Side:遊里
兄さんからのメールは、遊戯さんとのデュエルをアタシにさせるための物だったんだね――だけど、其れだけじゃない。
アタシと遊戯さんとのデュエルは、言うなれば『シンクロモンスターが誕生する未来』を確定させるためのデュエル!アタシが、この時代でシ
ンクロ召喚を披露すれば、海馬社長がシンクロ召喚について研究を始めるだろうからね。
でも、そんな事は蹴っ飛ばして、アタシは遊戯さんとデュエル出来るって事にワクワクよ!!――アタシとのデュエル、受けて貰えますか遊
戯さん!!
「勿論だよ遊里。最高のデュエルをしよう。」
「そう言ってくれると思いました!最高のデュエルをしましょう遊戯さん!!」
「――待て。」
いざデュエル!って思ってた所で横槍が……どったの、海馬社長?
「如何に貴様が『奴』が認めたデュエリストとは言え、『奴』が過大評価したと言う可能性も捨てきれん――未知の召喚方法を使うと言うのな
らば尚更な。
遊戯と戦うと言うのならば、先ずは貴様が其れに値するデュエリストであるかと言う事を俺達に示して見せろ!
凡百なデュエリストが遊戯と戦うなどと言う事は絶対に許さん!!」
「……其れを決めるのって、君じゃなくて僕だと思うんだけどなぁ?」
「聞きしに勝る俺様っぷりっすね海馬社長は……」
でも、力を示せって言うなら、やってやるわ海馬社長。――そして認めさせてやろうじゃない!アタシが、遊戯さんと戦うに値する決闘者だっ
て言う事をね!!
異聞・遊戯王5D's Turn195
『開幕!無敵女帝vs初代決闘王!!』
そんで、具体的には如何すればいいのかしら社長?
「貴様には此れより我が海馬コーポレーションが開発した最新のデュエルロボとデュエルして貰う。
デュエルタクティクスをマックスレベルに設定し、更には俺のデッキを持たせたデュエルロボとな――俺の最強デッキを使うと言っても、所
詮は機械に過ぎぬ、其れに勝てぬようでは、遊戯と戦う資格などないからな。」
「ふぅん?――思った以上に楽な条件ね其れは。」
「ほう?」
海馬社長が自ら相手になるって言うなら、相当にきつかったかもしれないけど、タクティクスレベルをマックスまで上げたデュエルロボが相
なら、負ける事はないわ。
言っちゃ悪いけどアタシは、タクティクスレベル12のAI相手でも、余裕で勝てますので!
早速始めましょうか!!
「良い度胸だ。果たして貴様がドレだけの腕を持っているのか、見せて貰うぞ。」
「なら、期待してていいよ海馬社長。生憎とアタシは、貴女の期待を裏切る程弱くないからね!!」
だから、悪いけどアンタの事はブッ飛ばさせて貰うわデュエルロボ!!――アタシに言わせれば、アンタ程度じゃ準備運動にすらならないか
らね!!
行くわよ!!
「「デュエル!!」」
遊里:LP4000
デュエルロボ:LP4000
『デュエルロボノターンデス、ドロー。
手札カラ魔法カード『融合』ヲ発動。手札ノ青眼ノ白龍3体ヲ融合シ、『真青眼ノ究極竜』ヲ融合召喚シマス。』
『ガァァァァァァァァァァァァァ!!』
真青眼の究極竜:ATK4500
行き成り攻撃力4500の究極竜を召喚して来るって、タクティクスレベルがマックスに設定されてるのは伊達じゃないわ――手札を4枚消費
しても、此れならお釣りが来るわね。
『そして『ロード・オブ・ドラゴン~ドラゴンノ支配者~』を召喚。」
ロード・オブ・ドラゴン~ドラゴンノ支配者~:ATK1200
『カードヲ1枚セットシテターンエンドデス。』
初手から究極竜を呼び出し、更にロード・オブ・ドラゴンを召喚して、ドラゴンを効果の対象から外し、更にカードを伏せて牽制か……手札を
使い切っただけの事はある見事な布陣だって言えるかも知れないけど、此の程度は甘いわ!!
アタシのターン!!
「アタシは『アロー・ヴァルキリア』を攻撃表示で召喚!」
『ハァァァ!』
アロー・ヴァルキリア:ATK1300
アロー・ヴァルキリアの効果発動!このカードの召喚に成功地た時、フィールド上の魔法・罠カード1枚を選択して持ち主の手札に戻す事が
出来る。この効果で、その伏せカードは手札に戻って貰うわ。
更に魔法カード『精神操作』を発動!この効果で、ロード。オブ・ドラゴンは、アタシのフィールドに移る!
ロード・オブ・ドラゴン~ドラゴンの支配者~:CTRデュエルロボ→遊里
ロード・オブ・ドラゴンがアタシのフィールドに移った事で、ネオアルティメットは、ロード・オブ・ドラゴンの恩赦を受ける事が出来なくなった!
そして、追撃の魔法カード『強制転移』!
このカードの効果で、アタシのフィールドのロード・オブ・ドラゴンと、アナタのフィールドの真青眼の究極竜のコントロールを入れ替えるわ!
『!!?』
ロード・オブ・ドラゴン~ドラゴンの支配者~:CTR遊里→デュエルロボ
真青眼の究極竜:CTRデュエルロボ→遊里
此れで、もう決着はついたと同じね?
伏せていたカードが何かは分からないけど、手札に戻された以上はアタシのターンでの発動は出来ない訳だから――行くわよ、バトル!
アロー・ヴァルキリアで、ロード・オブ・ドラゴンを攻撃!『シャープショット』!!
『!!』
デュエルロボ:LP4000→3900
「此れで終わりよ!真青眼の究極竜で、ダイレクトアタック!『滅びのバースト・ストリィィィィィィム』!!!」
『ゴアァァァァアァァァァアァァ!!』
――キィィィィン……ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!
『&#%$*+?!!!』
デュエルロボ:LP3900→0(大破)
あぁ……快感!一度、この攻撃を高らかに宣言してみたかったのよね!アルティメットだから実際は必殺技は違うんだろうけど、ブルーアイ
ズで攻撃するなら、この技名は叫んでおかないとやった気になれないもん!!
てか、テンション上がって手加減なしのフィールぶっこんじゃったからデュエルロボが大破しちゃったけど、此れって大丈夫かな?壊したんだ
から直せと言われれば直しますけど……
「必要ない。寧ろ、如何にアルティメットでの攻撃とは言え、デュエルロボをあそこまで破壊した貴様の力は本物だと認めてやる。」
「アルティメットを逆に利用して勝っちまうなんて、お前って本当に強いデュエリストなんだな遊里!遊戯とのデュエルの後で良いから、俺と
もデュエルしてくれよ!!」
あ、認めてくれるんすね海馬社長。
其れから城之内さん、多分その時間は無いと思うんだ、真に残念だけどね――恐らくアタシがこの時代に居られるのは、遊戯さんとのデュ
エルが終わってからの数分間までだと思う。
未来の人間が、過去に与える影響は少ない方が良いって、兄さんも思ってるだろうから。
「なんだよ、つまらねぇな~~?
だが、なんか良く分からねぇが事情があるんなら仕方ねぇ。その代わり、遊戯との最高のデュエルを見せてくれよ!!
そんでもって、負けんじゃねぇぞ遊戯!お前はアイツにも勝った、最強のデュエリストなんだからよ!!」
「うん、勿論その心算だよ、城之内君!」
「希望に応えられるようなデュエルにして見せるから、楽しみにしてて下さい城之内さん!海馬社長もね!!」
「ふ……良かろう。貴様等の魂を限界まで燃やしてデュエルをするが良い!
磯野、スタジアムのソリッドヴィジョンシステムを最高レベルで稼働し、そしてこのデュエルを世界中にオンライン発信しろ!デュエルを新た
なステージへと昇華させるであろうこのデュエル、世界中に届けぬ道理はない!!」
『り、了解しました、瀬人様!直ちにオンライン生放送の準備を行います!!』
うわぉ……このデュエルを世界中に配信するってマジですか社長?
まぁ、この世界の人達の多くにシンクロ召喚が認知されれば、間違いなくシンクロ召喚は開発され、その存在が確定する事になる訳だから
悪い事じゃないんだけどね。
てか、その理屈で行くと、シンクロ召喚の誕生にはアタシが深く関わってたって事か?――どんなタイムパラドックスよ此れ……
ま、今更そんな事を気にしても仕方ないか――其れじゃあ遊戯さん、最高のデュエルをしましょう!!
「うん!最高のデュエルをしよう!!」
「行きますよ、遊戯さん!!」
「「デュエル!!」」
遊里:LP4000
遊戯:LP4000
先攻は貰いますよ遊戯さん!アタシのターン!……よし、悪くない手札だわ。
先ずは此の子で、遊戯さんの出方を見る!現れろ『一角獣のグレムリン』!
『シャァァァァァァァ!』
一角獣のグレムリン:ATK2000
シンクロ召喚もエクシーズ召喚も存在してないこの時代だと、強力な上級モンスターを高速召喚する手段は融合か、墓地からの蘇生召喚の
何方かに絞られてくると言っても言い過ぎじゃない。
其れを考えれば、攻撃力2000のモンスターでも充分な牽制になるわ。
アタシはカードを1枚セットしてターンエンド。
「僕のターン!手札から魔法カード『融合』を発動!
手札の『幻獣王ガゼル』と『バフォメット』を融合し、現れろ『有翼幻獣 キマイラ』!!」
『ガァァァァァァァァ!!!』
有翼幻獣 キマイラ:ATK2100
って、行き成り融合で上級モンスターを呼び出して来たですって!?
初期手札に融合素材モンスターと融合の魔法カードが揃うなんて言うのは、決して高い確率じゃないのに、初手融合を決めて来るとは、流
石は初代決闘王って言った所ね。
「バトル!有翼幻獣キマイラで、一角獣のグレムリンに攻撃!『キマイラ・インパクト・ダッシュ』!!」
――ドゴォォォォン!!
遊里:LP4000→3900
お見事……僅か100ポイントとは言え、攻撃力2000を上回る上級モンスターを召喚して来るとは思いませんでした。流石、遊戯さんです。
「君はとても強いデュエリストだから、僕も最初から本気で行かせて貰うよ遊里。
カードを1枚セットして、ターンエンドだ。」
「なら、アタシも全力で行きますよ遊戯さん!アタシのターン!」
アタシのフィールドにモンスターが存在しない場合、『白銀突撃隼』を手札から特殊召喚出来る!
白銀突撃隼:ATK500
そして、『エルフの双剣士』を召喚!
エルフの双剣士:ATK1400
それじゃあ、シンクロ召喚のお披露目と行きましょうか?目ん玉かっぽじってよ~く見ときなさい!
レベル4のエルフの双剣士に、レベル2の白銀突撃隼をチューニング!
集いし風に秘めた思いが強固な壁を撃ち砕く。光射す道となれ!シンクロ召喚、突き崩せ『有翼幻獣 キマイラ・ガイスト』!!
『ガオォォォォォ!』
有翼幻獣 キマイラ・ガイスト:ATK2100
「2体のモンスターが1体の上級モンスターに変わっただと?此れが、シンクロ召喚か!!」
「其れにあのモンスター、可成りの力を持ってるぜ!!!」
チューナーと、チューナー以外のモンスターのレベル合計と等しいレベルのシンクロモンスターを召喚する召喚方、其れがシンクロ召喚!!
そして、シンクロモンスターの力は、未来では絶大な物となってるわ。
其の力、味わって貰いますよ遊戯さん!キマイラ・ガイストで、キマイラに攻撃!『キマイラ・インパクト・チャージ』!!
――バガァァァァン!!
攻撃力は互角だから相討ちだけど、キマイラ・ガイストは、破壊された時、自身のレベル合計と等しくなるように、墓地のチューナーとチュー
ナー以外のモンスターを特殊召喚出来る。
再び現れよ『白銀突撃隼』!『エルフの双剣士』!
白銀突撃隼:ATK500
エルフの双剣士:ATK1400
「……成程、君の目的は相討ちじゃなく、相討ちした上でのモンスターの展開を持ってして優位に立とうとしたんだね?
確かに、この2体の攻撃を受けてしまったら僕のライフは大きく削られるだろうね……だけど、僕のキマイラにも特殊能力がある!
キマイラが破壊された時、僕の墓地の『幻獣王ガゼル』か『バフォメット』を特殊召喚出来る!僕はこの効果で、墓地の『バフォメット』を守
備表示で特殊召喚する!」
バフォメット:DEF1800
お見事です遊戯さん。
エルフの双剣士と、白銀突撃隼じゃ、バフォメットの守備力1800を超える事は出来ませんから。
でも、だからって安心するのは早いですよ?リバースカードオープン!トラップカード『緊急同調』!このカードの効果でバトルフェイズ中に
モンスターをシンクロ召喚する!!
「バトルフェイズ中にシンクロ召喚?」
「行きます!レベル4のエルフの双剣士に、レベル2の白銀突撃隼をチューニング!
闇夜に星が集うとき、それは虚空を切り裂く雷鳴となる。光射す道となれ!シンクロ召喚、貫け『雷光の魔王 スカル・デーモン』!!」
『ガァァァァァァ…!!!』
雷光の魔王 スカル・デーモン:ATK2500
そして、新たに召喚されたスカル・デーモンには攻撃の権利が残されてる!
行け、雷光の魔王 スカル・デーモン!バフォメットを粉砕しろ!!『魔光滅雷』!!
――バガァァァァァァァン!!
これで、遊戯さんのフィールドはがら空き!此のまま、一気呵成に攻める!――って、アレ?
岩石の番兵:DEF2000
遊戯さんのフィールドに新たなモンスターが……此れは一体?
「バフォメットが君に破壊された瞬間、僕はこのカードを発動していたんだ。
トラップカード『魂の綱』!僕のモンスターが破壊された時、ライフを1000ポイント払って、デッキからレベル4以下のモンスター1体を特殊
召喚する。
この効果で、僕はデッキから『岩石の番兵』を呼び出したんだ。」
遊戯:LP4000→3000
魂の綱か!――と言う事は、次のターンに、遊戯さんは強力な上級モンスターをアドバンス召喚して来る筈……ブラマジって事は無いと思う
けど、可成り強力なモンスターが来るのは間違いない。
カードを1枚セットしてターンエンド。
「僕のターン!!
僕は、バフォメットをコストに、このモンスターを召喚する!来い、『デーモンの召喚』!!」
『ガァァァァァァァァァァァァァァ!!』
デーモンの召喚:ATK2500
予想通り来たわね、強力な上級モンスターが!
アタシのスカル・デーモンと、遊戯さんのデーモンの召喚は、攻撃力こそ同じだけど、遊戯さんが態々攻撃力が同じモンスターを召喚したって
言う事を考えると、狙いは相討ちや牽制じゃない――遊戯さんは、スカル・デーモンを倒す手段を持ってる筈だからね。
ふふ、其れが何であるのかとっても楽しみだわ――負けませんよ遊戯さん!!デュエルは、此処からが本番の全力全壊よ!!
To Be Continued… 
登場カード補足
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