Side:遊里


「遊里よ、何かに気付いたようだな?
 恐らくは、チーム太陽の狙いについてなのだろうが……一体何を感じ取ったんだお前は?」



……チーム太陽の戦い方は、手をつなぐ魔神の守備力を上げる事で、アタシ達の攻撃をシャットアウトしながら、各種効果でバーンダメージを与え
て勝つモノだと思っていたのだけど、如何やら其れはハズレみたいだわ。

最大のヒントは、守備表示で存在している『封印されしエクゾディア』
本来は手札に揃えてこそその真価を発揮するエクゾディアだけれど、その効果を真正面から否定した、最強のエクゾディアが存在してるのよ。



「あ~~~~、知ってる!あれでしょアレ!『解放されしエクゾディア』!!俺も持ってるよ其のカード!!!」

「龍亞正解。
 『解放されしエクゾディア』は、あらゆる効果の対象にならず、その攻撃力は戦闘を行う相手モンスターの攻撃力を1000ポイント上回り、相手に
 与える戦闘ダメージを倍加させるって言う、トンでも効果を持ったモンスターだったんだけど、その召喚の複雑さからすたれてしまったのよ。」

解放されしエクゾディアを召喚する為には、自分のターンで10ターン、総合20ターンの間、封印されしエクゾディアを護らなきゃならない上に、最近
はデュエルも高速化して来たから、自ターンでの10ターン経過だって難しいわ……特定のモンスターを護るなら尚更ね。
だから、最強クラスの力を備えながらも、解放されしエクゾディアは『使えないカード』と言う不名誉な烙印を捺されてしまったのだけど……其れを、
本気で召喚しようとしてると言うのなら、トンでもないわチーム太陽は!!

一見地味に見えるこの戦い方も、解放されしエクゾディアを召喚する為の布石&カムフラージュなのだとしたら大したものだわ……。
けど、こっちの2番手は無手札の鬼神であり、地錠覇王でもある鬼柳を相手に、エクゾディアを解放出来るか如何か、見せて貰うとしようじゃない。












異聞・遊戯王5D's Turn149
『封印を解除しろ!解き放て!』











13ターン目(チーム太陽7ターン目)


鬼柳:LP4000    SC8
煉獄龍 フォルト・スクライド:ATK3000


甚兵衛:LP4000    SC4
手をつなぐ魔人:DEF6400(自身の効果)
封印されしエクゾディア:DEF1000
ミドル・シールド・ガードナー:DEF1800
岩石の巨兵:DEF2000



Side:鬼柳


『威嚇する咆哮』で攻撃を止められて、相手にターンを回しちまったが……この布陣なら、俺の方が有利だろうな?
奴等がどんなモンスターを揃えた所で、煉獄を超える事は出来ねぇ――俺のハンドレスコンボは、生者の力が及ばない無の煉獄に於いて紡がれ
る物だからな。
さぁ、如何するチーム太陽?



「俺は『スピードワールド2』の効果発動!スピードカウンターを4つ取り除き、手札のスピードスペル1枚につき400ポイントのダメージを与える!
 手札のスピードスぺルは3枚!よって、1200ポイントのダメージだ!!」

「く……流石に1200ポイントはデカいな…」


甚兵衛:SC4→0
鬼柳:LP4000→2800



「カードを1枚セットしてターンエンド!」

「俺のターン!」


14ターン目

鬼柳:SC8→9
甚兵衛:SC0→1



さてと、このまま守備固めで逃げられると流石にキツイ物があるんだが……コイツ等は、本当にロックバーンが狙いなのか?
確かに、手をつなぐ魔人の守備力を徹底的に上げ、更にはスクラムフォースで守る事で、強固な守備陣形を整えちゃいるが、アインがやったよう
に、モンスターの表示形式を変更されたら一巻の終わりだし、ダイレクトアタック効果を持ったモンスターが相手じゃこの布陣も意味がねぇ。
何よりも、遊里も不思議がってた『エクゾディア』の存在……本当の狙いは一体何なんだ?――ん?
アレは龍亞か?ピットから身を乗り出して、フリップを……


『チーム太陽の狙いは『解放されしエクゾディア』!!』


って、何だと!?『解放されしエクゾディア』!?
一度呼び出されたら、文字取り場を制圧する――其れこそ、『神』にも匹敵する力を秘めているスーパーモンスターじゃねぇか!!
召喚条件が偉く厳しいせいで、誰からも見向きをされなくなっちまった不遇の最強モンスターだが、其れを実戦投入して来るとは……ククク、クハ
ハハハ!!最高だぜチーム太陽!!
其れ位やってくれなくちゃ満足できないぜ!!

俺は手札から、スピードスペル『Sp-エンジェル・バトン』を発動。
スピードカウンターが2個以上ある時、デッキからカードを2枚ドローし、その後手札を1枚捨てる。
俺はドローカード2枚のうち、『インフェルニティ・クィーン』を墓地に送る。
カードを1枚セットし、バトル!!



「バトルって……アンタのモンスターじゃ、手をつなぐ魔人は倒せないぞ!?」

「焦るなよ……無限煉獄の恐ろしさってのを教えてやるからよぉ?
 俺の手札が0で、墓地に『インフェルニティ・クィーン』が存在する時、俺のフィールド上の『インフェルニティ』または『煉獄』モンスターは、相手に
 ダイレクトアタックが可能となる。
 つまり、此れでフォルト・スクライドは手をつなぐ魔人の防御を飛び越えて攻撃する事が出来るって訳だ。」

「な、なんだとぉ!?」



煉獄龍 フォルト・スクライドで、プレイヤーにダイレクトアタック!燃えろ『インフェルニティ・デス・ブレイザー』!!!



甚兵衛:LP4000→1000
「どわぁぁぁぁぁ!!!
 だ、だけどこの瞬間にトラップ発動『ペイン・トゥ・ソニック』!俺が受けたダメージ1000ポイントにつき1個、俺のスピードカウンターを増やす!
 俺が受けたダメージは3000!よって、スピードカウンターは3つ増加する!!」
甚兵衛:SC1→4



転んでも只じゃ起きねぇってか……ターンエンドだ。



「俺のターン!」



15ターン目(チーム太陽8ターン目)

鬼柳:SC9→10
甚兵衛:SC4→5



「カードを1枚伏せ、『スピードワールド2』の効果発動!
 スピードカウンターを4つ取り除き、手札のスピードスペルの数×400ポイントのダメージを与える!コイツで、さっきのターンと同様に1200ポイ
 ントのダメージを与えるぜ!!」

「ハッ、ソイツは如何かなぁ?
 リバースカードオープン、トラップ発動『インフェルニティ・リフレクション』
 俺の手札が0の時に効果ダメージを受ける時に発動!そのダメージを0にし、相手にその数値分のダメージを与える――よって、1200ポイント
 の効果ダメージはお前に跳ね返るぜ!!」

「何だって!?……どわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
甚兵衛:LP1000→0



俺の勝ちだな?
とは言え、お前達の狙いは分かったからな……精々満足させてくれよ!!



『決まったー!!
 セカンドホイーラー対決は、チーム5D'sの次鋒である『鬼柳京介』が制し、チーム5D'sが1回戦突破に王手をかけた~~~!!!
 だがしかし、此処まで勝ち上がって来たチーム太陽が此のまま終わるとは思えない!だからこそ、ラストホイーラーである太郎が何をしてくる
 のか、ワクワクだ~~~!!』




狙いは一つだがな。
さて太郎、お前で最後だが手加減をする心算は毛頭ねぇ……だから最高のデュエルをしようぜ?――俺を満足させてくれんだろう?



「期待には応える心算さ。」

「ハッ、良い答えだぜ……なら、始めようじゃねぇか!!」



「「デュエル」」



16ターン目(チーム太陽9ターン目)



「俺のターン!!」



鬼柳:SC10→11
太郎:SC1→2




『ビッグ・シールド・ガードナー』を守備表示で召喚!」
ビッグ・シールド・ガードナー:DEF2600
手をつなぐ魔人:DEF6400→9000


「此れでターンエンドだ。」

「俺のターン。」


17ターン目


鬼柳:SC11→12
太郎:2→3




守備力9000か……ここまで育つと越えるのは容易じゃないが、超えられないならプレイヤーのライフを0にしちまうだけの事だ!!プレイヤーの
ライフが0になれば、其処でデュエルエンドな訳だからな!!
手札からスピードスペル『Sp-スピード・エナジー』を発動!
俺のスピードカウンターが2個以上ある時に、自分フィールド上のモンスター1体を選択して発動!選択したモンスターの攻撃力は、エンドフェイズ
まで、俺のスピードカウンターの数×200ポイントアップする。
俺は煉獄龍 フォルト・スクライドを選択し、効果を適用!
俺のスピードカウンターはマックスの12!よって、フォルト・スクライドの攻撃力は2400ポイントアップするぜ!!



『グオォォォォォォォォォォォォォォォォォォ…!!』
煉獄龍 フォルト・スクライド:ATK3000→5400




「攻撃力5400!!」

「其れだけじゃねぇ…墓地の『インフェルニティ・クィーン』の効果で、攻撃力が5400になったフォルト・スクライドはダイレクトアタックが出来る。」

個人的な事を言わせて貰うなら、『解放されたエクゾディア』を拝みたかったんだが――チーム戦じゃあ、俺の我儘を通す事は出来ねぇ。為すべき
事はチームの勝利だからな?

だから、コイツで決めるぜ!!
煉獄龍 フォルト・スクライドでダイレクトアタック!!『インフェルニティ・デス・ブレイザー』!!――煉獄の地平にぶっ飛びやがれぇぇぇぇぇ!!



「リバースカードオープン!トラップカード『和睦の使者』
 このカードの効果で、このターン、俺のモンスターは戦闘では破壊されず、俺が受ける戦闘ダメージも0になる!!
 よって、フォルト・スクライドの攻撃で、俺のライフを0にする事は出来ないぜ!!!」



和睦の使者……セカンドホイーラーが伏せておいたカードは其れだったのか……結構考えていたみたいだな。
とは言え、このターンで倒せなかったのは良くねぇな――ターンエンドだ。



「俺のターン!」



18ターン目(チーム太陽10ターン目)

鬼柳:SC12
太郎:SC3→4




そして、このターン、エクゾディアを解放する条件は整った訳だから、間違いなく召喚して来るだろうな、『最強無敵の召喚神』を!!!



「俺は、自分のターンで10ターンフィールド上に存在していた『封印されしエクゾディア』を含む俺のフィールド上の全てのモンスターをリリースして、
 最強のモンスターを降臨させる!!
 他のモンスターの魂を喰らいて、今こそ目を覚ませ!!幻の召喚神『解放されしエクゾディア』!!!」

『カハァァァァァァァァァァァァァァァァァ……!!』
解放されしエクゾディア:ATK?




来たか、最強の召喚神――相手にとって不足はねぇ!!
精々俺を……否、俺達『チーム5D's』を満足させてくれよなぁ!!!――こうなったら、トコトンやってやるぜ!!!











 To Be Continued… 






登場カード補足




ペイン・トゥ・ソニック
通常罠
自分が相手から1000ポイント以上のダメージを受けた場合に発動できる。
自分が受けたダメージ1000ポイントにつき1個、自分のスピードカウンターを増やす。



インフェルニティ・リフレクション
通常罠
自分の手札が0枚の時に、相手から効果ダメージを受ける場合に発動できる。
そのダメージを0にし、相手のライフポイントに、そのダメージと同じ数値のダメージを与える。