Side:遊里


遂に此処まで来たわ…フォーチュンカップの決勝戦――これに勝てばジャックとのデュエルが待ってる。
けど、その前にも最高のデュエリストが決勝の舞台で待ってる…此れはデュエリストの魂が滾るなって言うほうが無理よね。


その気迫です遊里。デュエリストの闘気は、私達カードにも力を与えてくれますから。

お前のデュエリストとしての思いが強ければ強いほど、デッキはお前に力を貸す…其れを忘れるな。

遊里なら必ず勝てる!私達を信じてね♪


プリンセス・ヴァルキリア、シルバー・ウィンド、ダーク・マジシャン・ガール…うん、分かってる。
デッキは使う者の魂に呼応してその力を発揮してくれるからね。

アタシが皆を信じてれば、自然と皆が力を貸してくれる――うん、一緒に戦おう、この最高の決勝戦を!


応!

はい!

うん!!


デッキの皆のやる気は最高で、決勝戦の相手も最高!…此れはすごく楽しい決勝戦になりそうね!











異聞・遊戯王5D's Turn20
『フォーチュンカップ決勝戦!』










――パァン!パァン!!パパパァン!!


『Ladies&Gentleman!フォーチュンカップもいよいよ最終日!
 残るは決勝戦と、決勝戦を制した優勝者と絶対王者のエキシビジョンデュエルのみとなった〜〜〜!!
 先ずは決勝戦!!数多の強豪を打ち破り、此処まで駒を進めて来た素晴らしきデュエリスト達の魂のぶつかり合いからだ〜〜〜!!!
 トーナメントを勝ち上がり、此処に辿り着いたのは『サテライトの女帝』上条遊里と、『荒海の支配者』梶木良哉だ〜〜〜〜!!
 どちらも素晴らしいタクティクスを持ったデュエリスト!どちらが勝ってもおかしくない、正に決勝戦に相応しい組み合わせだ〜〜〜〜〜〜!!!』


相変わらずテンション高いなあMCさん……あんなに叫んで声が枯れないのかな?不思議よね。



さてと、決勝の相手は梶木――水のエキスパートデュエリスト。
基本は攻撃型だけど、その中にトリッキーな動きも出来る、言うなら『万能パワー水デッキ』って言う感じのデッキ……油断は禁物だわ。

まぁ、誰が相手でもデュエルで油断や手加減なんて有り得ない。


「この時を待ってたぜよ上条遊里!
 お前とは、1回戦で龍可嬢ちゃんに勝った後からデュエルがしたかった、そう思っていたぜよ!!」

「1回戦から?…其れは随分と待たせたわね……でも、それだけ期待して貰ってたんなら、其れに応えないのはデュエリストとしての礼を失するわ。」

貴方相手に様子見は必要ないだろうしね?
最初から全力で飛ばすから、瞬殺されないようにね?


「お前こそ飛ばし過ぎて息切れ起こさんようにしとけよ?俺のスタミナは底無しじゃからな!
 それに、俺は相手が強いほどに力を発揮するタイプじゃからな…お前とのデュエル中に予期せぬ成長をするかもしれんぜよ!」


其れは楽しみね…寧ろそうなってくれた方が面白いわよ梶木。
デュエル中にアンタが成長するなら、アタシは其れを超えてアンタを倒す……シンプルな考えよね?


「確かにのう…じゃが、このデュエルは譲らん!!」

「本より譲る心算は無いわよ。」


『おぉっと〜〜、なんだこの気迫は〜〜?遊里と梶木の間に見えない火花が散っているようだ〜〜〜〜!!』


ふっふっふ、デュエル前のちょっとした舌戦て所かな。
アタシも梶木も、此れで完全に火が点いたわよ?まぁ、フィールで会場を吹き飛ばさないようにだけはしないとね。

さて、始めましょうか?決勝戦に相応しい、全力のデュエルを!


「おう!行くぜよ!!」


『此れは始まる前から燃えて来た〜〜!互いにテンションはメータ限界!!振切れて針が吹っ飛びそうだ〜〜!!
 この2人のフィールは、今大会最大の物に成る事は間違いない!観客諸君、フィールの余波に耐える準備は万全か〜〜〜?』


「「「「「「「「「「おーーーーーーーーー!!!」」」」」」」」」」

『其れじゃあ行くぞ!デュエル・オブ・フォーチュンカップ決勝戦、上条遊里vs梶木良哉!デュエル…スタートォォォォォ!!!』


「「デュエル!!」」


遊里:LP4000
梶木:LP4000



「先攻は俺からじゃ!!ドロー!
 最初から全力で行くぜよ!俺は手札の『キラー・ジョーズ』と『鬼瓦ヒトデ』を墓地に送り、『戦艦−ステルスマンタ』を特殊召喚じゃ!!」
戦艦−ステルスマンタ:ATK2500


「更に鬼瓦ヒトデの効果発動!このカードが墓地に送られたとき、フィールド上に『ヒトデトークン』を2体呼び出すぜよ。」
ヒトデトークン(星1、水、魚):ATK100(×2)


上級モンスターの特殊召喚と2体のトークン生成って事は…イキナリ大型が2体って事ね?


「そして、俺はヒトデトークン2体をリリースし、出番じゃ『超古代魚ダンクルオステウス』!!」

『ギシャァァァァ!!』
超古代魚ダンクルオステウス:ATK2800


「カードを1枚セットしてターンエンドじゃ。」


1ターン目からレベル7のモンスターが2体も来たか。
敢えてエクシーズ召喚をしなかったのは、アタシが何らかの対処をしてくると予想したからよね?
まぁ、その予想は間違ってないわ。

「アタシのターン!アタシは『幻想の闇魔導師』を召喚!」
幻想の闇魔導師:ATK1500


幻想の闇魔導師の効果発動。
このカードの召喚、又は特殊召喚に成功した時、手札からレベル1のモンスターを特殊召喚できる。
アタシはこの効果で、手札のチューナーモンスター『ライティ・ドライバー』を特殊召喚する!


ライティ・ドライバー:ATK100


「イキナリ大型2体の大盤振る舞いをしてくれたんだから、アタシも其れに応えるわよ梶木!
 レベル4の幻想の闇魔導師に、レベル1のライティ・ドライバーをチューニング!
 集いし絆が、此処に新たな力を誘う。光射す道となれ!シンクロ召喚、羽ばたけ『ヘル・カースド・ドラゴン』!」

『ゴアァァァァ!!』
ヘル・カースド・ドラゴン:ATK2000


「お得意のシンクロ召喚か?だが攻撃力2000じゃあ、俺の2体のモンスターの敵じゃないぜよ!」

「確かに攻撃力だけなら及ばないけど、地獄の呪いを宿した龍を甘く見ない方が良いわよ?
 バトル!ヘル・カースド・ドラゴンで、超古代魚ダンクルオステウスに攻撃!」

「な、自滅する気か!?」


まさか…ヘル・カースド・ドラゴンの効果発動!
ヘル・カースド・ドラゴンはドラゴン族モンスター以外のモンスターと戦闘を行う時、ダメージ計算を行わずに相手モンスターを破壊するわ。
ダンクルオステウスは魚族…よってダメージ計算を行わずに効果破壊する!焼き尽くせ『カーズ・フレア』!!


――ジュオォォォォ!!


「ぬおぉぉぉ…ダメージこそないが、中々のフィールじゃな…ダンクルオステウスが焼き魚になっちまったぜよ。
 じゃが、只ではやられん!トラップカード『深層水の上昇』
 俺の場の水属性モンスターが破壊されたとき、デッキからレベル4以下の水属性モンスターを特殊召喚する!来い『シシャモの大群』!!」
シシャモの大群:DEF1200


やっぱりアタシが2体の大型を超えてくることは見越してたみたいね…そうこなくちゃ。
けど、此処でシシャモの大群を呼び出すって…梶木の手札は1枚しかないのに、如何いう事?
次のターンで儀式を成立させる自信があるのか、それとも…

「アタシはカードを2枚伏せてターンエンド。」

「俺のターン!手札から魔法カード『大要塞起動準備』を発動!
 デッキから『要塞クジラの誓い』と『要塞クジラ』を1枚ずつ手札に加えるぜよ!!」


!!要塞クジラ専用のサーチカード!
其れを持っていたからこそシシャモの大群を呼び出したわけね?
更に先攻ターンで其れを発動しなかったのは、アタシに先手を取らせた上でカウンターを喰らわせるため…見事だわ。


「行くぜよ!儀式魔法『要塞クジラの誓い』!シシャモの大群をリリースして、現れろ『要塞クジラ』!!」

『ゴォォォン!』
要塞クジラ:ATK2350



来たわね要塞クジラ…だけど、そのモンスターでもカースド・ドラゴンを倒す事は出来ないわよ?
其れなのに呼び出した……って、まさか!!ステルスマンタも要塞クジラもレベルは7……若しかして狙いは!!


「更に俺は、要塞クジラと、戦艦−ステルスマンタの2体のレベル7モンスターをオーバーレイ!
 大海原を守護する無敵の生体戦艦よ、海を汚す者を粉微塵に吹き飛ばせ!エクシーズ召喚、出撃じゃ『巨大戦艦クジラ』!!」

『ガオォォォォォン!!』
巨大戦艦クジラ:ATK2800   ORU2



要塞クジラを素材にしたランク7のエクシーズ!
狙いは此れだったって訳か……此れは間違いなくヘル・カースド・ドラゴンを超えて来るわよね…


「巨大戦艦クジラの効果発動じゃ!
 オーバーレイユニットを1つ取り除いて相手モンスター1体を破壊する!そしてその後互いにカードを1枚ドローするぜよ!!」
巨大戦艦クジラ:ORU2→1


――ドゴォォォン!!


く…ドロー出来るとは言え問答無用での破壊は強烈だわ。
此れでアタシの場はがら空きに…


「此れでお前の場はがら空きじゃな遊里!
 バトルじゃ!!そして、バトルフェイズに入った事で巨大戦艦クジラの効果発動じゃ!
 巨大戦艦クジラは、俺のターンのバトルフェイズのみ、自分のオーバーレイユニット1つに付き攻撃力が600ポイントアップするぜよ!!」

『ゴガァァン!!』
巨大戦艦クジラ:ATK2800→3400



マジで!?
うっわ〜〜…此れ、相手モンスターが1体のみの状態で呼び出せば大ダメージ確実の超パワーモンスターよね?


「俺のフィールを受けろや遊里!!巨大戦艦クジラでダイレクトアタック『ホエール・クラスター・ストライク』!!」

「そう簡単にはやられないわ!トラップ発動『ハーフorストップ』
 発動ターン、相手はバトルフェイズを終了するか、バトルフェイズ終了まで自分のモンスターの攻撃力を半分にするかを選ぶ。
 さぁ、梶木…貴方は何方の効果を選択する?」

「言うまでもないぜよ!!俺は攻撃力を半分にして攻撃を続行じゃ!!」
巨大戦艦クジラ:ATK3400→1700


ダイレクトアタック時なら当然そっちを選ぶわよね……く…きゃぁぁぁあぁぁ!!!


遊里:LP4000→2300


くぅ…効いたわよ梶木、貴方の荒波のフィールは…!


「俺のフィールも中々じゃろ?俺はバトルフェイズを終了してメインフェイズ2に移るぜよ。」
巨大戦艦クジラ:ATK1700→3400→2800


「とは言っても出来る事はカードをセットするくらいじゃからな?カードを1枚伏せてターンエンドぜよ。」

「アタシのターン!」

リバースカードオープン、トラップカード『ロスト・スター・ディセント』
このカードの効果で、墓地の『ヘル・カースド・ドラゴン』を守備表示で特殊召喚するわ。

但し、この効果で特殊召喚されたシンクロモンスターは効果が無効になってレベルが1つ下がり、守備力は0になって表示形式の変更も出来ないけどね。


ヘル・カースド・ドラゴン:DEF1500→0   Lv5→4(効果無効)


「制限蘇生…じゃが、なんでさっき発動しなかったんじゃ?
 巨大戦艦クジラの攻撃時に発動すれば、少なくともライフを失う事は無かったはずじゃ。」


確かにね。
だけど、カースド・ドラゴンには壁になって貰うよりも大事な役目があったのよ……更なる強さを秘めた龍の素材になるって言う役目がね。

「アタシは手札から魔法カード『セメタリーバック・レベル1』を発動。
 自分の墓地からレベル1のモンスターを特殊召喚し、その後手札を1枚捨てる。
 アタシは墓地の『ライティ・ドライバー』を特殊召喚し、手札の『レフティ・ドライバー』を墓地に送るわ。」
ライティ・ドライバー:DEF300


そして、ライティ・ドライバーの効果発動!
1ターンに1度、アタシの墓地の『レフティ・ドライバー』を特殊召喚できる!!
そして、墓地から特殊召喚されたレフティ・ドライバーはレベルが3になるわ。


レフティ・ドライバー:ATK300   Lv2→3


「合計レベル8…まさか!!」

「此れで全ての準備が出来たわ!
 レベル4となったヘル・カースド・ドラゴンとレベル3となったレフティ・ドライバーに、レベル1のライティ・ドライバーをチューニング!
 集いし願いが、天空(そら)を駆け抜ける疾風(かぜ)となる。光射す道となれ!シンクロ召喚、飛翔せよ『輝天龍 シルバー・ウィンド』!!」

相手にとって不足は無い…行くぞ遊里!
輝天龍 シルバー・ウィンド:ATK2500


えぇ、全力でね!


シルバー・ウィンドの巻き起こす風は荒海の大波をも突き抜ける!
バトル、シルバー・ウィンドで巨大戦艦クジラを攻撃!!そしてこの瞬間にシルバー・ウィンドの効果発動!

シルバー・ウィンドは1ターンに1度、カード1枚に完全破壊耐性を与えるわ。
そしてその対象がモンスターだった場合、対象になったモンスターの攻撃力は500ポイントアップする。

アタシはこの効果をシルバー・ウィンド自身に適応する!!


ふ…流石だな。
輝天龍 シルバー・ウィンド:ATK2500→3000(破壊耐性)


吹き飛ばせ『シューティング・ストリーム』!!


――キィィィン……バシュゥゥゥゥゥゥ!!!


「ぬおわぁぁぁ!!!」
梶木:LP4000→3800


巨大戦艦クジラ撃破!
流石にオーバレイユニットを使った耐性効果は持ってなかったみたいね。


「たった1ターンでコイツがやられるとはな…じゃが、まだまだぜよ!トラップカード『レジェンド・アクセラレーション』!!
 俺の場の水属性モンスターが戦闘で破壊されたとき、デッキか手札から『伝説のフィッシャーマン』を特殊召喚するぜよ!
 コイツで、デッキから『伝説のフィッシャーマン』を特殊召喚じゃ!!」

『オォォォォ!!』
伝説のフィッシャーマン:ATK1850



フィールドは空にしないか…流石ね。
アタシはカードを1枚セットしてターンエンド。


輝天龍 シルバー・ウィンド:ATK3000→2500


デュエルはまだ始まったばかり……だけど勝利は絶対に譲らないわ!!














 To Be Continued… 






登場カード補足



巨大戦艦クジラ
ランク7    水属性
魚族・エクシーズ/効果
レベル7の「要塞クジラ」+レベル7モンスター
1ターンに1度、このカードのオーバレイユニットを1つ取り除いて発動する。
相手フィールド上のモンスター1体を選択して破壊し、その後互いにデッキからカードを1枚ドローする。
自分のターンのバトルフェイズ中のみ、このカードの攻撃力はこのカードのオーバーレイユニット1つに付き600ポイントアップする。
ATK2800    DEF2500



戦艦−ステルスマンタ
レベル7    水属性
魚族・効果
このカードは手札の水属性モンスター2体を墓地に送る事で特殊召喚できる。
自分フィールド上の水属性モンスターが1ターンの間に2体以上破壊されたとき、墓地のこのカードと水属性モンスター1体を手札に加える事が出来る。
ATK2500    DEF1800



鬼瓦ヒトデ
レベル3    水属性
水族・効果
このカードが墓地に送られたとき、自分フィールド上に「ヒトデトークン」(星1・水・魚・攻守100)を2体特殊召喚する。
「ヒトデトークン」は水属性のモンスターをアドバンス召喚する為のリリース以外には使用できない。
ATK800    DEF1000



セメタリ―バック・レベル1
通常魔法
自分の墓地からレベル1のモンスター1体を選択して特殊召喚する。
その後自分は手札を1枚捨てる。



大要塞起動準備
通常魔法
自分のデッキから「要塞クジラ」1体と「要塞クジラの誓い」1枚を選択して手札に加える。



深層水の上昇
通常罠
自分フィールド上の水属性モンスターが破壊されたときに発動できる。
デッキからレベル4以下の水属性モンスター1体を選択して特殊召喚する。



レジェンド・アクセラレーション
通常罠
自分フィールド上の水属性モンスターが戦闘によって破壊されたときに発動できる。
自分のデッキか手札から「伝説のフィッシャーマン」1体を選択して特殊召喚する。