Side:遊里


ジャックvsドラガンのデュエルは、正に真っ向勝負のぶつかり合いって言っても過言じゃないわね?
ジャックが初手からシンクロ封じのブラック・ハイランダーを呼んだと思ったら、ドラガンは其れをアドバンス召喚の上級モンスターで突破したしね。
だけど、突破されたのをトリガーにしてジャックがレッド・デーモン呼び出し、その攻撃をトリガーにしてモンスターを呼び出して、ドラガンが神召喚。

攻撃力では劣るから、レッド・デーモンは破壊されちゃったけど、其処からダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンをエクシーズ召喚して、そして神
の攻撃力の半分を吸収して神を撃破!
でも、自己蘇生能力で神は蘇り、ジャックに800ポイントのダメージを与えた上で、再びフィールドに降り立ったわけだ…何とも、面倒な効果を備
えてるみたいね、彼等の『神』は。

だけど、其れで私達に勝てると思ったら大間違いよ、チーム・ラグナロク?

神の力は強大だけど、だからと言ってその力がデュエルの結果に直結する事だけはない――結局のところ、最後に勝つのは『本当に強いデュエ
リスト』だって言う事は、歴史が証明してるしね。



「其れってつまり、ジャックの3人抜きフラグ?」

「お、頑張ってジャック!!」



その可能性は、決して0だとは言えないわね。
何れにしても、ドラガンが神を呼び出した以上、このデュエルが更に激しい物になるのは間違いない――神と絶対王者のフィールによって、ね。













異聞・遊戯王5D's Turn154
『神を超える力~Barning Soul~』











ジャック:LP3000   SC4
ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン:ATK4250


ドラガン:LP1200   SC4
極神皇トール:DEF3500




Side:ジャック


極神皇トール……成程、此れならば神を名乗るにふさわしいと認めてやる――最低ランクではあるがな。
だが、大事なのは、ドラガンがこの状況をどうやって引っくり返すだ……見せて貰うぞ、貴様のデュエリストとしての力が如何程なのかをな!!



「俺のターン!
 極神皇トールのモンスター効果発動!相手モンスター1体の効果を無効にし、エンドフェイズまでその効果を得る!
 これで、ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンの効果を無効にし、トールはその効果を得る!!」


ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン:ATK4250→2500



効果が無効になってしまったら、ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンは素のステータスを曝さざるを得ない。
……神は奪った効果を使えないとは言え、このままならば、このターンで俺が1000ポイントの戦闘ダメージを受ける事は免れんだろう……貴様
が攻撃できればだがな。



「なに?如何言う事だ?」

「教えてやろう!俺が伏せたこのカードは、トラップカード『王者の風』!
 俺が受ける戦闘ダメージを相手にも喰らわせる強力なカードだが、此れを発動すれば、貴様のライフは残り200にまで減少する事になり、次の
 俺のターンで、スピードワールド2の効果を発動すれば、神は倒せずともお前のライフをゼロに出来る……さて、如何するドラガン!?」

無論これはブラフかもしれない。ダーク・リベリオンを場に残し、新たな強さを秘めたモンスターを呼び出す為の礎とする為のな。
だが、真実である可能性も捨てきれん。さぁ、貴様のデュエリストの勘はブラフと真実、その何方だとこのカードを判断するか、見せて貰うぞ!!



「言葉もまた兵法、言葉巧みに心理戦を仕掛けるのもまた駆け引き……絶対王者とは、只力が強いだけでなく頭も切れると言う訳か。
 良いだろう!嘘だろうと真だろうと、たった1枚のカードに恐れをなして攻撃できないなど、神を従えた者としての名が泣くと言うモノだ!!
 バトル!極神皇トールで、ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンに攻撃!『サンダー・パイル』!!」


――ズガァァァァァァァァァァァン!!


ジャック:LP3000→2000



ふ、臆さず攻撃して来たか……相手の言葉に惑わされてしまう様な、柔な神経の持ち主ではなかったか。――ならば認めよう、貴様は『神』を従
えるに相応しいデュエリストだとな!



「フン……ブラフの方だったか。」

「確かにこのカードは『王者の風』ではないが、只のブラフではない。
 このカードの正体は、トラップカード『ロスト・スター・ディセント』!墓地のシンクロモンスターに大幅な制限を加えた上で蘇生するカードだ!
 俺はこのカードで、墓地の『煌魔龍 レッド・デーモン』を守備表示で特殊召喚する!」
煌魔龍 レッド・デーモン:DEF2000→0  Lv8→7(効果無効、表示形式変更不可)


「レッド・デーモンを蘇生させるカードだったか。
 だが、効果が無効になった上に表示形式の変更も出来ないのでは只の壁にしかならんぞ?お前のデッキに、レッド・デーモン以上のモンスター
 が居るのならば話は別だがな。
 カードを1枚セットして、ターンエンド。」



レッド・デーモン以上のモンスターか……ならば見せてやろう、我が魂の新たな輝きを!俺のターン!!


ジャック:SC4→5
ドラガン:SC4→5



「チューナーモンスター『シェル・リゾネーター』を召喚!」
シェル・リゾネーター:1000



「此処でチューナー?レベル10のシンクロ……だが、そんなモンスターはお前のデッキには――」



居なかった。前に貴様と戦った時にはな。
だが、俺は絶対王者!常に、頂点に居る為に、デッキも戦術も日々進化を続けているのだ!!其れを見せてやろう!!
俺はレベル7となったレッド・デーモンに、レベル3のシェル・リゾネーターをチューニング!
混沌をも制した孤高の王者、真なる魔王として、天下無双の力を示せ!シンクロ召喚、焼き尽くせ『煌魔龍 レッド・デーモン・ハデス』!」

『バオアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!』
煌魔龍 レッド・デーモン・ハデス:ATK3500


レッド・デーモン・ハデスは、シンクロ召喚に成功した時、俺の墓地のチューナー1体に付き、攻撃力を200ポイントアップする!
俺の墓地のチューナーは合計3体!よって攻撃力は600ポイントアップする!



煌魔龍 レッド・デーモン・ハデス:ATK3500→4100



「レベル10のレッド・デーモンだと!!」

「デュエルとは、無限の可能性を掴み取る、一瞬一瞬のビッグバン……そのビッグバンが、俺を無限に強くするのだ!!
 そして今、レッド・デーモンは冥界の魔王の名を冠して神を超えた!!――が、俺も貴様も手札が潤沢とは言えん。
 折角、互いに至高のモンスターを従えていても、此の手札では満足なデュエルは望めん……そこでだ、俺は手札からこのカードを発動する!
 スピードスペル『Sp-財宝の共同発掘』
 俺のスピードカウンターが5個以上ある時、互いのプレイヤーは手札を全てデッキに戻してシャッフルし、新たに5枚の手札を得る!!」

「更には、手札増強か……だが、此れで面白くなって来たな。」



そう言う事だ!
バトル!煌魔龍 レッド・デーモン・ハデスで、極神皇トールに攻撃!『アブソリュート・ダークネス・フォース』!!



「そうはさせん!トラップカード『聖なるバリア-ミラーフォース』!此れで、レッド・デーモン・ハデスは破壊される!!」

「甘いわ!シェル・リゾネーターを素材にして呼び出されたシンクロモンスターは、相手のカード効果で破壊される場合、攻撃力を300ポイントダウ
 ンする事で、破壊を免れる!」
煌魔龍 レッド・デーモン・ハデス:ATK4100→3800



そして、攻撃力が下がっても、神は上回っている!
魔王の力を得たレッド・デーモンの一撃の前に散るがいい神よ!!


――ドゴォォォォォォォォォォォ!!


「ぐ……フィールが、さっきよりも更に強く……此れが、絶対王者の進化した力か。」
ドラガン:LP1200→900



そうだ!
そして、レッド・デーモン・ハデスが相手に戦闘ダメージを与えた時、デッキ・手札・墓地の何れかからチューナーを2体まで特殊召喚出来る!
この効果で、俺はデッキから『富豪王 ヘル・グリード』『絶対王 バック・ジャック』を特殊召喚する!


富豪王 ヘル・グリード:ATK0
絶対王 バック・ジャック:ATK0




「カードを1枚セットして、ターンエンド!」

「エンドフェイズ、極神皇トールが復活し、相手に800ポイントのダメージを与える!!」


極神皇トール:ATK3500
ジャック:LP2000→1200




………自己蘇生効果は当然として、此のダメージも中々に厄介だな。5回効果を発動出来れば、4000ポイントを削り切れる訳だからな。
だが、蘇った所でレッド・デーモン・ハデスの方が攻撃力は上だぞ?さぁ、如何する!!



「俺のターン!」


ジャック:SC5→6
ドラガン:SC5→6




「極神皇トールの効果発動!相手モンスター1体を選択し、選択したモンスターの効果を無効にし、その効果を得る!
 この効果で、レッド・デーモン・ハデスの効果を無効にして、その効果を得る……って、なにぃ!?効果を得る事が出来ないだとぉ!?」

「言い忘れていたが、レッド・デーモン・ハデスは、相手のカードの効果対象にならん。
 如何に神とは言え、トールの効果は対象を選ぶ効果故に、冥界の魔王となったレッド・デーモンには通じなかったという訳だ。」

「そんな効果が……だが、負けん!
 手札からスピードスペル『Sp-スピード・エナジー』を発動!
 エンドフェイズまで、俺のフィールド上のモンスターの攻撃力を、俺のスピードカウンターの数×200ポイントアップさせる!
 俺のスピードカウンターは6!よって、極神皇トールの攻撃力は1200ポイントアップする!!」

『ムオォォォォォォォォォォ!!』
極神皇トール:ATK3500→4700



攻撃力4700……相手にとって不足なし!全力で来るがいい!!



「行くぞ……極神皇トールで、煌魔龍 レッド・デーモン・ハデスに攻撃!!轟け、『サンダー・パイル』!!」

「だが、その攻撃は通さん!
 トラップ発動『ドレイン・シールド』!相手モンスター1体の攻撃を無効にし、相手の攻撃モンスターの攻撃力分のライフを回復する!!」
ジャック:LP1200→5900



「此処で……ならばメインフェイズ2で、スピードワールド2の効果発動!
 スピードカウンターを4つ取り除き、手札のスピードスペルの数×400ポイントのダメージを与える!
 俺の手札のスピードスペルは2枚!よって、800ポイントのダメージを与える!!」


ドラガン:SC6→2
ジャック:LP5900→5100



「カードを1枚セットして、ターンエンドだ。」
極神皇トール:ATK4700→3500



「俺のターン!!」


ジャック:SC6→7
ドラガン:SC2→3



先ずはスピードワールド2の効果を発動。スピードカウンターを7個取り除き、デッキからカードを1枚ドローする。


ジャック:SC7→0


さてドラガンよ、神とのデュエル楽しませて貰ったぞ?
それだけに、前のデュエルが悔やまれるが……貴様の本当の実力は良く分かった!もしもあの時、互いに全力でデュエルをしていたならば、何
方が勝ったかは分からんからな。

だが、だからこそ俺はこのデュエルで貴様を倒す!!
そして誇るがいい……貴様は、絶対王者たるこの俺が、新たに手にした力を発揮するに相応しいデュエリストであったのだからな!!!



――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……



「な、なんだこの力の波動は!?」

「燃える…燃えるぞ!この俺の魂が!!!――此れが我が魂の真髄!燃え盛る魂『バーニングソウル』!!」



――轟!!!



レベル10のレッド・デーモン・ハデスに、レベル1の富豪王 ヘル・グリードと、レベル1の絶対王 バック・ジャックをダブルチューニング!!
王者と悪魔、今此処に交わる!天地を統べる絶対王者よ、今こそ降臨せよ!シンクロ召喚『紅蓮魔龍 スカーレッド・デーモン』!!

『ウガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!』
紅蓮魔龍-スカーレッド・デーモン:ATK4000




「ダブルチューニング……レベル12のレッド・デーモンだとぉ!?」



スカーレッド・デーモンは効果で破壊されず、俺の墓地のチューナー1体に付き、攻撃力が500ポイントアップする!
俺の墓地のチューナーは5体!よって、攻撃力は6500ポイントとなる!!」

『バオォォォォォォォォォォォォォォォォ!!』
紅蓮魔龍 スカーレッド・デーモン:ATK4000→6500




「攻撃力6500……しかも効果破壊不能とは、神以上の存在か――!!」



スカーレッド・デーモンは、最強最悪の地縛神の力を、俺が吸収し、そして我が物とする事で誕生した、唯一無二にして絶対の存在!!
絶対王者と悪魔が交わって生まれたスカーレッド・デーモンの前には、如何に神とて塵芥に等しいと知れドラガン!!

此れがラストバトルだ!紅蓮魔龍 スカーレッド・デーモンで極神皇トールに攻撃!砕け散れ!『アルティメット・クリムゾン・フォース』!!



『バオォォォォォォォォォォォ……!!!』



――ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!




「ぐ……おわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ドラガン:LP900→0



『決まったー!!
 ファーストデュエルは、絶対王者ジャック・アトラスが、ドラガンの神を下しての見事な勝利!絶対王者は、神をも超えて見せてくれたーー!』




此れが俺の全力だ。理解したか、ドラガンよ。



「あぁ、身をもって体験させて貰ったさ……絶対王者の真の実力と言うモノをな。
 ジャック・アトラス、お前は確かに絶対王者だった――時を戻す事は出来ないが、あの時のデュエルは、今此処で清算されたのだろうな……負
 けたとは言え、清々しい気分だ。」

「俺としても、あの時のデュエルは大いに不満だったのでな?……今日、この場所で本気の貴様と戦えたことを誇りに思うぞドラガンよ。
 今回は俺が勝ったが、何時でもまた挑んで来い!その時は、更に進化した俺のデュエルで相手になってやる!」

「あぁ、そうさせて貰う……何時かまた、今よりも強くなって挑ませて貰うとしよう。
 だが、其れは其れとして、俺は負けたがデュエルはまだ続く――エンドフェイズに神は復活し、其れは次のデュエリストに受け継がれる!!」


極神皇トール:ATK3500
ジャック:LP5100→4300




神を引き継ぐか……面白い!
ドラガン、貴様の神を受け継いだ2人目とのデュエルも、精々堪能させて貰うぞ?

ドラガンの実力は分かったが、残る2人も果たして神を従えるに相応しいデュエリストであるか、絶対王者たる、この俺が判定してくれる!
せめて落胆だけはさせてくれるなよ、チームラグナロク――!











 To Be Continued… 






登場カード補足



Sp-財宝の共同発掘
スピードスペル
自分のスピードカウンターが5個以上ある時に発動出来る。
互いのプレイヤーは手札を全てデッキに戻してシャッフルし、その後手札が5枚になるようにデッキからカードをドローする。