Side:遊里
敵はモーメントエクスプレスに在り!
この一大大企業が、イリアステルとの繋がりを持ってると分かったなら、それを調べない手はないからね?……若しかしたら、トンでもないお宝的
な情報が出てくるかもしれないからね!
で、アタシと一緒に潜入するのは、シェリーとクロウ。
シェリーはイリアステルと浅からぬ因縁があるし、クロウは脱出のスペシャリストだから、もしもの場合になっても、脱出する事が出来るからね。
序に言うと、アタシとクロウは、顔のマーカーを特殊メイクで消してるんだけど……マーカーがないクロウって言うのは、違和感バリバリだわぁ。
こんなに顔がきれいなクロウなんて、ぶっちゃけクロウとは思えないわ……現代の特殊メイクの技術恐るべしだよ、本気でマーカーが分からなく
なってる訳だからね。
其れは其れとして、シェリーもクロウも準備は良い?
「オウよ!鉄砲玉のクロウ様は、何時でも行けるぜ!!」
「私の方も、問題ないわ遊里――何よりも、両親の仇であるイリアステルと関係のあった企業と言うのは、私にとっても大きな存在でしょうから。」
OK、良い返事だわ二人とも!!
なら、チャチャッとやる事やって、得るべき物を得て、終わりにしようじゃない――この会社諸共、イリアステルを吹っ飛ばしてやる!って思ったの
は決してアタシだけじゃないって思ってるけれどね。
異聞・遊戯王5D's Turn144
『突入!モーメント・エクスプレス!』
で、モーメントエクスプレスに無事潜入した訳だけど、正直な事を言うなら、余りのセキュリティの甘さに愕然としたってわ本気で。
アタシとクロウのマーカーをメイクで消して(クロウは髪も下ろしてる)、作業着着込んで架空の業者名と偽名を使っただけでスンナリ入り込めるっ
て、ドレだけガバガバなセキュリティよ?もうちょっと警備体制強化した方が良いわよ此れ。
因みに偽名は、アタシが『シグナム・リッター』、クロウが『アレックス・エルガー』、シェリーが『マリア・ジラファ』ってなってる。
アタシの偽名は、アインが何故か速攻で考えてくれたんだけど……何でこの名前が思いついたのやら。
でもまぁ、緩いセキュリティは、アタシ等からしたら大助かりだったけどね。
で、各部署を周って、研究員が目を離した隙に、必要な機材なんかを調べてみたんだけどイリアステルの手掛かりは簡単には見つからないわ。
……まぁ、それ以外なら、可成りヤバ目なTOBとか、所得隠しとか、黒か白かで言えば間違いなく黒のヘッドハンティングとか、表沙汰になったら
ヤバいんじゃないかって言う記録は、沢山出てきたけどね?……何この暗黒企業。
これらのデータ纏めてネットに流してやろうかしら?割と本気で――こう言う企業って、存在自体が『悪』だしね。
でも、其れは其れとして午後は如何動く?
「残る場所は、物質転送装置の『インフィニティ』だけだからな……そこを当たってみるしかねぇだろ?」
「私もアレックスと同意見だわ。
……恐らくインフィニティの中枢には、所長室からのみアクセス可能になってるだろうから、データを吸い上げるのは容易でないと思うけれど。」
だよね?
インフィニティにはあるであろう、イリアステルの手がかりは何が何でも吸い出したいしね……まぁ、アタシの手に掛かれば、大抵のプロテクトなん
ぞは、無力と化すんですけど。
てか、やろうと思えばセキュリティの最重要機密事項も見る事が出来るし。
「「少し自重しろ、ヤバイ級ハッカー。」」
「ヤバイ級じゃなくて、アタシはゴッド級ハッカーだよ、アレックス、マリア。」
「「尚の事、性質が悪い。」」
まぁ、そう言わないで♪この力を悪用する気はサラサラないし、こういう力は悪用したら、手痛いしっぺ返しが来るって言うのはお決まりだからね。
とは言え、必要な情報を吸い出す為なら、アタシだって手段は択ばないからね……悪いけど屈して貰うわよモーメントエクスプレス!!
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んで、無事所長室に潜入成功!!てか、留守中は鍵くらいかけておきましょうね、所長さん。
さて、此処で取り出しますは、アタシと衛遊で開発した超高性能小型端末『T-800Guardian』!小型だけど、スーパーコンピューター並みの演算
能力を持つ此れなら、インフィニティの中枢にだって簡単にアクセスできるわ。
「そりゃ構わねぇんだが……そのネーミングは如何なんだ?まるで、どこぞの未来からやって来たサイボーグみてぇだな?」
「ネーミングはその場でのノリだからね。」
「兎に角、それを使えばインフィニティにもアクセスは出来ると言う訳ね?
なら、早い所終わらせて退散するとしましょう?……此処は重役の部屋だから、今は空室でも、何時部屋の主が戻ってくるか分からないわ。」
だね、其れじゃあ早速――
――カッ、カッ、カッ……
此れは靴音……!!拙い、最悪のタイミングで最悪の相手が戻ってきたかな此れは?
幾らこの端末でも、インフィニティにハッキングをかけて、そしてデータを吸い出すには、最低でも5分はかかる……仕方ない、クロウ(周りに誰も
いないから本名呼びね?)何とか5分間だけ時間稼いで。
「はぁ?其処で俺かよ!?」
「だって、こういうサイバー的な何かは、アタシじゃないと出来ないでしょ?だから、どんな方法でもいいから時間を稼いでくれる?
世間話で時間稼いでくれても良いし、場合によってはデュエルで時間稼いでくれても全然OKだから!!てか、こう言うのは案外得意でしょ?」
「そう言われちゃ、何も言えねぇが……だったら必ず、データを吸い出せよ?
こっちの事は、俺に任せとけってんだ!!」
うん、頼んだわよクロウ!!
――――――
Side:クロウ
さてと、時間稼ぎだけど如何したもんか……細かい事を考えんのはメンドクセーから、デュエル申し込んで時間稼ぎをする事にするか。
もしもデュエルする事になった時に、デッキから身元が割れねぇように、俺も遊里もシェリーも、今日用のデッキを作って来たから、それを使えば
問題はねぇからな。
「よう、所長のクラークさん、邪魔してるぜ?」
「君は……確か今日、所の設備点検に来ている『三ツ矢設備』のアレックス・エルガー君でしたか?
私の所長室には、特に点検すべき設備などは無かった筈ですが?」
あぁ、確かにアンタの所長室には点検すべき設備はねぇ……いや、一応空調設備なんかは見させて貰ったけど、其れは一般の範囲内で、特殊
設備じゃねぇからな。
まぁ、俺が此処に居るのは、ちょっとアンタとデュエルでもしようかと思ってな。
「デュエルですか?」
「おうよ。
俺は仕事柄、色んな所に出向く事があるんだけど、出向いた先のお偉いさんとデュエルすんのがちょっとした趣味なんだよ…企業のお偉いさん
てのは、ドレだけのデュエルの腕を持ってるのか興味があるからよ。
つっても、此れは完全に俺の趣味だから、アンタは断る事も出来るんだが、どうする所長さん?」
「デュエルですか……良いでしょう。
私も嗜み程度ですがデュエルをしますが、所員が相手では、所長である私に遠慮して、中々本気のデュエルと言うモノが経験できなくて、些か
不満だったのですよ……ですが、君ならば私に遠慮する事もないでしょう?」
「当然だ、やるからには相手が社長だろうと所長だろうと全力だぜ!」
「それを聞いて安心しました。
とは言え、此の部屋ではデュエルディスクを使ってのデュエルをするには狭すぎますから私が使っているデュエルテーブルで行いましょうか?」
まぁ、其れはしょうがねぇよな?この室内じゃ、ソリッドヴィジョンのフル投影も難しいし、一歩間違えばフィールで部屋が崩落しかねねぇからな。
OK、其れじゃあデュエルを始めようぜ!!
「ですが、只のデュエルと言うのでは面白くない……私が勝ったら、貴方のデッキを頂くとしましょうか?
代わりに、私が負けたら、貴方にモーメントエクスプレスが保有する株の30%を譲渡しましょう……悪い条件ではないでしょう?」
「アンティか……上等だぜ!」
本来のデッキじゃないとは言え、此のデッキも俺の相棒であることに変わりはねぇから、お前に渡す気はサラサラねぇけどよ!!
だけど、こんだけの大口を叩いてくれたんだ、瞬殺なんて事は勘弁してくれよな?――行くぜ!!
「「デュエル!!」」
アレックス(クロウ):LP4000
クラーク:LP4000
「先攻は貰います。私のターン!私は『モノ・ナイト』を守備表示で召喚。」
モノ・ナイト:DEF100
「カードを1枚セットしてターンエンドです。」
「俺のターン!」
何時ものデッキじゃないが、此のデッキも鳥獣族のデッキだから、俺にとっては扱いやすい事この上ないぜ!!
俺は『ハーピィ・クィーン』を召喚!
ハーピィ・クィーン:ATK1900
でもって、魔法カード『万華鏡-華麗なる分身-』を発動!
俺のフィールドに『ハーピィ・レディ』が存在する時、デッキか手札から『ハーピィ・レディ』か『ハーピィ・レディ三姉妹』を特殊召喚する!!
ハーピィ・クィーンは、フィールド上では『ハーピィ・レディ』として扱われるから、条件は満たしてるからな?俺は、デッキから『ハーピィ・レディ1』
を特殊召喚するぜ!!
ハーピィ・レディ1:ATK1300
ハーピィ・レディ1が存在する限り、俺のフィールド上の風属性モンスターの攻撃力は300ポイントアップするぜ!
ハーピィ・クィーン:ATK1900→2200
ハーピィ・レディ1:ATK1300→1600
更に装備魔法『ハーピィアロー』を、『ハーピィ・クィーン』に装備!
装備モンスターは、相手の守備表示モンスターを攻撃した時、攻撃力が守備力を超えていれば、その分の超過ダメージを相手に与える効果……
所謂『貫通効果』を得るぜ!!
バトルだ!ハーピィ・クィーンで、モノ・ナイトに攻撃!『シューティング・アロー』!!!
――ギュガァァァァァァァァァァ!!!
クラーク:LP4000→1900
「ぐ……ですが、モノ・ナイトが相手によって破壊された場合、デッキ又は手札から『ジー・ナイト』を特殊召喚します!」
ジー・ナイト:DEF1000
限定的なリクルーターか……だが其れが如何したぁ!!
ハーピィ・レディ1で、ジー・ナイトに攻撃!『スクラッチ・クラッシュ』!!
――ズバァァァァァァァァァァァァァ!!!
「ジー・ナイトは守備表示ゆえに、私への戦闘ダメージはないが、其れでこのフィールとは……素晴らしい強さですね、アレックス君。
ですが、ジー・ナイトが相手によって破壊された場合、デッキ又は手札から『トリ・ナイト』を特殊召喚します!!」
トリ・ナイト:DEF1500
更なるモンスターか……アンタ、デュエリストとしての実力も低くないのかもしれないぜ?――此の戦術は、素人戦術には思えねぇからな!!!
だが、其処までだ……デュエリストしては、アンタはまだ甘いぜクラーク所長!!
遊里には時間を稼いでくれとは言われたが、時間稼ぎ序に、相手の事を倒すなとは言われてねぇからな……悪いが、ぶっ倒させて貰うぜ!!!
カードを1枚セットしてターンエンド!!さぁ、掛かって来やがれクラーク所長さんよぉ!!
To Be Continued… 
登場カード補足
モノ・ナイト
レベル1 炎属性
戦士族・効果
このカードが相手によって破壊された場合、デッキ又は手札から「ジー・ナイト」1体を選択して、自分フィールド上に特殊召喚する。
ATK100 DEF100
ジー・ナイト
レベル2 水属性
戦士族・効果
このカードが相手によって破壊された場合、デッキ又は手札から「トリ・ナイト」1体を選択して、自分フィールド上に特殊召喚する。
ATK0 DEF1000
トリ・ナイト
レベル3 地属性
戦士族・効果
このカードが相手によって破壊された場合、デッキ又は手札から「テトラ・ナイト」1体を選択して、自分フィールド上に特殊召喚する。
このカードが相手によってフィールドを離れた場合、自分はデッキからカードを1枚ドローする。
ATK1000 DEF1500
ハーピィアロー
装備魔法
「ハーピィ」モンスターにのみ装備可能。
装備モンスターが相手の守備表示モンスターを攻撃した時、攻撃力が守備力を上回っていれば、その数値分のダメージを相手に与える。
装備モンスターがフィールドを離れる事で、このカードが墓地に送られた場合、このカードを持ち主の手札に加える。
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