Side:遊里


ジャックの最強レッド・デーモンを、コンバットトリックで迎撃してくるとは、チームラグナロクの大将であるハラルドの実力は、ドラガンやブレイブと
は一線を画すモノであるのは確実ね?
尤も、三極神最強の神を従えてる時点で、ラグナロク最強のデュエリストであるのは間違い無いか。

でも、クロウもまた一流の上を行く超一流のデュエリストだから、3体の神が相手であっても簡単にやられる事はないでしょうね絶対に。
まして、ジャックから2体のレッド・デーモンを受け継いだ訳だし、WRGPのルール上、先攻は交代したデュエリストからになるから先手も取れる。

勿論、其れだけで有利だなんて言う心算は無いけど、クロウだったらこのアドバンテージを120%生かす事が出来る筈だわ。



「クロウ、頑張ってーーーー!!」

「頑張れクロウーーーーー!!!」

「応、任せときな!!」



加えて、龍可と龍亞の声援は、クロウにとっては何よりのエールになってるみたいだからね。
ううん、龍可と龍亞だけじゃなく、旧サテライト市区の子供と達全員が貴方を応援しているわクロウ――だから、その声援を力に変えれば、3体
の神が相手であっても恐れる事は無いと思うからね。

天かける黒翼は、神ですらも惑わせる……黒き翼の力、神に思いっきりぶつけてやれクロウ!!













異聞・遊戯王5D's Turn157
『神にひれ伏せ?冗談じゃない!』











クロウ:LP4000   SC6
煌魔龍 レッド・デーモン:ATK3000
煌魔龍 レッド・デーモン/バスター:ATK3500



ハラルド:LP4000   SC2
極神聖帝オーディン:ATK4000
極神皇トール:ATK3500
極神皇ロキ:ATK3300




Side:クロウ


ジャックから2体のレッド・デーモンを託されたとは言え、フィールドアドバンテージは、3体の神を従えたハラルドの方が上って所だな。
レッド・デーモン/バスターの効果を発動すれば、3体の神も消し炭に出来るが、若しも効果が躱されちまった場合は、逆に俺の首を絞める結
果になりかねないからな……まぁ、俺のデュエルをするだけだな!
俺のターン!――こいつは、行き成り良いカードを引いたじゃねぇか!
俺は『BF-蒼炎のシュラ』を召喚!


BF-蒼炎のシュラ:ATK1800


そして、俺のフィールド上に『BF』が存在する時、手札のチューナー『BF-疾風のゲイル』を特殊召喚出来る!


BF-疾風のゲイル:ATK1300


「む……素早い展開だな?」

「其れがBFの特徴だからな――だが、其れだけじゃないぜ!
 疾風のゲイルの効果発動!相手モンスターの攻守力を半分にする!この効果で、ロキの攻撃力を半分にするぜ!!」



――ギュゴォォオォォォォ!!



極神皇ロキ:ATK3300→1650




「攻撃力が半分に!!」

「空を舞う黒翼を舐めんじゃねぇ!神だか何だか知らねぇが、相手が誰であろうとも黒き翼を広げて立ち向かうのがBFであり、クロウ様だぜ!
 俺は、レベル4の蒼炎のシュラに、レベル3の疾風のゲイルをチューニング!
 黒き旋風よ、天空へ駆け上がる翼となれ!シンクロ召喚!出でよ『BF-アーマード・ウィング』!!!!」

『ウオォォォオォォォォォ!!!!』
BF-アーマード・ウィング:ATK2500




「更にレベル7のシンクロモンスターか……君も、ジャック・アトラスに負けず劣らずの実力者という事か。
 だが、如何にロキの攻撃力を半分にしたとは言え、そのモンスター達ではステータスが半減したロキしか倒す事は出来ないと思うのだが?」



焦んなよ、まだ仕込は終わってねぇんだからな。
カードを1枚伏せ、手札からスピードスペル『Sp-トラップ廃棄用次元装置』を発動!
俺のスピードカウンターが6個以上ある時、互いのプレイヤーは手札と墓地のトラップカードを全てゲームから除外する!此れでもう、ジャックと
のデュエルで見せたコンボは出来ないぜハラルド!



「むぅ……そう来たか!」

「此れで仕込は終わった!行くぜ!
 先ずは、煌魔龍 レッド・デーモン/バスターで、極神皇ロキに攻撃!『イクシード・クリムゾン・バーン』!!」


――ドガァァァァァァァァァン!!


「ムオォォォォォ……見事なフィールだ…!!」
ハラルド:LP4000→2150



未だだ!BF-アーマード・ウィングで、極神聖帝オーディンに攻撃!『ブラック・ハリケーン』



「自滅する気か!?」

「まさか、そんな訳ねぇだろ?
 アーマード・ウィングは戦闘では破壊されず、アーマード・ウィングが戦闘を行う事で発生する俺への戦闘ダメージも0になるんだが、アーマー
 ド・ウィングは、自分と戦闘を行った相手に『楔』を打ち込む事が出来んのさ。」

「楔?」



其れが何なのかは、次の俺のターンで教えてやるぜ。ターンエンド。――で、この瞬間に神が復活するか。
つっても、回収するカードは無いから、只自己蘇生しただけだけど……って、ノーコストの自己蘇生って其れだけでも結構なインチキ効果じゃね
ぇかと思うけどよ。
ま、その辺が神って事なんだろうな。


極神皇ロキ:ATK3300



「私のターン。」


クロウ:SC6→7
ハラルド:SC2→3



「カードを2枚セットし、オーディンの効果発動。このターン、オーディンは魔法と罠の効果を受け付けない。」

「なら、其れにチェーンしてトラップ発動『BFフォース-黒翼のバリア』!!
 このターン、相手は俺のフィールド上の『BF』以外のモンスターを攻撃する事が出来ねぇ!幾ら魔法と罠の耐性を得たオーディンを従えてると
 は言え、この効果は相手の行動そのものを規制するカードだから、オーディンでも抗う事は出来ないぜ!」

さて、如何するハラルド?
攻撃するのは勝手だが、俺にダメージを与える事は出来ないし、攻撃したらお前の神に『楔』が打ち込まれるだけだぜ?



「うぅむ……ジャックが、己の力を持ってして真正面から制圧する戦士ならば、君は策を巡らせて戦う策士――差し詰めデュエル界の孔明と言っ
 た所かな?
 何ともやり辛い相手だが、だからこそ楽しむ事が出来そうだ。私は此れでターンエンド。」

「最高の褒め言葉だぜソイツは!俺のターン!」


クロウ:SC7→8
ハラルド:SC3→4




そんじゃあ、このターンでアーマード・ウィングが打ち込んだ『楔』の力を見せてやるぜ!
アーマード・ウィングは、戦闘を行った相手モンスターに『楔カウンター』を乗せるんだが、俺のターンでその楔カウンターを取り除く事で、楔を打
ち込まれたモンスターの攻撃力と守備力をエンドフェイズまで0にする!
これで、オーディンの攻撃力はエンドフェイズまで0になるぜ!!



「なにぃ!?」
極神聖帝オーディン:ATK4000→0



これで終わりにするぜハラルド!
煌魔龍 レッド・デーモン/バスターで、極神聖帝オーディンに攻撃!『イクシード・クリムゾン・バーン』!!



「よもや楔にこんな効果があったとは……だが、簡単には負けぬ!
 リバースカードオープン、トラップカード『ドレイン・シールド』!相手モンスター1体の攻撃を無効にし、その攻撃力分のライフを回復する。」
ハラルド:LP2150→5650



此処で回復しやがったか!
だが、俺のモンスターの攻撃はまだ残ってるぜ!煌魔龍 レッド・デーモンで、極神聖帝オーディンに攻撃!『アブソリュート・ヘルバーン』



「その攻撃も通さない。トラップカード『待機命令』!この効果で、相手の攻撃表示モンスター1体を守備表示にする。
 悪いが、レッド・デーモンには守備表示になって頂こう。」


煌魔龍 レッド・デーモン:ATK3000→DEF2000


ちぃ……なら、BF-アーマード・ウィングで、極神聖帝オーディンに攻撃だ!喰らえ『ブラック・ハリケーン』!!



――ゴォォォォォォォォォォォォォォ!!



ハラルド:LP5650→3150
「此れは、流石に防ぐ事は出来ないな。」


ち……結局このターンは、ライフを回復させるだけに終わっちまったか――神のカードを従えたチームのリーダーだけあってハラルドの実力は、
決して半端な物じゃねぇ――コイツ程のデュエリストなら、ジャックが負けたのにも納得できるぜ。
カードを2枚セットして、ターンエンドだ。


「エンドフェイズに、オーディンが復活し、私はカードを1枚ドローする!そして行くぞ、私のターン!」


極神聖帝オーディン:ATK4000


クロウ:SC7→8
ハラルド:SC4→5



「これは……まさか此処でこのカードを引き当てるとは、私はとことん神に魅入られているらしい。
 手札からスピードスペル『Sp-ライトニング・ボルテックス』を発動。
 私のスピードカウンターが5個以上ある時、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスターを全て破壊する!!神の雷で吹き飛べ!!」

「此処で、無差別破壊かよ!」

戦闘に於いては無敵のアーマード・ウィングでも、効果破壊を躱す事は出来ねぇ……2体のレッド・デーモン共々、ぶっ壊されちまったか。
だけどなぁ、俺の闘志はまだ消えてないぜハラルド!!

来いよ、神の力、この身で受けてやるぜ!!――手加減なしだろ?



「君は……良いだろう、ならば望み通り神の一撃で葬ってやる。
 バトル!極神聖帝オーディンで、プレイヤーにダイレクトアタック!!『ヘブンズ・ジャッジメント』!!

『ハァァァァァァッァァァァァ!!!』



――ドゴォォォォォォォォォオォォォン!!




「どわぁぁぁぁぁぁぁぁあぁ!!!」
クロウ:LP4000→0



何てフィールだよ、利いたぜクソッ垂れが!
だけどなぁ、クロウ様は転んでもただでは起きねぇんだよ!リバースカードオープン、トラップカード『ダメージシンクロ』
俺が戦闘ダメージを受けた時、俺の墓地と手札からチューナー1体と、チューナー以外のモンスター1体をゲームから除外し、除外したモンスタ
ーのレベルと等しいレベルのシンクロモンスターをエクストラデッキからシンクロ召喚する!

俺は墓地のレベル7のアーマード・ウィングと、手札のレベル1チューナー『BF-突風のオロシ』をゲームから除外してチューニング!!
黒き疾風よ、秘めたる願いをその翼に現出し、来世より光来せよ!シンクロ召喚!舞い上がれ『玄鳳龍 ブラック・フェザー』!!


『グオォォォォォォォォォ!!』
玄鳳龍 ブラック・フェザー:ATK2800




「この瀬戸際で、新たなシンクロモンスターを召喚して来るとは……実に見事だクロウ君。
 今回は、チーム戦故に私が勝ったが、次にデュエルする機会があれば、その時はサシでのデュエルをしたいものだ――君の実力は、タイマン
 のデュエルでこそ、その真価を発揮するのだろうからね。」



あぁ、機会があればまたデュエルしようぜハラルド。
だけどなぁ、このデュエルは俺達が勝たせて貰うぜ?――最後に控えてる遊里は、俺を遥かに凌駕するデュエリストだから覚悟しとけよな?
俺の実力が誤解されたくねぇからあんまり言わねぇんだが、俺は一度も遊里に勝った事はねぇんだ――否、俺だけじゃねぇ。旧サテライトの住
民で遊里に勝った事のあるデュエリストは存在してねぇ……其れだけ強いんだよ遊里はな。
だから、3体の神を従えてるとは言え、気を抜いたら、負けるぜアンタ。



「君が一度も勝てぬとは……相手にって不足はない。
 いや、それどころか上条遊里こそが、神の相手には相応しい――そう思えるのでね。」



アイツが、神に喰らわれるとは思えねぇけどな。
ま、精々目に焼きつけりゃいいさ、チーム5D's最強のデュエリトの実力を――其れが神にも匹敵し、そして凌駕するモノだって言う事をな!!!

俺に出来る事はやった……後は頼んだぜ、遊里!!








――――――








Side:遊里


あ~~、惜しい!
あのバトルが成立してればクロウの勝ちだったのに、其れを的確に躱して、そんでもって返しのターンで弩デカい反撃して来るとは、神のカード
を従えたデュエリストは生半可な実力ではないという事ね。

まぁ、クロウも負けはしたけど玄鳳龍 ブラック・フェザーをアタシに託してくれた訳だけどね――何にしても、此れがラストデュエル…行ってくる!
そしてクロウ、貴方が託してくれたカード、有効に使わせて貰うわ。


「頼んだぜ遊里!俺の黒翼、お前に託すぜ!!」

「3体の神を従えたハラルドに分があるのかも知れないが、お前ならば、この程度は覆し、そして勝利を得る事が出来る筈だ。
 神を従えて選ばれたデュエリストを気取って居る奴等に思い知らせてやれ!天下無敵の『解錠覇王』の力と言うモノをな!!!」

「OK、行ってくるわ。」


――ブオォォォォォォォォン!!



『さぁ、此れは大変な事になって来たーーー!
 チーム5D'sのジャックが2人抜きをした通ったら、チームラグナロクのラストホイーラーであるハラルドが、負けじと2人抜きを敢行し、決着は
 大将戦に持ち込まれたーーー!
 3体の神を相手に回して、サテライトの無敵女帝は如何挑むのか?注目のラストデュエル……デュエル、スタートォォォォォォ!!』


「「デュエル!!」」


遊里:LP4000   SC8
ハラルド:LP3150    SC5




私の先攻!
手札を1枚捨て、『THE トリッキー』を攻撃表示で特殊召喚。


THE トリッキー:ATK2000



そして、此処でクロウが残してくれたリバースカードオープン!トラップカード『調律者の復活』
私の墓地からチューナー1体を選択し、効果を無効にして特殊召喚する!この効果で、THE トリッキーの特殊召喚の為のコストとして墓地に送
った『装甲魔導師パズー』を特殊召喚するわ!


装甲魔導師パズー:DEF1500



貴方が神を操るなら、アタシはその神に仕える神姫の聖騎士を呼び覚ますわハラルド!
レベル5のTHE トリッキーに、レベル3の装甲魔導師パズーをチューニング!
集いし星の瞬きが、聖なる力を呼び覚ます。光射す道となれ!シンクロ召喚、切り込め『プリンセス・ヴァルキリア』!!



私はヴァルキリー……いかに神とは言え、立ち塞がるのならば斬り捨てます!!
プリンセス・ヴァルキリア:ATK2500



プリンセスは、最も神に近い力を備えた神姫の聖騎士だから、ともすれば神すら凌駕する力を秘めているから、これ以上の神の相手はないわ。
でも、此れは正に神話級のデュエルになるだろうから、悔いが無いようにやりましょうハラルド?――どっちが勝っても恨みっこは無しでね!!



「あぁ、良いだろう――君の力、見せて貰うぞ遊里。」

「目に焼き付けろ、そして己の浅はかさを知れってね。」

確かに3体の神は強力だけど、だからと言って絶対の布陣じゃない――遊戯さんが3体の神を束ねたら其れはもう最強だろうけどね。
だけど、遊戯さんの神と比べたら、三極神なんて、アタシに言わせれば普通よりちょと強いシンクロモンスターでしかないわ――だからこそ、負
ける要素が全く持って見当たらないわ!!

このデュエル、アタシは神を超えて見せる!!












 To Be Continued… 






登場カード補足



Sp-トラップ廃棄用次元装置
スピードスペル
自分のスピードカウンターが6個以上ある時に発動出来る。
自分と相手の手札と墓地の罠カードを全てゲームから除外する。



Sp-ライトニング・ボルテックス
スピードスペル
自分のスピードカウンターが5個以上ある場合に発動出来る。
相手フィールド上に表側表示で存在するモンスターを全て破壊する。



BFフォース-黒翼のバリア
通常罠
エンドフェイズまで、相手は「BF」モンスター以外のモンスターに攻撃出来ない。



待機命令
通常罠
相手フィールド上の攻撃表示モンスター1体を選択して発動する。
選択したモンスターを守備表示にする。



ダメージシンクロ
通常罠
自分が戦闘ダメージを受けた場合に発動出来る。
自分の墓地またはデッキから。チューナーとチューナー以外のモンスターを1体ずつゲームから除外して、エクストラデッキからシンクロモンスタ
-1体を召喚条件を無視して特殊召喚する。(この特殊召喚はシンクロ召喚とする。)



調律者の復活
通常罠
自分の墓地からチューナーモンスター1体を選択し、選択したモンスターを自分フィールド上に特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効になる。