柳か………その名を俺の魂に刻み込んでみるが良い!行くぞ!!」
「あぁ…行くぜ!!」
「「デュエル!!!」」
ジャック:LP4000
鬼柳:LP4000
鬼柳…只者じゃないわよね?……一体どんなデュエルを見せてくれるのかしら?
「先攻は貰うぜ?俺のターン!
カードを1枚伏せ、手札より魔法カード『煉獄の契約』を発動。
俺の手札が3枚以上の時、手札を全て捨て、捨てたカードの中から『インフェルニティ』1体を選択して特殊召喚する。
さぁ、出番だぜ…『インフェルニティ・アポカリプス』!!」
インフェルニティ・アポカリプス:ATK2500
「俺は此れでターンエンドだ。」
初手からレベル7の最上級モンスターを速攻召喚するには悪くない手だけど、余りにも単純すぎないかなぁ?
手札を全て捨ててまで召喚する必要があるのかしら?
「俺のターン!!」
ジャックもこの『違和感』には気付いて居る筈よね?
「相手フィールド上にのみモンスターが存在する場合、手札の『バイス・ドラゴン』を特殊召喚できる!
ただし、この方法で特殊召喚したモンスターの攻撃力と守備力は、元々の値の半分になる!」
バイス・ドラゴン:ATK2000→1000
「更にチューナーモンスター『ダーク・リゾネーター』を攻撃表示で召喚!!」
ダーク・リゾネーター:ATK1300
そしてこの布陣は……1ターン目で呼ぶ気ねジャック!
「目にモノ見せてやろう!
レベル5のバイス・ドラゴンに、レベル3のダーク・リゾネーターをチューニング!
万物を焼き尽くす孤高の絶対王者よ、天地鳴動の力を揮うが良い!シンクロ召喚!降臨せよ『煌魔龍 レッド・デーモン』!!」
『バオォォォォォ!!!』
煌魔龍 レッド・デーモン:ATK3000
来たわね、ジャックのエース、最強の破壊龍『レッド・デーモン』が!
「レッド・デーモンの効果発動!
1ターンに1度、全てのモンスターを攻撃表示にし、レッド・デーモンよりも攻撃力の低いモンスターを全て抹殺する!!『クリムゾン・デス・メテオ』!!」
「随分とんでもない効果を内蔵してるじゃねぇか……此れだけでも満足できそうだが、まだ足りないぜ!
トラップ発動『インフェルニティ・ラミネートジャケット』!手札が0枚の時、エンドフェイズまで俺のモンスターは効果では破壊されないぜ?」
「カード効果で護るか……ならば戦闘で叩くのみ!!
レッド・デーモンで、インフェルニティ・アポカリプスに攻撃!!!焼き尽くすが良い『アブソリュート・ヘル・バーン』!!」
――ドゴォォォォン!!
鬼柳:LP4000→3500
「く……だが、俺の手札が0枚の状態でアポカリプスが破壊された事で効果発動。
アポカリプスが手札0の時に破壊された場合、俺のフィールド上に煉獄トークン(星3、闇、悪魔、攻守1000)を2体呼び出すぜ!!」
煉獄トークン:ATK1000(×2)
転んでも只では起きないか……
「中々やるな……カードを1枚セットしてターンエンドだ。」
「俺のターン!……俺はチューナーモンスター『インフェルニティ・ビートル』を召喚!」
インフェルニティ・ビートル:ATK1200
此処でチューナー?狙いはまさかレベル8のシンクロ!!
――ヒィィィィィン…!
!!!痣も反応してるって一体どういう事よ……!!
「俺はレベル3の煉獄トークン2体に、インフェルニティ・ビートルをチューニング。
天国と地獄、その狭間の煉獄から、人知を超えた力が世界に溢れ出す。シンクロ召喚、出でよ『煉獄龍 フォルト・スクライド』!!」
『グオォォォォォォォ!!!!』
煉獄龍 フォルト・スクライド:ATK3000
其れにあのドラゴンはまさか!!!
『あぁ、私の嘗ての友の1体だ……』
シルバー・ウィンド……やっぱりそうなんだ……と言う事は4人目のシグナーは間違いなく鬼柳と言う事よね……?
痣が反応した時に、右腕が少しばかり痺れたからね……だけどこの展開は、面白くなってきたわ!
絶対王者と新たなシグナーのデュエル……此れは目が離せないわね!
To Be Continued… 
登場カード補足
シンクロ・ボムズ・アウェイ
通常魔法
自分フィールド上に、レベル7以上のシンクロモンスターが2体以上表側表示で存在する場合に発動できる。
相手フィールド上のモンスターを全て破壊する。
煉獄の契約
通常魔法
自分の手札が3枚以上ある時に発動できる。
手札を全て捨て、其の後捨てたカードの中から『インフェルニティ』と名の付くモンスター1体を選択して特殊召喚する。
インフェルニティ・ラミネートジャケット
通常罠
自分の手札が0枚の場合に発動できる。
エンドフェイズまで、自分のフィールド上のモンスターはカード効果によっては破壊されない。
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