Side:遊里


アタシが渡したカードを使って、行き成りブラック・ハイランダーを呼び出すとは、様子見も何もないわねジャック?と言うか、ドラガンを試してる?
1回戦を見る限り、少なくともドラガンの従えた『神』がシンクロモンスターなのは確定しているから、ブラック・ハイランダーが存在する限り、ドラガ
ンは神を呼ぶ事が出来ない。



「行き成りブラック・ハイランダー……此れで、神は封じられたよね遊里?」

「シンクロを封じるブラック・ハイランダーが居る限り、確かにドラガンは神を呼ぶ事は出来ないわ。
 だけど、その程度で攻略出来るような相手だったら所詮はその程度――絶対王者ジャック・アトラスに挑む資格すらないわよ龍亞。
 初手のブラック・ハイランダーは、ジャックからドラガンへの無言のメッセージ……神を操るデュエリストならば、この程度の状況位は何とかして
 見せろって言うね。」

「無言のメッセージ……其れがドラガンには伝わるかな、遊里?」



伝わる筈よ龍可。ドラガンが真のデュエリストであるのならばね。
と言うか、真のデュエリスト同士のデュエルは、極論を言うと言葉は不要!フィールやら何やらで、言葉にせずとも伝えたい事は伝わる物だから。

何にしても、このデュエルは確り見ておきなさい?
絶対王者たるデュエリストと、神を従えたデュエリストのぶつかり合い何て言うモノは、早々見られるモノじゃないんだから。

――神と王じゃ、比べるべくもないけど、神と絶対王者なら話は別。絶対王者は、太古の世界では神に等しい存在だった訳だから、このデュエル
は、神級の力のぶつかり合いになるわね。













異聞・遊戯王5D's Turn153
『激突必至!絶対王者vs神の担い手』











ジャック:LP4000   SC1
天刑王 ブラック・ハイランダー:ATK2800


ドラガン:LP4000   SC1
極星獣シトロン:DEF2000




Side:ジャック


「天刑王 ブラック・ハイランダー……シンクロ封じの能力を持った7ツ星のシンクロモンスター!其れを1ターンで召喚して来るとは…流石だな。」



遊里に貰ったカードがあったからこそだがな。
だが、此れで互いにシンクロ召喚は封じられた故に、貴様は神を呼ぶ事が出来なくなった訳だ――そして、それは同時に貴様の勝利の可能性
を殆どもぎ取ったに等しいのではないか?
1回戦を見ただけなので、アレが全てと言う気はないが、貴様のデッキは神のシンクロ召喚に重点を置いている故に、メインデッキのモンスター
の攻撃力は低い。――其れこそ、ブラック・ハイランダーを戦闘突破できるモンスターがメインデッキに存在する確率は低いだろう。

だが、そうであっても俺の全力を持ってして貴様を叩き潰すぞドラガン!――俺の全力をその身で味わって初めて、貴様はあの時の敗北を受け
入れて先に進む事が出来るのだろうからな。

「バトルだ!天刑王 ブラック・ハイランダーで、極星獣シトロンに攻撃!『デス・ポーラ・スレイ』!!!」



――ズバアァァァァアァァァァァァァァァ!!!



「く……守備表示だったからダメージはないとは言え、それでもこれ程のフィールを叩きつけて来るとは……矢張りお前は、真の絶対王者か。
 だが負けん!シトロンが相手によって破壊された場合、デッキからレベル4以下の『極星』モンスターを2体特殊召喚する!!
 現れろ『極星獣オリンポス』!『極星獣ユニコーンペガサス』!!」

極星獣オリンポス:ATK1500
極星獣ユニコーンペガサス:ATK1600



ふむ、新たに2体のモンスターを呼び出すとは、只では転ばんか……そうでなくては張り合いもないがな。
しかも呼び出されたのは何方もレベル4のモンスター故、高レベルモンスターをアドバンス召喚するだけでなく、ランク4のエクシーズも狙える布陣
だからな?



「其れだけではない。トラップ発動『極星の導き』
 俺のフィールド上の『極星』モンスターが破壊された時、デッキからレベル4以下の『極星』モンスターを特殊召喚する。
 来い、『極星獣ガルム』!」
極星獣ガルム:DEF1900


更に3体目か……面白い!
先ずは神を封じられたこの状況をどうやって打開するか見せてもらおう。カードを1枚セットして、ターンエンドだ。



「俺のターン!」


ジャック:SC1→2
ドラガン:SC1→2




「シンクロ封じの天刑王での神封じ……だが、そんなものは俺には通じん!
 俺は極星獣オリンポス、極星獣ユニコーンペガサス、極星獣ガルムの3体のモンスターをリリースし、出でよ『極星獣神バハムート』!!」

『ムオォォォォォォォォ!!!』
極星獣神バハムート:ATK3000



攻撃力3000の最上級モンスター……レベルは8だが態々3体のモンスターをリリースして召喚したと言う事は、ギルフォード・ザ・ライトニングの
様な『3体のモンスターをリリースして召喚した場合』の特殊効果があるのだろうが……



「3体のモンスターをリリースしてバハムートをアドバンス召喚した場合、相手フィールド上のモンスターを全てゲームから破壊してゲームから除外
 する!
 そして、バハムートの攻撃力はこの効果で破壊して除外したモンスター1体につき300ポイントアップする!!」



其れはまた何とも強力な効果だが、除外の前に『破壊』のワンクッションが存在している事が弱点だ!
リバースカードオープン!トラップカード『エフェクト・ガード』!
このカードの効果で、俺のモンスターはこのターン、カード効果によっては破壊されん!破壊をしてから除外すると言う効果が仇になったな!!



「効果での処理は出来ずか……ならば、戦闘で突破するだけの事!
 極星獣神バハムートで、天刑王 ブラック・ハイランダーに攻撃!『インパルス・メガ・フレア』!!」


――ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!


ジャック:LP4000→3800




ブラック・ハイランダーで神を封じたと思ったが、其れをこうも易々と崩してくるとは……矢張り貴様の実力はあの程度ではなかったかドラガンよ。
だが、この程度のフィールではまだまだ温い!並のフィールでは、俺を揺るがせる事は出来ん!!



「この程度は通じんか……ターンエンドだ。」

「俺のターン!」


ジャック:SC2→3
ドラガン:SC2→3




俺のフィールド上にモンスターが存在しない時、『輝鱗のエメラルド・ドラゴン』は特殊召喚出来る。


輝鱗のエメラル・ドラゴン:ATK2400



更に、チューナーモンスター『フレア・リゾネーター』を召喚!



フレア・リゾネーター:DEF1300



「此れは、レベル8のシンクロの布陣……来るか!!」

「見るが良いドラガン!前のデュエルでは召喚する事もなかった我が魂を!!
 行くぞ!レベル5の輝鱗のエメラルド・ドラゴンに、レベル3のフレア・リゾネーターをチューニング!!
 万物を焼き尽くす孤高の絶対王者よ、天地鳴動の力を揮うが良い!シンクロ召喚!降臨せよ『煌魔龍 レッド・デーモン』!!」

『バオォォォォォォォォォ…!!』
煌魔龍 レッド・デーモン:ATK3000




「此れがレッド・デーモン…!!
 何という威圧感だ……この力は神にも匹敵するぞ――!」



我が魂を甘く見るなよドラガン?神に匹敵するのではない、我が魂は神を超えるのだ!!
フレア・リゾネーターを素材にした事で、レッド・デーモンの攻撃力は300ポイントアップする!!


煌魔龍 レッド・デーモン:ATK3000→3300


此れで攻撃力はレッド・デーモンが上回った訳だから、効果でバハムートを破壊する事は出来るのだが、其れをやったらドラガンにダメージを与
える事が出来ないような気がするな……あくまで勘だが。
だが、デュエリストの勘が告げるのであれば、このターンは効果を発動せずに攻撃するのが上策だ。
バトル!煌魔龍 レッド・デーモンで、極星獣神バハムートに攻撃!『アブソリュート・ヘル・バーン』!!!


『バオォォォォォォォォ!!』


――ドゴォォォォォォォォン!!!


ドラガン:LP4000→3700

「が…!!わずか300ポイントだと言うのに何と言うフィールだ……此れが絶対王者の力か。
 だが、俺のフィールド上に存在するモンスターが戦闘で破壊された場合、手札の『極星獣タングニョースト』を特殊召喚出来る!!
 此れで、俺は手札のタングニョースト2体を特殊召喚する!!」
極星獣タングニョースト:DEF1100(×2)


破壊をトリガーに、新たに2体のモンスターを呼び出して来たか……良いだろう!カードを1枚セットしてターンエンドだ!!



「俺のターン!」


ジャック:SC3→4
ドラガン:SC3→4



「俺は、チューナーモンスター『極星獣グルファクシ』を召喚!」
極星獣グルファクシ:ATK1600



チューナー……来るか!!



「レベル3の極星獣タングニョースト2体に、レベル4の極星獣グルファクシをチューニング!
 星界の扉が開く時、戦神がその魔鎚を振り上げん。大地を揺るがし轟く雷鳴と共に現れよ!シンクロ召喚!光臨せよ『極神皇トール』!」

『ガァァァァァァァァァァァァ!!』
極神皇トール:ATK3500




来たか、神よ!!
遠慮はいらん!神のフィールで、俺を屈服させてみろドラガン!!



「望み通りにしてやる!極神皇トールの効果発動!
 1ターンに1度、相手モンスターの効果を無効にしてその効果を得る!よって、レッド・デーモンの効果は神の力となる!!
 己の力で散れ!!奪ったレッド・デーモンの効果を発動し、神よりも攻撃力の低いモンスターを攻撃表示にして抹殺する!!」


――ズドォォォォォォン!!


相手の力を奪って我が物とするとは、実に神らしい効果だ――己の効果でレッド・デーモンは焼かれてしまったのだからな。
だがしかし、その程度で俺を倒せると思ったら大間違いだ!リバースカードオープン、トラップカード『シンクロ・レベル・アワード』
俺のフィールド上のシンクロモンスターが相手によって破壊された時、破壊されたシンクロモンスターのレベルと同じになるように、デッキからモン
スターを特殊召喚する!!
レッド・デーモンの魂に導かれて現れよ!『マッド・デーモン』『Z-メタル・キャタピラーV3』!!


マッド・デーモン:DEF0
Z-メタル・キャタピラーV3:DEF1300




「小癪な……その程度のモンスター如き、神の敵ではない!
 極神皇トールで、マッド・デーモンに攻撃!『サンダーパイル』!!」


――ズガァァァァァァァァァァァァァァァン!!


む……守備表示モンスターを破壊しただけであるが、此れは中々のフィールだ……と言うか、此れ位のフィールでなくてはな!!



「神の一撃にも怯まずか……ターエンドだ。」

「俺のターン!」


ジャック:SC3→4
ドラガン:SC3→4



『獣戦士王 ミノタウロス』を攻撃表示で召喚!


獣戦士王 ミノタウロス:ATK1700


レッド・デーモンを倒したからと言っていい気になるなよドラガン?
俺のデッキには、時代のデュエリストから託されたカードが眠っているのだ――見せてやろう、神をも凌駕するその凄まじき力を!!!
獣戦士王 ミノタウロスと、Z-メタル・キャタピラーV3の2体のレベル4モンスターでオーバーレイ!
反逆の鼓動、今此処に列を成す。革命の意思を今此処に示すが良い!エクシーズ召喚!現れよ『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』

『グオォォォォォォォォォォォ!!!』
ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン:ATK2500   ORU2



ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンの効果発動!
このカードのオーバーレイユニットを2つ取り除き、相手モンスター1体の攻撃力を半分にし、その数値をこのカードの攻撃力に加える!
この効果で、極神皇トールの攻撃力を半分にし、その数値をダーク・リベリオンに加える!『トリーズン・ディスチャージ』!!



「な、なんだとぉ!?」


極神皇トール:ATK3500→1750
ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン:ATK2500→4250   ORU2→0




攻撃力が半減してしまっては、神と言えども恐れるに足らん!
バトルだ!ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンで、極神皇トールに攻撃!反逆の雷で薙ぎ払え『反逆のライトニング・ディスオベイ』!!



――ズガァァァァァァァァァァン!!



「グワァァァァァァァァァ!!!」
ドラガン:LP3700→1200



このカードは、次代を担うデュエリストから託されたものだが、其処から紡がれた絆が俺に力を与えてくれる。俺を無限に強くしてくれるのだ!!
此れは、神のカードの力に頼る者では辿り着けない境地と知れ!――カードを1枚セットしてターンエンド。



「良い一撃だった……正に絶対王者と言うに相違ない一撃だったぞジャック――だが、神を甘く見るなよ?
 極神皇トールは、破壊されたターンのエンドフェイズに自己蘇生して、相手に800ポイントのダメージを与える!!蘇れ『極神皇トール』!」

『ガァァァァァァァァアァァァァァァ!!!』
極神皇トール:ATK3500



ジャック:LP3800→3000



自己蘇生効果とバーンダメージの合わせ技とは、中々に凶悪かつ強力だが……俺の相手を務めるのであれば、最低でも此れ位はして貰わねば
面白くもない。

もっと言うのならば、貴様のデュエリストレベルは遊里には届かない……其れでは俺に勝つ事は出来ん!例え神を従えていたとしてもな!!
持てる力の全てを賭してかかって来るがいいドラガン!!俺が、絶対王者として其れを完全に粉砕してくれるわ!!











 To Be Continued… 






登場カード補足




極神皇トール
レベル10    神属性
幻神獣族・シンクロ/効果
チューナー+チューナー以外のモンスター2体以上
1ターンに1度、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスターの効果をエンドフェイズ時まで無効化し、その効果を得る。
フィールド上に表側表示で存在するこのカードが相手によって破壊され 墓地へ送られた場合、そのターンのエンドフェイズ時に、このカードを墓
地から特殊召喚する。 この効果で特殊召喚に成功した時、相手ライフに800ポイントダメージを与える。
ATK3500    DEF2800



極星獣神バハムート
レベル8    光属性
ドラゴン族・効果
3体のモンスターをリリースしてこのカードをアドバンス召喚した場合、以下の効果を発動する。
●相手フィールド上のモンスターを全て破壊しゲームから除外する。このカードの攻撃力は、この効果で破壊して除外したモンスター1体に付き3
00ポイントアップする。
ATK3000    DEF3000



極星獣オリンポス
レベル4    地属性
獣族・効果
このカードを素材にして召喚されたシンクロモンスターは以下の効果を得る。
●相手の守備表示モンスターを攻撃した場合、攻撃力が守備力を超えていれば、その数値分の戦闘ダメージを相手に与える。
ATK1500    DEF1500



極星獣ユニコーンペガサス
レベル4    風属性
獣族・効果
墓地から特殊召喚されたこのカードは、チューナーとして扱う。
ATK1600    DEF1200



極星の導き
通常罠
自分フィールド上の「極星」モンスターが破壊された場合に発動できる。
デッキから、レベル4以下の「極星」モンスター1体を特殊召喚する。



シンクロ・レベル・アワード
通常罠
自分フィールド上のシンクロモンスターが破壊された時発動できる。
自分のデッキから、破壊されたシンクロモンスターのレベルと等しくなるように、モンスターを特殊召喚する。



エフェクト・ガード
通常罠
エンドフェイズまで、自分フィールド上のモンスターは、カード効果によっては破壊されない。