No side 　シティのスタジアムは今日も熱狂の渦に包まれている。 　絶対王者ジャック･アトラスのデュエルはシティの住民を魅了してやまないからだ。 　今日の挑戦者である『炎城ムクロ』もシティではトップクラスのデュエリストであるためデュエルは大盛り上がり。 　「フン、以前に俺に挑んだ時よりは強くなったようだな？」 　ジャック：LP３０００　　　SC３ 　マッド･デーモン：ATK１８００ 　天狼王　ブルー･セイリオス：ATK２４００ 　「ハッハー！今日こそ俺が新しいキングになるぜ！！」 　ムクロ：LP２４００　　　SC５ 　炎滅の龍　トライデント：ATK２７００ 　炎滅の舞姫：ATK１９００ 　互いに上級のシンクロを従えたこのデュエル。 　だが、キングことジャックは未だ本気を出していない。 　果たしてデュエルの行方は… 　異聞・遊戯王5D's　Turn３ 　『絶対王者ジャック・アトラス』 　Side：ジャック 　自己研鑽を積んだか…前に叩き潰した時よりも格段に強くなっているなコイツは。 　ふ、シティにもまだ研鑽を怠らぬ飢えたデュエリストは残っていたか。 　「行くぜジャックぅ！トライデントでマッド･デーモンを攻撃！！」 　マッド･デーモン：ATK１８００→DEF０ 　矢張りマッド･デーモンを狙うか。 　マッド・デーモンは攻撃対象になった時に守備表示となるが、その守備力は０。 　貫通能力を持ったトライデントの良い標的だったか… 　「焼き尽くせ、『トライデントパニッシャー』！！」 　――ゴォォォォ！！ 　「むおぉぉぉ！！」 　ジャック：LP３０００→３００　　　SC３→１ 　く、やるではないか！ 　だが残念だったな、俺のモンスターが戦闘で破壊されたとき、手札の『執念深き復讐のソード･ストーカー』を特殊召喚出来る！ 　『ガァァァァ！！』 　執念深き復讐のソード･ストーカー：ATK２０００ 　この方法で特殊召喚したソード･ストーカーは次の俺のターンのエンドフェイズまで攻撃力が５００ポイントアップする。 　執念深き復讐のソード･ストーカー：ATK２０００→２５００ 　さぁ如何する？此れでは俺を倒す事はできんぞ！！ 　「ちぃ、ターンエンドだ。」 　「俺のターン！」 　ジャック：SC１→２ 　ムクロ：AC５→６ 　ふ、良い引きだ。 　久々に楽しいデュエルをさせてくれた礼だ、特と拝むが良い！ 　チューナーモンスター『ライト･リゾネーター』を召喚！ 　ライト･リゾネーター：ATK１０００ 　「レベル６のソード･ストーカーに、レベル２のライト･リゾネーターをチューニング！ 　　万物を焼き尽くす孤高の絶対王者よ、天地鳴動の力を揮うが良い！シンクロ召喚！！」 　――ゴゴゴゴゴゴゴゴ… 　さぁ、出番だ！我が最強の僕よ！ 　「降臨せよ『煌魔龍　レッド･デーモン』！！」 　『バァオォォォォォ！！！』 　煌魔龍　レッド･デーモン：ATK３０００ 　『出たーーーーーー！！キングの最強モンスター『煌魔龍　レッド･デーモン』！ 　　残りライフ３００にまで追い詰められたキング、此処で勝負を掛けてきたーーーーー！！！』 　ふん、ライフが１ポイントでも残ればこの俺に負け等は無い！ 　ソレにライフが１０００ポイントを切るなど久しくなかった事……魂が高揚するわ！ 　レッド･デーモンの効果発動！ 　１ターンに１度フィールド上のモンスターを全て攻撃表示にし、元々の攻撃力がレッド･デーモンよりも低いモンスターを全て破壊する！ 　砕け散るが良い、『クリムゾン･デス･メテオ』！！ 　――バガァァァン！！ 　「て、テメェのモンスター諸共…！！」 　「絶対王者は勝利の為には手段を選ばん！ 　　此れで貴様のフィールドはがら空き！レッド･デーモンでダイレクトアタック！！」 　「させるかよぉ！トラップカード『鉄釘入りダイナマイト』！ 　　相手の攻撃モンスターを破壊し、相手に７００ポイントのダメージを与えるぜぇ！！」 　攻撃対策もしていたというわけか…だが、甘い！温い！！浅いわぁ！！！ 　トラップカード『王者の決断』！ 　俺のフィールド上に『王』と名のつくモンスター、又は『煌魔龍　レッド･デーモン』が存在する時、相手のカード効果を無効にして破壊する！ 　「なにぃ！？」 　「此れで終いだ！焼き尽くせ、レッド･デーモン！『アブソリュート･ヘル･バーン』！！」 　『バオォォォォォ…！！』 　――ゴォォォォォ！！ 　「うぎ…あぁぁぁ！！！」 　ムクロ：LP２４００→０ 　 　『決まったーーー！！ライフ僅かからの逆転勝利！流石はキングだーーーー！！』 　ふん、誰が相手だろうとも勝者は常に只１人！ 　ソレが俺、絶対王者たるジャック･アトラスだ！！ 　･････････････････････ 　･･････････････････ 　･･･････････････ 　････････････ 　･････････ 　･･････ 　･･･ 　さてと…一応置手紙はしてきてやったがゴドウィンや他の連中はどんな顔をして居るだろうな？ 　連れ戻そうとするかも知れんが悪いのは貴様等だ。 　この俺に一流半程度のデュエリストしかぶつけず、お飾りのキングとして持ち上げた貴様等がな。 　尤も、ソレのおかげでキング権限でもってサテライトまで来れる訳だが……いい空気だ。 　此れほどまでに濃密な気配を感じたのは何年ぶりの事か…此れは期待できそうだ…ん？ 　「…見ない顔だね？新入りか？」 　「ほう…俺を知らんか？ 　　だが、それで良い…どうやら俺は幸運らしい、サテライトに来て早々お前のような奴に出会えるとはな！」 　「は？」 　ふん、此方の事だ。 　貴様もデュエリストだろう？…ならば、デュエリスト同士が対峙した時に何が起こるかは分るだろう？ 　「まぁな…デュエルなら喜んで受けてやるよ。」 　「そう来なくては……名を聞いておこうか？」 　「ノーマネー弥生…アンタは？」 　「ジャック･アトラス……シティではキングと呼ばれている男だ！」 　「！！アンタが噂の…！そのキングが何でサテライトに……いや、ソレは聞くだけ野暮だね。」 　察するか？ならば俺を楽しませてみせろ！ 　行くぞ！！ 　「「デュエル！！」」 　ジャック：LP４０００ 　弥生：LP４０００ 　･･････････････････ 　･･･････････････ 　････････････ 　･････････ 　･･････ 　･･･ 　ジャック：LP１２００ 　天刑王　ブラック･ハイランダー：ATK２８００ 　煌魔龍　レッド･デーモン：ATK３０００ 　弥生：LP１５００ 　アマゾネスの戦乙女：ATK２８００ 　アマゾネス・ガーディアン･ドラゴン：ATK３１００ 　ふふふ…ふははははは！！ 　思ったとおりだ、実に見事！素晴らしいぞ！！ 　俺にレッド･デーモンを召喚させて尚、此処まで粘ったデュエリストは初めてだ！ 　だが、楽しい時間もそろそろ終りだ。 　「装備魔法『巨大化』をレッド･デーモンに装備！ 　　俺のライフが相手よりも低い場合、装備モンスターの攻撃力を倍にする！！」 　『オォォォ…！！』 　煌魔龍　レッド･デーモン：ATK３０００→６０００ 　行くぞ、レッド･デーモンで、アマゾネス･ガーディアン･ドラゴンに攻撃！『アブソリュート･ヘル･バーン』！ 　――ゴォォォォ…！！ 　「く…ちくしょぉぉ！！」 　弥生：LP１５００→０ 　今回は俺の勝ちだが…楽しいデュエルをさせてくれた事に礼を言うぞ。 　「いんや、アタシこそ楽しませてもらったよ。 　　こんなに気分が盛り上がって高揚するデュエルは、サテライトでも遊里以外の相手じゃ味わえないからな。」 　「遊里？」 　「サテライト最強のデュエリストだ……アタシよりも倍は強い奴さ。」 　なに、お前の倍だと！？ 　それ程の奴が居るのか、このサテライトには！！ 　「居るよ。その遊里に言わせればサテライトのデュエリストのレベルはシティのレベルより格段に高いそうだ。」 　「何と…」 　だが良い事を聞いた、そいつの所に俺を連れて行け！ 　俺はマダマダ喰い足りんのだ！！ 　「決闘狂だねシティのキング様も…ま、良いか。 　　案内してやるから付いてきな、今の時間なら多分広場に居るはずだからね。」 　「うむ、道案内を頼む。」 　遊里か…果たしてどんなデュエリストなのだ？…鼓動が止まらぬわ！ 　―――――― 　Side：遊里 　「集いし星の瞬きが、聖なる力を呼び覚ます。光射す道となれ！シンクロ召喚、切り込め『プリンセス・ヴァルキリア』！！」 　『ソロソロ終りにしましょう。』 　プリンセス･ヴァルキリア：ATK２５００ 　行くわよ？ 　プリンセスで神炎皇　ウリアを攻撃！ 　この瞬間にプリンセスの効果でウリアの効果は無効になり、攻撃力は０になる！ 　「あぁ〜〜残念〜〜。」 　神炎皇　ウリア：ATK１００００→０ 　「今回もアタシの勝ちね？…切り裂け『デュランダル･ブレイザー』！！」 　――ズバァァ！！ 　「きゃぁぁ！！」 　宇里亜：LP２０００→０ 　「あ〜あ…負けちゃった、やっぱり遊里は強いね♪」 　「宇里亜も強くなってるわよ？ 　　少なくとも同じ年の頃のアタシよりも全然強いわ。」 　やっぱりサテライトの荒波に小さい頃から揉まれていたからかしら？ 　アカデミアの初等部に入学させたら、間違いなく１ヶ月でTOPグループに食い込むわね宇里亜は。 　「お〜〜、やっぱ此処に居たか。」 　「弥生。」 　如何したの？この時間に此処に来るなんて珍しいじゃない。 　…って言うか一緒に居るのって、若しかしなくても『ジャック･アトラス』よね？ 　「ほう？サテライト住人ながら俺を知っているか。…貴様が『上条遊里』か？」 　「如何にもアタシが『上条遊里』だよ。 　　ソレはソレとして、生憎シティ出身なモンで…絶対王者ジャック･アトラスの事は嫌でも知ってるわ。」 　そのキングが如何したの？ 　キングとも有ろうお方が態々足を運ぶ様な場所じゃあないと思うけど？ 　「ふん、俺が求めるのは強者との本気のデュエルのみ！ 　　俺をキングに仕立て上げた連中が用意する『勝てて当然』の相手とのデュエルにもいい加減飽きた。 　　真なる強者を…この俺に真に相応しい強敵を求めてやってきたのだ、このサテライトにな！！」 　「成程。」 　そう言う事ね。 　って事は既に弥生とはデュエル済み？…如何だった？ 　「シティの奴等よりも格段に強かった…俺が勝ったがな。 　　だが、コイツの言う通りならば貴様は更にコイツの倍は強いのだろう？ならば黙ってはいられまい！」 　いや、弥生の倍なんて流石に… 　「昨日でついにアタシの１０連敗だけどね。」 　「…そうでした。」 　流石に２倍とは行かなくても１．２５倍位は強いかも知れないわね。 　けどまぁ、デュエルを売るって言うなら喜んで買うわよ？ 　Dホイールまで持ってきてるって事はライディング希望？ 　「無論！ライディングデュエルこそが真に力を発揮できる！」 　「ソレには賛成…じゃぁ早速始めましょうか？………アレ？」 　――ヒィィィン…！ 　「デッキが光ってる！？」 　「俺のデッキも光を…！！」 　は？ジャックにも！？ 　でも、どうして行き成り？ 　――キィィィン……ドクン、ドクン…！ 　デッキから鼓動が！！ 　此れは、若しかして共鳴してるって言うのアタシのデッキとジャックのデッキが！ 　ジャックのデッキには居るのね…仲間が！ 　だから私に伝えてくれたんでしょ……『輝天龍　シルバー･ウィンド』…！！ 　　Ｔｏ　Ｂｅ　Ｃｏｎｔｉｎｕｅｄ…　 　登場カード補足 　炎滅の龍　トライデント 　レベル８　　　　炎属性 　ドラゴン族/シンクロ 　チューナー＋チューナー以外のモンスター１体以上 　このカードが相手の守備モンスターを攻撃したとき、攻撃力が守備力を上回っていればその数値分の戦闘ダメージを相手に与える。 　このカードは１ターンに１度だけ魔法カードの効果を受けない。 　ATK２７００　　　　DEF２２００ 　炎滅の舞姫 　レベル４　　　　炎属性 　魔法使い族/効果 　このカードが相手モンスターを戦闘で破壊した場合に発動できる。 　相手に破壊したモンスターのレベル×１００ポイントのダメージを与える。 　ATK１９００　　　　DEF０ 　王者の決断 　通常罠 　自分フィールド上に「王」と名のつくモンスターか「煌魔龍　レッド･デーモン」が表側表示で存在する場合にのみ発動できる。 　相手の魔法･罠･モンスター効果の発動と効果を無効にして破壊する。 　鉄釘入りダイナマイト 　通常罠 　相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。 　攻撃モンスターを破壊して、相手に７００ポイントのダメージを与える。