No 遊里


さてと、皆のDホイールの最終チェック終了。どこも問題ないから、此れなら大会でも大丈夫ね。
まぁ、不具合が起きたら起きたで、その時にはアタシと衛遊が力を合わせれば大概の事は如何にでもなるから問題なし――って、今更だけどチ
ーム5D'sって専属のメカニックを雇う必要ないわね本気で?
ボルガー&カンパニーがメカニックも派遣してくれてる事もあるけど、そもそもにして衛遊と、自分で言うのもなんだけどアタシが弩チートレベルの
メカニックタクティクス持ってるから、何かあっても大概如何にかなるからね。

まぁ、その技術で1回戦の相手であるチーム太陽のDホイールを相当に性能アップした訳だけど、其れをしなかったらデュエルの最中にDホイー
ルが限界を迎えて走行不能になって、其れでお終いなんて言う事になりかねなかったから、そうならない為の事をしただけ。

きっとチーム太陽は、アタシ達をワクワクさせてくれるデュエルをしてくれるんじゃないかって思うもの。

なら、アタシ達はそれに応えないと嘘だからね。



――バッ!!



WRGPの為に新調したライダースーツを身に纏って、ボルガー&カンパニーが作ってくれたチームロゴの入った革ジャンを着て出撃準備完了よ!
皆も準備は良い?



「言われるまでもないぞ遊里、既に準備は完了している!
 見せてやろうではないか、俺達チーム5D'sがドレだけの力を持ったチームであるのかという事を、会場に訪れた連中にトコトンな!!!」



無論その心算だけど、多分チーム太陽は簡単に勝てる相手じゃないだろうから、用心しておいた方が良いかもしれないわ。
尤も、だからこそ楽しみで仕方ないって言うのは、否定できないんけどね?――マッタク、デュエリストの本能て言うのは自分でも呆れる位に強
者とのデュエルを求めてるんだって、改めて実感してしまったわ。












異聞・遊戯王5D's Turn147
『決勝トーナメント開幕:vsチーム太陽』











さてと今日のスターティングメンバーは如何しようかな?
事前の打ち合わせで、アタシは全試合でラストホイーラーになる事が決まってるんだけど、それ以外のオーダーは実を言うと決まってないから直
前に決める事になるのよね?

ジャックを出して行き成り相手を圧倒するって言う手もあるんだけど、1回戦を制した場合には、2回戦――準決勝でチーム・ラグナロクとぶつか
るのは間違いないから、ジャックは温存しておきたいわ。
だからと言って、チーム太陽との試合も楽しみたい!!……悩むわ此れは!!

ん~~~…じゃあ1回戦のスタメンは、ファーストホイーラーがアイン、セカンドホイーラーが鬼柳、そしてラストホイーラーがアタシで良いわね?



「私が1回戦で、それも最初からか……なら、出来る限りの事はせねばならないな。」

「チーム太陽……中々やるみたいじゃないか?――どんなデュエルをするのかは知らないが、精々俺を満足させてくれよなぁ………!!!」



言われなくても、たぶん貴方にとっても満足足り得るデュエルが出来るんじゃないかと思うわ、チーム太陽とはね。
ほんの少しの時間の触れ合いだったけど、彼等はデュエルを心の底から愛していて、そして楽しんでる印象を受けたから――そう言うデュエリス
トって言うのは、間違いなく最強の力を持っているからね。

だけど、アタシ達だって負ける気はない。
全力を出して、そしてデュエルを楽しんだ上で貴方達に勝つ……って言うか、其れすら出来ない様じゃ、きっとイリアステルと戦う事なんて出来な
いと思うもの。

何にしてもチーム太陽との1回戦……此れを楽しみましょ?それで、楽しんだ上で勝てれば、きっと最高だからね!!



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で、試合当日。
会場はデュエルファンで埋め尽くされてるから、声援の凄い事凄い事……チーム5D'sとチーム太陽の声援の差は6:4で、アタシ達が少しだけリ
ードしているけど、デュエルの内容如何によっては此れは逆転するかも知れないもの。

まぁ、其れは兎も角、今日は良い試合にしましょうね太郎?



「……(コクリ)」



互いのピッドでは、声が届く筈もないから、アタシの言った事が太郎に届いたとは思えないけど、思いは伝わったみたいね?そうでなければ、ア
タシの方を見て頷いたりはしないと思うから。
なら、最高のデュエルをする以外の選択肢はないわ!!――ファーストデュエル、頼んだわよアイン!!



「あぁ、任せておいてくれ。
 彼等がどんなデュエルをするかは知らないが、私は私のデュエルで彼等のデュエルに応えて来るよ。」



其れが一番ね。
さてと、チーム太陽も準備は出来ているみたい。ファーストホイーラーは……緑のジャージだから、吉蔵か。
果てさて、アインのマシンはアタシのお手製で、チーム太陽のマシンはアタシが修理序に改造施してあるから、性能面では略互角って所な訳で
あって、そうなるとファーストコーナーの奪取は、純粋にDホイーラーのライディングテクニックに掛かってくるわね。



『さぁ、WRGP決勝トーナメント1回戦の第1試合を戦うのは、シティのドリームチームとも言うべきチーム5D'sと、全くの無名ながら決勝に駒を進
 めてきた隠れた強者のチーム太陽!!
 どちらも予選を2勝して1位通過したチームだけに、このデュエルは期待が大きいぞ~~~~!!!
 其れじゃあ行くぜ!フィールド魔法『スピード・ワールド2』セットオン!!ライディングデュエル、アクセラレ~~~~ショ~~~~~ン!!』




――ドォォォォォォォォォン!!!



シグナルグリーンと同時にスタート!
トップスピードに達するのは略互角なんだけど……あらら、吉蔵はバランスを保つので精一杯みたいね?流石にちょっと、改造し過ぎたかなぁ?
幾ら性能を引き上げても、今までと感覚が変わっちゃったら流石に戸惑うわよね……張り切り過ぎてその辺考えてなかったわ。

で、衝突回避の為にアインがスピードを落とした事で、何とかバランスを立て直した吉蔵がファーストコーナーを制して、先攻は吉蔵からか。



「「デュエル!!」」


アイン:LP4000   SC0
吉蔵:LP4000   SC0



さて、どんなデュエルを見せてくれるのか、楽しみにしてるわよチーム太陽の諸君!!最高に楽しいデュエルをしようじゃない!!








――――――








Side:アイン


ふぅ……チーム太陽のDホイールを遊里が調整したとは聞いていたが、遊里が作ってくれた私の『リインフォース』と互角以上の性能にまで調整
されているとは思っていなかったよ――遊里の技術者としての血が騒いだのだろうね。
まぁ、先攻は譲る形になったが、その程度ならば問題はない。此の手札ならば、寧ろ後攻の方が都合がいいとも言えるからね。



「俺のターン!!『封印されしエクゾディア』を守備表示で召喚!!」
封印されしエクゾディア:DEF1000



な、エクゾディアだと!?
エクゾディアは、5枚の封印パーツを手札に揃える事で『デュエルに勝利する』と言う究極の効果を発動する、ある意味で最強のモンスターだが、
其れはあくまでも手札に揃った場合で、フィールドに召喚された場合は、貧弱なステータスのモンスターに過ぎない。
其れは彼等だって分かっている筈だが……一体如何言う心算だ?



「カードを1枚セットして、ターンエンド。」

「私のターン!」


アイン:SC0→1
吉蔵:SC0→1



其れを考えても仕方ない事だ……ならば、其れはデュエルの中で見極めるしかないな。

「私のフィールド上にモンスターが存在しない場合、手札の『神速の暗黒騎士ガイア』をリリースなしで召喚出来る!」
神速の暗黒騎士ガイア:ATK2300



「その召喚にチェーンして、トラップ発動『隠れ兵』
 相手がモンスターを召喚した時、手札からレベル4以下の闇属性モンスター1体を特殊召喚する!!頼むぞ『手をつなぐ魔人』!!」
手をつなぐ魔人:DEF1600


「手をつなぐ魔人の守備力は、このカード以外の俺のフィールド上の守備表示モンスターの守備力の合計値分アップする!
 俺のフィールド上に存在する守備表示モンスターである、封印されしエクゾディアの守備力は1000!よって、手をつなぐ魔人の守備力は100
 0ポイントアップして2600になる!!
 更に、このカードが存在する時、相手はこのカード以外のモンスターに攻撃することが出来ない!」
手をつなぐ魔人:DEF1600→2600



隠れ兵と手をつなぐ魔人……防御の布陣を取って来たか。
だが、神速の暗黒騎士ガイアの召喚に成功した事で効果発動。デッキから儀式魔法か、『カオス』儀式モンスターを手札に加えられる。
私はデッキから『カオス・ソルジャー』を手札に加えるとしよう。

とは言っても守備力2600では、ガイアの攻撃2300では太刀打ちできない……スピードカウンターが1では、ステータス強化のスピードスペル
も使えないからね――カードを1枚セットしてターンエンド。



「俺のターン!」


アイン:SC1→2
吉蔵:SC1→2




『プロミネンス・ドラゴン』を守備表示で召喚!」
プロミネンス・ドラゴン:DEF1000
手をつなぐ魔人:DEF2600→3600




「カードを1枚セットしてターンエンド!
 そしてエンドフェイズに、プロミネンス・ドラゴンの効果発動!俺のターンのエンドフェイズ毎に、相手に500ポイントのダメージを与える!!」

「く……!!」
アイン:LP4000→3500



此れは、手をつなぐ魔人の守備力を強化しつつ、他のモンスターを攻撃対象から外しながら、効果ダメージを与える戦術か?
となると、スピード・ワールド2のダメージ効果も的確に使ってくる事は想像に難くない……倒されない限りは、モンスターゾーンが埋まるまで、守
備力を上げていく手をつなぐ魔人の守備力を超えるのは容易でないからね。
実際に、今も既にその守備力は3600にまで達しているのだから、此れを戦闘で破壊するのは難しいだろう。

だが、私を舐めないでもらおうか?
チーム5D'sの中での実力が最下層なのは否定できないが、私とてデュエリストだ!!日々成長している――此の位の壁は突破して見せる!
私のターン!!!



アイン:SC2→3
吉蔵:SC2→3



手札からスピードスペル『Sp-天使の施し』を発動。
私のスピードカウンターが3つ以上ある時、デッキからカードを3枚ドローし、その後手札を2枚捨てる。
カードを3枚ドローし、手札の『ハネクリボー』と『疾風の暗黒騎士ガイア』を墓地に送る。そして、墓地のハネクリボーと、疾風の暗黒騎士ガイアを
ゲームから除外し……現れろ『カオス・ソルジャー-開闢の使者-』!!



『デヤァァァァァァァァァァァ!!!』
カオス・ソルジャー-開闢の使者-:ATK3000




「開闢の使者の特殊召喚にチェーンしてリバースカードオープン!永続トラップ『スクラム・フォース』!!
 俺のフィールド上に表側守備表示のモンスターが2体以上存在する場合、俺のフィールド上の守備表示モンスターは相手のカード効果の対象
 にならず、カード効果で破壊されない!!
 これで、開闢の使者の効果で俺のモンスター達を除外する事は出来ない!!!」

「!!!」

此れは……開闢の使者で、手をつなぐ魔人を除外する心算だったのだが……如何やら、其れは読まれていたらしい……勘も悪くないようだ。

しかしまた、何とも強固な防御布陣を展開して来たものだね?
手をつなぐ魔人の守備力を引き上げた上で戦闘破壊を困難にし、スクラム・フォースで事実上除外と効果破壊を回避したのだからね……除外
効果は、現状では対象を選ぶ効果が殆どなのだから。

とは言え、手が無い訳じゃないからね……次の私のターンが勝負となるだろう。――カードを2枚セットして、ターンエンドだ。


とは言え、遊里とのデュエル以外で、此処まで楽しいデュエルをした事はないから、もっともっと楽しませてもらうぞ、チーム太陽!!
祝福の風が織りなす、カオス・ソルジャーの妙技――其れを、是非ともその身体で味わってくれる事を期待している……本番は此処からだな。













 To Be Continued… 






登場カード補足




Sp-天使の施し
スピードスペル
自分のスピードカウンターが3個以上ある時に発動できる。
デッキからカードを3枚ドローし、その後手札を2枚捨てる。