Side:遊里
目の前のこの光景…アレは如何見てもアタシとジャックだわ。
其れに、あの2人が召喚したのはシルバー・ウィンドとレッド・デーモンで間違いない………此れは、まさか過去の映像だとでも言うの?
アタシとジャックの前世とも言えるような2人の男女が何かに立ち向かうこの光景が。
しかも、此れは赤い竜が吠えた直後に起こった――つまりはあの赤い竜が見せてるとみて間違いないでしょうね。
「うむ…あの赤き竜が、俺達にこの光景を見せていると考えて間違いなかろう。
だが、俺達の腕に謎の痣が出現したのと略同時に現れた赤き竜、そして赤き竜の咆哮で見る事となったこの光景……恐らくは全てが繋がっているのだろう。」
「でしょうね…少なくとも無関係とは思えないわ。」
何よりも気になるのは、ジャッキーって呼ばれてたジャック似の男性が言っていた『破滅の究極神』…其れって一体何なの?
ユウリとジャッキーは其れを止めるために、夫々龍を従えて究極神に挑んだ…?
だけど、映像が進み、その究極神との戦いではユウリもジャッキーもまるで刃が立っていなかったわ…究極神の力は2体の龍をも寄せ付けない。
瀕死の重傷を負ったユウリとジャックは其れでも立ち上がり…
『銀龍の魂よ…救世の力を宿して現れよ!!』
『紅蓮の魔龍よ、更なる力を宿して、究極神を打開せよ!!』
魂を燃やして新たな龍を――――!!
異聞・遊戯王5D's Turn25
『全力の果てに待つものは…』
呼び出したものの、其の力を持ってしても究極神を完全に倒すには至らなかった。
最後の最後でユウリが文字通り命懸けの特攻を行って、漸く究極神を封印するに至った…
『バカな……何と言う無茶を!…確りしろユウリよ、今すぐ治療師のところの連れて行ってやる!』
『あはは…ダメよジャッキー……アタシは今の一撃で全ての力を使ってしまった……限界を超えたこの身体はもう持たないわよ…
もうダメなのは自分で分かってるんだ……だから、私を助けるよりももっと多くの人を助けてあげて……彼方ならできるわよジャッキー…頼んだわ…』
『ユウリ?おい、しっかりしろユウリ!ユウリーーーーーーーーーー!!!!!!』
――バァァァァァァン!!!!!
!?………此処はスタジアム?……戻って来た?
『な、何だぁ今の閃光はぁ!?一瞬不思議な光景が目の前に現れたと思った瞬間に何かが頭の中に流れ込んできた〜〜〜〜!?
しかも気が付きゃ、あの竜は何時の間にか居なくなって居る〜〜〜〜〜!!一体何だったんだ、今のは!?
いや、今は赤い竜やその他のことは置いておこう!今、俺達にとって重要なのは、遊里とジャックのデュエルの結末だけだ〜〜〜〜〜!!!』
遊里:LP1300 SC7
輝天龍 シルバー・ウィンド/バスター:ATK3700
マジシャンオブ・カオス・ヴァルキリア:ATK3700
漆黒魔族ギルファー・デーモン:ATK2900
ジャック:LP1400 SC8
煌魔龍 レッド・デーモン/バスター:ATK2300
天刑王 ブラック・ハイランダー:ATK2600
間違いない、此処はスタジアムでアタシとジャックのデュエルは続行されてる。
だけど、今のは一体何?何時の間にか赤い竜の姿も消えてるし、腕の赤い光も消えてる――其れにあの光景は……本当にアタシの過去だとでも言うの?
アタシとユウリが何の関係もない他人の空似とは思えない……彼女がシルバー・ウィンドを使っていたからかもしれないけど。
多分ジャックも同じよね…ジャッキーって呼ばれてたのが使っていたのはレッド・デーモンだったんだから。
「今のは一体…?」
「やっぱりジャックも見たのね?……一体何だったんだろう、今のは…?」
「分からん……分からんが――今は赤き竜と謎の光景の事はおいておこう。
再びこうしてスタジアムに戻って来たのだ、先ずは俺とお前のデュエルの決着を付けようではないか!!」
…其れもそうね。
赤い竜の横槍で中断されちゃったけど、デュエルはまだ終わってないモノ。
アタシの攻撃宣言からだったわよね?改めて、シルバー・ウィンド/バスターでレッド・デーモン/バスターに攻撃!『ストーム・ソニック・バスター』!!
『仕切り直しだ、我が友たる魔龍よ!!』
『おぉっと、謎の赤い竜の閃光で中断されたバトルだが、改めての攻撃宣言!
互いのエース同士のぶつかり合いは、果たしてどちらが勝利するのか〜〜〜〜〜!!!』
このバトルが成立すれば、後はそのまま押し切る事も出来るけど……あの3枚のリバースは確実に何かを狙ってるわよね?
「ふ、攻撃は続行か……だが、王者の魂は簡単には砕けん!
トラップ発動『王者の奇策』!相手が俺のモンスターを攻撃する時に発動!
相手の攻撃モンスターの効果を無効にし、攻撃力を攻撃対象としたモンスターの攻撃力と同じにする。
更に、このカードの対象になったモンスターは、このターンこのカード以外のカード効果を受け付けん!!」
輝天龍 シルバー・ウィンド/バスター:ATK3700→2300(効果無効、効果耐性)
んな!!そんな効果でシルバー・ウィンド/バスターの攻撃力を変化させてくるなんて!
しかも、王者の奇策以外のカード効果を受け付けないんじゃ、このカードは今発動しても無意味ね…
/バスターが破壊された時こそが本当の勝負よ!!
――バガァァァァァァァァァァァン
く……何て衝撃!!…バスター化したシルバー・ウィンドとレッド・デーモンがぶつかり合うと此処までの衝撃が巻き起こるなんて…!
此れで2体の龍は破壊された…だけど、分かってるわよねジャック?
「無論!
バスターモードの鎧を纏っていたモンスターが破壊された時、元となったシンクロモンスターが墓地より蘇る!
灼熱の炎をその身に纏い、冥界より蘇れ『煌魔龍 レッド・デーモン』!!」
『バオォォォォ!!』
煌魔龍 レッド・デーモン:ATK3000→2500
「まだまだこれからよ!冥府より、風と共に舞え!『輝天龍 シルバー・ウィンド』!」
『まだまだ此処からだ。』
輝天龍 シルバー・ウィンド:ATK2500→2800
『なんと〜〜〜!!派手に吹き飛んだと思われたが、レッド・デーモンとシルバー・ウィンドは鎧を脱ぎ捨てて健在!
そして、鎧を脱ぎ捨てたシルバー・ウィンドにはまだ攻撃の権利が残されている!!さぁ、此処からどのような攻防が見られるのか〜〜〜!!』
さてね?
だけど、MCさんの言うようにシルバー・ウィンドはまだ攻撃出来る。
追撃!輝天龍 シルバー・ウィンドで、煌魔龍 レッド・デーモンに攻撃!『シューティング・ストリーム』!!
「矢張り攻撃して来たか!だがそうでなくては!
トラップ発動『王者の魔眼』!!俺の場に、レッド・デーモンが存在する限り、相手モンスター1体の効果を封じる。
この効果で、ギルファー・デーモンの効果を無効にする!!」
輝天龍 シルバー・ウィンド:ATK2800→2500
マジシャンオブ・カオス・ヴァルキリア:ATK3700→3400
漆黒魔族ギルファー・デーモン2900→2600
煌魔龍 レッド・デーモン:ATK2500→3000
天刑王 ブラック・ハイランダー:ATK2600→3100
効果を無効に!!……これじゃあ返り討ちになっちゃうけど、シルバー・ウィンドには更なる効果があるわ。
自軍のカードを破壊から護り、其の効果の対象となったモンスターの攻撃力は500アップする。
この効果をシルバー・ウィンド自身に適応し、シルバー・ウィンドはこのターン破壊されず攻撃力が500ポイントアップする!
輝天龍 シルバー・ウィンド:ATK2500→3000
「此れで終わりにするわジャック!!手札からスピードスペル『Sp−ノーリミット・ストライク』を発動!
アタシのスピードカウンターが7個以上ある時、このカードは速攻発動が可能になる!」
流れたデュエルでは発動しきれなかったカード……アタシ達のデュエルを締めくくるにはこれ以上のカードは無いわ。
このカードの効果で、シルバー・ウィンドに私の場の他のシンクロモンスターの元々の攻撃力の合計値を攻撃力に加える。
アタシの場のシルバー・ウィンド以外のシンクロモンスターはギルファー・デーモン1体…その元々の攻撃力2200をシルバー・ウィンドの攻撃力に加える!
これにより、シルバー・ウィンドの攻撃力は5200!!!
輝天龍 シルバー・ウィンド:ATK3000→5200
「この場で攻撃力5200とはな。
しかし遊里よ、俺はお前がそのカードを使ってくる事は予想していたぞ!
トラップ発動『王者の疾風』!このカードの効果で、このターン俺が受けるダメージは相手も受ける!!」
!!此処でそのカードを!
こうなった以上は、アタシもジャックもライフは0になるわ……普通のデュエルなら引き分けでしょうね。
だけど、ライディングデュエルに引き分けは有り得ない!
互いにライフがゼロになるなら、其処からはフィール勝負―――其れを制した方が勝者となるわ!!
「その通りだ!此処からは俺とお前のフィール勝負!遊里、お前の渾身のフィールを俺に叩き込んでみろ!!」
――グン!!
急加速!!…言われるまでもないよジャック!
アタシの最強最大のフィールを、文字通り全力で貴方に叩き込むわ!!
――グオォォォォン!!!!
『なんとーーーー!エキシビジョンの決着は、フィール勝負にもつれ込んだ〜〜〜!!!
ジャックも遊里も限界ぶっちぎりの急加速!!最大級のフィールの激突に俺の心もアクセル全開の大興奮だ〜〜〜〜!!!!』
「行くわよジャック!アタシの最大のフィール、『ブリッツ・フィール』!!!!」
「受けて立つぞ遊里!!見るが良い、俺の最強フィール、『フィール・バニッシュメント』!!」
――キィィィィィン…ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!!
『なななななな、何と言う衝撃ーーーー!!フィール緩衝装置を発動しても此れだけの衝撃を感じるとは、其れを実際に喰らった2人は無事なのか!?』
――シュゥゥゥゥゥ…
「く…俺のフィール・バニッシュメントをもってしても此れほどとは…」
ジャック:LP1400→0
「ぶっちゃけよく無事だったわねアタシ等…普通なら吹っ飛んでるんじゃないの此れ…」
遊里:LP1300→0
『此れは…2人とも無事だーーー!!Dホイールは派手に破損しているがジャックも遊里も健在!
デュエル・オブ・フォーチュンカップのエキシビジョンは、全力の末の引き分けだ〜〜〜〜〜〜!!!!!』
引き分けか…だけど、良いデュエルだったわよねジャック?
「勿論だ…お前のフィール、確かにこの身に刻み込んだぞ。」
「貴方のフィールもね。最高のデュエルだったわよジャック。」
――グラリ…
……あれ?…な、何か力が…
――――――
Side:ジャック
――グラリ…
遊里!!!如何したと言うのだ行き成り!!何とか支える事は出来たが、突然糸の切れた操り人形の様に崩れるとは…
おい遊里、如何した!大丈夫か!!
「………………」
「遊里………………!!!!」
此れは…何と言う熱だ!ただ事ではない。
医療班、担架を用意しろ!今すぐ遊里を病院へ!!この熱は普通ではない……兎に角早くしろ!!!
一体お前に何が起きたと言うのだ……確りしろ遊里!遊里ーーーーーーーーーーーー!!!!
To Be Continued… 
登場カード補足
王者の奇策
通常罠
相手モンスターが自分のモンスターを攻撃する時に発動できる。
そのモンスターの効果は無効となり、攻撃力は攻撃対象にしたモンスターの攻撃力と同じになる。
そのモンスターはエンドフェイズまでこのカード以外のカード効果を受けない。
王者の魔眼
通常罠
自分フィールド上に「煌魔龍 レッド・デーモン」が表側表示で存在する場合にのみ発動できる。
相手フィールド上のモンスター1体を選択し、選択したモンスターの効果を無効にする。
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