Side:遊里


ゾーンとのデュエルから1週間。
モーメントは本来の動きを取り戻し、シティもアーククレイドルの降下によって生じた被害(降下の際に落下した色んな物で、壊滅的ではない
にしろ、シティには其れなりの被害が出た。)からの復興も進んでる。

そしてそんな中でも、デュエルは人々の心の支えとして、以前よりも盛り上がりを見せていて、その最高位である絶対王者の座に君臨するジ
ャックのデュエルは、行われる度に超満員札止め状態ね。

だからこそ、貴方にお願いしたいのよジャック?
このデュエル、如何にかして今度の貴方の防衛戦の時に、防衛戦前のエキシビジョンデュエルとしてねじ込めないかな?――この日じゃない
と、アタシと彼女の予定が合わないのよ。



「……普通なら断る所だが、俺が認めたお前のお願いとなれば断る事は出来ん。
 其れに、絶対王者のデュエルの前に、『華』を添えるのもまた一興――お前とシェリーのデュエル、防衛戦前の特別エキシビジョンデュエルと
 して、ねじ込んでやろう。
 俺自身、お前とシェリーのデュエルは見応えのあるモノだと思っているのでな。」

「なら、その期待には応えるわジャック――アタシの我儘を聞いてくれたお礼に、最高のデュエルを見せてあげる。」

「ふ……楽しみにしているぞ。」



ねじ込んでもらったのは、アタシとシェリーのデュエル。
あの灰色決着からアタシとシェリーはデュエルする機会がなくて、直接対決は行われていなかったから互いにモヤモヤしてたんだけど、今度
のジャックの防衛戦の日は、互いに予定が入ってなかったから、その日にデュエルをしようってね。
どうせなら観客は多い方が良いって思って、ダメ元でジャックに頼んでみたら、まさかのOKだったから此れでシェリーとのデュエルが出来る!

前は灰色決着だったけど、今度は勝たせて貰うよシェリー!!











異聞・遊戯王5D's Turn186
『聖騎士との再戦の時』











という訳で、アタシが何をするのかと言うと、Dホイールのメンテナンス!
アポリアの力があったとは言え、本来ならDホイールが翔ける事のない空を飛ぶと言う無茶をした訳だから、メンテナンスは今まで以上に確り
しておかないとね。今の所異常は無いけど、何時空飛んだ副作用が出るか分からないものね。

――OK、今日も異常はないわ。
アレだけ無茶な使い方をしたのにもかかわらず何処も故障してないって言うのは、自分で作ったモノながら恐ろしい頑丈さよね……まぁ、そう
じゃなかったら、アクセルシンクロに機体が耐えられないんだけれど。

何にしても、今度のシェリーとのデュエルは楽しめる事間違いないでしょうね。
シェリーがどんなデッキで来るのかも楽しみだわ。前に戦った時に使っていた『聖騎士デッキ』なのか、アーククレイドルの時に使ってたって言
う『闇騎士デッキ』なのか、そして『Z-ONE』は使ってくるのか……今からワクワクして来るじゃない。



「俺と鬼柳から話聞いて、その上でZ-ONEが出て来るのを楽しみにしてるお前の神経が分からねぇ。
 お前のデッキにはモンスター効果を無効にするカードが割と多いからかもしれねぇがな。
 ま、其れは良いが、シェリーは多分『聖騎士』の方で来るんじゃねぇか?『闇騎士』はフィールド魔法『次元領域デュエル』とのコンボで真価を
 発揮するモンスターだから、ライディングデュエルじゃ本当の力を出す事は出来ねぇからな。」

「成程、そう言えばそうだったわね。
 だけど其れなら其れで面白いかな?『聖騎士』がシェリーの本来のデッキな訳だし、其処にZ-ONEが加わったら更なる強さを発揮してくれ
 そうな感じだから♪」

其れに、アタシもシェリーも前にデュエルした時よりも強くなってるからね。
よーし、気合を入れる為に当日のデュエル飯は激辛真紅眼の黒竜麺とミニ言峰麻婆丼とハバネロ明太チキンのセットにしよう!!



「いや、その組み合わせは色々間違ってると思うぜ?つか、お前以外に食する事は出来ねぇだろ?」

「え~~?」

「一般人が喰ったら脳味噌の血管切れて即死する可能性があんぞオイ!!」



そうかなぁ?美味しいのに。
さて、当日が待ち遠しいわ!



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・



そして、いざシェリーとのデュエル当日!
ジャックの防衛戦て言う事もあってお客さんは超満員札止め状態だけど、ネットとかでアタシとシェリーのエキシビジョンデュエルも話題になっ
てたみたいね?
WRGP優勝チームのリーダーが無名のデュエリストとデュエルするって言うのがデュエルファンの興味を引いたみたい。(イリアステルの歴史
改竄の影響でシェリーがWRGPに出場してた歴史は無かった事になってるからね。)



「マッタク、物凄い観客の数ね?
 此れだけの観客の前で、貴女とのデュエルが出来る事を幸運に思うわ遊里。」

「其れはアタシもだよシェリー。
 でも、このデュエルが出来るのもジャックが絶対王者権限で前座デュエルとしてねじ込んでくれたからだから、ジャックには感謝しないと♪」

「ふふ、そうね。」



本当にねじ込んでくれるんだから、絶対王者の発言力ハンパないわね。――下手したら、治安維持局長官に次ぐ発言力があるんじゃないか
しら絶対王者って?……有り得ないとは言い切れないわね。



『レディース&ジェントルマン!今日は絶対王者ジャック・アトラスの王座防衛戦によく来てくれたーー!
 だが、今日は絶対王者のデュエルの前に、特別エキシビジョンデュエルとして、上条遊里とシェリー・ルブランのデュエルが行われるぞー!
 WRGP優勝チームであるチーム5D'sのリーダーにして、フォーチュンカップのエキシビジョンでジャックと引き分けた上条遊里と、無名なが
 ら遊里が相手に指名したシェリー・ルブランのデュエルはとても凄い事になりそうだーー!!
 何よりも、種類の異なる可憐な華が舞うだろうデュエルは、期待するなって言う方が無理な話!俺のハートもワクワクしてるぞーーー!』



「……相変わらず見事ね彼は。」

「MCさんは実況のプロだからね?って言うか、ストリートデュエルなら兎も角、大会とかこう言う会場でのデュエルではMCさんの実況がないと
 物足りないわ。」

「其れは分かる気がするわ。
 ――でも、お喋りは此処までね遊里?」

「だね、あとはカードで語るのみ!行くよ、シェリー!!」

MCさんの実況が終わると同時にシグナルが点灯し、赤ランプが一つずつ消えて……



『其れじゃあ、始めるとしようかーー!ライディングデュエル、アクセラレーショーーーーーーン!!』


――ピー!!


シグナルグリーンが点灯!
そして其れと同時に、アタシもシェリーもロケットスタート!!
可成り出来るとは思ってたけど、Dホイールの超高等技術であるロケットスタートを会得しているとは、やっぱりシェリーは相当な使い手ね?
だけど、ファーストコーナーは譲らないわ!!


――グイン!!


「な、壁走りですって!?」

「壁を走れば全部がストレートだから、トップスピードでコーナーを攻められるからね!!」

「だとしても、普通其れをやるかしら……貴女は常識なんて蹴り飛ばすタイプなのね。」



無理を通して道理を蹴っ飛ばす!其れがアタシのスタイルですので。
何にしても、ファーストコーナーは貰ったわ!!――って、こんな事やったら公式ルールでファーストコーナーを取る為の壁走りは禁止にされ
るかも知れないわね。
まぁ、そうなったらその時だけど――取り敢えず私の先攻ね!



『まさかの壁走りの裏技でファーストコーナーを制したのは上条遊里!
 最初のコーナー争いから魅せてくれるぜーーー!此れはデュエルの内容にも期待だーー!!
 其れじゃあ行くぜーー!上条遊里vsシェリー・ルブラン、デュエルスタートォォォォォォォォォォォォ!!』


「「デュエル!!」」


遊里:LP4000   SC0
シェリー:LP4000   SC0




アタシのターン!
アタシは『幻想の召喚士』を攻撃表示で召喚!


幻想の召喚士:ATK1500


幻想の召喚士の召喚に成功した時、デッキからレベル2以下のチューナーモンスターを特殊召喚出来る。
この効果で、アタシはデッキからレベル2のチューナーモンスター『トゲクリボー』を特殊召喚するわ!


トゲクリボー:ATK300


そして、レベル4の幻想の召喚士に、レベル2のトゲクリボーをチューニング
集いし風に秘めた思いが強固な壁を撃ち砕く。光射す道となれ!シンクロ召喚、突き崩せ『有翼幻獣 キマイラ・ガイスト』!!


『グオォォォォ…!』
有翼幻獣 キマイラ・ガイスト:ATK2100



「カードを1枚セットしてターンエンド。」

「私のターン!」


遊里:SC0→1
シェリー:SC0→1



「手札を1枚捨て、『聖騎士-バルムンク』を特殊召喚。」


聖騎士-バルムンク:ATK2100


「そしてチューナーモンスター『聖騎士-ガウェイン』を召喚!」


聖騎士-ガウェイン:ATK1200


シェリーは聖騎士で来たか、クロウの予想通りね。
だけどこのモンスターは前のデュエルで見なかった――さて、如何来るのかしら?



「レベル5の聖騎士-バルムンクに、レベル2の聖騎士-ガウェインをチューニング。
 聖剣よ、我が魂に応えよ!勝利をこの手に!シンクロ召喚、いざ斬り込め!『聖騎士-ジーク・フリート』!!」

『お前が俺の相手か……』
聖騎士-ジーク・フリート:ATK2500



初手から攻撃力2500のレベル7モンスターを召喚して来るとは流石ねシェリー。
攻撃力2500は決して高い数値とは言えないけれど、逆に言うのならその攻撃力を補って有り余る効果を備えているって言う事が言えるわ。
果たしてどんな効果を持ってるのか……



「バトル!聖騎士-ジーク・フリートで、有翼幻獣 キマイラ・ガイストに攻撃!『バルムング』!!」

「そう簡単には行かないわ!
 トラップ発動『聖なるバリア-ミラーフォース-』!これで貴女のモンスターを抹殺するわ!」

「1ターン目からそのカードを伏せていたとは、其れで私のモンスターを一掃して次のターンでの1ターンキルを狙ってと言った所かしら?
 だけど、ジーク・フリートはトラップカードの効果を受け付けない!よって、ミラーフォースは無力と化すわ!!」


――ズガァァァン!!


遊里:LP4000→3600




罠を受け付けない効果を持ってたか。
だけど、キマイラ・ガイストが破壊された時、墓地からキマイラ・ガイストのレベルと等しくなるようにチューナーとチューナー以外のモンスターを
特殊召喚する。
舞い戻れ『幻想の召喚士』『トゲクリボー』!!



「モンスターを途切れさせない戦術は相変わらず見事ね?カードを1枚セットしてターンエンド。」

「アタシのターン!」


遊里:SC1→2
シェリー:SC1→2



『ハネクリボー』を召喚!


ハネクリボー:ATK300


今度はこっちの番よシェリー!
アタシはレベル4の幻想の召喚士と、レベル1のハネクリボーに、レベル2のトゲクリボーをチューニング!
集いし風の導きが、深き沈黙を呼び覚ます。光射す道となれ、シンクロ召喚!静寂を斬り裂け『静寂の剣士-サイレント・ソードマン』!!


『ハァァァァァァ!!』
静寂の剣士-サイレント・ソードマン:ATK2800




デュエルは始まったばかりだから、此処からが本番よ!
貴女とのデュエルは、もっともっと熱くなるはずだから、ギアをトップギアに入れて行くわ!!全力で行くわよシェリー!置いて行かれない様に
しなさいよ!!











 To Be Continued… 






登場カード補足