遊里:LP1350
プリンセス・ヴァルキリア:ATK2500
遊戯:LP650
破滅竜ガンドラX:ATK4000
ブラック・マジシャン:ATK2500
Side:城之内
一瞬たりとも目が離せないデュエルってのは、きっとこう言う事を言うんだろうな。
遊戯は勿論だが、遊里も遊戯に後れを取ってねぇ……其れを考えると、遊戯と遊里の実力差は無いと考えて良いんじゃねぇかって思うんだ
が、オメェは如何思うよ海馬?
「知れた事を聞くな凡骨。
上条遊里のデュエルタクティクスは、遊戯と同等――或は『奴』に勝るとも劣らないレベルだろう。故にその決着は予想がつかんと言うのが
貴様の問いに対する答えだ。」
「……要するに分からねぇんだよな?」
「……奴等のデュエルは、データで解析出来るモノではないと言う事だ。」
ちょいと気になる部分はあるが、真のデュエリストの力は、データで解析できる物じゃないって事でOKみたいだな……遊戯は兎も角、遊里ま
で解析不能とは思わなかったぜ。
未来から来たデュエリスト、半端じゃないぜ!……まぁ、頑張れよ?遊戯は簡単に勝てる相手じゃないからよ!
「ふん、その程度貴様に言われずとも、奴ほどのデュエリストならば分かっているわ凡骨が。」
「海馬ぁ……テメェ、俺がプロデュエリストになったら、絶対に一発殴ってやる!!」
「やってみるが良い!!」
覚悟しとけよこの野郎!!
だが、今は遊戯と遊里のデュエルに集中だな……この戦いも、そろそろ決着が着く頃だろうからな。
異聞・遊戯王5D's Last Turn』
『永遠に続く戦いのロード』
Side:遊里
プリンセスの効果にチェーンしての『ファイナル・ギアス』で、アタシの戦術を崩しつつ、己のエースである『ブラック・マジシャン』を召喚して来る
とは、流石です遊戯さん。
だけどアタシだって負けませんよ?
手札から魔法カード『二重魔法』!手札の魔法カード『ワン・フォー・ワン』を墓地に送り、遊戯さんの墓地の『天よりの宝札』を発動し、アタ
シと遊戯さんの手札は6枚になる!
「そして更に魔法カード『異次元へのワームホール』!
互いに相手の墓地のカードを2枚選択して除外し、その後カードを2枚ドローする!!」
この効果で、アタシは遊戯さんの墓地のミラーフォースと六芒星の呪縛をゲームから除外します。
「なら僕は、君の墓地のガード・ブロックと死者蘇生を除外するよ。」
「そう来ましたか……でも、此れだけじゃありません!
魔法カード『異次元からの埋葬』!このカードの効果で、ゲームから除外されているモンスターを3体まで墓地に戻します。」
アタシはこの効果で、シルバー・ウィンド、ダーク・マジシャン・ガール、ギルファー・デーモンの3体を墓地に戻します。
此れで、次のターンへの布石が打てたけど、さて如何行くか?
効果で攻撃力を得ているガンドラXは、其の効果が無効にされた場合には攻撃力0になるから、プリンセスの攻撃がガンドラXに通ればアタ
シの勝ちなんだけど……多分そう簡単には行かないでしょうね。
何よりも、遊戯さんのフィールドに伏せられたカードが厄介よね。
ミラーフォースと六芒星の呪縛は既に使ったけど、このデュエルで遊戯さんは『魔法の筒』を使ってない……もしもあのカードが『魔法の筒』で
あったのならばアタシの負け……でも、攻撃しなかったら勝利をつかむ事は、まして最強のデュエリストに勝つ事なんて出来ない!!
だから此処は攻撃あるのみよ!!
プリンセス・ヴァルキリアで、破滅竜ガンドラXに攻撃!そして、この瞬間にガンドラXの効果は無効になり、攻撃力は0になる!!
破滅竜ガンドラX:ATK4000→0
「矢張り攻撃して来たね?君なら、たった1枚のカードに臆する事無く攻撃してくると思ったよ。
たけどその攻撃は通さないよ!トラップ発動『古代遺跡の罠』!
僕のライフが1000ポイント以下の場合に、墓地のトラップカードを1枚除外して発動!除外したトラップの効果を発動する!
僕がこの効果で除外して発動するのは『和睦の使者』!この効果でガンドラXは破壊されず、僕が受けるダメージも0になる!」
「そう来ましたか……魔法の筒を警戒してたんですけど、そう来るとは思いませんでした。
アタシはカードを1枚セットして、ターンエンドです。」
「僕のターン!
手札から魔法カード『二重魔法』を発動。手札の『手札抹殺』をコストに、君の墓地の『異次元からの埋葬』を発動。
除外されている破壊竜ガンドラ1体を墓地に戻す。」
戻したのは1体だけ?3体まで戻せるのにどうして?――しかも破壊竜ガンドラは、特殊召喚出来ない筈なのに……一体何を狙ってるのか
しら遊戯さんは?
本気で戦術が読めないわね。
「僕は更に、儀式魔法『カオスの儀式』を発動!
黒鉄の暴竜よ、その魂で混沌の道を作り出し、この地に超戦士を誘え!儀式召喚、現れよ『カオス・ソルジャー』!!」
『ハァァァァァァァァァ!!』
カオス・ソルジャー:ATK3000
此処でカオス・ソルジャー!
だけど、アタシにはくず鉄のかかしがあるから、攻撃を止める事は可能だわ。
「くず鉄のかかしが有るから、カオス・ソルジャーの攻撃を防ぐ事は出来る、そう考えてるよね遊里?
だけど、君が僕の手札を増やしてくれたお陰で、其れに対処できるカードを引く事が出来たよ。魔法カード『黒・魔・導』!
僕のフィールド上にブラック・マジシャンが存在する時、相手フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する!此れにより、君の魔法・罠ゾー
ンのカードは一掃される!」
――ドガァァァァァン!!
く……遊戯さんの手札を増やした事で、強力なカードを手札に呼び込ませちゃったか……!
「バトルだ!カオス・ソルジャーで、プリンセス・ヴァルキリアに攻撃!『カオス・ブレード』!!」
――ズガァァァァァァァァァン!!
遊里:LP1350→850
「此れで君を守るモンスターは居ない。ブラック・マジシャンのダイレクトアタックで、僕の勝ちかな?」
「……其れは如何でしょうかね?」
「え?」
フィールドを、よ~~~~く見て下さい遊戯さん。
『……危ない所でしたね。』
プリンセス・ヴァルキリア:ATK2500
「プリンセス・ヴァルキリアが無事?カオス・ソルジャーの攻撃は通ったのに、如何して……」
遊戯さんが黒・魔・導で破壊したカードの1枚はくず鉄のかかしですけど、もう1枚は『停戦の密約』!
セットされたこのカードが相手によって破壊されたターン、アタシのフィールド上のモンスターは破壊されないんです。それによって、プリンセ
スは、カオス・ソルジャーの攻撃に耐えられたんですよ。
「成程、そう言う事か。カードを1枚セットして、ターンエンド。」
「アタシのターン!」
プリンセスの効果発動!
手札の黒狼獣バウを墓地に送り、『漆黒魔族ギルファー・デーモン』を特殊召喚する!!
『ガァァァァァァァァァ!』
漆黒魔族ギルファー・デーモン:ATK2200
ギルファー・デーモンの効果で、カオス・ソルジャーとブラック・マジシャンの攻撃力は500ポイントダウンし、プリンセスとギルファー・デーモン
の攻撃力は300ポイントアップします!
プリンセス・ヴァルキリア:ATK2500→2800
漆黒魔族ギルファー・デーモン:ATK2200→2500
ブラック・マジシャン:ATK2500→2000
カオス・ソルジャー:ATK3000→2500
此れで攻撃力は、こっちの方が上!プリンセスの攻撃がブラック・マジシャンに通れば、遊戯さんのライフは0になる……此れで決める!
プリンセス・ヴァルキリアで、ブラック・マジシャンに攻撃!『デュランダル・ブレイザー』!
「未だだよ。カウンタートラップ『攻撃の無力化』!此れで、バトルを強制終了する!」
く……また防がれた!
たった、たった650ポイントのライフが奪えない……決まれば勝ちの攻撃が通らない――でも、絶対に通してやるわ!
カードを2枚セットしてターンエンド。
「僕のターン!
僕は手札の『サイレント・ソードマンLV3』と『トイ・マジシャン』の2体のモンスターを墓地へ送り、『破壊竜ガンドラ-ギガ・レイズ』を特殊
召喚する!」
『グオォォォォォォォォォ!!』
破壊竜ガンドラ-ギガ・レイズ:ATK0
「破壊竜ガンドラ-ギガ・レイズの攻撃力は、除外されているカードの数×300ポイントアップする。
除外されているカードは合計33枚。よって、破壊竜ガンドラ-ギガ・レイズの攻撃力は9900!!」
『ゴアァァァァァ!』
破壊竜ガンドラ-ギガ・レイズ:ATK0→9900
攻撃力9900!?
さっきのファイナル・ギアスは、ブラック・マジシャンを特殊召喚するだけじゃなくて、このモンスターを呼び出した際に高攻撃力を得る為の布石
だったって事か……!
だけど、アタシの伏せカードの1枚は『聖なるバリア-ミラーフォース-』……此れで返り討ちに出来るわ。
「ガンドラ-ギガ・レイズの効果発動!僕のライフを半分払い、墓地の『ガンドラ』の種類によって異なる効果を発動する。
僕の墓地には『破壊竜ガンドラ』と『破滅竜ガンドラX』の2種類が存在している。そして2種類のガンドラが存在する場合、破壊竜ガンドラ-
ギガ・レイズ以外の全てのカードをゲームから除外する!
『デストロイ・ギガ・レイズ・オーバードライブ』!!」
遊戯:LP650→325
自身以外の全てのカードを除外するなんて、その為に異次元からの埋葬でガンドラを戻した訳ね?
……しかもこれで除外されたカードが5枚増え、ガンドラ-ギガ・レイズの攻撃力は1500ポイントもアップする事に……!
破壊竜ガンドラ-ギガ・レイズ:ATK9900→11400
「此れで、君を守るカードは何もなくなった……此れで終わりだね遊里。」
「まぁ、普通に考えればそうなんですけど……ところがギッチョン、そうは行かないんですよ遊戯さん!
ガンドラ-ギガ・レイズの効果で除外されたカードの1枚は『次元トラップ-ディメンション・アクター』!」
セットされたこのカードが除外された時、手札からトラップを発動する事が出来ます!
アタシはこの効果で、手札の『トライアングルバインド』を発動!このカードの効果で、破壊竜ガンドラ-ギガ・レイズの効果は無効になり、
効果が無効になった事で攻撃力は0になる!
破壊竜ガンドラ-ギガ・レイズ:ATK11400→0
「そう来たか……僕はカードを1枚セットしてターンエンドだ。」
「アタシのターン!」
アタシは手札から、魔法カード『Re:Synchronize』を発動。
自分、または相手の墓地からシンクロモンスター1体を選択して特殊召喚する!蘇れ『輝天龍 シルバー・ウィンド』!!
『このターンで決めるぞ遊里!』
輝天龍 シルバー・ウィンド:ATK2500
勿論その心算よ!
シルバー・ウィンドの効果を、シルバー・ウィンド自身に対して発動!
此れにより、シルバー・ウィンドの攻撃力は500ポイントアップし、破壊されない!!
輝天龍 シルバー・ウィンド:ATK2500→3000
ラストバトル!輝天龍 シルバー・ウィンドで、破壊竜ガンドラ-ギガ・レイズに攻撃!『シューティング・ストリーム』!!
此れで、アタシの勝ちだ!!
「……其れは如何かな?」
「へ?」
「トラップ発動『砂塵の大竜巻』!この効果でトライアングルバインドを破壊する!
此れにより、ガンドラ-ギガ・レイズの効果は復活して攻撃力を取り戻す!」
『グオォォォォォォォォォォォ!!』
破壊竜ガンドラ-ギガ・レイズ:ATK0→11400
最後の最後でアタシの戦術を上回って来るなんて……お見事です遊戯さん。初代決闘王の力、とくと味わわせて貰いましたよ……
「返り討ちにしろ、破壊竜ガンドラ-ギガ・レイズ!『破壊のデストロイ・ギガ・バースト』!!」
『ガァァァァ……ゴアァァァァァァァァァ!!!』
――ドガァァァァァァァァァァァン!!
「く……うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
遊里:LP850→0
負けちゃったか……結構いい線行ってたと思うんだけど、届かなかったか――流石は遊戯さん、本気で強かったですよ。
「ギリギリの紙一重だったよ遊里……君もとても強かったよ。」
「分厚い紙一重っすね……でも、負けたとは言え最高に楽しいデュエルでした遊戯さん――ありがとうございます!!」
「やってくれるじゃねぇか!良いデュエルだったぜ、遊戯、遊里!!」
「未来のデュエリストの力も、あながち馬鹿に出来ないようだな……見事なデュエルだったぞ。」
社長、城之内さん……まぁ、死力を尽くしましたからね……だけど、遊戯さんを越える事は出来なかったから、まだまだ精進しないとですよ。
でも、最強のデュエリストとのデュエルは、生涯の思い出になるのは間違いないわ。
――キィィィン……
ん?此れは……遊戯さんが持ってた白紙のシンクロモンスターのカードが光ってる?と言う事は若しかして……!!
「此れは……『破壊竜ガンドラZX』――シンクロモンスターとなったガンドラ!」
「つまりこれが、世界で最初に生まれたシンクロモンスターって事ですね。」
なら、其のカードは持っていてください遊戯さん。
其のカードがこの世界にシンクロ召喚を齎す存在になる事は間違いありませんし、何よりもアタシとのデュエルの証として、持っててほしいん
ですよ……ダメですか?
「いや、是非もないよ遊里。大事にさせて貰うよ、このカード。」
「このカードを研究する事で、シンクロ召喚を解析できるかもしれんからな。」
必ず、シンクロ召喚を編み出してくださいよ社長?そうじゃないと、アタシの居た未来が変わっちゃうから。
……さて、そろそろ時間みたいね。
――キィィィン……
「!遊里お前……もう、戻っちまうのか?」
「そうなりますね城之内さん……まぁ、未来人が何時までも過去に居る事は出来ないって事ですよ。」
でも、アタシはこのデュエルを一生忘れません――遊戯さん、貴方の最高のデュエルの記憶は絶対に色褪せない!!だから、貴方も忘れな
いで下さい、アタシとのデュエルを!!
「うん、忘れないよ遊里……君との最高のデュエルを!!」
「貴様の事は、俺の記憶にも留めておこう――未来の最強デュエリスト、上条遊里よ。」
「お前の事は忘れないぜ遊里!!機会があったら、今度は俺ともデュエルしてくれよな!!」
機会があったらその時は是非とも!――其れじゃあバイバイです!――遊戯さん、貴方は本当に最強のデュエルキングでしたよ。
――バシュン!!
……此処は、アタシのコンドミニアム?……戻って来たって訳ね。
全く兄さんもやってくれるわ。まさか、最強の決闘王とのデュエルがプレゼントされるとは思ってなかったわよ――だけど、そのお陰でアタシは
更にタクティクスアップする事が出来た。
ふふ、此れなら、この街を守る事は出来るわね絶対に。
――――――
――数年後
No Side
『レーディース&ジェントルマン!
遂に、遂にこの時がやって来たぞー!!あらゆるプロリーグを制覇し、ワールドチャンピオンシップを5連覇中の絶対王者ジャック・アトラス
と、各種大会のエキシビジョンデュエル以外では表舞台には現れず、しかし無敗を誇る無冠の無敵女帝上条遊里のデュエルが!!
このデュエルは、正に真の頂点を決めるデュエル!果たしてどんなデュエルが展開されるのか、ワクワクでドキドキだーー!!』
ネオ・ドミノシティのスタジアムでは、絶対王者ジャック・アトラスと、無敵女帝上条遊里の数年越しとなるデュエルが始まろうとしていた。
この2人の公式対戦成績は一戦一分けであり、このデュエルは白黒つけるデュエルでもあるのだ。
「いやぁ、盛り上がってるわねジャック?」
「俺とお前が戦うのだ、此れ位は盛り上がって貰わねば困る。」
「其れは確かに言えてるわ。」
適当に軽口を交えながら、しかしすでにDホイールのエンジンはマックスレベルまで唸りを上げ、何時でも発進できる状態だ。
『果たして勝つのは何方なのか!!』
MCの実況に合わせる形で、シグナルグリーンが点灯し遊里とジャックは共に猛スピードでロケットスタート!!
「行くわよジャック!!」
「うむ、最高のデュエルにするぞ遊里!!」
「「ライディングデュエル、アクセラレーション!!」」
Turn END
登場カード補足
異次元へのワームホール
通常魔法
互いのプレイヤーは相手の墓地のカードを2枚選択し、選択したカードをゲームから除外する。その後デッキからカードを2枚ドローする。
Re:Synchronize
通常魔法
自分または相手の墓地のシンクロモンスター1体を選択して発動する。
選択したシンクロモンスターを自分フィールド上に任意の表示形式で特殊召喚する。
古代遺跡の罠
通常罠
自分のライフが1000ポイント以下の時に、自分の墓地の罠カード1枚をゲームから除外して発動する。
除外した罠カードの効果を、このカードの効果として発動する。
停戦の密約
通常罠
フィールドにセットされたこのカードが相手によって破壊された場合、エンドフェイズまで自分フィールド上のモンスターは破壊されない。
次元トラップ-ディメンション・アクター
通常罠
フィールドにセットされたこのカードが、相手によってゲームから除外された場合、手札の罠カード1枚を選択して発動出来る。
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