Side：ドラガン よもや、神を従えても負けるとは……絶対王者ジャック・アトラスの実力は本物だった――神をも超える力を見せつけられてしまったからな…俺 の完敗だ。それ以外に言いようがない。 「ドラガン、如何だったジャック・アトラスは？」 「強かったよハラルド。 　其れこそ、あの八百長がなくとも、俺はアイツに勝つ事は出来なかったんじゃないかと、そう思わせるだけの強さをあいつは持っていたからな。 　絶対王者など、大層な名とも思ったが、ジャック・アトラスはその名に恥じないデュエリストだったよ。」 「そうか……いや、そうだったのだろうな。 　君の顔が其れを物語って居るよドラガン――デュエル前と比べて、実に良い表情になったじゃないか。」 かもな。 全力のジャックに負けた事で、俺はようやくスタートラインに立つ事が出来たのかも知れん――が、それだけにジャックを甘く見たら痛い目に合う から、覚悟して行けブレイブ。 神をも超えるドラゴンを従えたジャックは、正に無敵と言っても過言ではないのだからな。 「りょーかい！ 　ま、相手が誰であろうと、俺は俺らしいデュエルをするだけだけどな！！！」 ……正直不安しか感じないのだが、ブレイブとて並のデュエリストではないから、如何にジャックと言えども簡単に勝つ事は出来ないだろうな。 先手は取られたが、我等の本領は此処からだ！！ 異聞・遊戯王5D's　Turn155 『絶対最強の絶対王者！！』 Side：ジャック 「いぃやっほーー！今度はこの俺様の出番だぜーー！！」 ドラガンを倒して出てきた２番手は、ブレイブと言う名前らしいが……何と言うか軽いな。性格にしろ、行動にしろ、目に映るもの全てが軽いのだ が、恐らくは此れは演技だな。 俺の油断を誘うとか、そう言う類のモノではなく、純粋にエンターテイメントしての演技だが。 だが、その演技の裏に隠された実力を見抜けんほど、此の俺の目は節穴ではないぞブレイブ！――貴様の持てる力の全てを持ってして、絶対 王者を倒して見せろ！！――行くぞ！！ 「あ～ら、バレてたってか？なら、これ以上の演技は必要ねぇな？――行くぜジャック！！」 「来い！力の差と言うモノを教えてやる！！」 「「デュエル！！」」 ジャック：LP４３００　　　SC７ 紅蓮魔龍　スカーレッド・デーモン：ATK６５００ ブレイブ：LP４０００　　　SC３ 極神皇トール：ATK３５００ 「先攻は俺からだな！俺のターン！！大層なドラゴンだが、悪いが退場して貰うぜ？ 　極神皇トールの効果発動！相手モンスター１体の効果を無効にし、その効果を得る！ 　効果が無効になりゃ、攻撃力は元の４０００に戻るし、ソイツの効果を得たトールは墓地のチューナーの数だけパワーアップできるって訳だ。 　でもって、俺の手札にはスピードスペル『Sp－エンジェル・バトン』がある訳で、コイツで手札のチューナーを墓地に送ればトールの攻撃力は４ 　０００ポイントになってソイツとは相討ちになる。」 だが、神は自己蘇生する故に、実質的には俺だけがモンスターを失う事になるか……ふん、笑止！ 最強の地縛神を調伏して手にした我がバーニングソウル。其の力より生み出された、紅蓮の悪魔龍を簡単に倒せると思ったら大間違いだ！！ スカーレッド・デーモンの効果発動！１ターンに１度、このカードをゲームから除外出来る。 そしてこの効果を使用したターン、１度だけ相手の攻撃を無効に出来るのだ！これにより、トールの効果は対象を失い不発に終わり、攻撃したと ころで、其れもまた無駄に終わる！ 更に教えてやるならば、エンドフェイズに除外されたスカーレッド・デーモンは帰還するぞ。 「マジで？其れって可成り厄介だぜ…… 　トールの攻撃は無効にされ、仮に他のモンスターを召喚して攻撃してダメージを与えても、帰還したスカーレッド・デーモンの反撃を受けて、結 　果敵には俺の方が大ダメージを受けちまう訳だしなぁ？」 「付け加えるのならば、スカーレッド・デーモンは相手のカード効果で破壊されず、魔法・罠カードの対象にもならん！」 「待てやオイ、其れどうやって処理しろってんだよ！？明らかに神とか目じゃねぇくらいの弩チート能力じゃねぇか！」 星界の三極神が如何程のモノかは知らんが、俺達のドラゴンは、５０００年周期で行われてきた邪神との戦いを生き抜いてきた歴戦の強者！！ そしてその力は、現代のシグナーによって新たな領域へと高められたのだ！そう、神の領域にまでな！！ 「マジかよ……カードを２枚セットしてターンエンド！」 「この瞬間に、スカーレッド・デーモンは帰還する！」 紅蓮魔龍　スカーレッド・デーモン：ATK６５００ 「俺のターン！」 ジャック：SC７→８ ブレイブ：SC３→４ 手札より、スピードスペル『Sp－死者蘇生』を発動！ 俺のスピードカウンターが５個以上ある時、墓地のモンスターを特殊召喚する！蘇れ、我が魂『煌魔龍　レッド・デーモン』！！ 『バオォォォォォォォォォォ！！』 煌魔龍　レッド・デーモン：ATK３０００ 『キター！！なんと、此処でレッド・デーモンが復活ーーーー！！ 　四腕六翼の紅蓮の魔龍と、赤き魔龍が神と対峙する様は、正に神代の戦いを連想させるド迫力な物だーーーーーーーーー！！！！』 神代の戦いか……確かにそうかも知れんが、この戦いに勝利するのは神ではない！ 神をも超えた我が魂が、神を蹂躙してチーム５D'sに勝利を齎すのだ！ 俺は絶対王者にして、天錠覇王！神の力如きで、俺を倒せると思ったら大間違いだ――今の俺は、神をも凌駕した存在なのだからなぁ！！！ ２体目の神を拝みたいと思ったが、貴様は此処で終わりだブレイブ！ バトル！紅蓮魔龍　スカーレッド・デーモンで、極神皇トールに攻撃！『アルティメット・クリムゾン・フォース』！！ 「く……トラップ発動『ショック・アブソーバー』！ 　モンスターが戦闘を行う事によって発生する俺へのダメージは０になる！！」 ほう？此れを躱したか。 だが、其のカードはあくまでもモンスター同士の戦闘によるダメージを０にするだけで、プレイヤーへの直接攻撃のダメージは０に出来んだろう？ 追撃だ！煌魔龍　レッド・デーモンでダイレクトアタック！『アブソリュート・ヘル・バーン』！！ ――ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァン！！！ ブレイブ：LP４０００→１０００ 「ぐ……だが、トラップ発動『フリッグのリンゴ』！ 　俺のフィールド上にモンスターが存在しない場合に戦闘ダメージを受けた場合に発動！ 　受けた戦闘ダメージ分のライフを回復し、自分フィールド上に『邪精トークン』（悪魔族・闇・星１・攻／守？）１体を特殊召喚する。 　そんでもって、このトークンの攻撃力・守備力は、この効果で自分が回復した数値と同じになる。」 ブレイブ：LP１０００→４０００ 邪精トークン：ATK？→３０００ ほう？ダイレクトアタックをトリガーにして、ライフゲインとトークン生成とはな。 ならば、俺はメインフェイズ２で、スピードワールド２の効果発動！スピードカウンターを７個取り除いて、デッキからカードを１枚ドローする。 ジャック：SC８→１ カードを１枚セットしてターンエンドだ！ 「この瞬間にトールが復活し、相手に８００ポイントのダメージを与える！」 「ふん、この程度は蚊ほども感じぬがな！」 ジャック：LP４３００→３５００ 「俺のターン！」 ジャック：SC１→２ ブレイブ：SC４→５ 「俺は『極星霊ドヴェルヴ』を召喚！」 極星霊ドヴェルヴ：ATK０ 「極星霊ドヴェルヴの召喚に成功した時、手札の『極星』チューナーモンスターを特殊召喚出来る！来い『極星霊デックアールヴ』！！」 極星霊デックアールヴ：ATK１４００ トークンと非チューナー、そしてチューナーのレベル合計は１０……２体目の神か！ 良いだろう、呼ぶが良い、貴様の神とやらをな！！ 「見せてやるぜ俺の神を！ 　レベル１の邪精トークンと、レベル４のドヴェルヴに、レベル５のデックアールヴをチューニング！ 　星界より生まれし気まぐれなる神よ、絶対の力を我らに示し世界を笑え！シンクロ召喚！光臨せよ、『極神皇ロキ』！」 『クククククク…』 極神皇ロキ：ATK３３００ 其れが貴様の神か……相手にとって不足はない！存分にかかって来るが良い！！ 「オウよ！ 　先ずは極神皇トールの効果発動！レッド・デーモンの効果を無効にしてその効果を得る！！」 その効果にチェーンして、トラップ発動『バスター・モード』！ そして、バスター・モードにチェーンして、スカーレッド・デーモンの効果を発動してゲームから除外し、このターン１度だけ攻撃を無効にする！！ 故に貴様に勝利は無いと知れ！！バスター・モードの効果により、レッド・デーモンは更なる高みへと昇るのだ！！ 来い『煌魔龍　レッド・デーモン／バスター』！ 『バオアァァァァァァァァァァァァァァァァ！』 煌魔龍　レッド・デーモン／バスター：ATK３５００ 攻撃力はトールと互角故に、相討ちを狙う事は出来るだろうが、その攻撃はスカーレッド・デーモンの効果によって無効となる上に、ロキの攻撃 力ではレッド・デーモン／バスターを倒す事は出来ん！ さぁ、如何する！！ 「ちぃ、ターンエンド！！」 「この瞬間に、スカレッド・デーモンが帰還する。」 紅蓮魔龍　スカーレッド・デーモン：ATK６５００ 行くぞ、俺のターン！ ジャック：SC２→３ ブレイブ：SC５→６ 「レッド・デーモン／バスターの効果発動！ 　１ターンに１度、相手フィールド上に表側表示で存在するカードを全て破壊する！『クリムゾン・メテオフォース』！！」 ――ドガァァァァァァァァァァァァン！！！ 「か、神が一撃で！！」 此れが現実なのだブレイブよ！ 神の力が如何に強力とは言え、其れは決して無敵ではない！だからこそ、つけ入る隙はあるのだ…其れはその身をもって知っただろうがな！ だが、此れで貴様を護るモンスターは存在しない！ 神を従えるだけの力は持っていたようだが、所詮貴様程度では俺の相手ではなかったらしい……故にこれで終わりだブレイブ！！ 紅蓮魔龍　スカーレッド・デーモンでプレイヤーにダイレクトアタック！『アルティメット・クリムゾン・フォース』！！ ――ドガゴバァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン！！！ ブレイブ：LP４０００→０ 「何も出来ずにお終いかよ！！ 　だが、エンドフェイズに神は復活する……故に神は健在だ――ハラルドは強いぜ、精々覚悟して挑む事だ。」 「ふん、上等だ！其れ位でなくては、デュエルは面白くないのでな！」 極神皇トール：ATK３５００ 極神皇ロキ：ATK３３００ ジャック：LP３５００→２７００ 此れで残りは大将のハラルドのみだ……簡単に倒せる相手ではないだろうが、だからと言って負けてやる心算は毛頭ない――『神』の真髄を 見せて貰おうではないか！！ 其れを真っ向から打ち砕いてくれるわ！！ 　Ｔｏ　Ｂｅ　Ｃｏｎｔｉｎｕｅｄ…　 登場カード補足 極神皇ロキ レベル１０　　　神属性 幻神獣族・シンクロ/効果 チューナー＋チューナー以外のモンスター２体以上 １ターンに１度、自分のバトルフェイズ中に相手が魔法・罠カードを発動した時、 その発動を無効にし破壊する事ができる。 フィールド上に表側表示で存在するこのカードが相手によって破壊され墓地へ送られた場合、そのターンのエンドフェイズ時にこのカードを墓地 から特殊召喚する。 この効果で特殊召喚に成功した時、 自分の墓地に存在する罠カード１枚を選択して手札に加える事ができる。 ATK３３００　　　　DEF３０００ 極星霊ドヴェルヴ レベル４　　　　闇属性 魔法使い族・効果 此のカードの召喚に成功した時、手札の「極星」チューナーモンスターを特殊召喚出来る。 ATK０　　　　DEF０ ショックアブソーバー 通常罠 エンドフェイズまで、自分のモンスターが戦闘を行う事によって発生する、自分への戦闘ダメージは０になる。