Side:遊里


WRGPもいよいよ決勝戦ね?
しかも相手は、チームニューワールドを名乗るイリアステルの面々……マッタク持って、やりがいがあるなんて言うレベルじゃないわ――徹底
的に叩き潰さないと満足できないパターンだわ此れ。
てか、未来の為に過去を破壊するとか考えてる時点で、アタシ的には滅殺確定だから、何が何でもアイツ等の事は完膚なきまでに叩きのめし
て、ふざけた目的を終わらせるわ。



「フン……今更機皇帝など恐れる相手ではない!
 奴等の目的を叩き潰す事等、俺達が力を合わせれば児戯に等しいと言う物!一体誰に喧嘩を売ったのか、精々思い知らせてくれる!!」

「ジャック……まぁ、そうだよね。」

相手が誰であろうとも、アタシ達が力を合わせればイリアステルに負ける事は無いわ。
1回戦と2回戦の何方でも出てきてないから、ホセの実力は未知数だけど、恐らくは機皇帝を使ってくるでしょうから、基本的な実力はプラシド
やルチアーノと圧倒的には違わない筈――勝てない相手じゃない事は確かね。

「其れじゃあ行こうか?頼りにしてるよ、絶対王者。」

「ふん……ならば期待には応えねばな?――だが、俺とて頼りにしているぞ無敵女帝。」

「期待には応えるわ♪」

さぁ、いざ決勝戦!
そして、この街の……世界の未来を守るための運命のデュエル――解錠覇王の名に懸けて、絶対に勝つ!!













異聞・遊戯王5D's Turn160
『WRGP決勝戦開始!』











そんな訳で決勝戦当日――ある程度予想はしていたけれど、凄い盛り上がりだね此れ?
会場は席が3階席まで埋まってるみたい…其れだけ、この戦いが注目されてるって事か――まぁ、ネットは勿論の事、新聞やニュースでもWR
GPの決勝戦の事は大々的に取り上げられてたし、SNSなんかでも話題騒然だったみたいだから当然と言えば当然か。



「頑張れよ、チーム5D's!!」

「俺達に勝ったんだ、絶対に優勝してくれよな!!」



って、客席には予選を戦った『チームユニコーン』に、1回戦の相手だった『チーム太陽』、更には準決勝の相手の『チームラグナロク』の面々
が居るじゃない!
応援に来てくれた……んだよね?チーム太陽の面々は『必勝!チーム5D's』の横断幕まで用意してるし。

まぁ、ちょっと視線を移すと、エントリーに間に合わなくて出場すら叶わなかった、骸率いる『チームスカルフレイム』が横断幕どころか、幟まで
用意して、族の集会的に応援してくれてるんだけどさ。

でも、激戦を繰り広げたライバル達が応援に来てくれてるんだから、尚の事負ける事なんて出来ないわ。

そう言う訳で、今日のオーダーを決めましょう。って言うか、発表するから。



「既に決まっているなら、決めようなどと言わずに最初から発表したらどうだ?」

「そうなんだけど、ネタ的にやっといた方が良いかなぁってね?
 まぁ、そんな事は如何でもいいから横に置いておくとして、アタシは決勝トーナメント全戦大将で確定してるから先鋒と次鋒なんだけど、先ず
 先鋒に鬼柳、次鋒をジャックにお願いするわ。」

「俺が先鋒か……良いぜ、やってやるよ。精々機皇帝とやらに、満足させて貰おうじゃねぇか。
 しかも、俺の後に控えてるのがジャックに遊里って事を考えると、マジで隙がねぇ――けどよ、別に3人抜きしちまっても構わねぇんだろ?」



うん、全然OK。
このデュエルは、勝つ事が第一だから、イリアステルを倒せるなら3人抜きだろうが何だろうが問題なし。其れに、鬼柳だって『地錠覇王』だか
ら、やろうと思えば機皇帝相手に3人抜きだって出来ない事は無いだろうし。

あ、それからクロウとアインは、リザーバーとは言え万が一の時の為に出れるようにしておいてね?
アタシが整備してるから先ず無いとは思うけど、若しも直前にマシントラブルでも起きたその時は、アタシやジャックの代わりに出て貰うかも知
れないからさ。



「おうよ!何時でも出れるように、だな。」

「まぁ、恐らく私とクロウの出番はないだろうけれどね。」



だとしても一応ね。



『さぁ、いよいよWRGPも決勝戦!会場は大いに盛り上がって、今にもその熱気で焼き尽くされてしまいそうだーーーー!!
 勝利の栄冠を手にするのは、無敵女帝と絶対王者を筆頭に、シティ最強レベルのデュエリストが集ったチーム5D'sか、それとも現在のデュ
 エル界で2強として君臨しているシンクロとエクシーズキラーとなる『機皇帝』を有するチームニューワールドなのかーーー!
 マッタク持って予想が出来ないこのデュエル!既に、俺のハートはバーニング!観客諸君のハートもボルケーノだーーーーー!!!』



相変わらず、そのリーゼントに負けず劣らず見事な実況ですMCさん。
って言うか、観客を盛り上げるだけじゃなく、実際に戦うデュエリストのテンションまで高めるって相当なんじゃないのかって思うんだけど、それ
がきっとあの人なんだろうから、突っ込みは不要よね。

ともあれ試合開始――頼むわよ鬼柳!!








――――――








Side:鬼柳


さてと、先鋒を任された以上、流れをこっちに引き寄せる為にも、先鋒戦は勝っておかねぇとな。
で、お前が俺の相手か……確かルチアーノとか言ったか?

ガキなだけに、DホイールじゃなくてDボードだが、1回戦のコイツの戦いぶりを見るに只のガキじゃねぇ事は確かだ――恐らくは同世代でコイ
ツとやり合えるデュエリストは龍可と龍亞位なもんだろうよ。

まぁ、せめて其れ位じゃないと俺の相手は務まらないけどな……精々俺を、満足させてくれよルチアーノ!!!



「キヒヒヒヒ……満足させてあげるよ、僕の力でね!
 だけど、お前こそ僕を満足させろよ?僕に蹂躙されて、精々良い声で鳴いてよ……相手の鳴き声を聞くのが、僕は一番好きだからねぇ!」

「……サディストのガキとか、性質が悪いにも程があるぜ。
 だが、そんなに悲鳴が聞きたいなら聞かせてやる……尤も、その悲鳴はお前自身が発するものだがな――無限煉獄の炎、精々味わえ。」



『ライディングデュエル、アクセラレーショーーーン!!』



――ドォォォン!!



む……Dボードの割には速いな?
可成り改造されてるのか、スタートダッシュの加速力は大したモンだが、遊里が整備してるDホイールに勝てると思ったら大間違いだぜ!!
其れに、ファーストコーナーを取る為の手段は1つじゃねぇからな!!



――バシュゥゥゥ!!



「んな!急ブレーキをかける事で車体を浮かせて、其処から体重移動で姿勢を制御して、宙を飛んで強引にファーストコーナーを取った!?
 まさかこんな方法で……やってくれるじゃないか!」

「テメェ等相手に加減は出来ねぇからな。
 だが、此処から先は御託は要らねぇ……テメェの持てる力の全てを出してかかって来なサドガキ――返り討ちにしてやるからよ。」

「負けるのは君の方だ……シンクロを使ってる限り、機皇帝には勝てないからね!!」



ほぜいてろ……行くぜ!


「「デュエル!!」」


鬼柳:LP4000   SC0
ルチアーノ:LP4000   SC0




俺の先攻!
カードを3枚セットし、『インフェルニティ・ガーディアン』を守備表示で召喚。


インフェルニティ・ガーディアン:DEF1700


先ずは此れでターンエンドだ。



「僕のターン!」


鬼柳:SC0→1
ルチアーノ:SC0→1




「僕は、『スカイ・コア』を守備表示で召喚!」
スカイ・コア:DEF0



来たか、機皇帝を呼び出す為のコアが……遠慮はいらないぜ、呼んでみろよお前達が頼りにしてる『機皇帝』って奴をなぁ!!



「キシシ、後悔するよ?
 僕は手札からスピードスペル『Sp-クラッシュ・スピード』を発動!
 僕のフィールド上のモンスター1体を選択して破壊し、破壊したモンスターのレベル又はランク分のスピードカウンターを得る!
 この効果でスカイ・コアを破壊し、スピードカウンターを1つ増やす。」
ルチアーノ:SC1→2



自分のモンスターを!……いや、機皇帝の真骨頂は此処からか!!


「そして、スカイ・コアが破壊された事で効果発動!
  このカードがカード効果で破壊された場合、僕のフィールド上の全てのモンスターを破壊し、デッキ、手札、墓地の何れかから『機皇帝スキ
 エル∞』
『スキエルT』『スキエルA』『スキエルG』『スキエルC』を1体ずつ特殊召喚する!」


機皇帝 スキエル∞:ATK0
スキエルT:ATK600
スキエルA:ATK1000
スキエルG:DEF300
スキエルC:ATK400


機皇帝の構成パーツの揃い踏みか……果たして、俺を満足させるに足りる相手か見せて貰うぜ!!


「だったら見ろ、そして絶望しなよ!……合体せよ、『機皇帝スキエル』!!」


――ガシィィィィ!ガシ、ガシィィィィン!!


機皇帝 スキエル:ATK2200



遊里から話を聞いてたが、コイツが機皇帝か……趣味の悪い機械兵だぜ。



「悪趣味って思うかい?だけど、僕達の機皇帝に隙は無い!!
 先ずは、君の守備モンスターを抹殺してやるよ――機皇帝スキエルで、インフェルニティ・ガーディアンに攻撃!『スカイグラスパー』!!」



でもって、あんまり思慮深くはねぇみたいだな?
攻撃して来たのは褒めてやるが、もう少し相手の伏せたカードの事を考えた方が良いと思うぜ?
リバースカードオープン、トラップカード『インフェルニティ・インフェルノ』!
手札を2枚まで捨て、捨てた枚数と同じ数の『インフェルニティ』を墓地に送る!――コイツの効果で、俺の手札は0になったが、此れで良い!
俺の手札が0である限り、インフェルニティ・ガーディアンは戦闘でも効果でも破壊されないモンスターになるんだからな!!



「ちぃ……気に入らないよお前!カードを2枚セットしてターンエンド。」

「テメェに好かれようとは思ってねぇがな……その代わりに叩き潰してやるぜ!俺のターン!」


鬼柳:SC1→2
ルチアーノ:SC2→3



コイツは良いカードを引いたぜ。『インフェルニティ・ミラージュ』を召喚!


インフェルニティ・ミラージュ:DEF0


インフェルニティ・ミラージュの効果発動!
俺の手札が0の時、このカードをリリースして、墓地の『インフェルニティ』2体を特殊召喚する!
無限煉獄の幻影が、墓地の魂を呼び覚ますぜ!来い『インフェルニティ・ネクロマンサー』『インフェルニティ・リベンジャー』!!


インフェルニティ・ネクロマンサー:DEF2000
インフェルニティ・リベンジャー:DEF0




更に、インフェルニティ・ネクロマンサーの効果発動!
手札が0の時、墓地から『インフェルニティ・ネクロマンサー』以外の『インフェルニティ』を特殊召喚出来る!!
出番だぜ『インフェルニティ・ビートル』


インフェルニティ・ビートル:ATK1200



コイツで準備は整った!
行くぜ!レベル3のインフェルニティ・ネクロマンサーと、レベル4のインフェルニティ・ガーディアンに、レベル1のインフェルニティリベンジャーを
チューニング!
天国と地獄、その狭間の煉獄から、人知を超えた力が世界に溢れ出す。シンクロ召喚、出でよ『煉獄龍 フォルト・スクライド』!!

『グオォォォォォォォ!!!!』
煉獄龍 フォルト・スクライド:ATK3000


そして、此れだけじゃ終わらねぇ!
レベル8のフォルト・スクライドに、レベル2のインフェルニティ・ビートルをチューニング!!


「何だって!?」

「俺には、遊里やジャックみたいなスゲェシンクロモンスターはねぇが、それでも無限の煉獄は進化し続けててるんだ……ハンドレスに死角は
 ねぇんだよ!」

精々その力を知りな!
無限煉獄の焔が、限界を超えて現世すら焼き尽くさん。シンクロ召喚、全てを焼き尽くせ『煉獄龍皇 フォルト・ハーディス』!!


『グオォォォォォォ!!』
煉獄龍皇 フォルト・ハーディス:ATK4000


「煉獄龍皇 フォルト・ハーディス!しかも攻撃力4000だってぇ!?」



此れこそが無限煉獄最強の支配者だ……機皇帝如き、簡単に喰らってやるから精々覚悟を決めておくんだな。
まぁ、覚悟を決めた所で、テメェ等の敗北の運命が覆る事だけは絶対に無いだろうけどよ……精々楽しませてくれよなチームニューワールド。

俺を……俺達を、最上級に満足させてくれよ!!










 To Be Continued… 






登場カード補足



Sp-クラッシュ・スピード
スピードスぺル
自分フィールド上のモンスター1体を選択して発動する。
選択したモンスターを破壊し、破壊したモンスターのレベル又はランクの数と等しい数だけ自分のスピードカウンターを増やす。