Side:龍可


遊里とジャックのデュエルの最中に突然現れた赤い竜――アレは一体何なんだろう?
嫌な感じはしないけど、物凄く大きな力を感じる…


――ヴォン…


!!な、なに?行き成り私の右腕に――此れは痣?…ドラゴンの腕みたいな赤く輝く痣……赤い竜とは関係があるよね多分…


「うわっ!龍可其れ何!?大丈夫なの!?」

「もう、騒がないでよ龍亞!少し腕が疼くけど、痛いとかそう言うのはないから大丈夫。」

「本当に!?……良かった〜〜〜…イキナリ龍可に変な模様が出て来たからビックリしちゃったよ。
 だけどさ、その痣なに?…何か竜とかドラゴンの爪っぽい?……あの赤い竜と何か関係があるのかな?」


其れは分からないけど、多分無関係じゃないと思う。
おまけにあの竜はデュエルフィールド――遊里とジャックのすぐそばに現れたでしょ?……若しかしたら遊里とジャックにも私と同じような痣が浮かんでるのかも。


詳しい事は良く分からないけど、遊里とジャックのデュエルが決着した果てに答えがある気がする。
其れこそどっちが勝っても……だけど、私は貴女に勝ってほしい――負けないで、遊里!











異聞・遊戯王5D's Turn24
『Just Strike Over load!』










遊里:LP2400   SC6
輝天龍 シルバー・ウィンド/バスター:ATK3000
マジシャンオブ・カオス・ヴァルキリア:ATK3000


ジャック:LP2800   SC7
煌魔龍 レッド・デーモン/バスター:ATK3500




Side:遊里


一体なんだってのよ、この赤い竜は?
少なくともソリッドヴィジョンで投影されたモンスターの姿じゃないわよね?――アタシもジャックっもこんなモンスターは召喚してないんだから。


『此れは一体何なんだ〜〜!?突如フィールドに現れた巨大なレッドドラゴン!デュエルモンスターズのモンスターでは無いようだが〜〜〜!?
 もしや、絶対王者と無敵女帝の激しいデュエルのフィールが、遠い地の果てに封印されていたドラゴンを呼び覚ましたとでも言うのか〜〜〜!!!』



「…凄いわねジャック!アタシ達のデュエルはドラゴンまで観戦に来るレベルだって!」

「如何やらその様だな?ならば、その最強種が観戦するに相応しいデュエルをしなくてはなるまい!!」


まぁ、其れすらデュエルの演出として利用させてもらうけどね!MCさん見事な実況だし。


其れに、今はこの竜よりもデュエルに集中。何か出て来たけど、デュエルの邪魔するわけじゃないみたいだから放置しても問題なさそうだし。
さてと…如何したモンかな?シルバー・ウィンド/バスターとカオス・ヴァルキリアの効果を使えば、レッド・デーモン/バスターは超えられる。
だけど、其れだけじゃ何て言うか物足りないのよね――となると、やっぱ此れしかないか。

「アタシは手札から、スピードスペル『Sp−シルバー・コントレイル』を発動!
 アタシのスピードカウンターが5個以上あるとき、アタシのフィールド上の風属性モンスター1体の攻撃力をエンドフェイズまで1000ポイントアップする!」

この効果でシルバー・ウィンド/バスターの攻撃力を1000ポイントアップ!
更に、シルバー・ウィンド/バスターの効果を発動し、攻撃力は更に400ポイントアップする!


輝天龍 シルバー・ウィンド/バスター:ATK3000→4000→4400
マジシャンオブ・カオス・ヴァルキリア:ATK3000→3400


更にヴァルキリアの効果を発動し、レッド・デーモン/バスターの攻撃力を700ダウンさせる!!


煌魔龍 レッド・デーモン/バスター:ATK3500→2800


「俺のレッド・デーモン/バスターの攻撃力を下げた上で、自分は攻撃力4400とはな……お前も限界などは存在しないか!」

「する筈ないでしょ?デュエルの道に限界なんて終着点は存在し得ない!
 バトル!!輝天龍 シルバー・ウィンド/バスターで、煌魔龍 レッド・デーモン/バスターに攻撃!!『ストーム・ソニック・バスター』!!!」

並の相手なら、此れで倒されてくれるんだけど…


「攻撃力で上回り、そして迷わず攻撃か。
 確かに、この攻撃が通ればレッド・デーモン/バスターは破壊され、其の効果で墓地より鎧を脱ぎ捨てたレッド・デーモンが蘇る。
 そして、そのレッドデーモンをカオス・ヴァルキリアで破壊すれば一気にお前が有利となるだろう。
 だが、絶対王者の僕たるレッド・デーモンがそう易々と倒されると思うな!トラップ発動『亜空間物質転送装置』
 このカードの効果でレッド・デーモン/バスターはエンドフェイズまで亜空間に隔離され、お前のモンスターの攻撃は受けん!!」


成程ね…だけど、此れで貴方のフィールドはがら空きよジャック!
其れだけの無防備な姿を曝すからには何か策があるんだろうけど、アタシの攻撃は止まらない!シルバー・ウィンド/バスターでダイレクトアタック!!


「ふ…手札から『バトル・フェーダー』の効果を発動。
 俺がダイレクトアタックを受ける時、このカードを手札から特殊召喚してバトルを終了する。」
バトル・フェーダー:ATK0


バトル・フェーダー…其れが有ったからこそレッド・デーモン/バスターを亜空間に避難させた訳ね?
圧倒的なパワーも然る事ながら、中々如何して技も切れるじゃない。カードを2枚セットしてターンエンド!


輝天龍 シルバー・ウィンド/バスター:ATK4400→3000
マジシャンオブ・カオス・ヴァルキリア:ATK3400→3000



「この瞬間、レッド・デーモン/バスターは亜空間より帰還する!」

『バオォォォォォォォ!!』
煌魔龍 レッド・デーモン/バスター:ATK3500


「俺のターン!」


遊里:SC6→7
ジャック:SC7→8



「チューナーモンスター『星食王 スタークライマー』を召喚!」
星食王 スタークライマー:ATK0


「スタークライマーの効果発動!
 スタークライマーの召喚に成功した時、相手フィールド上のモンスター1体を選択し、そのモンスターのレベルまたはランクの半分の数だけ己のレベルを上げる。
 俺が選択するのは、レベル10のシルバー・ウィンド/バスター!よって、スタークライマーのレベルは5つ上昇する!」
星食王 スタークレイマー:Lv1→6


レベル上昇効果を持ったチューナー!
これで、レベル7のシンクロモンスターを呼ぶ事が出来る―――ジャックのデッキのレベル7のシンクロモンスターと言えば、もう1体のエースと言うべきアレね?


「レベル1のバトル・フェーダーに、レベル6となったスタークレイマーをチューニング!
 天頂に輝く死の星よ、地上に舞い降り生者を裁け!シンクロ召喚!切り刻め『天刑王 ブラック・ハイランダー』!!」

『ウオォォォォォ…!!』
天刑王 ブラック・ハイランダー:ATK2800



やっぱり来たわね、ブラック・ハイランダー!
だけど、幾ら強力なシンクロモンスターでも、攻撃力2800ならアタシのシルバー・ウィンド/バスターとカオス・ヴァルキリアの敵じゃないわよ?


「無論承知…其処でこのカードだ!『Sp−シンクロン・パワーユニット』!俺のスピードカウンターが7個以上ある時に発動!
 このカードは発動後、装備カードとなり自分フィールド上のシンクロモンスター1体に装備される。
 そして装備モンスターの攻撃力は1000ポイントアップする!」
天刑王 ブラック・ハイランダー:ATK2800→3800


「更に、スピードスペル『Sp−ストライク・ソニック』を発動!
 俺のスピードカウンターが6個以上ある時、俺のフィールド上の全てのモンスターの攻撃力を700ポイントアップさせる!!」
煌魔龍 レッド・デーモン/バスター:ATK3500→4200
天刑王 ブラック・ハイランダー:ATK3800→4500


攻撃力4000オーバーが2体ってマジで?
流石は絶対王者、やる事の派手さがハンパないわね――てか、ジャックが本気だしたらシティのデュエリストは殆ど瞬殺される気がするんだけど…

「此れは相当なフィールを覚悟した方が良さそうね…」

「受けてみろ遊里、絶対王者の本気のフィールと言うモノを!
 天刑王 ブラック・ハイランダーで、マジシャンオブ・カオス・ヴァルキリアに攻撃!『デス・ポーラ・スレイ』!!」


そうはさせないわ!シルバー・ウィンド/バスターの効果発動!
『防護の風鎧』がモンスターを破壊から護り、攻撃力は400ポイントアップする!


輝天龍 シルバー・ウィンド/バスター:ATK3000→3400
マジシャンオブ・カオス・ヴァルキリア:ATK:3000→3400


「その絶対防御には感服するが、ダメージまでは0にはならん!
 相手が不死であろうとも構わん!容赦なく断罪の鎌を振り下ろせ、ブラック・ハイランダー!!」

『オォォォォォォ!!!』


――ズバァァァ!!!



「きゃぁぁぁあ!!!」
遊里:LP2400→1300   SC7→6


く…破壊されないとはいえ、此れは可成り効きますね…!


ホントに凄いフィールよね…嫌でも燃えて来るじゃない!
カオス・ヴァルキリア…ゴメン、きついだろうけど耐えて!私だってやられるだけじゃないから!
カウンタートラップ『カウンターバスター』

「アタシが戦闘ダメージを受けた時に発動!相手に、アタシが受けた戦闘ダメージ+300ポイントのダメージを与えるわ!
 アタシが受けた戦闘ダメージは1100……よって1400のダメージが貴方に跳ね返るわよジャック!!」

「!!肉を切らせて骨を断つか!…むおぉぉぉぉ!!!」
ジャック:LP2800→1400    SC8→7


「くはぁ…俺のフィールを利用してのカウンターのフィールとは…良い威力だ。だが、俺にはまだレッド・デーモン/バスターの攻撃が残っている!
 レッド・デーモン/バスターで、シルバー・ウィンド/バスターに攻撃!『イクシード・クリムゾン・バーン』!!」


流石にそのダメージは通さないわ!
トラップ発動『ガード・ブロック』!この効果で、戦闘ダメージは0になり、アタシはカードを1枚ドローする。


「…二重の防御策と言う訳か。
 俺が力ならば、お前は技と言うところだな――カードを3枚伏せて、ターンを終了する!」


レッド・デーモン/バスター:ATK4200→3500
天刑王 ブラック・ハイランダー:ATK4500→3800



「アタシのターン!!」


遊里:SC6→7
ジャック:SC7→8


「アタシは手札からスピードスペル『Sp−サモン・スピーダー』を発動!
 アタシのスピードカウンターが4個以上ある時、手札のレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚するわ。
 この効果で呼び出すのは、チューナーモンスター『ジャッキー・ジャンパー』!」
ジャッキー・ジャンパー:ATK1000


そして『鉄鋼の巨兵』を守備表示で通常召喚!


鉄鋼の巨兵:DEF2000

「レベル6のシンクロか?
 だが、ブラック・ハイランダーが存在している以上、俺もお前もモンスターをシンクロ召喚する事は出来んぞ!」


分かってるわよ……ただし、ハイランダーの効果はあくまで『シンクロ召喚』が駄目なだけでしょ?


「む?」


つまりシンクロ召喚以外の方法なら、シンクロモンスターを特殊召喚する事は出来る!
手札からスピードスペル『Sp−同調の秘術』!
アタシのスピードカウンターが7個以上ある時に、アタシのフィールド上のチューナーとチューナー以外のモンスターを1体ずつゲームから除外して発動。
除外したモンスターのレベル合計と同じレベルのシンクロモンスター1体をエクストラデッキから特殊召喚する!


「シンクロ召喚ではない特殊召喚でシンクロモンスターを呼び出すか……ブラック・ハイランダーの穴を抜けて来たか。」

「其れ位はしないとでしょう?アタシは、レベル3の鉄鋼の巨兵に、レベル3のジャッキー・ジャンパーをゲームから除外してフェイクチューニング!
 集いし闘気が、まだ見ぬ未来を指し示す。光射す道となれ!轟け『漆黒魔族ギルファー・デーモン』!!」

『シャァァァ!!』
漆黒魔族ギルファー・デーモン:ATK2200


ギルファー・デーモンの効果で、アタシのフィールドのモンスターは攻撃力が300ポイントアップし、ジャックのモンスターは攻撃力が500ポイントダウンするわ!


輝天龍 シルバー・ウィンド/バスター:ATK3000→3300
マジシャンオブ・カオス・ヴァルキリア:ATK3000→3300
漆黒魔族ギルファー・デーモン:ATK2200→2500


煌魔龍 レッド・デーモン/バスター:ATK3500→3000
天刑王 ブラック・ハイランダー:ATK3800→3300



「更にシルバー・ウィンド/バスターの効果を発動し、アタシのモンスターは破壊耐性を得て攻撃力が400ポイントアップする!
 次いで、カオス・ヴァルキリアの効果で煌魔龍と天刑王の攻撃力は700ポイントダウンする!」


輝天龍 シルバー・ウィンド/バスター:ATK3300→3700
マジシャンオブ・カオス・ヴァルキリア:ATK3300→3700
漆黒魔族ギルファー・デーモン:ATK2500→2900


煌魔龍 レッド・デーモン/バスター:ATK3000→2300
天刑王 ブラック・ハイランダー:ATK3300→2600


このターンで決着を付けるわよジャック!!
アタシの渾身のフィール…其れを貴方に叩き込むわ!


「吠えるか!…良かろう、お前の全力のフィールを撃ち込んでくるが良い!!」

「えぇ…遠慮なくいくわ!
 輝天龍 シルバー・ウィンド/バスターで、煌魔龍 レッド・デーモン/バスターに攻撃!!『ストーム・ソニック・バスター』!!」



『クァァァアァァッァァァアァァッァァァァ!!!』


「「!?」」


赤き竜?…なに、この咆哮は―――!!



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・



……一体何が……!!な、何処よ此処は!!
アタシとジャックはスタジアムでデュエルをしてた筈なのに、何でこんな荒涼とした大地に……


「何だ此れは…!!」

「ジャックも来てたのね?」

恐らくは、あの赤き竜に仕業だとは思うけど…此処は一体?――ん?



破滅の究極神の覚醒だと?…そんなモノは断じて認めん!俺達の手で止めるぞユウリ!!

えぇ…アタシ達の手で止めましょう、ジャッキー!

うむ…出でよ『紅蓮の魔龍』!

ウェジュに眠りし銀龍の魂よ…召喚せよ!!


『バオオァァァァアァァァァァ!!』

究極神復活は認めん…!!



!!アレはアタシとジャック!?
其れに呼び出したモンスターはレッド・デーモンとシルバー・ウィンド!?……何よ此れ…一体何がどうなってるって言うの!?



















 To Be Continued… 






登場カード補足



Sp−シルバー・コントレイル
スピードスペル
自分のスピードカウンターが5つ以上ある場合に、自分フィールド上に表側表示で存在する 風属性モンスター1体を選択して発動する。
選択したモンスターの攻撃力はエンドフェイズまで1000ポイントアップする。



Sp−サモン・スピーダー
スピードスペル
自分のスピードカウンターが4つ以上ある場合に発動する事ができる。
手札からレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚する。 この効果で特殊召喚したモンスターは、このターン攻撃できない。



Sp−同調の秘術
スピードスペル
自分のスピードカウンターが7個以上ある時に、自分フィールド上のチューナーとチューナー以外のモンスターを1体ずつゲームから除外して発動する。
除外したモンスターのレベル合計と同じレベルのシンクロモンスター1体をエクストラデッキから特殊召喚する。



Sp−シンクロン・パワーユニット
スピードスペル
自分のスピードカウンターが7つ以上ある場合に発動できる。
このカードは発動後装備カードとなり、自分フィールド上に表側表示で存在するシンクロモンスター1体に装備される。
装備モンスターの攻撃力は1000ポイントアップする。



Sp−ストライク・ソニック
スピードスペル
自分のスピードカウンターが6個以上ある場合に発動できる。
エンドフェイズまで、自分フィールド上に表側表示で存在するモンスターの攻撃力は700ポイントアップする。



カウンターバスター
カウンター罠
自分が戦闘ダメージを受けた時に発動できる。
相手に自分が受けた戦闘ダメージ+300ポイントのダメージを与える。