Side:遊里
取り敢えずぶっちゃけるわね…ヴェルズ語は聞き取り辛かった!!
逆再生とも違うしなにアレ!?
「侵略者の異常思念とでも言うべきだろうな…其れをいとも簡単に打ち破ったお前も大概だと思うが…」
「あんなのに負けてるようじゃ貴方の前に立つ資格はないと思うわよジャック?」
「ふ、当然だな…俺の前に立つことが許されるのは真の強者のみだ!!」
ならアタシはその資格を手に入れるわ。
準決勝も、決勝もきっと半端じゃないデュエルになると思うけど、其れを制してアタシは貴方の前に立つ。
さて、第3戦もそろそろ決着がつくわね?
まぁ、状況的に勝つのはどっちか分かりきってるけどね。
「要塞クジラのダイレクトアタック!『ホエール・ボンバード』!!」
「どわぁぁ!!!!」
LP2000→0
梶木良哉も問題なく準決勝進出ね?…残る椅子はあと1つだけど、アタシには分かる…残った1つを手にするのはボマーよ――間違いなくね。
異聞・遊戯王5D's Turn16
『選ばれた4人の強者』
「トラップ発動『メテオレイン』!これでこのターン、私のモンスターは貫通効果を得る!
此れで終わりだ…ジャイアント・ボマー・エアレイドで、魂を削る死霊に攻撃!『デス・エアレイド』!!」
「たわらばぁぁ!?」
LP1200→0
まぁ、妥当なところよねこの結果は。
梶木に麗、そしてボマー…この3人がベスト4に上ってこないなんて正直考えられないわよ。
或は其れを見越してたのかしらゴドウィンは…まぁ、如何でも良いけどね。
でも、此れはどんな組み合わせになっても明日の準決勝は楽しそうだわ。
『決まったーーー!!これでベスト4進出者が出揃った~~~!!
いずれ劣らぬ強豪ばかり!!明日の準決勝が待ちきれなくて、今日は夜も眠れそうにないぞ~~~~~!!
其れじゃあ此処で、明日の準決勝の組み合わせを発表だ~~~~!!!』
あ、準決勝の組み合わせはランダム決定じゃないんだ?
てか残り2組でランダム決定したって意味ないわね………さてと、アタシの相手は誰かな?
『明日の準決勝の組み合わせは~~~~…第1デュエル『上条遊里vsボマー』!第2デュエル『梶木良哉vs孔雀麗』だ~~~~~!!』
アタシの相手はボマーか…相手にとって不足はないわ。
相手の行動制限と直接ダメージをメインに、攻撃力の高い大型モンスターも使いこなす攻撃型デュエルは楽しみよ。
てかよくよく考えたら、準決勝に進出したのってアタシも含めて全員攻撃型よね?タイプは違うけど。
何気に第2デュエルは海と空の対決ってのも面白いわよね。…ん?
「……………」
ボマー……睨んでるわね、こっちを。
気持ちは分かるかな?……アタシだって明日を待ちきれない――今ここでデュエルを始めたい気分だもの。
だけどルールはルール。
――グッ!!
「ふっ…」
突き出した拳に返してくれるとは嬉しいわね。
それにあの口の動き…声は聞こえなかったけど『最高のデュエルにしよう。』か……言われるまでもないわ。
アタシは相手が『本当のデュエリスト』ならどんな人だろうと全力を尽くすのが信条だから。
明日の第1デュエルは荒れる……てか荒らすわ。
「「「遊里が燃えてる…」」」
「燃えてなんぼの相手だからね……」
だけど、今日はこのまま帰って、明日に備えて体を休めるべきね。
取り敢えず、今日の晩御飯は激辛ポークカレーとレッドホットチキンにスパイシーサラダで、デザートは激甘スペシャルパフェかな~~♪
「んだそりゃ…聞いてるだけで胃が痛くなってくるメニューだぜ…」
「好きな物は好きだから仕方ないって事で♪」
――――――
Side:ボマー
「では、明日の準決勝は頼みますよボマー君。
勝敗に関係なく、彼女に秘められた力を解放してくれた場合には、君の村への資金援助を行いますので…」
あの組み合わせ…矢張り操作されていたか。
所詮私は上条遊里の潜在能力を引き出すための駒に過ぎないのか……だが、ゴドウィンの思惑に関係なく彼女は私とのデュエルを楽しみにしてくれていてる。
ならば、其れに応えるのがデュエリストとしての礼儀だな。
「その約束は忘れるなよ……覚醒させて見せよう、彼女の力を。」
そして、覚醒しようとしまいとお前の罪は白日の下に曝させてもらうぞゴドウィン。
私から、幼い妹と弟以外の全てを奪い去った貴様の罪はな……貴様が其れを『罪』と見ているかどうかは知らんが…
ともあれ、明日は今まで以上に気の抜けないデュエルだ…ゆっくり休むとするか…ん?
「え~~っと…ここ何処だ?」
アレは遊里と共にいた少年ではないか?
…如何した少年、こんなところで何をしている?
「うわぁ!?…ぼ、ボマー…驚かさないでよ。」
「驚かせたか?…すまなかった。
それでこんな所で何をしているんだ少年?君と共にいた遊里の宿泊施設は全くの逆方向だと思ったが?」
「えぇ!?逆方向!?…やっばいよ、どうやって帰ろうかな…」
…迷子だな此れは…そもそも何で1人で出歩いている?
「…小腹が空いたからホットドックでもって思たんだけど…迷っちゃった…」
「誰か大人に付いて来て貰えば良かっただろうに……仕方ない、見つけた以上は放ってはおけん。
私が上条遊里のところまで送ってやろう。」
君を送っていくことで、この大会で初めて使う私のDホイールの調子も確認できるからな。
「…………」
「如何した?」
「送ってくれるのは嬉しけどさ…なんか、此れって俺がボマーの偵察に来たみたいで嫌だね…」
…成程…確かにそう言えるかもしれん。
だが、上条遊里はそんな狡い事をする奴ではないだろう?……私も君が彼女の差し金で来たのではないと言う事は分かるさ。
だから遠慮せずに乗ると良い。
丁度、彼女にはデュエル前の挨拶をしておきたいと思ったからね。
「そうなの?…じゃあお願いします。」
「任せておけ。」
さて、彼女の宿泊場所はこっちだったな。
――――――
Side:遊里
龍亞が行き成り居なくなったと思ったら、ホットドック買いに行って道に迷うって…方向音痴にも程があるでしょうに。
スタジアムの売店からアタシの宿泊場所までって1本道の筈だけど…如何やったら迷えるってのよ?
まぁ、でも送り届けてくれた事には礼を言うわボマー。
「当然の事だ…だが、疲れたのだろう…寝かせてやってくれ。」
「勿論その心算よ。」
龍可と宇里亜も寝てるしね。
「明日は準決勝ね……悪いけど勝たせてもらうわよ?」
「私とて早々簡単に勝ちを譲るつもりはない……君と私の本気のフィールをぶつけ合おうじゃないか!」
その提案乗った!!
ジャック用に編み出した新フィールを、先ずは貴方に喰らわせてあげるわよボマー!
「ならば私も修行の末に編み出した新フィールを君に喰らわせるとしよう!」
「楽しみにしてるわボマー!」
明日は最高のデュエルをしましょう!
「あぁ、君となら其れが出来るだろうな。」
ただし、勝利だけはアタシがもぎ取らせてもらうけどね!
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でもって翌日!!
天気は雲1つ無い快晴!まさしくデュエル日和ね……こんないい日にデュエルが出来るなんて、燃えてくるわ。
Dホイールの調子も最高だしね。
「其れにしても…昨日は暗がりで確認できなかったけど、ごついDホイールねボマー…」
アタシのDホイール――レーゲンデュエルの2.25倍はあるわよね?
「此れくらいでないと私が乗るには小さくてな。
だが、巨大だからといって愚鈍ではない……加速力は他のDホイールに引けは取らぬ!!」
なら問題ないわ。
スピード勝負が出来ないんじゃライディングの面白さも半減するからね。
『さぁ、準決勝の第1デュエルは既にスタンバイ完了だ~~!!
サテライトの女帝と、爆撃の巨人は一体我々にどんなデュエルを見せてくれるのか~~!?期待するなってのが無理だよなぁ~~~!!』
テンション高いなぁMCさんも。
けどその期待は裏切らないわ……アタシとボマーのデュエルをその目に焼き付けなさい!
『フィールド魔法『スピードワールド』セットオン!
此れでフィールドは速さが支配する世界になった~~!!スピードスペル以外の魔法が封じられたこの世界でどんなデュエルが生まれるのか~~~!!』
シグナルレッド点灯……1つ、2つ、3つ…
――ピーーーーーー
グリーン点灯!!先手必勝!!
『ライディングデュエル、アクセラレーショ~~~~ン!!
飛び出したのは略同時!!ファーストコーナーをとって先行となるのはどっちだ~~!!』
く…言ってた通り、巨体のくせに速い――!
でも、その巨体ならコーナーリング性能はアタシには勝てない筈…ちょっと強引だけど先攻は貰うわ!!
――グン!
「!!!」
「先攻はアタシからね?」
『何と言う鋭いコーナーリング!!強引にインを攻めて、上条遊里が先攻を奪取~~!!
此れは凄いデュエルが期待できそうだ~~!!それじゃあ行くぞ?
準決勝ファーストデュエル、上条遊里vsボマー!デュエル…スタートォォォォォォォォォ!!』
「「デュエル!!!」」
遊里:LP4000 SC0
ボマー:LP4000 SC0
良い手札だわ…初っ端から飛ばすわよ!アタシのターン!
手札の『ジャンク・ブレーダー』を墓地に送り、チューナーモンスター『ジャッキー・ジャンパー』を特殊召喚!
ジャッキー・ジャンパー:DEF1200
そして『マックス・ウォリアー』を通常召喚するわね。
マックス・ウォリアー:ATK1800
「1ターン目からの高速展開…レベル7のシンクロモンスターを呼ぶつもりか…?
いいだろう、君の本気を全力で受けよう!!」
「そう来なくちゃ!!
アタシはレベル4のマックス・ウォリアーに、レベル3のジャッキー・ジャンパーをチューニング!
集いし破竜の魂が、破壊の剣士を呼び覚ます。光射す道となれ!シンクロ召喚、切り崩せ『龍滅剣士 バスター・ブレイダー』!!」
『ウオォォオォォォォ!!』
龍滅剣士 バスター・ブレイダー:ATK2600
カードを2枚セットしてターンエンド。
「行き成り来たか上級シンクロモンスター…だが、そうでなくては面白くない…私のターン!」
遊里:SC0→1
ボマー:SC0→1
「私は手札から、スピードスペル『Sp-オーバーブースト』を発動。
エンドフェイズに私のスピードカウンターを1にする代わりに、このターン私のスピードカウンターを4つ増やす!」
ボマー:SC1→5
行き成りそのカード!?
しかも後攻1ターン目ならスピードカウンターは1からだから、エンドフェイズに1になっても現状維持は可能…良い手だわ。
「そしてスピードスペル『Sp-スピード・フュージョン』を発動!
このカードの効果で、手札の『ロアー・バルカン』と『バン・ガード』を融合!!
顕現せよ我が破壊の力!全てを塵すら残らず消し去ってしまえ!融合召喚、『起爆獣 ヴァルカノン』!!」
『ガァァァァァ!!』
起爆獣 ヴァルカノン:ATK2300
ヴァルカノンですって!?…此れはいきなりトンでもないモンスターを召喚してくれたものだわ…
「ヴァルカノンの効果発動!融合召喚に成功した時、相手を道連れに自爆し、相手に道連れにしたモンスターの攻撃力分のダメージを与える!!」
――バガァァァァン!!!
「きゃぁぁぁぁ!!!」
遊里:LP4000→1400 SC1→0
く…行き成りやってくれるじゃない。
だけど、そのダメージ受けた事により、アタシの手札から慈愛の使者が進撃する!
アタシが1000ポイント以上の効果ダメージを受けたとき、手札の『慈愛のホーリー・エルフ』が特殊召喚される!
そしてこの方法で特殊召喚した場合、受けた効果ダメージの半分のライフを回復するわ。
慈愛のホーリー・エルフ:DEF2000
遊里:LP1400→2700
「そうそう簡単には行かないか…見事なものだ。」
「此れだけじゃないわよ?トラップ発動『リビングシンクロン』!
アタシのシンクロモンスターが破壊されたときに発動!そのシンクロモンスターを墓地から特殊召喚する!!蘇れ『龍滅剣士 バスター・ブレイダー』!!」
『オォォォォ…!』
龍滅剣士 バスター・ブレイダー:ATK2600
「私の攻撃を防いだだけでなく戦線も維持するとは…流石だな。
だが、私のターンはまだ終わってはいない!!
私は墓地の『起爆獣 ヴァルカノン』『ロアー・バルカン』『バン・ガード』の3体をゲームから除外し…現れよ『爆撃神獣 ヴォルカノイド』!!」
『ボアァァアァァ!!』
爆撃神獣 ヴォルカノイド:ATK3000
!!ヴァルカノンを耐えたと思ったらこれ!?
何て手札…ホーリー・エルフとリビングシンクロンが無かったらアタシはこのターンで負けていたわ。
けど――だからこそ面白いのよね。
受けさせてもらうわよボマー……貴方の『破壊のフォール』って言うのを!!
To Be Continued… 
登場カード補足
ロアー・バルカン
レベル4 炎属性
機械族・効果
このカードの攻撃対象になったモンスターの攻撃力は800ポイントダウンする。
ATK1200 DEF1000
バン・ガード
レベル4 炎属性
炎族・効果
このカードが破壊され墓地に送られたとき、相手に800ポイントのダメージを与える。
ATK0 DEF1600
Sp-オーバーブースト
スピードスペル
自分のスピードカウンターを4つ増やす。
エンドフェイズに、自分のスピードカウンターを1にする。
Sp-スピード・フュージョン
スピードスペル
自分のスピードカウンターが4つ以上ある場合に発動できる。
手札・自分フィールド上から融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、
その融合モンスター1体を融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
リビングシンクロン
通常罠
自分フィールド上のシンクロモンスターが破壊され墓地に送られたときに発動できる。
そのシンクロモンスターを墓地から特殊召喚する。
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