Side:遊里


黒い痣――黒い蜘蛛の痣を持った謎の相手とのデュエル…何者かは知らないけど、アタシを沈めるですって…やってみなさいよ、出来るならね。
悪いけどアタシは強いわよ?アンタがどれほどかは知らないけど負ける気は更々ない…うぅん、アタシが勝つ!

「先攻は貰うわ!アタシのターン……『磁石の戦士β+』を召喚!」
磁石の戦士β+:ATK1700


磁石の戦士β+の召喚に成功した時、デッキから『磁石の戦士α−』を特殊召喚するわ!


磁石の戦士α−:ATK1400


更に、アタシのフィールド上に『磁石の戦士β+』と『磁石の戦士α−』が存在する時、手札の『磁石の戦士γ+』を特殊召喚できる。


磁石の戦士γ+:ATK1500


「1ターン目から3体のモンスターを……中々の腕前だな…」

「其れはどうも……だけど此れだけじゃないわ!
 アタシはフィールド上の『磁石の戦士α−』『磁石の戦士β+』『磁石の戦士γ+』をゲームから除外!
 超電磁の時空より、今此処に最強の磁力戦士が降臨する!!特殊融合!出でよ『磁石の戦士−マグネット・バルキリオン±』!」

『覇ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!』
磁石の戦士−マグネット・バルキリオン±:ATK3500


先攻ターンは攻撃できない…カードを1枚セットしてターンを終了するわ。
さて、黒い蜘蛛の痣を持った貴方は、一体どんなデュエルを見せてくれるのかしら?……せめて、アタシをがっかりさせないでよ。











異聞・遊戯王5D's Turn28
『−レベルの黒きシンクロ』










「行き成り攻撃力3500の超大型モンスターか……だが、そんなモノは恐るるに足らん…私のターン!!
 ……私は『ダーク・シールド』を守備表示で召喚!」
ダーク・シールド:DEF1800


「そして、私のフィールド上に攻撃力500以下のモンスターが存在する場合、ダークチューナ『DT−ローレベルハンター』を特殊召喚できる!」
DT−ローレベルハンター:ATK0


ダークチューナー?…聞いた事がないわ。
それにそのモンスターは最上級モンスターの筈なのに攻守は0って……アタシを舐めてんの!?


「慌てるな…直ぐに分かる――

「分かるって何が?」

「ダークチューナーの役割だ……。
 シンクロ召喚は、チューナーとチューナー以外の素材モンスターのレベル合計と等しいレベルのモンスターを呼び出す技法。
 だが、我等の様な闇の世界の住人には、其れとは全く別のシンクロ召喚が存在している。
 其れこそが素材モンスターのレベルからダークチューナのレベルを引いた値で行う闇のシンクロ召喚――ダークシンクロ。」


だ、ダークシンクロですって!?
けどちょっと待ちなさいよ、素材からチューナーのレベルを引いた値でモンスターをシンクロ召喚するのは良く分かったんだけど…無理じゃない?
一歩間違えればレベルはマイナス……そんなカードは存在していない筈よ!?


「いや、存在しているのだ…我等闇の住人には−死の世界に相応しい−レベルを持ったモンスター達がな!!」

「−レベルのシンクロモンスターが存在するって言うの!?」

−レベルのモンスターなんて聞いた事がないわ……一体どんな力を持ってるって言うのよ…?


「−レベルか…見た事も聞いた事もないモンスターだがさぞかし強力なモンスターなのだろうな。
 だが、貴様は戦う相手を間違えたようだ……例え未知のモンスターだろうと、遊里が屈すると思っているのか?
 コイツは、この俺…絶対王者たるジャック・アトラスと引き分けたほどのデュエリストだ!貴様如きに後れを取るなど絶対に有り得ん!!」

「ジャック!……だよねぇ?絶対王者と同等の無敵女帝がこんな所で負けるなんて有り得ないわね!」

いいわ、来なさいよ!ダークシンクロだろうとなんだろうと、アタシは絶対に負けない…負けてあげる気はない!!


「くくく…その強気の姿勢が恐怖で崩れるのを想像すると実に愉快な気分になる……では望み通り見せてやろう、ダークシンクロを…!
 私はレベル2のダークシールドに、レベル8のローレベルハンターをダークチューニング!」


!?
普通のシンクロ召喚みたいにチューナーがシンクロのリングを作らないで、レベル分の光の玉が素材モンスターに取り込まれた?


――バチィ!!


な、此れは!!…今度は素材モンスターから黒い玉が!
さっきと違って今度は6つ…チューナーのレベルから素材モンスターのレベルを引いた数……いや、逆よね。
素材モンスターからチューナーのレベルを引いた数…つまり−6!黒い玉は−レベルの証って事か……!


「闇と闇重なりしとき、世界は漆黒に包まれる……覆い尽くせ暗闇!ダークシンクロ……現れよ『炎獄のヘルベリアル』!!」

『グガァァァァァァァ!!!』
炎獄のヘルベリアル:ATK2500



炎獄のヘルベリアル…此れがダークシンクロモンスター!!
流石にダークと言うだけあって禍々しい見た目ですこと……炎を纏った獅子面のケンタウロスとでも言えばいいのかしら此れは…不気味ね。


「炎獄のヘルベリアルの効果発動!
 このカードのダークシンクロに成功した時、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスターを全て破壊する!!」

「な!?マジで……何よその凶悪効果は…!!」


――ガシャァァァァン!!


く…表側のモンスターを全て破壊するなんて――攻め込まれても、コイツを呼び出したら一気に状況逆転じゃない!
だけど、アタシは簡単には屈しない!

「マグネット・バルキリオン±の効果発動。
 このカードが破壊された時、ゲームから除外されているモンスター1体を、自分フィールド上に特殊召喚できる!
 マグネット・バルキリオン±の魂に導かれ、異次元より帰還せよ『磁石の戦士γ+』!!」
磁石の戦士γ+:DEF1800


「ほう……だが、その手度の雑魚ではヘルベリアルの敵ではない!更にヘルベリアルは貫通効果を持ったモンスターだ!!
 バトルだ!炎獄のヘルベリアルで、磁石の戦士γ+に攻撃!!『炎獄葬送』!!!」


――ゴォォォォ!!!


「ぐ…きゃぁぁぁぁあぁぁぁぁぁ!!!!」
遊里:LP4000→3300


何て強烈なフィール……闇の力を受けたフィールってところかしらね……
だけど駄目ね、幾ら強烈でもこのフィールには魂が籠ってない――其れじゃあアタシの闘志には届かないわ!

「トラップ発動『魂の綱』
 アタシのモンスターが破壊された時、ライフを1000ポイント払って、デッキからレベル4以下のモンスターを特殊召喚する!
 この効果で、アタシはデッキから『チューニング・サポーター』を特殊召喚!」
チューニング・サポーター:DEF300
遊里:LP3300→2300


「お得意のシンクロへの布石か?
 ふふふ…良い事を教えておいてやろう、ヘルベリアルは戦闘では破壊できんモンスターだ。
 お前が行くらシンクロで攻撃力の高いモンスターを呼び出そうと、ヘルベリアルを倒す事は出来ん!ターンエンドだ。」


ふ〜ん…戦闘耐性持ちね……だったら戦闘以外で破壊するまででしょ?
アタシのターン!チューナーモンスター『月夜のシルバー・フォング』を召喚!


月夜のシルバー・フォング:ATK1200


チューニング・サポーターはシンクロ素材となる時、レベル2のモンスターとする事が出来るわ。


チューニング・サポーター:Lv1→2


此れで準備完了!
レベル2になったチューニング・サポーターに、レベル3の月夜のシルバー・フォングをチューニング!
集いし絆が、此処に新たな力を誘う。光射す道となれ!シンクロ召喚、羽ばたけ『ヘル・カースド・ドラゴン』

『ゴアァァァァ!!』
ヘル・カースド・ドラゴン:ATK2000


戦闘破壊が出来ないなら、効果破壊するまでよ。
ヘル・カースド・ドラゴンはドラゴン族以外のモンスターと戦闘を行う時、ダメージ計算を行わずに相手モンスターを破壊する。
ヘルベリアルの種族は確か『悪魔族』だったわよね?


「…貴様…!!」

「地獄の呪いを宿した龍は、同じ龍の眷属でなければ倒せない!
 頼むわよヘル・カースド・ドラゴン!炎獄のヘルベリアルを地獄の業火で焼き尽くせ!『カーズ・フレア』!!」


――ゴォォォォ!!!


ヘルベリアル焼殺!ターンエンドよ。


「小娘が…だが、この瞬間にヘルベリアルの効果発動!
 ヘルベリアルは効果破壊されたターンのエンドフェイズに復活し、相手に1000ポイントのダメージを与える!
 くくく…蘇れ炎獄の覇者よ!そして、憎き相手に炎の制裁を与えろ!!!!」

『ガァァアァァァァッァ!!!』
炎獄のヘルベリアル:ATK2500


卑怯効果ここに極まれりね――何とも厄介なモノが出て来たものだわ…!


遊里:LP2300→1300


「私のターン!……残りライフ1300か…此れは決まったな。
 私はヘルベリアルで、ヘルカースド・ドラゴンを攻撃する!!『炎獄葬送』!!!!」


――ゴォォォォォ!!


その炎は届かないけど…でも、ヘル・カースドの効果で効果破壊されるから…エンドフェイズに復活する!!


「その通りだ……お前に苦痛の炎を放ってな…ターンエンド!そして炎獄の覇者は蘇る!!」
炎獄のヘルベリアル:ATK2500


「く……!!」
遊里:LP1300→300


此れは、流石に結構追いつめられたわね……
次のアタシのターンで『アレ』を引く事が出来なかったら一巻の終わり――だけど、アタシは負ける気はない。
アタシのデッキなら、きっと応えてくれるはずだから。


「ライフも風前の灯だな…」

「そう?風前の灯火でも、消えなければ再び燃える事は出来る!アタシのターン!!」

アタシのデッキ…アタシの最強の相棒……貴方達の力を貸して!……ドロー!!

「………!」

来た!!……このデュエルは、このターンで終わらせるわ!


「なに?」

「アタシは手札から魔法カード『死者蘇生』を発動!此れで墓地の『磁石の戦士−マグネット・バルキリオン±』を蘇生する!」

『覇ぁぁぁ!!』
磁石の戦士−マグネット・バルキリオン±:ATK3500



更にアタシは魔法カード『フォース』を発動!
相手モンスター1体の攻撃力を半分にし、その数値をアタシの場のモンスターの攻撃力に上乗せする!
これで、ヘルベリアルの攻撃力は2500の半分……1250ポイントになり、其の力はマグネット・バルキリオン±に上乗せされる!!


炎獄のヘルベリアル:ATK2500→1250
磁石の戦士−マグネット・バルキリオン±:ATK3500→4750



「こ、此れは…まさか!!」

「デッキが応えてくれた…貴方を倒せってね。
 ヘルベリアルは確かに凶悪だけど、効果破壊された時に復活するのはエンドフェイズって言うタイムラグがある…そしてそれが最大の弱点!
 効果破壊した上で貴方のライフを上回るダメージを叩き込めばそれでゲームエンドよ!」

行くわよ…バトル!
ヘル・カースド・ドラゴンで、炎獄のヘルベリアルに攻撃!『カーズ・フレア』!!


『シャァァァアァァァ!!!』


――ゴォォォォォォォォ!!!


「ば、馬鹿な…!!!」

「此れで終わり!マグネット・バルキリオン±でダイレクトアタック!『マグネット・エクスカリバー』!!!」

『トゥアァァアァァ!!』


――ズバァァァア!!!


「ぬ…ぐわぁぁぁぁあぁぁぁ!!!!!!」
黒い痣の男:LP4000→0(Over kill)


ふぅ……死者蘇生を引き当てられなかったらやばかったわね……応えてくれたデッキに感謝だわ。
さてと…コイツは如何したモンかなぁ……黒い蜘蛛の痣って滅茶苦茶怪しいんだけど――ちょっと、大丈夫?


「う……いってぇ……ん?アレ……此処何処だ?」

「は?」

「何を言っている?」

「って!!うおわ、何だよこのダサいフード付きローブは!!こんなの俺の趣味じゃねえっての!!」


え〜と……あの、大丈夫?


「え?……うおぉぉぉぉぉ!!!アンタ上条遊里だろ!大会で優勝した!
 其れにそっちは、絶対王者ジャック・アトラスじゃねぇか!!
こんな場所で有名人2人に出会えるなんて、俺ってラッキー!!」


ちょ、キャラが違いすぎじゃない!?
さっきデュエルしてた時とはまるで別人――!!まさか、この人は操られていたって言うの?


「その可能性は否定できん――いや、恐らくそうなのだろうな。
 デュエル中と今ではまるで別人だし、デュエル中の記憶は無いように見えるからな。
 だが、気に入らんな……他者を操り、自分からは出向かない等、礼を失するにも程がある――クズが。」


その意見には全面賛成するわよジャック。
けど、取り敢えずは此処から離脱した方が良さそうね?


――ファンファンファン!!


セキュリティが近づいてきてるし、見つかったら面倒だから。
貴方も今すぐ離脱した方が良いわ、セキュリティってのは権力翳して何して来るか分からない連中が大半占めてるからね。


「え?……お、おう!!」


うん、それじゃあね!




それにしても、彼を操っていたのは一体誰?
そして、マイナスのレベルを持つ未知のダークシンクロモンスター……確実に只ならない事が起きているわよね…?


ただ一つ言えるのは、近い内に黒い痣を持ったデュエリストとはまた相見える事になる――確実にね…








――――――








Side:???


ほう…手駒相手とはいえダークシンクロを倒すとは見事だ上条遊里……流石は赤き竜のシグナーと言うところか。
だからこそ倒し甲斐があると言うモノだがな。

「お前の出番はそう遠くない…邪神の力を扱えるようにしておけ。」

「言われなくてもその心算よ…」


くくく…ダークシグナーの数も増えて来た……そろそろ仕掛けるか。



さぁ、5000年ぶりの宴の開幕だ!!!














 To Be Continued… 






登場カード補足



炎獄のヘルベリアル
レベル−6    炎属性
悪魔族・ダークシンクロ/効果
チューナー以外のモンスター−ダークチューナー
このカードはシンクロ素材となるチューナー以外のレベルからダークチューナーのレベルを引き、
その数値が−6に等しい場合のみシンクロ召喚することができる。
このカードのシンクロ召喚に成功した時、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスターを全て破壊する。
このカードが相手の守備モンスターを攻撃した場合、攻撃力が守備力を超えていればその数値分の戦闘ダメージを相手に与える。
このカードは戦闘によっては破壊されない。
このカードが効果で破壊された場合、エンドフェイズにこのカードを墓地から特殊召喚し相手に1000ポイントのダメージを与える。
ATK2500    DEF2500



DT−ローレベルハンター
レベル8    闇属性
悪魔族・ダークチューナー
自分フィールド上に攻撃力500以下のモンスターが表側表示で存在する場合、このカードは特殊召喚できる。
ATK0    DEF0



ダーク・シールド
レベル2    闇属性
機械族・効果
このカードは1ターンに2度まで戦闘では破壊されない。
ATK0    DEF800